2012年 12月 29日 ( 1 )

岩波セミナーブックス83 中世芸能を読む 松岡心平

d0226702_1930778.jpg岩波セミナーブックス83 中世芸能を読む 松岡心平 2002年2月25日 第一刷

1997年のセミナーをまとめたもの。勧進による展開、天皇制と芸能、連歌的想像力、禅の契機の4章からなっています。

一章では中世では寺社の収入は勧進によるところが多く、その際の説法に猿楽や田楽、平曲が付け足された形式が普通であったろう。しかも猿楽や平曲の内容は最初の説法を易しく説きなおすものであった。勧進聖の語る物語が夢幻能の起源であったろうと語っています。ここで松岡心平の本によく引用される、今昔物語の「修行僧越中の立山に至りて少女に会ふこと」を引いて説明しています。

二章は天皇制と芸能。10世紀に登場する延喜式に「穢れ」の定義が明らかになってくるそうですが、常に清浄であらねばならぬ天皇のために清目と言われる非人身分の芸能者が出てくる。この両者を媒介するのが検非違使。ここから蝉丸説話、後戸の申樂へと話は広がっていきます。この章が一番面白い。

三章は連歌的想像力と題して、花のもとの連歌とは何か。しだれ桜の下には霊界があって、その霊を静める意味もあったこと、そして連歌においてはその場では身分を隠す身分を離れる、という思想があり、そこから生まれた濃密な人間関係のことを一揆と言ったのだと。

四章は禅の契機。ここは中国、日本の禅僧がいかに交流したか、いかに文化を作り上げたかについてです。禅宗は京都ではなかなか独立した派としては受け入れられず、最初鎌倉に入ったこと(比叡山の力が強かったため)、自然居士(実在の人物)はなぜあのような芸能を行ったかなどについて。また、このころ鎌倉から出た早歌(そうか)がいかに能に影響をあたえたのか―たくさんの言葉を乗せることができたので、筋のある歌をつくることができ、ミュージカル(能)が可能となった―などと出ています。

セミナーを起こした物なのでまとまりには欠けますが、その分読みやすいです。
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by soymedica | 2012-12-29 19:31 | 本・CD・その他 | Comments(0)