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第五回桂諷会若手能 生田敦盛

第五回桂諷会若手能 生田敦盛_d0226702_212867.jpg第五回桂諷会若手能
2016年5月28日(土)14時より@セルリアンタワー

お話 表きよし

生田敦盛
シテ 長山桂三、子方 長山凛三、ワキ 大日方寛
笛 杉信太朗、小鼓 大山容子、大鼓 原岡一之
後見 観世銕之丞、長山耕三
地謡 武田宗典ほか計6人


表きよしさんのお話し。表あきらさんの息子さんでしょうね、お名前からして。ソフトな語り口がアナウンサーのようなおじさま。生田敦盛は金春禅鳳の作。「おとぎ草子」に同じ話が出ている、などとの話をしてくれました。

お話は予定時間ぴったりに終わったと思うのだけれど、なかなかお調べが始まらない。始まったと思うとちょっと心配になる不安定さ。
そしてなんと(当然のことではあるけれど)銕之丞が自らわら屋を運んで来て、大小前に置く。

囃子なしで子供と僧(法然上人)がやってくる。僧がこの子は敦盛の子で、夢でもいいから父に会いたいと賀茂神社にお参りしているのだと説明。
この曲は小品ですけれど、前半の子方の謡が印象的。「子方のできるうちに経験させたい」というお父さんの長山桂三の希望でこの曲を出すことになったそうです。凛三くん、もうこのくらいになると「口移しで教えられて」謡っているのではなく、かなり自覚的に考えて謡っている様子が明らか。

賀茂神社のお告げは、生田の森に行け、とのことで、二人は生田の森に向かいます。
日も暮れてきたので宿を借りようと考えると、一軒の藁屋が…。こういう野中の一軒家には鬼がいたり幽霊がいたりするのがお約束。
やはりここには父、敦盛の幽霊がいたのでした。

若いお父さんだなー、と思うけれど、十代で亡くなっているわけだし(真面目に考えると絶対に年が合わないのはおいておいて)。子供は幽霊でも会いたかった父なので駆け寄ります。シテの子方を見下ろす形がきれい。そしてその角度が一番面としてもきれいに見えます。正面席から見ていたので、子方は背中しか見えませんでした。中正面取ればよかったかな。

実は父は武士の常として修羅道に落ちていたのですが、子供の熱心な祈りに心打たれた閻魔様が一夜だけ解放してくれたのでした。こどもが僧形でちょっとがっかりしてしまった父でしたが、自分の華やかだった最後を思い出して舞を舞います。

大口に模様が入っていてきれい。これを紋大口と呼ぶのだそうですが、雑誌「観世」の本年4月号の「能装束制作の現場から」によるとなかなか織が難しくて高価なものらしいです。この上演のためにあつらえたのか?
舞の最中に見ると面は座っているときほど素敵では無かったけれど、剣を持って舞う様子が形良かった。

当然のこととは言え後半はシテの演技中心。子方はちょっと退屈で、もぞもぞしちゃいましたが、大きな姿勢の崩れも無く、立派でした。
こうやって自ら会を立ち上げて作って、親子で演能の機会を増やしていくとますます上手になるのでしょうね。
そして周囲の若手も出演の機会が増えます。出だし不安だった囃子もまあまあ。地謡は若々しくて良かったです。

もっと凛三クンの活躍を見たい方、11月23日は「烏帽子折」だそうです。
by soymedica | 2016-06-02 21:29 | 能楽 | Comments(0)
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