能狂言の文化史 室町の夢 原田香織 世界思想社
2009年3月第一刷
能と狂言について通史的に展望し、入門者と専門家との中間段階をつなごう、という目的の本。
能については能楽以前の呪師からはじまって、世阿弥以降金春禅鳳、宮増まで。狂言についても通史を目指しているけれどちょっと切り口は異なって狂言の特色と流派の紹介にとどまっています。最後は「現代の能楽」となっている章で、明治から最近の能にかかわる(かかわった)人や新作能の動向、のまとめ。
本のページ数(270ページほど)と扱っている内容の広さから、どちらかというと入門書よりにならざるを得ない感じ、そして全体のボリュームに対して能楽以前の田楽・猿樂の解説が多めですが、読んでおいて損はない内容です。
最後に能楽堂の所在地リストと、能楽史略年表がついています。年表の方の内容の取捨選択のしかたがまた専門家には面白いのでしょうが、私には今のところこれで十分。