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国立能楽堂定例公演七月 花筐 鏡男 木曽

d0226702_17101796.jpg国立能楽堂定例公演七月
2018年7月18日(水)18時30分より

仕舞 花筐 クルイ 観世流
梅若紀彰

鏡男 大蔵流
シテ(男)大蔵彌太郎、アド(妻)大蔵基誠

木曽 願書
シテ(覚明)観世銕之丞、ツレ(木曽義仲)観世淳夫、(池田次郎)柴田稔、(木曽郎党)北波貴裕、長山桂三、谷本健吾、安藤貴康、青木健一
笛 藤田次郎、小鼓 大倉源次郎、大鼓 山本哲也
後見 清水寛二、西村高夫
地謡 梅若紀彰ほか


写真は開演前の能楽堂の中庭。6時半だとまだ明るい。

梅若紀彰の仕舞。やっぱりこの人ハンサムで上手、と思いながら見ていたんですが、バックの謡が今一つな感じで残念。

鏡男は、訴訟ことごとく収まり、田舎に待つ妻に都のお土産として鏡を買って帰ったら、妻が鏡の中の女に嫉妬し、というお話。能の松山鏡の狂言バージョン。
西洋では鏡を見る女は化粧するビーナスなんだが、日本ではわわしい女…ふふふ。
最初に囃子が出たな、と思ったら夫がお土産にする鏡の謂れを行っている間にさっさと帰ってしまうのであまりの出番の短さにびっくり。
全体に曲としてはちょっと冗長かな。

安宅、正尊と来てこれで三大読み物制覇となりました、木曽
あらすじは何という事の無い、木曽義仲が礪波山にこもる平家軍攻撃の前夜、部下の覚明に戦勝祈願の願書を書かせ、覚明がそれを読み上げ舞を舞う、というものです。

地謡にとっても髪の毛の沢山ある人がいてびっくり。山中迓晶さんでした。
義仲の一行入場、まず木曽義仲、次に覚明、そして郎党たち。覚明に扮した銕之丞は頭巾で別人のよう。
木曽義仲は観世淳夫。出だしちょっと不調でびっくり。義仲に状況を報告する柴田の上手さが光ります。

山中に八幡神社を見つけた一行は喜び、覚明が戦勝祈願の願書を書き、読み上げます。
懐から紙を出して書くのではなく、後見座に行ってもらってくるのがちょっと不思議。常座で朗々と読み上げる、ここが第一の聞かせどころ。

そして次いで宴会となります。そこで覚明が舞うのも第二の見せ所。
長袴で良くあんなことできるなー、と思ったらやはりそこが見せ場らしいです。
安宅を見慣れていると数珠を持っていないのが不思議ですが。
解説を読むと覚明とは軍付きの坊さんでは無くて書記だそうですから、数珠は持ちませんね。

短い曲ですが、面白かった。いろんな役者で観てみたい曲です。




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by soymedica | 2018-07-29 22:15 | 能楽 | Comments(0)

銕仙会定期公演7月 杜若 二人大名 熊坂

d0226702_16014110.jpg銕仙会定期公演7月
2018年7月13日(金)18時より@宝生能楽堂

杜若 素囃子
シテ 浅井文義、ワキ 福王和幸
笛 一噌隆之、小鼓 曽和正博、大鼓 佃良勝、太鼓 小寺真佐人
後見 清水寛二、浅見慈一
地謡 浅見真州ほか

二人大名
シテ(大名・甲)山本泰太郎、アド(大名・乙)山本則秀、(通りの者)山本則孝

熊坂
シテ 観世淳夫、ワキ 宝生欣哉、アイ 山本凛太郎
笛 内潟慶三、小鼓 大倉源次郎、大鼓 亀井忠雄、太鼓 金春國直
後見 観世銕之丞 永島忠侈
地謡 西村高夫ほか


ちょっと季節外れの杜若。小書きの「素囃子」とは、パンフレットによると:序の舞がイロエに代わるほか、「恋之舞」と同様にシテが真の太刀を佩き、初冠に梅や杜若の心葉を挿して日陰之糸をたらすなど、いでたちも変化する。ということなのですが、後半も比較的長いので、そして狂言もあるので、舞を短くしました、と言う感じ。
浅井文義は地味だけれど好きな役者です。

旅の僧がなぜか長袴でやってくる。
昔、福王和幸が杜若の旅の僧で出てきたら似合わないだろうな、と思っていたけれど、実際に見てみるとこの人の華やかな外見が割とマッチ。きっと咲いている杜若は光琳の杜若のような豪華なものなんだろうな、と思わせる。

そこに不思議な女がやってきて、ここがあの業平が杜若の歌を詠んだところだと教えます。
そして一夜の宿を申し出ます。

なんかやっぱりこの浅井文義、地味だなあと思っていたのが後場で裏切られました。
ビブラートがかかったようなちょっと特徴のある華やかな謡で、男装の麗人がキラキラと動くさまがとてもきれい。
橋がかりまで大きく使って、色々な女性とちぎったこと、それは歌舞の菩薩である自分の救済の方法であったことを告げます。日本のドン・ファンにはそういう謂れがあるんですよ。

最後の「色ばかりこそ昔なりけれ」のところで、ふっと何かをのぞき込むようなしぐさをしたと思ったのは気のせいだったのでしょうか。そして、「杜若花あやめ、梢に鳴くは」のところで最初に上を見上げ、次に下を向くのが不思議でした。こういうところ、お稽古している人に聞いてみたいな。

後半、立ち姿の時つま先が開くのがちょっと気になりました。

面は孫一(伝 竜右衛門作)


ここで失礼しようかと思ったのですけれど、狂言の二人大名、観たことない演目だったのでこれ見てから帰ろうと。

二人の大名がやってくる。泰太郎の長裃の柄が雪輪。季節じゃなくても良いのかな。
通りがかった則孝に無理やり太刀持ちをさせたら、逆に脅されて芸をさせられた挙句に太刀もひとこし(短い方の刀)も取られる羽目に、という話。
二人の大名がさせられる芸が面白い。
鶏の喧嘩のまねとか、犬の噛み合う真似(犬はビョウビョウと鳴くのは本当だ!)。起き上がり小法師のまねなんて本当に大変そうだけれど面白い。

これ、夏休みに子供に見てやらせる教室の題材にしたら面白いだろうな。


熊坂は失礼して帰りました。

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by soymedica | 2018-07-22 17:13 | 能楽 | Comments(0)

セルリアンタワー能楽堂定期能七月 喜多流 忠度

d0226702_22212387.jpgセルリアンタワー能楽堂定期能七月 喜多流 忠度
2018年7月7日(土)14時より

おはなし 馬場あき子

忠度
シテ 友枝昭世、 ワキ 森常好、 ワキツレ 大日方寛、吉田祐一、 アイ 奥津健太郎
笛 一噌隆之、小鼓 曾和正博、大鼓 大倉慶之助
後見 中村邦生、友枝雄人
地謡 香川靖嗣ほか


馬場あき子先生、絶好調。まずは「皆さん、『青葉の笛』という唱歌をご存知ですか?」先生は小学校4年くらいの時に習ったそうで、一番が敦盛、二番が忠度をうたったもので、日中戦争が盛んになるにつれて歌われなくなったそうです。なぜなら、芸術の天才が戦争のために消えて行くのを惜しんだ歌だから。戦争が盛んになると命(芸術)をなげうつ風潮を良しとするようになってきたから、と。

武士にとってなぜ和歌が重要であったかと言うと、下賤の者であった武士が貴族と言葉を交わす唯一の方法であったから、とか
須磨の若木の桜と言えば当時の人は「光源氏が手植えした」とすぐにピンと来た、などの色々有益な情報が満載のお話。

そして、忠度を討ったのは「岡部六弥太」ですが、その功績で今の岡部(埼玉県)一帯に広大な領地を得た。そして六弥太は一等地に自分の墓よりも大きな忠度の墓をたて、忠度桜、忠度橋も作った、それは現在も観ることができるということです。岡部清心寺に忠度は弔われているそうです。


しかし、最近セルリアンタワーではツキの無い私。今回は何が起こるかと思ったら、目の前に凄く大きな男性が。隣の普通サイズの男性より座ると頭一つ大きい(幅もある)。ので、かなり視界が遮られて始まった忠度。
出だしからちょっと不安を感じさせる笛。一噌隆之、いちど絶不調の時に当たり、その時以来偏見が消えない私。(今回一声の後はふつうでした)。

ワキとワキツレ登場。ワキツレその2のほうがその1よりもたぶん年配。宝生流は殿田謙吉の休業で色々人手のやりくりが大変なのか。
森常好も酒量に注意して頑張ってほしい。
それはともかく出家した俊成の関係者がやってくる。これが須磨の若木の桜か!と。

向こうからやってきた卑しいお爺さん。「『そもそもこの須磨の浦ともうすは淋しき故にもその名を得る』なんて、その辺のお爺さんは言いませんよね」(馬場あき子談)。
「これなる桜」と昭世爺さんが言うと、本当に舞台上に桜があるよう(前のおじさん、邪魔!)。海人が持って出た榊を置いた瞬間も見ることができなかった…。

地謡がきれいなのは喜多流の常の事ですが、その地謡が「山の桜も散るものを」と謡うのをバックに昭世爺様をみていると、本当にそこに桜の枝があるように感じられます。ちなみに桜には香りは無いと思うのですが、今舞台を思い出しても何となく良い香りがするような。
そしてお爺さんはどこかに行ってしまうのでした。

不思議に思った僧たちが地元の人に尋ねると、それは忠度の霊ではないかと。この地元の人、そつがないけれど何となく印象が薄い。アイはその方が良いのでしょうね。

僧たちがうとうとしていると、風が吹いてきたのでしょうか、それとともに武将が姿を現します。矢には短冊が。
俊成に自分の歌を託して戦いに出ていく忠度。

場面は合戦に移ります。
船に乗ろうとする忠度。ここのところ、大鼓の掛け声が大きすぎてシテ謡が聞きづらい。大鼓ものっているのでしょうが、そこはちょっと抑えてほしいな。

忠度は結局岡部の六弥太に討たれてしまうのですが、ここからなぜかシテは六弥太になりかわり、有名な「行きくれて」の歌の短冊を発見します。田舎侍とは言え、六弥太は字が読めたのですね。

もっと見ていたいなあと思いましたが、忠度は「わが後弔ひてたび給へ」と消えて行くのでした。





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by soymedica | 2018-07-16 09:55 | 能楽 | Comments(0)

狂言劇場 特別版 三番叟、鷹姫

d0226702_16385394.jpg狂言劇場 特別版
2018年7月1日14時より@世田谷パブリックシアター

舞囃子 三番叟
野村裕基
笛 武市学、小鼓頭取 鵜澤洋太郎、脇鼓 古賀裕己、清水和音、大鼓 亀井広忠

鷹姫
老人 大槻文蔵、鷹姫 片山九郎右衛門、空賦麟 野村萬斎、
地謡 観世喜正、鈴木啓吾、坂慎太郎、大槻裕一、深田博治、高野和憲、中村修一、内藤連、飯田豪、野村太一郎
笛 武市学、小鼓 鵜澤洋太郎、大鼓 亀井広忠、太鼓 大川典良


まずは裕基君の三番叟から。披きの時より動きがきっぱりした感じ。まだまだ基本に忠実で余裕が感じられないのが若者らしい。
古典芸能を長くみている方はこうやって役者が成長していくのを見守る楽しみもあるのでしょうね。


今回の鷹姫は前回(https://nohkyogen.exblog.jp/23868922/)観たのとだいぶ違って能仕立て(前回はアイルランド外交樹立60周年でアヌーナとの共演でした)。とはいえ、いわゆる「新作能」とは違いましたが。

地謡が岩の役も兼ねていて、鷹姫の周りに座っているのですが、マスクのために誰が誰やら良くわからない。深田と高野は声でわかったけれど、あとは。
後ろの席のおばさまによると、「転がった(岩なので)のは皆狂言方ね」だそうです。

能仕立てとはいっても、照明を使ったり水を白い布で表したり。
空賦麟の衣装も何だか面を掛けていれば蘭陵王か?という感じでした。なかなか良いデザイン。
綺麗で考えさせられる内容ではあったのですが、「能」なら完全に暗黙の了解の進行と言うものがあるし、「現代劇」ならもっと科白と動きが違うし、観ていて疲れました。

二回続けて観てみればより理解が深まったかも知れない。

ということで、萬斎さん、またやってね。



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by soymedica | 2018-07-08 16:53 | 能楽 | Comments(0)

狂言劇場 特別版 鷹姫 楢山節考

d0226702_22024567.jpg狂言劇場 特別版 楢山節考
2018年6月30日(土)14時より@世田谷パブリックシアター

呼声
太郎冠者 野村萬斎、主 野村太一郎、次郎冠者 中村修一

楢山節考
おりん 野村万作、辰平 深田博治、けさ吉 高野和憲、又やん 月崎晴夫、又やんの倅/雨屋 中村修一、村人 石田幸雄、岡聡史、内藤連、飯田豪、烏 野村萬斎
子供 今市真菜歩、竹内彰良、青柳茉子、吉浦陽、小野梓、田中李奈
笛 栗林祐輔、太鼓 桜井仁


呼声、結構好きな演目なんだけれど、今一つノリきれませんでした。主人役、誰だったっけと思ったら太一郎。うーん、中村修一に負けてるぞ!

今回見るのは二度目の万作―萬斎の楢山節考。前回は「万作をみる会」だった。
前回とは若干演出が変わっていて、最初の朗読が詞章の投射になったり、烏がもっと控えめに見える演出になったり。烏も最初に鳴くだけで全くせりふが無いのですが、」でも、烏がいないとちょっと難しいだろうな。

前回と同じく深沢広治が息子役。これがとても上手い。
そして今回比較的前の席だったからそう思えるのか、万作のセリフの無い手だけの演技が泣ける。

今これをできるのは万作だけかもしれない。
観てよかった。

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by soymedica | 2018-07-03 22:06 | その他の舞台 | Comments(0)