銕仙会定期公演1月
2014年1月13日(月)13時30分より@宝生能楽堂 正面席8000円 翁 翁 西村高雄 千歳 長山桂三、三番叟 高沢祐介、面箱持 前田晃一 笛 藤田次郎、小鼓頭取 曽和正博、ワキ鼓 曽和伊喜夫・幸泰平、大鼓 國川純 地頭 野村四郎 邯鄲 シテ 観世銕之丞、子方 長山凛三、ワキ 宝生閑 ワキツレ 大臣 工藤和哉、梅村昌功、殿田謙吉、輿舁 高井松男、則久英志 アイ 三宅近成 笛 一噌隆之、小鼓 観世新九郎、大鼓 柿原崇志、太鼓 金春國和 地 浅見真州ほか 狂言 鶯 シテ(梅若殿の家来)三宅右近、アド(所の者)三宅右矩 去年の銕仙会定期能一月は大雪だったなー、などと思いながら到着。本日は天気も良く満席。 今回は地謡側に大きく正面から外れた席だったので、前回観世能楽堂では見られなかった面箱の扱いなどが見られて面白かった。 しかし、西村高夫、ここまで硬い感じの人でしたっけ。ベテランでも翁だときっちりやるものなのだろうか。というのが大きな感想。 そして千歳の長山桂三。子供の年齢から推し量るに若手なのだろうけれど、高く飛び上がったものです。「能楽の跳躍は西洋のダンスと違って『踏む』方に重点があります」という野村萬斎の言葉を思い出させるような足遣いでした。 面箱から面を出し入れしたり、鈴を渡したりするとき、先日の観世能楽堂では音がほとんど出ませんでした。鈴なんか、ことりともしない。本日はその点誰も意識せずにやっていたようで、面白い違いです。尚、鈴を渡した後も面箱は舞台に残っていました。 高沢祐介の三番叟。翁だけの一番なので、ここで地謡が去っていく。三番叟は力いっぱいでしたが、若干一本調子。観ている方の問題なのか、途中ちょっと飽きてしまった。直前に山本則重の三番叟を観ているので、流儀による違いが分かって面白かったです。 ちょっと残念だったのは脇鼓。ああいう格好だと年齢がよくわからないのですが、もしか して凄く若いのかな。曾和正博の孫だったりして。いや、甥くらいか。向かって右の水色の子は床几にうまく座れないのか、しょっちゅう座りなおしているし、左側の灰紫の子は頭の位置が安定しない。床几にかけて小鼓を美しく上手に打つっていうのも大変なことだな、と再認識。 休み時間のあとは邯鄲です。枕を持った宿の主人登場。宝の枕なのだから捧げ持てば良いものを、いつも肩に担いでいますね。重々しく枕を据えて、客を待っている。ちょっと肩の凝りそうな旅館です。 そこに求道者盧生登場。舞台が宿屋、と言う想定なので、なかなか橋掛かりからやってこない。装束が豪華。金色を主体に、濃淡の紫、緑、オレンジ…。これは金のありそうな客だから枕も使わせてもらえます(というのは私の想像です)。 そしてその枕で寝ると、豪華な輿がやってきます。輿舁が高齢なのですが、人手不足でしょうか。 実は、私は今回ずいぶん寝たな、と思ったのですが今詞章と見比べたら寝ていたのは上歌のところあたりだけだったらしい。盧生のようだ…。ともあれ、豪華な宴会です。銕之丞さん、もっと力強くやっても良い様な気がする。 そして子方クン、とても立派。すごく練習したのではないだろうか。動作が確信に満ちています。 盧生の舞、いつもちょっと飽きてしまうのですが、本日の空下り(そらおり)、ずいぶんと派手で、大宮が揺れました。 飛び込みは無かったな。 目が覚めて呆然とする盧生。ここで緊張が切れたのか、「知識はこの枕なり」で立ち上がるところでちょっとよろけてびっくり。 最後に立ち尽くすところの余韻は素敵でした。 でも、どうしてこれが正月の曲かなー。年始から悟っちゃって宜しいのでしょうか。 鶯。籠の鶯を野原で鳴かせて楽しんでいる人有り。それを、鶯を鳥もちで捕ろうとやってきた梅若殿の家来が籠ごと持っていこうとする。それはならぬが、鳥もちでうまく籠の鶯を捕ったらやろう、でなければ脇差をよこせ。と賭けをします。梅若殿の家来がひどく不器用なので、籠の持ち主は大小の刀を手に入れてしまいます。 昔大和の国高間の寺の少人梅若が死んで鶯になり、寺の軒端の梅にやってきて「初春の、あしたごとには来たれどもあはでぞかへる元の住家に」と歌を詠んだという故事を語ります。それにひきかえ自分は、「初春の、太刀もかたなも鶯も、ささでぞ帰る元の住家に」だなあ、というオチなんですが、どこが可笑しいのかこの部分はよくわかりませんでした。 でも、綺麗な鳥かごの作り物、刀をとられてしまうまでのやり取りがほんわかしていかにもお正月でした。 この後に「乱」があったのですが、お先に失礼しました。
by soymedica
| 2014-01-14 22:12
| 能楽
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