国立能楽堂四月普及公演
2018年4月14日(土)13時より 解説 「小塩」にはなぜ引歌がかくも多いのか 天野文雄 止動方角 大蔵流 シテ(太郎冠者)大藏吉次郎、 アド(主)大藏彌太郎、善竹十郎、善竹大二郎 小塩 観世流 シテ 浅井文義、 ワキ 福王和幸、 ワキツレ 村瀬提、村瀬慧、アイ 大蔵教義 笛 藤田六郎兵衛、 小鼓 観世新九郎、 大鼓 國川純、 太鼓 三島元太郎 後見 野村四郎、 浅見慈一、 谷本健吾 地謡 浅見真州ほか 天野先生、見慣れない頭につけて口元に来る形式のマイクで登場。国立本日使いおろしのマイクだそうで。 小塩は1465年興福寺一条院での初演がわかっている禅竹作の能。大和四座の競演だったそうで、時期が9月ではあったのですが「小原野花見」。これはその年義政が小原野で盛大な花見(雨だったらしいが)をしたことを踏まえてのこと。また、義政がその当時(結局は実現しなかった)22番目の勅撰集を編纂中であったことも踏まえ非常に多くの和歌が詠みこまれている。漢詩も3つほど読み込まれているそうです。 ところで小原野/小塩山は現在京都芸大とか京都大学日本文化研究所のある辺だそうです。 後日グーグルでチェックしたところ、西行桜で有名な勝持寺のあるあたり。大原野という公園もあるようです。 筋に沿った解説もしていただいて、狂言へ。 と言っても実際に観た時からすでに1週間以上経ってしまっているので淡い印象しかないのですが(講演はメモ取っていましたが、舞台は記録もしなかった)。 とても有名な止動方角ですが、観るのは初めて。 賢徳の面に着ぐるみの馬は体力的にとても大変と聞きましたが、それを感じさせない動き。 我儘な主人の彌太郎、甥を甘やかす善竹十郎、そのせいでひどい目にあっていて意趣返しをする吉次郎、と面白かった。 小塩。観世流で診るのは初めてかもしれない。 正先に花の作り物が出されます。花見にやってきた一行。ワキが諸国一見の僧でないのは、この能が作られた時の状況を反映しているのでしょうか。 福王流の謡に今一つ馴染めないのですが、福王パパのときは感じないので、福王和幸の個性の問題かもしれない。そして、村瀬のお二人はちょっと上手になりましたが、もともとの声が高いのですね。 桜をしょった爺様がやってくる。 浅井文義って上手ですが地味。その個性が小塩の役柄にマッチしていると思います。 国立ですので詞章が完璧に解るせいもあってか、舞台上に華やかな花見が再現されている感じが素敵。 でも、お爺さんは夕方になるとしょっていた桜をぽいと落としていなくなってしまうのでした。 あれは誰だろう、と言い合っていると、それは在原の業平の霊ではないかと教えてくれる人が。 じゃあ、夜になったら何かが起こるであろうと期待して待っていると、一の松に桜の花のついた車が出て来ます。 そして貴人が。浅井はそんなに大きな人ではないと思うのですが、烏帽子の先が車の屋根にひっかかりそうで心配。あれ、もう少し背の高い人だったら無理なサイズですね。 後場にはこれでもかこれでもかと有名な歌がひかれ、華やか。 確かにちょっと長くて疲れる能ですが来てよかったと感じさせる舞台でした。 面は前シテが笑尉、後シテは中将。
by soymedica
| 2018-04-26 12:25
| 能楽
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