観世会定期能二月
2017年2月5日(日)13時より@梅若能楽学院会館 弱法師 シテ 関根知孝、 ワキ 森常好、 間 大蔵基誠 笛 一噌庸二、 小鼓 幸清次郎、 大鼓 國川純 後見 観世清和、上田公威 地謡 坂井音重ほか 舟船 大蔵彌右衛門、大蔵彌太郎 仕舞 胡蝶 シテ 武田志房、 ワキ 梅村昌功、 間 吉田信海 笛 藤田朝太郎、 小鼓 鳥山直也、 大鼓 柿原光博、 太鼓 大川典良 後見 藤波重彦 地謡 岡久広ほか あと二回、定期能は梅若の能楽堂。ここにだけ昭和の住宅街が残ったというような印象の能楽堂。 客席の背もたれに昔の日立のマークが貼ってあります。後援していたのだろうか。 私の今年最初の観能は弱法師から。高安の里の通俊登場。森を観るのが久しぶりなせいか、「何だか年取ったな」と感慨にふけってしまい、良いお声を堪能できなかった。森は少し痩せたようにも見えるのに、能楽堂の舞台はちょっと小さいのでは??という印象。でも、ここは国立より観やすい。 間の基誠が「お布施があるぞよ」と告げて切度から退場。 そして俊徳丸登場。後の胡蝶を観ながらも思ったのだけれど、観世会でシテをやるクラスは安心して観ていられる。俊徳丸がいかにも俊徳丸という感じで登場。どう「いかにも」なんだと言われてもチト困るけれど、観ていると「ああ、俊徳丸ってこういう役よね」と思える説得性がある。 着ている水衣がなぜか三の松で謡っているときにピンクに見えて、珍しいな、と思ったら舞台まで来たのを見たら黄色でした。照明のかげんでしょうか。 遅すぎず、急ぎ過ぎず、舞台までやってきてシテ柱を「石の鳥居ここなれや」と叩きます。大きくたたく音がしたな、と思ったのは大鼓の音でしょうか。 ここからのワキとのやりとりが綺麗。垢にまみれ髪の毛もボロボロのホームレスなのに、梅の香を楽しみ、仏のありがたさを感じることができるのはお坊ちゃま育ちだからか。 このシテは非常に端正な印象を与える方ですね。前に楊貴妃だったかを観た時もそう感じたのですが。 そして地謡がまた上手い。こういう他所のお家が入らない構成でやると、解釈や方向性が統一されるためだろうか。 久しぶりに観た弱法師、満足でした。 面は、満志(江戸時代)作の弱法師 舟船は大蔵彌右衛門と彌太郎。大名の装束は新品かな。素敵でした。 この二人が狂言をやると、「昭和の初めごろの狂言ってこんなだったのかなー」という気がします。観たことも聞いたことも無いですけれど、きっと野村萬・万作家や茂山はかなり変わっているのだろうし、守って滅びよの山本家も守っているだけあって時代を感じさせることは無いのですが。 胡蝶のシテが高橋弘から武田志房に替わったという貼り紙がひっそりと張り出されていて何だか不思議なお知らせの仕方だな、と思ったら、3日にお亡くなりになっていたとは。 梅の作り物が正先に出されます。 梅の花と出会えなかった蝶が霊となって現れて梅の花と戯れる、と言う話です。そう言えば梅は虫の少ない季節に花が咲くのでどうやって受粉するのかと思って調べたら、自家受粉しにくい性質もあり、人工授粉が主流らしいですね。 話を舞台に戻すと、ワキ僧が田舎から出てきて由緒ありげな屋敷の梅を眺めている、という出だし。ワキの梅村さん、間の取り方が今一つなのと、ちょっと発声に鉛があるように聞こえるのは気のせいでしょうか。すると、綺麗な女の人が一人やってくる。このシテの謡が物凄く綺麗でいかにも蝶の精と言う感じなのでワキと雰囲気が合わない。シテの所作をみていると、「何となく腹筋が弱そう」と思えるのは何故だろう。 ワキの一行が「あの人は誰だったのだ?」と、不思議に思っていると、地元の人が。吉田信海って何となく外人っぽい顔立ちですね。あ、アイ語りは良かったです。 僧たちが夢の中で胡蝶の精に会おうと待っていると、美しい蝶が現れる。金とオレンジの優雅な姿。前半の躯幹筋弱そう、という感想は撤回。美しい舞でした。 面は満真(江戸時代)作のいなのめ
by soymedica
| 2017-02-12 16:53
| 能楽
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