能への扉 Vol.1. ひろがる幽玄の世界in 表参道 班女
2013年7月5日19時より @銕仙会能学研修所 自由席5000円 仕舞 高砂 観世銕之丞 能 班女 シテ 谷本健吾、ワキ 宝生欣哉、ワキツレ 大日方寛、御厨誠吾、アイ 山本則重 笛 八反田智子、小鼓 大蔵源次郎、大鼓 亀井広忠 後見 清水寛二、鵜澤光 地謡 観世銕之丞ほか計6人 実は青山の銕仙会に行くのは初めて。座席が良くないと聞いていて敬遠していたのですが、背もたれ無いのはそんなに気になりませんでした。ま、どちらかというと胡坐をかいて一杯やりながら観たい感じではありますが(笑)。見所のサイズも良い感じ。そして老松がきれい。 パンフレットにもあるように、あまたある講座と公演のセットを見て、シテ(谷本健吾1975年生まれ)、笛(八反田智子1973年生まれ)、研究者(中司由紀子1972年生まれ)の三人が自分たちも何かできないかと立ち上げた会のようです。事前講座には行かれなかったのですが、なんとなく期待させる舞台。 谷本健吾はTwitterをフォローしていて、自然体でいて能が好きそうな感じに好感が持てた人。八反田智子は養成所出身とは知りませんでした。 さて、囃子が入ってくる。亀井広忠がスカイブルーの珍しい色の袴で登場。これはこういう曲でしか着られないな。後見の鵜澤光はなぜか凄く厳しい顔をして入ってくるけれど、お腹でも痛いのか? 野上の宿の長が、花子に目をかけてやっているのに働かないからもう追い出そう、と。アイのセリフは現代語に近いので、もう少し緩急つけた方が自然に聞こえはしまいか。 呼び出されてもまだ吉田の少将を思ってぼんやりしている花子登場。この登場の仕方が物凄く硬くて、この先どうなる事かとちょっとはらはらしたのですが、どんどん調子が上がってきて楽しめました。 色男の吉田の少将登場。野上の宿に花子を訪ねに部下をやる。そんなに色男かな。ワキツレ二人もなかなかカッコ良いのですが。でも、既に花子は追い出されたあと。 少将は狂女となった花子と糺ノ森で出会うのです。初めは誰だかわからなかった少将ですが、花子の持つ扇をみてそれと気づき、めでたしめでたし。でも、グリム童話のように魔法をかけられていたわけでは無いのに、いくら零落しているからといって1年もたたない間に恋人の見分けがつかなくなるものだろうか。宿を追い出された狂女にしては御装束が立派ですが、来ない恋人を思い内へ内へと向かう気持ちが上手く出ていました。顔の角度つけ方が上手い。笛も艶があって素敵。 一般に家元やその嗣子が上手なのは何と言っても演ずる機会が多いからでしょう(才能を持って生まれてこなくても家元は家元)。やはり場数は大事ですね。瑠璃も針も磨けば光る…。 40歳前の谷本と八反田。この世界ではまだ若いと言われる年代なのかもしれませんが、今の年齢にはそれこそ今の花があります。どうやって歳とっていくのか楽しみ、というと変ですが、貪欲に出演の機会を作っていくとさらに良くなりそう。人気出てほしいな。 楽しかったから次回も行こう、と思ったのですが、何とこのパンフレット、次回の予約・申し込み開始は4月1日と書いてあっても、何日に講義があって何日に公演があるのか書いていない。そして良く見たら大日方 寛が大日 方寛になっていた。…が、頑張れー。
by soymedica
| 2013-07-06 22:54
| 能楽
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