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Noh Climax

Noh Climax_d0226702_11352546.jpgNoh Climax
2018年1月27日(土)13時より@セルリアンタワー能楽堂

1「序」  
父尉 翁:居囃子
お話 杉本博司
2「暗」松林図屏風
平太「屋島」谷本健吾、 痩男「善知鳥」坂口貴信、 真蛇「舞働・祈」大島輝久
3「明」松図屏風
   「羽衣」鵜澤光、 猩々「猩々乱」大島衣恵
笛 竹市学、 小鼓 吉阪一郎、 大鼓 亀井広忠、 太鼓 大川典良

「暗」の屏風:松林図屏風(六曲一双) 杉本博司 2017年
「明」の屏風:松図屏風(六曲一双)進藤尚郁 1735(享保20年)


舞台の上に切戸口を隠すようにやや斜めに屏風が置かれています。
見所がかなり暗くなると、屏風の後ろで翁の居囃子が。これは誰だったのか。
そしてその後揚幕から杉本登場。

まず、屏風の説明から。白黒の松の写真なのだが、長谷川等伯の松林図屏風に想を得て作られたもので、松は皇居前の松。
この屏風の前で屋島を演じたそうで、最初はスイス、次は2001年のツインタワーの崩壊直後のNYで行ったそうです。
その後この屏風の前で能のハイライトだけをフェスティバル・ドートンヌでやろうとしているのだがそれが延び延びになっているので、では日本で、というのが今回のNoh climaxのきっかけだとのこと。

そして舞台中央に置かれた箱からまず父尉を出して見せます。鎌倉時代のものだそうで、比較的大きさは小さい。
次に萬媚。これは予定では羽衣の面とするはずだったけれど、こんな色っぽい面はまずいということで変更したそうで、プログラムは萬媚のままになっていました。かなり大ぶりな面です。下間少進作(作らせた、という意味らしい)。
最後に喝食の面。
説明が終わると、屏風の裏から囃子方が出てきて、常の地謡座あたりに準備。


まず屋島。常の舞囃子とはちょっと違うようだけれど綺麗な舞。装束は新品のように見えるが…。最後は弓を拾って幕に駆け込む。

間をおかずに目付柱付近に笠が置かれる。今度は屏風の後ろから登場した善知鳥の猟師。なんかこれはおどろおどろしくて怖かった。最後は杖をはったと落として再び屏風裏へ。

と思う間もなく揚幕から白頭、真蛇の面の演者が。これが外人には一番受けそうだけれど、怖さと言う点ではさっきの方が上。道成寺風でもあるし、六条の御息所風でもあるし、という感じ。

ここで休憩。
皆さんシャンパンを楽しまれたみたいだけれど、私はちょっと我慢。お客さんは比較的若くて能のファンというより杉浦のファンではないだろうか。

後半は普通にお調べあり。屏風は金地に松の絵に替わっている。
その屏風の前に対角線一杯を使う感じで囃子方が座っている。地謡は屏風の後ろ。二人くらいかな。

羽衣の天女。面は前述のように萬媚のはずだったというが、何に変更したか特に解説は無し。きっちり舞を決めた天女は橋掛かりで袖を被いて後ずさりして帰る。

次いで猩々。実は大島衣恵を見るのは初めてなんだけれど、想像していたよりダイナミックなイメージの舞だった。
瓶があると外人向けなんだがな。

休憩の20分を入れて90分。
媚びない能楽入門、伝統芸能入門、あるいは新しい舞台の在り方、として面白かった。楽しめました。





by soymedica | 2018-02-04 14:00 | 能楽 | Comments(0)
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