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銕仙会定期公演十月 呂蓮 遊行柳

銕仙会定期公演十月

2017年10月13日(金)18時より@宝生能楽堂


呂蓮

シテ 野村万作、 アド(宿主)中村修一、小アド(妻)飯田豪


遊行柳

シテ 清水寛二、 ワキ 宝生欣哉、 ワキツレ 大日方寛、則久英志、 アイ 深田博治

笛 一噌庸二、 小鼓 幸清次郎、 大鼓 柿原崇志、 太鼓 小寺佐七

後見 浅見真州、谷本健吾

地謡 観世銕之丞ほか



呂蓮は最近観たなぁ、と思って調べたらなんと4年前だった…。記憶にある石田幸雄の呂蓮と万作の呂蓮との与える印象の違うのに驚く。なんか万作は何をやっても突き抜けて透き通った感じ。

そして中村が最近上手になって来たのに驚く。もう一歩階段を上ってほしい気がするけれど。

修行中の僧―とはいっても字が書けるだけ大したもの、といった程度―が、心ならずも宿を借りた家の主を出家させてしまうことになる。そして、名前をつけてくれと言われ考え付いたのが呂蓮。これが題名。

と、それはともかく、これはオチが面白い。どうしようもない亭主を愛する気の強い妻が「のう、いとしいひと」となるあのパターンの話。



渋い渋い演目の遊行柳。世阿弥の西行桜を意識して観世信光が作った曲ということですが、柳、それも切株の柳を主人公にするとは。

遊行上人の一行が上総から北上し、白川の関に至ります。能のこの出だしの道行きがどの曲でも好きなんですが、これも素敵。秋の南東北ってこんなですよねー。

「風のみわたる景色かな」と、大小前の塚のつくりものの両側に僧が立つ構成が美しい。


お約束通り一行に呼びかける老人の登場。清水ってこんなにやせ形だったっけ?着つけのせいかな。それにしてもこの人はやっぱり上手い。舞台に入るまでかなり長いこと橋掛かりで謡うのだけれど、正面席の地謡寄り後方に座っていた私でもはっきりと詞章がわかる。声が大きいとか力強いというのではなく、ちゃんと老木なのだけれど。


この老人は西行法師の歌に呼んでもらったと言う生涯のハイライトを語って消えていきます。


地元の人が出てきて謂れについて語ります。しかし、この地元の人、なんでそんなこと知っているんでしょう。うーん、深田はこの装束に合うな、と思っているうちに寝落ちしてしまいました。失礼。


塚の中からなにやら声がしてきます。引き回しを降ろすのかそれとも後ろから出てくるのか?と一瞬考えてしまいましたが、前者でした。茶と金の狩衣に渋い緑の大口。素敵な色合わせ。


柳の徳が色々語られます。ぼんやり聞いていてなぜここに源氏の柏木が?と思ったら、蹴鞠つながりらしい。ちょっと無理があるような気もするけれど、柳の華やかな思いでというとその辺ぐらいでしょうか。

柳の精の舞はとても上品。素晴らしかった。

最後に柳の精は去っていくのですがその前に作りもののそばに下居する所があって、とても綺麗でした。


やはり清水寛二は上手い。


面は前シテが堀安右衛門の髭阿痩尉、後シテが作者不詳の皺尉。この皺尉がとても良かった。


by soymedica | 2017-10-20 13:09 | 能楽 | Comments(0)
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