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サド侯爵夫人 @世田谷パブリックシアター

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サド侯爵夫人 
世田谷パブリックシアター
3月12日(月)
S席7500円

[作] 三島由紀夫
[演出] 野村萬斎
[出演] ルネ サド侯爵夫人 蒼井優
     その妹アンヌ 美波
     シミアーヌ男爵夫人 神野三鈴
     シャルロット(家政婦)町田マリー
     サン・フォン伯爵夫人 麻実れい
     ルネの母親モントルイユ夫人 白石加代子


新潮文庫で予習していた時に「この分量を実際に舞台で全部やるのだろうか」と心の隅で不思議に思っていたのですが、やりましたね。3時間半以上かかりました。しかもあの装飾音符だらけのせりふそのまんまで。

外国の戯曲を「赤毛もの」と言うのだそうですが、私はそれが苦手。日本人の顔をして「マリー」「ジョン」とか呼び合うのが不自然に思えるのかと思っていましたが、今回それは違うと気付きました。やはり「言葉」ですね。どんなに上手い翻訳でも「戯曲として読んで自然」かつ「セリフとして聞いて自然」で、さらに原作の味を損なわない、というものは不可能なのですよ、きっと。その点、今回は主人公がルネだろうがモントルイユ夫人だろうが、セリフを書いたのは三島由紀夫。日本語として楽しい。そして聞いてなぜか自然。感情表現も日本人。そして、この非日常的な豪華絢爛たる日本語を上手く活かした野村萬斎の演出。演出家としては腕の見せどころの作品。

三島由紀夫というと15年くらい前まではあの奇妙な自殺のイメージが皆の頭の中にこびりついていましたが、もうそんなこと考えない世代が中心だし、こんなに何でもありの世の中だと「ものすごい目立ちたがり屋だったのね」で、片付けられてしまう。パンフレットの中でも町田マリーは「変わった作家さんだと思いました」の一言。

蒼井優はビジュアルがルネにぴったりですが、若干演技が弱い。でもそれを麻美れいと白石加代子がしっかりと支えて見応えのある舞台でした。
過去の上演記録がパンフレットに載っていましたが、ルネやモントルイユ夫人を男性がやったり、近いところでは蜷川演出で全員男性という配役もあったようですね。演出家が挑戦したくなる舞台らしく、そうそうたる演出家がそうそうたるメンバーでやっている歴史がある作品。野村萬斉も「やってやるぞー!」と思ったのでしょうがそういう肩の力を感じさせない良い舞台でした。

ということで長丁場でしたが大変に満足しました。
私はほかの人の感想に耳を澄ますのが好きなのですが、業界の人?とおぼしき50歳前後の女性が「美波ちゃんは可愛かったからよかったけれど、あれじゃ三鈴ちゃんが可哀そうよ!」と憤慨していました。衣装のこと??演出??三島由紀夫の台本に憤慨??
by soymedica | 2012-03-14 08:14 | その他の舞台 | Comments(0)
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