国立能楽堂企画公演 花折 江口

d0226702_14570892.jpg国立能楽堂企画公演 西行生誕900年記念
2018年4月29日(日)13時より

解説 平田英夫

舞囃子 松山天狗 三段之楽 金剛流
シテ 金剛龍謹
笛 一噌隆之、小鼓 田邊恭資、大鼓 亀井広忠、太鼓 林雄一郎
地謡 宇高通成ほか

花折 和泉流
シテ(新発意)小笠原匡、アド(住持)野村萬
立衆 野村万禄、能村晶人、野村万之丞、河野佑紀、上杉啓太

江口 金剛流
シテ 金剛永謹、 ツレ 豊嶋晃嗣、宇高徳成、 ワキ 福王茂十郎、 ワキツレ 福王知登、矢野昌平、 アイ 野村万蔵
笛 一噌隆之、小鼓 大倉源次郎、大鼓 亀井広忠
後見 宇高通成、廣田幸稔、工藤寛
地謡 豊嶋三千春ほか


まず、解説から。能楽堂での解説ということで、ちょっと戸惑っているように見えた平田先生ですが、すぐに流れるようなお話に。
能の中に出てくる西行と遊女の問答歌には二通りの解釈があると言う話で、一つは能の解釈と同様、宿を断った遊女(妙 たえ、として伝えられる)を西行が咎めると、遊女が返歌でやりこめたのだ、というもの。もう一つは遊女と西行は旧知であって、単なる挨拶の歌のやり取りであり、結局泊めた、という解釈。こちらは後世の「西行は立派な人だ」という見方に影響されているかも。
などなどのお話があって、
西行は自ら道化となることによって、聖と遊女の関係に新たな道を開いたのではないか、という示唆で終わりました。
うーん、20分で説明するには内容が膨大ですね。

平田先生は西行学会の前代表ということですが、「西行学会」という学会があるのですね。ホームページによると2009年創立というまだ若い学会です。


さて、その後、舞囃子の松山天狗。金剛龍謹って西洋人のようなハンサムだなー、と思いつつ寝てしまった。後で解説を読んだら珍しい曲らしいので、残念。


そして花折。西行桜のパロディーということで、「花見客が煩いから断れ」と言って出かけた住持。でも、お留守番の新発意は結局客に負けて入れてしまう上に、大宴会。ここの宴会芸が見どころ。昔の人は風流でしたね。今の人がカラオケボックスで練習するのと同様、宴会に備えてお家で練習したのでしょうね。
ところで「花折」なんだか最近親しい名前だな、と思ったら、最近良く買う鯖寿司屋さんの名前でした。


いよいよ江口。重い曲だからか、地謡前列もとってもベテラン。諸国一見の僧も何だか重々しい方です。福王パパ、好きなんですよね。
天王寺に行く途中、江口の里に着いた一行は江口の長の旧跡をみようと地元の人に聞いてみます。
地元の人の教えるのはちょっと高くなったところにある場所でしょうか。

僧が西行の「世の中を、厭うまでこそかたからめ、仮の宿りを惜しむ君かな」とふと言ってしまうと、どこからか女が一人。
永謹、大きい人だからか、面を掛けると小顔の美人に見えます。
前回も感じたのですが、コトバの間の取り方が観世流とちょっと違うのか、「絶句??」と思うくらい長い間があります。だれか付けたら!?と思うと何事も無かったように次が続くのがちょっと面白い。

歌をめぐる僧と女のやり取り、字にすると難しいのですが、舞台で聞くと何となくわかったような気になるから不思議。

女は、私は江口の君の幽霊よ、と言って消えて行きます。

万蔵が、「さっきの僧たちはまだいるかしらん」と立ってみると、まだ一行がそこにいるのに物凄く驚く。そんなに驚かなくても…。
どうもこの人観ていると、「太一郎追い出した人」というイメージがわいてきて(実際はどんないきさつかは知らない)、当分の間悪役イメージがかぶりそう。
アイ語りはさすが上手。

どうやら性空上人という有難い御坊様の夢のお告げで江口の長=普賢菩薩ということになったらしい。(実際はもっと複雑です、ハイ)。

僧の一行がもっと有難いお姿をみたいものだ、と待っていると、後見が一の松のところに屋形船をだします。
ツレ、江口の君、そして脱ぎ下げのツレがやってくる。最初のツレがとっても可愛い。(この順番でやってくるときには誰が「お幕」って言うんでしょうね。)

そして「この舟は江口の君の川遊びの舟よ」などと
ワキと問答して、舞台へ。
すぐに船の作り物片付けてしまうのが残念。三人乗ってこちらを向いている姿がとても素敵なのに。

シテは正中で床几にかけます。やっぱり長ともなると偉いんですね。
クリのところ、何だか詞章がとっても難しいんですが、地謡がとても綺麗。

そして序之舞へ。永謹、手そのものの形も仕草もとても綺麗。
笛がちょっと...。大した破たんはありませんでしたが。

そして遊女は菩薩となって空に帰って行くのでした。
あんなにきれいな女の人のなかに、叔父さんの金剛永謹が入っているなんて信じられないなー。
素晴らしい舞台でした。


面は
前シテが是閑の増、後シテが増阿弥の増、ツレが満照の万媚、満永の小面

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by soymedica | 2018-05-07 17:18 | 能楽 | Comments(0)
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