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第四回満次郎の会 昼の部  花盗 葛城

第四回満次郎の会 昼の部  花盗 葛城_d0226702_17594016.jpg第四回満次郎の会 昼の部
12月1日(土)13時半より @宝生能楽堂
正面席 8000円

解説 村瀬和子
仕舞

網之段 和久荘太郎
笠之段 佐野登

狂言 花盗人
シテ 野村万蔵、アド 野村扇丞

仕舞 西行桜(クセ) 高橋章

能 葛城 神楽
シテ 辰巳満次郎、ワキ 森常好、ワキツレ 森常太郎、アイ 野村太一郎
笛 藤田六郎兵衛、小鼓 大倉源次郎、大鼓 柿原弘和、太鼓 観世元伯
後見 宝生和英、山内崇生
地謡 高橋章ほか


初めての満次郎の会に行ってきました。入ると辰巳満次郎本人がロビーで御挨拶。大きな人ですねー。(一緒に写真撮ってくださいといったら喜んでくれそうな感じの人。)
ロビーの雰囲気ですが、個人の会にありがちな閉鎖的雰囲気は無く、「チラシ見て切符買いました」という感じのかたや、若い人も多く、極めて感じよろし。宝生はだいたいこういう感じの会が多いかも。
ロビーには辰巳家につたわる能装束が飾られ、いけばな作家(熊野寿哉)の手になる葛城の神も(写真)。口から出てくる赤いものは言霊(薔薇の実を使っているそう)ですって。

村瀬さんの解説。ロビーでお見かけした時も、切戸口から出ていらっしゃる時もちょっと足が…。ロビーでは杖を使っていらっしゃいました。立って解説なさるのは御本人の希望かもしれませんが、腰かけていただいても聴衆としては一向かまいません。
メモが乱れてお話が一時止まってしまいましたが、いつものように優しげな語り口でした。葛城の神が一言主とおなじ、でも能では演出上の都合により女神になっているということでした。能以外では女体となる伝承はないのですかね。

花盗人。なんとなくテンポに乗れなくて眠くなってしまった。ごめんなさい。


さて、いよいよ葛城。久しぶりに大倉源次郎の小鼓を聞いたのですが、やはりこの人上手、と出だしからはっとさせられました。
出羽の国の山伏があまりの雪に途方に暮れていると、揚幕の奥の奥から呼びかける声。この声で一挙に客席の心を引きよせるカリスマ性のある役者さんですね。ワキはベテランでないと務まらないでしょう。これでは存在感の無いワキだったら辛いでしょうね。

笠を深くかぶった姿で登場。
背中の粗朶をおろし、笠も脱ぎ、水衣をつけます。そこで立ちあがったとき、着物の裾が少し…。上前が落ちてしまっているような印象。私は実はあれが気になって気になって、あんまり集中できなかった。私、この曲は前半が好きだし、シテの謡もセリフも素晴らしかったのでとても残念でした。

後半は白く光り輝く女神登場。さすがに美しい中にも力強く、仕舞に退屈しやすい私でも楽しく見られました。心なしか地謡が遠慮した感じで優しいのが私の好みでなく、残念。

頭には本物の葛を使っていると、村瀬さんの解説にありましたが、葉の大きさからするといわゆる「クズ」では無く別のツタかもしれません。
ここでは珍しい小書き「神楽」があるので、仕舞がちょっと長く特殊なものになるのだそうです。幣を持って舞い、幕入り直前でそれを捨てます。ワキが合掌して留めます。


ワキツレは森常好の息子さんだと思うのですが、いったん座ってからちょっと位置をずらしていました(ワキの邪魔になる位置だったのかな)。ああいうことがあるんだな、と面白く思いました。

村瀬先生の解説によると、前シテは河内作の曲見、後は泣増だそうです。



神と仏の関係について最近読んで面白かったこれ、ちょっと見直してみようかなと思う舞台でした。
「神道とは何か 神と仏の日本史 伊藤聡 中公新書」
by soymedica | 2012-12-02 18:00 | 能楽 | Comments(0)
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