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銕仙会定期公演四月 藤戸 花盗人ほか

d0226702_22592090.jpg銕仙会定期公演四月
2018年4月13日(金)18時より@宝生能楽堂

藤戸
シテ 片山九郎右衛門、 ワキ 宝生欣哉、 ワキツレ 大日方寛、則久英志、 アイ 深田博治
笛 寺井久八郎、小鼓 吉阪一郎、大鼓 亀井広忠
地謡 野村四郎ほか
後見 浅井文義、北浪昭雄

花盗人
シテ(男)野村万作、 アド(何某)石田幸雄

国栖 白頭 天地之声
馬野正基ほか


今改めてプログラムを見ると後列に野村四郎と浅見真州を並べた凄い地謡。京都から九郎衛門を迎えての力の入った藤戸。お調べが聞こえてきてぎりぎりセーフ。それにしてもなんだか笛が不安なお調べ。
でも、始まってみるとややかすれるけれど普通に素敵な笛でした。

藤戸の渡りで先陣の幸を立て、恩賞に児島を賜った佐々木盛綱がやってくる。いかにも新しい領地に乗り込んで張り切っている感じの宝生欣哉と二人の従者。
早速「何か訴えることのあるものは来なさい」と呼びかける。
と、そこに老婆が一人。藤戸のシテの装束は地味だけれどいつも惹かれるものがある。

漁師の息子を殺したのはあんただろう、という老婆。
しらを切る盛綱。
ここのやり取りも良いし、じっと定座で盛綱を見つめる老婆の型も素晴らしい。

根負けした盛綱が「そんなに言うなら教えてやろう」というと、盛綱をじーっと見据えて老婆はどっかりと舞台の真ん中に座る。
漁師の息子に浅瀬を教えてもらったけれど、これを自分一人の秘密にするにはこの漁師を殺さなくては、と殺したことを告白する盛綱。
欣哉の状況の語り方が凄い。あまり真に迫っているので母は「息子を返せ」と、ワキに詰め寄ってしがみつく。今まで見たこの場面の縁起の中では一番激しい。
(たぶん欣哉はこういうの嫌いだろうな…。)

母を軽くいなした盛綱は下人の深田に家まで送っていくように言う。
深田は母の後ろ姿に語りかけつつ送っていく。このときの母親の背中の演技が素敵。

盛綱は殺した漁師の供養をしようと、深田におふれを出させる。
漁師の亡霊が出てくる。そういえば能には水死体の登場がおおいなぁ。

前シテの母が盛綱をじとーっと見つめるしぐさが多かったのに対し、息子である殺された漁師はほとんど盛綱を見ない。
二度刺される型のところはもちろん、盛綱とは反対のシテ柱を向いている。何だかこれが妙に胸に迫る。

最後に弔いを感謝するところで初めて盛綱を見るのだが、それでも視線は合わない。
杖を捨てて退場。

素直に面白かった。

前シテは是閑作の深井、後シテは氷見の蛙(かわず)。


万作と石田の花盗人。先月の国立のカレンダーは桜の木に縛られちゃった万作でした。
筋は皆さんご存知桜の花を盗みに入った泥棒が見つかり、上手い歌を読んで木の持ち主に気に入られ、酒をご馳走になった挙句に桜の枝をお土産に持って帰ると言うもの。

これ、万作の十八番ですね。萬斎と組むときは「もうわしゃお前にまかせた」という雰囲気の万作ですが、石田と組むときにはちゃんと真面目にやっています。

本日はちょっとお疲れモードで明日も早いので、後ろ髪を引かれる思い出はありましたが、国栖は見ず。良かったんですってねー。





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by soymedica | 2018-04-21 15:40 | 能楽 | Comments(0)

狂言ござる乃座57th 佐渡狐、苞山伏、富士松、狂言獅子 双之舞

狂言ござる乃座57th
2018年3月25日(日)14時より@国立能楽堂

佐渡狐
奏者 野村万作、 越後の百姓 野村裕基、 佐渡の百姓 野村萬斎

苞山伏
使いの者 深田博治、 山人 岡聡史、 山伏 内藤連

富士松 太郎冠者 野村萬斎、 主 石田幸雄

小舞
海老救川 野村太一郎
芦刈 野村万作

狂言獅子 双之舞
白獅子 野村萬斎、 赤獅子 野村裕基
笛 藤田六郎兵衛、 小鼓 幸正昭、 大鼓 亀井広忠、 太鼓 小寺真佐人


相変わらず女性客の多いござる乃座。でもセルリアンタワーほどでは無いな。
まず、佐渡狐。萬斎の手になるパンフレットの解説によると、越後の百姓の役柄は「楷書」、佐渡の百姓、奏者の行書の芸に進む段階のものだそうです。
それを読んでから観るとなるほどなるほど。
今まで見た佐渡狐の中で一番面白かった。でも、祐基に比べてやはり萬斎、万作は上手いなー、と感じさせるその違いって何なんでしょうね。偉大な祖父・父を持つと、中年過ぎまできっと大変だよ。

苞山伏。山人の弁当(納豆を包むような藁苞に入っている)を盗んで食べたとぬれぎぬを着せられた山伏が、犯人を祈りだす、というもの。若手二人と深田という組み合わせ。これがなかなか面白い組み合わせで良かった。
しかし、ちゃんとした法力のある山伏って、狂言ではこれだけじゃないかな。
和泉流占有曲だそうです。

富士松。これ、なんと今までに3回観ている(記録によると一回は万作家で二回は萬家)のですが、途中で寝落ちすること2回、さっぱりわからなかったこと一回と、なんだかなー。
詞章を写真として保存しておいたので見てください。

小舞の海老救川。小舞を面白く見せるのは難しいけれど、やはり太一郎君もちょと苦戦。どこが悪いのか私にはよくわからないけれど、ベテラン陣との違いは明らか。何が違うんだろう。続いて長老万作の芦刈。ね、こちらの方が退屈せずにみられるでしょ。(しかし、野村家は皆高齢になっても足腰が強いね。)

最後は本日最大の見せ場、狂言獅子双之舞。能の望月でシテ方がやる獅子舞、額に扇をつけてやるあれ、あのいでたちの紅白2匹の獅子が舞うもの。側転、逆立ちなど、アクロバティックな動きを親子二人で見せる。萬斎ってもう50でしょ?大したものです。
パンフレットによるとごさる乃座10thで越後獅子―これは狂言の越後聟の舞を、これのみ単体とした小書き「祝言之式」によるもの―をやって以来、能楽の獅子舞の要素、越後の角兵衛獅子をミックスして工夫してきたものだそうです。

おめでたい雰囲気の中に終わったのでした。アクロバティックな動きの時には拍手しても良いんじゃないかなー。見所の皆さん、あまりにお行儀が良かった。

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by soymedica | 2018-04-02 18:03 | 能楽 | Comments(0)