<   2018年 03月 ( 4 )   > この月の画像一覧

国立能楽堂定例公演三月 太刀奪 求塚

d0226702_09403706.jpg国立能楽堂定例公演三月 
2018年3月16日(金)18時半より

太刀奪 大蔵流
シテ(太郎冠者)善竹忠一郎、アド(主)善竹隆司、(通りの者)善竹大二郎

求塚 観世流
シテ 観世清和、ツレ 坂口貴信、林宗一郎、角幸二郎、ワキ 福王茂十郎、ワキツレ 福王和幸、福王知登、アイ 善竹十郎
笛 藤田六郎兵衛、小鼓 観世新九郎、大鼓 亀井忠雄、太鼓 小寺佐七
後見 武田宗和、武田尚浩、上田公威
地謡 観世銕之丞


遅れて行ったので求塚から。笛の藤田が入ってきて痩せたなー、と思う。そして全体に色が白くなった感じ。ご病気でしたか??
そう思っているうちに大小前に塚が出されます。
西国から来た僧三人が浦々を伝って生田の里にやってきます。謡、福王パパが圧倒的に上手。

三人は遠くに見える綺麗な菜摘女たちに土地の事を聞いてみようと。
と、真っ白な装束でそろえた四人の女がやってきます。本当は最後の一人(シテ)がちょっと離れてやってくる3:1なのだろうけれど、前の三人のうち一人が何となく遅れて2:1:1に見えてしまう。皆左手に籠を持っています。お正月の七草粥の寄せ植えみたいなのを手付き籠に入れて八百屋さんで売っているじゃないですか、あれ。
何だかとても清々しい感じの四人です。

福王パパがこの土地について色々と尋ねると、「フン」と言った感じで「知っているなら聞かないでよ」「そんなことも知らないの?」「求塚なんか知らないわよ」というツンデレな人たち。何となく三人声をそろえて言うと怖い。やっぱりこの世の人ではないのだな。
求塚のここの所、好きです。

三人の女が居なくなってしまい、一人だけ残る。その女がながながと求塚のいわれを語る。ああ、求塚とは乙女塚の音のずれから来ているのだな、と思いながら見ている。さすがに観世清和、上手い。地謡が二人の男が「刺し違えてむなしくなりぬれば」と謡うのですが、そこで菜摘女が左手を胸に充てる仕草をするところ、素敵でした。
その女も消えてしまいます。

アイ語り。凄くゆっくりした語りでした。悪くはなくて雰囲気に合っているなー、と思っているうちに寝てしまった…。

さて、僧たちが処女を弔っていると塚の中から声が。
前場のときも思ったのだけれど、久しぶりに聞く観世清和の謡、こんなだったかなー。ちょっと変えたのだろうか。

引き回しが下ろされると、中には病み衰えた女。前場で使った面とこの面と雰囲気のどこかが似ているのか、本当に前場の女がやつれた感じ。
装束もどこか連続性を感じさせる。
シテとワキの掛け合いが素晴らしい。丁々発止という感じ。
「あら熱や耐えがたや」のところで腕を交差する型もgood。

扇をうまく使っているのだがこの扇がまた素晴らしい。このために作ったものだろうか、青っぽい金属光の地に遠目には金の植物のむこうに真っ赤な三日月(?)模様。

最後の「亡者の影は失せにけり」。最初は下居で扇で顔を隠す。二度目は立って出るのだが、この姿が美しかった。
満喫しました。

面は、前シテが出目の節木増、後シテが氷見の霊女りょうのおんな、ツレは小面(金剛大夫極有とあったがどういう意味か?)、栄満(人偏だったが)の小面と、作者不詳のいなのめ

[PR]
by soymedica | 2018-03-23 13:03 | 能楽 | Comments(0)

万作狂言会 蝸牛 孫聟

d0226702_12184057.jpg万作狂言会 
2018年3月10日(土)14時より@セルリアンタワー能楽堂

お話 葛西聖司

蝸牛
山伏 内藤連、 主 岡聡史、 太郎冠者 中村修一

孫聟
祖父 野村万作 舅 深沢博治、 太郎冠者 月崎晴夫、 聟 飯田豪

お話は狂言一般について。
なんだかやりにくそうだった。

先日満斎の山伏、高野の太郎冠者で観たばかりの蝸牛。まだまだあの二人には勝てないけれど、なかなか面白かった。
見ながら、この間寄生虫の本に出ていた「ナメクジを食べる」話を思い出した。ああいうぬるぬるしたものを食べて、年寄りの関節や腰の痛みを和らげる、という民間療法があるそうで、カタツムリを食べる、と言うのも同じ意味なのでしょう。

終わり方が、面白くて、主に「何をやっている!」と言われた山伏が法力で姿を一瞬消し、最後に「でんでんむしむし!」と叫んで脅かすというもの。このタイプは初めて見たような気がする。

今回、劫量を経た(こうりょうをへた)という新しい言葉を覚えました。

孫聟は初めての演目。
本日はきっと聟入りがあるからうるさい祖父を友達のところにやろうと相談する舅と太郎冠者。
こういうことに限って良く聞こえる年寄りはそれを聞きつけて隠居所から出てくる。

何となく直面でやると思っていたので、万作が面をかけて出てきてびっくり。たいして曲がってもいない腰を曲げて面をかけてかなり長いセリフを言うのだからかなり体力を使いそう。
面は顔の左が麻痺しているようなそういう作り。装束は柔らかそうだから絹かも。

聟登場。お決まりの「舅にかわいがらるる花聟でござる」のセリフで見所がクスっと笑うのが何となく好ましい。この聟、気が利いているのかいないのか、「お祖父さんに会いたい」と言いだす。
さっきから隠居所でまだかまだかと待っていたお祖父さん大喜び。
酒盛りにも参加し、聟を隠居所に誘ったりと、大はしゃぎ。

最後はちょっと寂しい終わり方だけれど、でも良かったね、お祖父ちゃん。



[PR]
by soymedica | 2018-03-19 12:20 | 能楽 | Comments(0)

国立能楽堂企画公演 浦島 玉井

d0226702_10011199.jpg国立能楽堂企画公演 近代絵画と能 水底の彼方から
2018年2月28日(水)18時30分より

浦島(復曲狂言)
シテ(浦島)野村又三郎、アド(孫)野村信朗、アド(亀の緒)奥津健一郎

玉井 竜宮城 観世流 
海龍王 梅若玄祥、 豊玉姫 梅若紀彰、 玉依姫 川口晃平、 彦火々出見尊 福王和幸、 栄螺の精 野村又三郎、 鮑の精 松田高義、 板屋貝の精 藤波徹、 蛤の精 奥津健太郎、 法螺貝の精 野口隆行
笛 杉信太朗、小鼓 大倉源次郎、大鼓 國川純、太鼓 小寺真佐人
後見 梅若長左衛門、小田切康陽、山中迓晶
地謡 観世喜正ほか


狂言浦島は、又三郎家に伝わり断絶していた復曲狂言の再演だそう。少し遅れて行ったら、もう孫と浦島爺さんが舞台上に。二人が囲んでいる笠が亀らしい。爺さんは凄く腰が曲がっているうえに, 太くて実生活でも役に立ちそうな杖をついている。
恐らく亀(笠)にはてぐすかなんかが付いているのでしょうけれど、橋掛かりをすーっと滑って波の向こうに帰って行くのが凄い。

と、玉手箱を持った男がやってくる。これを開けると普通の浦島太郎とは違って若い男になるというしかけ。又三郎は自前の黒い髭があって、この早変りが一層印象深い。見所からは思わずという感じで拍手が起こっていました。


玉井はこの前見たような。今回は新解釈、新演出ということで、かなり銕仙会とは違った感じ。
まず、大小前に一畳台を出し、上に小宮を載せます。正先に桂の枝をつけた井戸も出され、かなり賑やかな舞台。そこに大柄な福王和幸が豪華な衣装を来て出てくるのでますます華やか。彦火々出見尊(つまり山幸彦)が、兄の釣針を無くしたいきさつと許してくれない事を話します。

塩土男に教えられたとおりに海底の都に行って井戸を見つけた尊、女の人が二人やってくるのを見て、井戸のそばの桂の木に隠れます。
と、ここで何か魔がさしたように寝てしまったんですよね。起きたらすでに正中に尊が座り、ワキ座に二人の姫が。
何だか知らないうちに三年たったらしく、尊は帰り方を聞いている。

大鰐の背に乗って帰るらしい尊は宮の中へ。二人の姫は中入り。

ここで貝の精たち登場。前段のいきさつと釣針が見つかった話、尊に二つの玉を与えた話をします。
貝たちも尊をお送りするために宴会を開きます。
お酌をするのはただ一人の女性である蛤。うーむ、フェミニストに怒られそうな。
最後はめでたい貝尽くしの謡でしめます。

アイのあいだに地頭と副地頭がどこかへ。戻ってきました。着付けでしょうか。

2人の姫は赤い袴で正装。宮の引き回しが下ろされ、尊も姿を現すけれど、こっちのお着替えはたいしてインパクト無し。
姫たちは玉を捧げ、海神が釣針を持って登場します。さすがに釣り針を海神から受け取るときには尊は立ち上がって一歩踏み出して受けます。
そして二人の姫は美しい舞を舞います。ちょっと短いけれど、その間海神は定座で偉そうに床几にかけていますが、うつむき加減で年寄りくさい感じが可愛い。装束もあまりパリパリしていなくて見た目が柔らかそうな布(もちろんキンキラキン)。

そして海神もちょこっと動いてめでたしめでたしで終わるのでした。

見た目に楽しい曲でした。わかり易い進行だったけれど、いかにも説明的なのがあんまり能らしくないかなー。
全体の型付けなども含め、前回の銕仙会のほうが好きでした。

面は海龍王が牙悪尉、豊玉姫が増で玉依姫が小面、ともに後シテ・ツレでは泥岩 泥眼。


[PR]
by soymedica | 2018-03-13 17:52 | 能楽 | Comments(2)

国立能楽堂定例公演二月 痩松 熊野

d0226702_13402429.jpg国立能楽堂定例公演二月 
2018年2月16日(金)18時半より

痩松 和泉流
シテ(山賊)三宅右近、 アド(女)三宅近成

熊野 花之留 金剛流
シテ 金剛永謹、 ツレ 金剛龍謹、 ワキ 殿田健吉、 ワキツレ 則久英志
笛 杉市和、小鼓 幸正昭、大鼓 亀井広忠
後見 宇高道成、廣田幸稔、豊島幸洋
地謡 松野恭憲ほか


痩松は前に石田幸雄の山賊で見た印象が強いんですが、その時とは同じ和泉流でもちょっとセリフなどが違うような気が。大筋は同じで、ちょっと間抜けな山賊が女にやられてしまうというもの。三宅家のお二人もなかなか熱演で、見所もここぞというところで笑わせて、楽しい雰囲気で終わりました。近成、背が高すぎて足が着物の裾からにゅっと出ているのがおかしい。足が目立つから、仁王立ちはやめようね。


金剛流の熊野。色男の殿田が、「熊野をよべ」と。
一方こちらでは熊野の母の手紙を託された朝顔が熊野と面会。朝顔が息子の龍謹、大柄な金剛永謹が熊野。二人とも上手いが、息子が父の影になっている感じ。父引退の後に息子が大化けするパターンの親子ですね。は、ともかく、朝顔が若い軽い感じ、熊野がちょっと年増美人の感じ。
朝顔はさっさと引っ込んでしまっていつも残念。

熊野は母の手紙を宗盛に見せる。一緒に読むのだけれど、二人の位置がちょっと離れ過ぎていない?ああいうものか。
それと、着付けのせいなのか、熊野は下居するときとても窮屈そう。絶対にあれは着物が小さい。

手紙を読んでも「まあまあ、花見をしよう」という宗盛。この二人が舞台上に立つととても綺麗。
京都の待ちの中を華やかな車が進んで行く様子が目に見えるよう。この桜はもちろんソメイヨシノではなくて山桜、というのがまたしっとりして良い。

清水寺について花見の宴をする一行。道行きも綺麗だったけれど、舞も良い。
散る花を惜しみ、「散るを惜しまぬ人やある」でシオルのだけれど、無くても十分気持ちが伝わります。
最後、詠んだ歌を見せて宗盛に帰国を許される熊野。
ここが、本当に嬉しそうで可憐でした。

このブログ、観てから大分経って書いているので細部は忘れてしまいましたが、良い熊野を見たな、という暖かい気持ちがよみがえってきました。


笛は藤田六郎兵衛に代わって杉市和。「都合により」と、病気ではなさそうな感じの掲示でしたが。
そして地謡の豊島晃嗣にかわり宇高徳成が。

面は河内の孫次朗。ツレは近江の小面。



[PR]
by soymedica | 2018-03-05 13:10 | 能楽 | Comments(0)