国立能楽堂狂言の会 鍋八撥 蛸 千切木

d0226702_16175987.jpg国立能楽堂 狂言の会
2018年1月31日(水)18時30分より

鍋八撥 大蔵流
シテ(鍋売り)大藏吉次郎、 アド(鞨鼓売り)大藏教義、 アド(目代)善竹忠一郎

素囃子 男舞
笛 小野寺竜一、 小鼓 田邊恭資、 大鼓 佃良太郎

蛸 吐墨 和泉流
シテ(蛸の霊)野村萬斎、 ワキ(旅僧)野村万作、 アイ(所の者)岡聡史
地謡 石田幸雄ほか計5人

千切木 大蔵流
シテ(太郎)茂山七五三、 アド(何某)茂山千作、 アド(太郎冠者)茂山千三郎、 立衆 茂山千五郎、茂山宗彦、茂山茂、茂山逸平、茂山童司、丸石やすし、 アド(太郎の妻)茂山あきら


鍋八撥はまえに万作一門で観て面白かった演目。
八撥とは鞨鼓の事。新しい市を立てるときには為政者も物売りが来てくれるかどうか心配。よって、一番乗りの売り手にはご褒美がある。その一番乗りにやってきたのが八撥売り。肩衣はタンポポ模様かな。油断して居眠り。次に鍋売りがやってくる。肩衣は雪持笹のように見えたが…。

双方が売り物を自慢したり、賄賂を使おうとしたり、果ては棒と鍋とでやりあおうとしたり。
この曲の眼目の一つに八撥売りの身体能力を見せるところがあるのだけれど、さすがに切れ味よろしい。1981年生まれ。もっと若くても演技に不安があるし、もう少し年取ると、身体能力は落ちるでしょうし。

そして何だかよくわからない理由のまま舞に入り、八撥売りは側転大車輪で幕入。それを真似しようとした鍋売りは…。
大藏家の発音ってなんだかわかりにくい人が多いけれど、吉次郎も若干。でも、良い味を出していました。
教義、初めて意識してみましたが、はつらつとしていました。吉次郎のちんまりした感じと好対照で面白い舞台でした。
あ、今回ちゃんと鍋は割れました。
後見が紙の塵取りと羽箒でお掃除。


完全能仕立ての。これも一度万作家の会で見た事が。
まず、旅の僧の万作登場。声のかすれと発声が凄く苦しそう。大丈夫かな、と思っているとなんと卒塔婆の陰で休んでしまう。
そこに怪しい男登場。この前シテの足遣いが面白い。
怪しい男は成仏できないと言って去って行きます。

いよいよ蛸の霊登場。頭に蛸を被っているのですが、これがおかしくって見所からはクスクス笑。賢徳とうそふきを合わせたような専用面だそうですが、何となく萬斎に似た面(失礼)。
狂言にしては珍しくここら辺から完全に字幕が出ます。

カケリのところで「蛸のつらかった思い出を音楽的舞踊的に表現したもの」との解説が大真面目に出てきて、私一人でウケていました。
もう少し派手に墨を吐いても良かったかな。白いものよりも、角度によっては見えにくいので。


千切木は萬斎、東次郎のシテで観ています。今回は大好きな七五三のシテ。
千作が連歌の会をしようとするのですが、何かと文句ばかり言う太郎は呼びたくない。千作はなかなか風格のある演技なのですが、脚がつらそう。流儀になくても蔓桶に座ったらいいじゃない、と思うのは私だけなんでしょうね。

一門の皆が連歌の講中として頑張ります。呼ばれなかった太郎、こういう人って嗅覚鋭く、会があることを嗅ぎ付けるんですよね。やってきて色々文句を言ってついに我慢しきれなくなった皆にコテンパンにやられます。

で、妻に促されて仕返しを。それも妻に向かって「お前名代で行け」という腰抜け。
途中脇正面に置いた棒がころころ転がって落ちるかと思いましたが、そこはベテランの二人、大丈夫でした。あれ、落ちたらお客が拾って後見に渡すんだろうか?

全員に居留守を使われてホッとした太郎。そしてなぜか妻も夫に惚れ直した風で、めでたしめでたしだったのでした。

上に掲げてあるのは河鍋暁斎の「蛸」。


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by soymedica | 2018-02-12 16:23 | 能楽 | Comments(0)
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