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第四回千作千五郎の会 鎧、舟船、磁石

第四回千作千五郎の会 鎧、舟船、磁石_d0226702_21471024.jpg千作千五郎の会 第四回
2018年9月19日19時より@国立能楽堂

果報者 茂山千作、太郎冠者 茂山千五郎、すっぱ 茂山宗彦

舟船ふねふな
太郎冠者 茂山千作、主人 茂山七五三

磁石 
すっぱ 茂山千五郎、見付けの宿の男 茂山茂、宿の亭主 茂山逸平


いつも面白い演目を茂山一家が見せてくれるこの会、意外に空席が多いのが気になっていましたが次回が最後らしいです。ちょっと残念。
今回は鎧、磁石が初めての演目。

鎧は末広がりなどのように太郎冠者が都に行って間違った買い物をしてくる話。今回のお買い物は「鎧」。鎧を知らない果報者という設定、いったいいつごろできた話なのだろうか。
千作は折り鶴模様の裃、千五郎はツルの絵の肩衣。

太郎冠者の買ってしまったものはただの書付。おまけに葛桶(に入ったもの)を貰う。
主人のところに持って帰って「これが鎧」と書付を差し出す。
どうやらこの主人は字が読めないらしく、太郎冠者に読ませる。
この書付にかいてある鎧の話が面白く、聞かせどころ。

ついでに「おどすもの」はあるかと。縅(おどし)って昔のあの鎧は小さな札を縫い合わせて作ってある、あの札のことらしい。
と、葛桶に入っていたのは「脅すもの」鬼の面でした。
これでお互いに脅しあって、おしまい。


千作と七五三の舟船。千作と七五三は二人でやるときが一番輝いているような気がする。前に二人で叔母ガ酒やったときも最高の叔母が酒だと思ったし。
太郎冠者はシテ柱側に、主人はワキ柱側に立ちます。昔和泉流で観た時には逆だったような気もするが。
とにかく、本当に楽しかった!


磁石は有名だけれど初めて観る演目です。
田舎者が都に上る途中で大津松本の宿を見物していると、人売りが言葉巧みに知り合いの宿屋に田舎者を売り飛ばす。でも、それに気づいた田舎者は知恵を働かせて人売りが受け取るべき報酬を横取りして逃げ出す。追いかけてきた人売りの太刀を、「自分は磁石の精だ」と言って、刀を呑むふりをして取り上げるというもの。

田舎者だけれど、知恵と警戒心がちゃんとある賢い男、騙されてしまうすっぱ、と言うのは鎧とは逆。
前半の市を見物するところと、後半の磁石の精のふりをするところ、2曲が一曲になったようなお得感のある曲です。
楽しかったけれど、直前が千作・七五三ですから、ちょっと分が悪かったですね。


今回も楽しい会でした。
次回、来られると良いのだけれどちょっと微妙。
ちなみに次回(最終回)は2019年3月7日(木曜)19時より国立能楽堂。





by soymedica | 2018-09-30 10:18 | 能楽 | Comments(0)
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