銕仙会定期公演十月 龍田、鳴子遣子、項羽

d0226702_21510458.jpg銕仙会定期公演十月
2018年10月12日(金)18時より@宝生能楽堂

龍田 移神楽
シテ 鵜沢久、ワキ 則久英志、ワキツレ 館田善博、野口能弘、アイ 善竹大二郎
笛 八反田智子、小鼓 幸正明、大鼓 國川純、太鼓 小寺佐七
後見 浅見真州、谷本健吾
地謡 清水寛二ほか

鳴子遣子
シテ(茶屋)善竹十郎、アド 善竹富太郎、善竹大二郎

項羽
シテ 浅見慈一、ツレ 観世淳夫、ワキ 福王和幸、ワキツレ 村瀬提、矢野昌平、アイ 善竹富太郎
笛 藤田次郎、小鼓 森澤勇司、大鼓 柿原光博、太鼓 大川典良
後見 長山桂三、観世銕之丞
地謡 浅井文義


本日の龍田はシテが人気の鵜沢久とあってか比較的空席が少ない。学生さんと思しき団体も。
まず、大小前に一畳台とその上に小宮が出されます。
全国を旅しているお坊さん(物見遊山では無くて法華経を収めているらしい、神社にも行くところが室町時代)が奈良から龍田川に着きます。この大口はいたお坊さん、朗々とした声が素晴らしいなあ、と思っていると向こうからこれもまた素晴らしい声の呼びかけが。この「のうのう」で見所の心を鷲掴みする鵜沢久って凄い。

女は榊を持った巫女。僧が川を渡ろうとするのを引き留める。
「竜田川紅葉乱れて流るめり渡らば錦中や絶えなん」
「竜田川紅葉を閉づる薄氷渡らばそれも中や絶えなん」
の歌を中心に問答がなされるのですが、結局川を渡ったのか渡らないのか良くわからない…。

僧がご神木に礼拝したりという間に、巫女は「実は私は龍田姫」と言って、宮の中に入ってしまう。

里人の善竹大二郎。この人も負けずに良い声で朗々と語ります。声も体も大きな人だとは思っていましたが、こんなに良い声だったろうか。

僧たちがうとうとしていると、宮から龍田明神が。頭には紅葉の冠、朱赤の大口の模様は金の水に楓が流れているし、薄いオレンジの長絹も楓模様。ここから見ると、あんまり美人じゃないなあ。
「移神楽」と言う小書きは通常は神楽が後半から神舞へと変化するが、後半も特殊な神楽になるというものだそう(良くわからん)。この場合シテは幣では無く神楽の最初から扇をもって舞う、とあります。

最後に橋掛へ行くのですが、「…もみじばちりとぶ、…みそぎのぬさの」のところの型が印象的でした。
この人、とても小柄だと思うのですが、舞台で動いていると大きく見えますねえ。

面は前シテが 作者不詳で形替孫次郎、後シテが洞水作の僧女。


狂言の鳴子遣子。前は善竹家の狂言って今一つだと思っていたんですが、最近なかなか面白い。
お話は船舟と茶壺ををあわせたような筋。
何だか十郎の足袋が緩そうなのが気になりました。


項羽は初めて見る演目です。
まずやってくるのが草刈りの福王一行。「敦盛」のシテが持つような草の束を肩に担いでいるのですが、そこには綺麗な花も刺してあります。家へ帰ろうと舟を待っていると、後見が舟の作りものを常座に起きます。船頭がやってきて、乗せてやるには船賃がいると。船賃は一本の美人草。
そして船頭は項羽と劉邦の戦いの様子を聞かせます。そういえば漢文の時間に習ったな。「…騅ゆかず。虞や虞や汝をいかんせん」でしたっけ?
ここのところ、シテが素晴らしい。
そしてなかなか尉面が素敵。

どうやら能では項羽は自分の首を自分でかき落としたと言うことになっているらしい。

自分は項羽であると明かした船頭は中入り。

本当の渡守がやってきて、びっくり。自分が渡した覚えの無い一行が川を渡っている。さては項羽の霊がでたな、と。
渡守の話の後、正先へ一畳台が出されます。

するとそこに虞氏に続いて項羽が。
中国をイメージしているのでしょう。二人とも凄く豪華な衣装です。
どうも一畳台は高楼に見立ててあるらしく、そこにのった虞氏は前方に降りることで身を投げることになります。
嘆いた項羽は一畳台に乗り、矛を降ろして虞氏を探し求めます。(なんだか水死体を探しているようでもあるけれど)。

シテは戦いの様子を見せるのですが、矛の扱いが上手い。
今まであまり気にしたことのない浅見慈一ですが、ちょっとファンになりました。

項羽は衣装や持ち物が華やかで動きもあり、そんなに長くないし、入門編にも良い曲だなと思いました。

面は前シテが出目満志の笑尉、後シテが洞水の筋男。
ツレは小面(銘 閏月)、作者不詳。


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# by soymedica | 2018-10-18 17:20 | 能楽 | Comments(0)

国立能楽堂九月開場35周年記念公演 見物左衛門 清経

d0226702_14544420.jpg国立能楽堂開場35周年記念公演
2018年9月21日(金)18時30分より

宝生流
仕舞 求塚
シテ 高橋章
地謡 大坪喜美雄

和泉流
見物左衛門 深草祭
シテ 野村萬

喜多流
清経 音取
シテ 友枝昭世、ツレ 内田成信、ワキ 森常好
笛 松田弘之、小鼓 成田達志、大鼓 國川純
後見 香川靖嗣、塩津哲生、中村邦生
地謡 粟屋能夫他


残念なことに見物左衛門見られず。花見バージョンは萬斎で見たような気がするのだけれど、萬の深草祭り、良かったろうな。

正面席真ん中やや後ろよりの私の席。団体客が入っていたのでしょうか。能に疎いわけでは無いけれど、普段そんなに観てもいないという感じの老夫婦多し。このチケットはプラチナなんだよと、教えてあげたい、友枝昭世の清経。そしてワキが森常好なのだから。

奥方がまず座ります。
粟津の三郎が辛い旅から清経の奥方の元にやってきます。舞台に入ると顔を隠していた笠を取ります。ここまで生きて帰れたことでほっとしたのもつかの間、奥方に悲しいお知らせをしなくてはなりません。やっぱりこの雰囲気の作り方、森はうまいなあ。
そして友枝昭世がツレに選ぶだけの事はある内田。コトバがうまい。

遺髪を入れた守り袋を三郎が渡すのですが、奥方はそれを宇佐八幡に送り返してしまいます。

ここで、音取ですので笛が前へ。ワキ方より手前に出てきます。
本来藤田六郎兵衛であったはずですが、お亡くなりになってしまい、本日は松田弘之。代役に不足無し。
音取、何回か観ていますが、笛と清経の霊が一体となったような素晴らしさは本日初めて体験しました。いつまでもいつまでも橋掛が続くといいなあ、と思わせる。

そして舞台に(奥方の部屋に)入ってきた清経は奥方と恨みの言葉を交わした後に戦の様子を語ります。
喜多流の清経って初めて。後場に残っていた森常好が突然高い綺麗な声で「世の中の、憂さには神もなきものを、なに祈るらんこころづくしに」と謡います。ああ、これは神様の声かなあ、帰ってきたはずの粟津の三郎も亡霊だったのかなあ。

そして地謡が船に乗って当てもなく漂う平家一門の状況を謡います。清経は今まで正中で床几にかけていたのですが、立ち上がり橋掛へ。「ここに清経は心に籠めて思うよう…」
清経は船の舳先で笛を取り出して、とうとう水底に沈んでしまうのでした。

この状況を謡う長い地謡の後、ツレが怨みを込めた謡を。ここが上手い!

最後の地謡によると、清経は仏果を得たらしいのですが、そうかなあ。

良い舞台だったなあ、と思ってそうそう、上掛ではワキは後場にいないという解説を読んだ記憶が、と宝生閑の聞き書き「幻視の座」を取り出して読んでみると、宝生閑が「こうあるべし」と語ったことが本日の舞台には詰まっていたのでした。

面はシテが友閑作の中将、ツレが小面。

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# by soymedica | 2018-10-16 14:55 | 能楽 | Comments(0)

第四回千作千五郎の会 鎧、舟船、磁石

d0226702_21471024.jpg千作千五郎の会 第四回
2018年9月19日19時より@国立能楽堂

果報者 茂山千作、太郎冠者 茂山千五郎、すっぱ 茂山宗彦

舟船ふねふな
太郎冠者 茂山千作、主人 茂山七五三

磁石 
すっぱ 茂山千五郎、見付けの宿の男 茂山茂、宿の亭主 茂山逸平


いつも面白い演目を茂山一家が見せてくれるこの会、意外に空席が多いのが気になっていましたが次回が最後らしいです。ちょっと残念。
今回は鎧、磁石が初めての演目。

鎧は末広がりなどのように太郎冠者が都に行って間違った買い物をしてくる話。今回のお買い物は「鎧」。鎧を知らない果報者という設定、いったいいつごろできた話なのだろうか。
千作は折り鶴模様の裃、千五郎はツルの絵の肩衣。

太郎冠者の買ってしまったものはただの書付。おまけに葛桶(に入ったもの)を貰う。
主人のところに持って帰って「これが鎧」と書付を差し出す。
どうやらこの主人は字が読めないらしく、太郎冠者に読ませる。
この書付にかいてある鎧の話が面白く、聞かせどころ。

ついでに「おどすもの」はあるかと。縅(おどし)って昔のあの鎧は小さな札を縫い合わせて作ってある、あの札のことらしい。
と、葛桶に入っていたのは「脅すもの」鬼の面でした。
これでお互いに脅しあって、おしまい。


千作と七五三の舟船。千作と七五三は二人でやるときが一番輝いているような気がする。前に二人で叔母ガ酒やったときも最高の叔母が酒だと思ったし。
太郎冠者はシテ柱側に、主人はワキ柱側に立ちます。昔和泉流で観た時には逆だったような気もするが。
とにかく、本当に楽しかった!


磁石は有名だけれど初めて観る演目です。
田舎者が都に上る途中で大津松本の宿を見物していると、人売りが言葉巧みに知り合いの宿屋に田舎者を売り飛ばす。でも、それに気づいた田舎者は知恵を働かせて人売りが受け取るべき報酬を横取りして逃げ出す。追いかけてきた人売りの太刀を、「自分は磁石の精だ」と言って、刀を呑むふりをして取り上げるというもの。

田舎者だけれど、知恵と警戒心がちゃんとある賢い男、騙されてしまうすっぱ、と言うのは鎧とは逆。
前半の市を見物するところと、後半の磁石の精のふりをするところ、2曲が一曲になったようなお得感のある曲です。
楽しかったけれど、直前が千作・七五三ですから、ちょっと分が悪かったですね。


今回も楽しい会でした。
次回、来られると良いのだけれどちょっと微妙。
ちなみに次回(最終回)は2019年3月7日(木曜)19時より国立能楽堂。





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# by soymedica | 2018-09-30 10:18 | 能楽 | Comments(0)

国立能楽堂開場35周年記念公演 嵐山 猿聟 定家

d0226702_22074675.jpg国立能楽堂開場35周年記念公演
2018年9月15日(土)13時より

金春流
嵐山 白頭働キ入リ
シテ 金春安明、前ツレ 金春憲和、子方(木守の神)金春初音、(勝手の神)中村千紘
ワキ 飯富雅介、ワキツレ 有松遼一、岡充

間狂言 和泉流
猿聟
オモアイ(聟猿)野村万之丞、アドアイ(舅猿)野村万蔵、(太郎冠者猿)小笠原匡、(姫猿)能村晶人、立衆(供猿)野村万禄、山下浩一郎、吉住講、炭光太郎、河野佑紀
間狂言地謡、三宅右近ほか計4人

笛 一噌隆之、小鼓 飯田清一、大鼓 佃義勝、太鼓 三島源太郎
後見 高橋忍、井上貴覚
地謡 本田光洋ほか

観世流
定家
シテ 浅見真州、ワキ 宝生欣哉、ワキツレ 則久英志、御厨清吾、アイ 野村萬
笛 松田弘之、小鼓 林吉兵衛、大鼓 亀井広忠
後見 武田宗和、浅見慈一、武田友志
地謡 浅井文義ほか


嵐山の桜は吉野から移植されたものであるという伝説をもとにした、筋があるようで無いようなお話の嵐山。間狂言が「猿聟」となっています。
大小前に一畳台が出されます。端には桜が植えられています。
勅使の一行は今回は高安流。あまり主張しないのは流儀の特徴なのか、ワキ方の個性なのか。勅使一行は嵐山に行ったはずなのに謡が「吉野山」と謡っていたように聞こえたのは気のせいか。

勅使が役得(?)で嵐山の桜を見ていると、老夫婦が出てくる。それにしても姥の面ってひどくありませんか。尉面は品があったりするのだけれど、姥は骸骨に皮膚を張ったような…。
ま、それはともかく、老夫婦は桜を拝みます。

シテの謡が素敵。これは金春安明の個性なのか金春流ってこの人以外あまり謡を聞いたことが無いので判断が難しいのですが、地謡が何だかおとなしいと思うのは毎度のこと。

などと考えているうちに猿聟に。昔茂山の猿聟だけを観た事がありますが、あの時にはせりふのほとんどがキャキャキャでしたが、今回はわりと人語を話します。それと、猿の面に物凄くバリエーションがあって面白い。
酒席でおさるの一人が飛ばされて笑いを取ったり、猿聟が舞の途中で四足になったり、手足を掻いたり…。
最後は「俵を重ねてめんめんと」とめでたく終わります。
(あ、吉野の猿が嵐山に婿入りのする話です。)

やっと舞台が静かになったというところで、地謡横に退いていたワキも本来の位置に戻ってきます。

次いでこれまた可愛らしい子方の神様が登場。金春初音さん11歳、中村千紘くん9歳。このくらいの頃の年の差は大きいうえに女の子の方が早く大人びてくることもあって、千紘君が幼く見える。扇がうまく出せずに泣きそう。
太鼓の三島の掛け声が高いので、子方の声かと思った。
何はともあれ、二人の神様、立派に可愛らしく舞いました。

そして全身白と金色の装束で真っ白な髪の毛の蔵王権現登場。
白頭働キ入リの小書きは装束や頭が違う事はもちろん、後シテの「舞働」が登場直後の「和光利物の御姿」の一句の後に入り、神意を強調した演出となるとのことです。
物々しいというより、華やかで有難い感じでした。

こういうワキ能なら退屈しないなあ。

面は
前シテが 伝 日氷作の小尉、後シテが鷲鼻悪尉


舞台は一転してしっとりとした定家に。大小前に塚が出されます。ワキとワキツレの謡がしっとりしているなあ、と思いながら寝込んでしまいました。前場、しっとりして良かったんですってねえ。
目が覚めたら地謡が「怪しや御身たれならん」と。ここでアイ登場。ちょっと遅くないかい?と思ったが萬をそんなに長く橋掛かりに座らせておくのも、と思ったのか、いつもそうなのか。

「真の姿は陽炎の」で里の女が塚によりかかるのが面白かった。

アイ語りはさすがに萬。良かった(目が覚めたばかりで頭がスッキリして聞けたし)。

そして塚から内親王の霊が出てくる。
いつもはこの人は「浅見真州が〇〇を演じている」という強烈な個性を見せるタイプなのだけれど、今回は式子内親王そのものが塚から現れてきた感じ。
地味な装束に扇が派手なのがワンポイント。
地謡に合わせて よろよろと足弱車の家宅を出でたるありがたさよ ときれいな型をしみじみと見せてくれました。

最後、どうするのかなあと思ったら。いったん塚に入った後3方から出入りをして最後に下居します。この型がきれい。
囃子がひとくさり奏でて終わり。

前場、寝てしまって残念なことをした。

麺は前シテが増、後シテが痩女


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# by soymedica | 2018-09-29 21:24 | 能楽 | Comments(0)

銕仙会定期公演九月 柏崎 鱸包丁 枕慈童

d0226702_13291759.png銕仙会定期公演九月
2018年9月14日(金)18時より@宝生能楽堂

柏崎
シテ(前・花若ノ母、後・狂女)観世清和、子方 花若 谷本康介、ワキ 小太郎 森常好、ワキツレ 善光寺住僧 館田善博
笛 一噌庸二、小鼓 観世新九郎、大鼓 亀井広忠
後見 野村四郎、谷本健吾
地謡 観世銕之丞ほか

鱸包丁
シテ(伯父)山本東次郎、アド(甥)山本則孝

枕慈童 盤渉
シテ 慈童 柴田実、 ワキ 勅使 村瀬提、 ワキツレ 従者 福王和幸、矢野昌平
笛 寺井宏明、小鼓 曾和正博、大鼓 亀井実、太鼓 小寺真佐人
後見 浅井文義、泉雅一郎
地謡 浅見慈一ほか


柏崎は前にも銕仙会で観ていますが、今回は家元観世清和が出張ってきての公演。
まず、しずしずと母登場。現代劇だったら「幕が上がるとワキ座に葛桶にかけて物思いにしずんだ母が」というところですが、幕が無いので。こういうときには鏡の間は明るいままなのですね。

柏崎殿は訴訟のため鎌倉に息子と滞在する間に亡くなり、息子は出家してしまった、と家臣小太郎が告げに来る。森常好、痩せたし色が抜けた感じ。ダイエットの成果なのなら良いですが。
守袋を首から下げているのが清経と同じで、ああ、何か良くないことが起こったのだなと思わせる装束(そういうつもりではないのでしょうけれど)。

小太郎が奥方に事の次第を語るこの場面、ワキ方結構難しいのではないでしょうか。観世清和、森常好、良い組み合わせです。前場では小太郎が笠を取り落とすところが素敵でした。
そして奥方はなげきつつ退場。

それにしても、観世清和がシテをすると鏡の間が賑やかですな。誰が何を言っているのでしょうか。

後場は花若と善光寺の僧がやってくるところから始まります。
ついで笹を持った狂女登場。装束に具体的模様が無い、オレンジ系の縞の着物にグレー系の無地の水衣が映えるとてもしゃれた組み合わせ。
観世清和、女性を演ずるときにちょっと足が踏ん張り気味になるのが気になっていたのですが、今回はそういう事も無く素敵。
珍しく絶句して後見の野村四郎が素早くつけていましたが。

女人禁制のお堂に入り込んだのをとがめられて、笹を叩き付けて怒る狂女。
正中で夫の形見の烏帽子・直垂を着て舞うのですが、こういうときの貢献はやっぱり四郎ですよね。何だか早変わりを見ているよう。
舞はさすがに家元。
解説によるとここの謡は難しいのだそうですが、全くそういう感じをさせずにすらすら進みます。

と、そこに居る子供が自分の子であることに気付く狂女。
子供を抱きかかえるしぐさが能には珍しくリアル。
考えてみるとほかの母子離別ものでは「あれは自分の母だ」と、子方が気づく瞬間のせりふがあるのですが、これには無かった。
へえ、と思ったのですが、帰宅して調べると、下掛にはあるのだそうですね。

最後「嬉しかりけれ」と母が一の松で留めて終わります。

ちなみに柏崎の屋敷があったと言われる柏崎市の香積寺から善光寺まではgooglによると徒歩で20時間から30時間、車だと2時間前後だそうです。

面は観世宗家蔵の 深井 花(本面)近江作。
参考は、清田弘 能の表現 草思社


休憩の後は鱸包丁。あらすじは成書に譲るとして、ほとんどが東次郎の仕方話。オチは「ホウジョウ」の意味を予習しないとわからないけれど、東次郎の上手さがしみじみ面白い話。
また東次郎の茫々頭を見たいなぁ。


ここで帰る人多数。もともと満席でなかったのに、7割以下しか埋まっていないような…。


観世流には枕慈童と菊慈童の両方があり、他流の枕慈童は観世流における菊慈童。観世流の枕慈童は漢の時代の話で周の時代に山に流された慈童が出てくるという話。観世流の菊慈童と他流の枕慈童は時代が魏の文帝の時代なんだそうな。何だかややこしく、細部もちょとだけ違うようですが、まあ季節も秋に設定してあるし大筋似たようなものでした。

大小前に縁の模様が面白い(見ようによっては中国的な)一畳台が出され、そこに大宮が載せられます。一瞬見えたシテ方の足がとても小さく見えました。
皇帝の勅使がやってきます。ワキツレが福王和幸、ワキが村瀬提。村瀬はちょっと見ない間に物凄く立派になりました。
すぐに引き回しがおろされ、勅使が童子を発見する体。童子のわきには真っ赤な箱枕がおかれて、周りは菊の花で囲まれています。

皇帝の枕をまたいで流されて、有難い文字を菊の葉に書いてみずに流すと酒になり、という細部がちょっと菊慈童とは違うけれど、まあ、そんな事を語った後で舞に。
最後に常座に出された壺に童子は薬の水を汲み入れ、勅使に捧げます。

勅使一行は退場し、延命の水を称えてめでたしめでたし。

地謡が素敵でした。

面は洞白作の童子。




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# by soymedica | 2018-09-18 08:20 | 能楽 | Comments(0)