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第55回野村狂言座

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第55回野村狂言座
2011年9月1日 18時45分から @宝生能楽堂
脇正面5000円

不見不聞みずきかず
太郎冠者 石田幸雄、主 岡聡史、菊市 野村萬斎

因幡堂いなばどう
夫 野村万作、妻 高野和憲

舟ふな
太郎冠者 野村裕基、主 野村万作

盤渉樂 
大鼓 高野彰、小鼓 森貴史、笛 栗林祐輔、太鼓 桜井均

馬口労
博労 野村萬斎、閻魔大王 深田博治


萬斎人気でしょうか、すごく女性の多い見所。昔まだ武司のころはここまででは無かったような気がしますが。(前回狂言だけの公演をみたのが野村武司のころだったので。)

不見不聞。太郎冠者に留守番させようと思ったら太郎冠者は耳が遠い。心配なので、じゃあと近所に住む盲者をつれてきて一緒に留守番させたら、お互いにバカにしあって喧嘩した、という話。つんぼだとかめくらだとか放送禁止用語続出。これを差別しているといえばしているのだろうが…。石田幸雄って、もしかすると結構モテて浮気が好きなタイプかもしれない。野村萬斎の方はモテても性格的に浮気できそうにもない、などと考えながら見ていました。根拠ありませんが。


因幡堂。高野和憲、地味な感じで気づきませんでしたが、この人結構面白いですね。
しかし、酒飲みで働かない「妻」は昔からいたのですね。その妻を離縁して因幡堂の薬師にお願いして新しい妻をもらったつもりが、まんまと女房に騙されて(?)再び娶ってしまったというおはなし。衣をかぶったまんま酒を要求するしぐさがおかしい。


舟ふな。「ふね」が正しいという主人と「ふな」が正しい呼び名だという太郎冠者。古歌の引用にたけた太郎冠者が主をいいまかしてしまうという話。万作のちょっとぬけている主人がおかしいです。良く考えるとこの配役は、ちょっと知恵の付いた孫に言い負かされているおじいちゃんなのですが、万作の芸って良いな、と思わせる作品。

そして、野村裕基クン。子供には点の甘い私ですが、この子、才能ありそう。本人真面目にやっているのにしみじみ可笑しい。でも、どこが客の笑いの肝かは分かっているらしい。


盤渉樂の囃子方がそのまま残り、馬口労へ。小鼓と大鼓は床几に腰掛けずに向かい合って演奏します。これが狂言の時のスタンダードな作法なのだとか。小鼓の調子がいま一つ。
後見に月崎晴夫。でもこの後見セリフを言うのですよ。後半は地謡も出てきます。

近頃人間は小賢しく念仏なんぞを唱えて皆極楽へ行ってしまうので、地獄は閑古鳥。そんなわけで豪華な衣装を着ていた閻魔様も最近は落ちぶれています。そこで六道まで人間を誘いに出てきます。そこにやってきたのが博労。やっと獲物が、と思ったら、博労の轡に目がとまり、「それは何だ」と聞いたのが運のつき。「地獄をめぐって監視するのにも馬があったらなー。」なんてぼやいちゃうものだから、「馬に乗るならまず馬になる練習を」とかなんとか博労に言いくるめられて、馬にされた揚句に博労を極楽に送って行く羽目に。
能と同じような形になっていて、閻魔様が道行を歌っちゃう。出端もあるし、という面白さ。深田博治がとても良かったです。野村萬斎って、狂言方としてはカリスマ性があって目立ちすぎるところが損かもしれないと、いつも思います。何となく定規で引いたような印象を受けるのは若いからとうだけではなくて、そういう持ち味なのかも。仕事を見ると、プロデューサーや演出家としての将来性もあるのでは。


ところで野村遼太君はどうしちゃったのでしょう。最近見かけませんが。
by soymedica | 2011-09-02 20:18 | 能楽 | Comments(0)
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