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国立能楽堂狂言の会 居杭 楽阿弥 竹松

国立能楽堂狂言の会 居杭 楽阿弥 竹松_d0226702_14290531.jpg国立能楽堂狂言の会
2019年1月18日(金)18時30分より

狂言 大蔵流
居杭
シテ(算置)大藏彌右衛門、 アド(何某)大藏基誠、(居杭)大藏康誠

素囃子
黄鐘早舞おうしきはやまい
笛 栗林祐輔、 小鼓 田邊恭資、 大鼓 大倉栄太郎

狂言 和泉流
楽阿弥 
シテ(楽阿弥)野村万蔵、 ワキ(旅僧)野村万禄、 アイ(所の者)野村万之丞
笛 栗林祐輔、 小鼓 田邊恭資、 大鼓 大倉栄太郎
地謡 野村萬他計5人

復曲狂言
竹松
シテ(山立)茂山七五三、 アド(主)茂山茂、(竹松)茂山逸平、(伯父)丸石やすし
台本構成 井関義久、 演出 羽田昶


子方がするとほっこりした風合いになる居杭。大人がやるのとまったく別の曲に感じられるから面白い。大藏流の「大藏家」があまり好きではないのですが、今回は楽しめました。今までに観た居杭のなかで一番すっきり仕上がっていたのではないだろうか。
子方の座り方はこの場合胡坐なんですね。
将来が楽しみな康誠くんでした。


素囃子に続いて同じメンバーが囃子に入っての楽阿弥。これは初めて観る演目。
能仕立てで、尺八を愛好している旅の僧が伊勢にやって来る。「ろさい(邏斎:門付のこと)にいづる門脇に犬のふせるぞおかしき」
と、そこには尺八の沢山かけられた松が。聞けば昔楽阿弥と言う尺八吹きを忍んでのこと。(尺八を吹き死にしたので、そこに塚を作ってつき籠めたんだそうな。)所の人は僧に楽阿弥を弔う事を進めます。

楽阿弥の霊登場。顔色の悪いうそふきの面をかけています。
せりふに「宇治の朗庵主の尺八の序」と言うのが出てきますが、これはネット検索すると色々出てきますが、朗庵という人は一休禅師の記載にあるり、中国から来た尺八の名人の一人らしいです。
楽阿弥の霊と僧は遠慮しあうのですが結局一緒に尺八を吹きます。
この擬音が
  トラ フラフリ リ トラ フラフリロ フウ
ってなんだか不思議。尺八ってボーボーって感じですが、上手いとそう聞こえるのですかね。

楽阿弥は自分の最後を語って消えて行きます。


ここでなぜか帰る人達が。ファラフォセット・メジャーズってご存知ですか?あんな感じの能楽堂ではあまり見かけないゴージャスな美人もお帰りでした。


最後の竹松、これが面白かった。「天正狂言本」の簡単なあらすじから復曲されたそうで、初演は平成元年国立能楽堂研究公演、今回と同じ台本作成と演出で茂山家が、平成三年にも再演。

召使の女竹松は力自慢。主人が能の道具を伯父さんから借りて来るようにと言うのでしぶしぶ出かけます。
伯父さんは「あいつもしょうもない奴だ」と言いながら大きな道具箱いっぱいの装束やら鼓やら貸してくれます。この道具箱、葛桶より大きく、狂言で出演者が持つ道具の中では一番大きいのではないかと思われる大きさ。

薄暗くなった帰り道、山賊(山立といいます)が出てきて、道具箱を取り上げた上に竹松に舞を舞わせたり、自分に装束をつけたり。最初のうちはおとなしく言いなりになっていた竹松ですが、言い寄られてついに堪忍袋の緒が切れて、山賊を木の上へ放り投げる!
舞台から橋掛の方へくるくる回りながら行き、柱にしがみつく動作でそれを表します。シテ柱をゆすると、先の橋掛の柱にしがみついている山賊が「枝が揺れる!」と怖がる仕組み。逸平の飄々とした感じがぴったりの配役でした。

あー、面白かった。



by soymedica | 2019-01-27 17:52 | 能楽 | Comments(0)
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