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人間国宝の競演 隅田川 麻生

人間国宝の競演 隅田川 麻生_d0226702_16561441.jpg人間国宝の競演 友枝昭世と山本東次郎の至芸 
2022年5月3日14時より@川崎市麻生市民会館

解説 馬場あき子

隅田川
シテ 友枝昭世、 子方 山本則光、 ワキ 宝生欣哉、 ワキツレ 野口能弘
笛 栗林祐輔、 小鼓 森沢勇司、 大鼓 國川純
後見 中村邦生、友枝雄人
地謡 香川靖嗣他計8人

麻生
シテ(麻生の何某)山本東次郎、 アド(頭六)山本則重、(下六)山本則秀、(烏帽子屋)山本則俊
笛 栗林祐輔、 小鼓 森沢勇司、 大鼓 佃良太郎、 太鼓 澤田晃良

アフタートーク


手っ取り早く言うと、凄くよかった(当たり前だが)が、もっと前に座りたかった。
このホールは両端でもいいから、前のほうがお勧めだな。
友枝昭世の隅田川が悪かろうはずが無いのだけれど、本人は船の中から立ち上がれないかもしれないと、引き受けるまで少し考えたそうです。
後ろの方だと、やはり雰囲気が感じられないこともあって、ちょっと残念でした。
笛の栗林が良かった。則光君も頑張りました(私は気づかなかったのですが、作り物には途中から入ったらしい)。

麻生は稀曲。
前半は烏帽子髪を結うところが見せ場、後半は自宅を忘れた二人の家来が囃し物を歌うところが見せ場。山本家では烏帽子髪を結えるのは則重だけ、との話です。
大変に楽しい曲なので、普通は狂言が先に来るところをこの順番にしたとのことです。

アフタートークも捧腹絶倒でした。「絶句」について「なんでいつも同じこと謡っているのに(だったか)、絶句するのかわからん」と、宴会で友枝昭世が発言して周囲がしーんとなってしまった話。山本家の素人会で素人弟子が絶句したが、後見が出て行って耳打ちしたので安心した。けれどまだ黙っているので、揚幕の陰からセリフを付けた。後で聞いたら後見は「先を言いなさい」と、耳打ちしただけ(後見もセリフ知らなかった)、なんていうのまで…。

来年は殺生石の女体かな。

# by soymedica | 2022-05-05 16:56 | 能楽 | Comments(0)

国立能楽堂普及公演四月 止動方角 車僧

国立能楽堂普及公演四月 止動方角 車僧_d0226702_17025910.jpg国立能楽堂普及公演四月 千利休生誕500年
2022年4月9日(土)13時より

解説
「車僧」の動かぬ車 宮本圭造

狂言 和泉流
止動方角
シテ(太郎冠者)野村万蔵、 アド(主)野村万之丞、 小アド(伯父)野村萬、(馬)河野佑紀

能 観世流
シテ 山階弥右衛門、 ワキ 則久英志、 アイ 野村晶人
笛 藤田朝太郎、 小鼓 幸正昭、 大鼓 谷口正壽、 太鼓 櫻井均
後見
地謡 岡久広ほか計8人



見てからだいぶたってしまった上に、メモもなくしてしまったという体たらく。
確か車僧にはモデルになった鎌倉の坊さんがいたとか。ワキの則久が何となく面白い味だったなあ、とか、山階弥右衛門は演技が安定してきたなあ、と思った記憶しかありません。
一応忘備録。

面は大癋見


# by soymedica | 2022-05-04 09:40 | 能楽 | Comments(0)

ござる乃座65th 棒縛 八句連歌 田植

2022年3月31日(木)19時より@国立能楽堂

解説 野村萬斎

小舞「七つ子」

出演:深田博治

小舞「暁」
出演:高野和憲

棒縛
出演:野村裕基・石田幸雄・石田淡朗

八句連歌
出演:野村万作・野村萬斎

素囃子「早笛・舞働」
出演:一噌幸弘・田邊恭資・原岡一之・桜井均

田植
出演:野村萬斎・野村太一郎・内藤連・中村修一・飯田豪・野村裕基


ちょっと色々あって最近能楽を見る回数を減らしているのだけれど、ござる乃座は見逃せない。
コロナで観劇の習慣が私も無くなってしまったけれど、世間はもっとらしく、いつもならあっという間に売り切れるこの公演も、当日券が出る事態に。

狂言は初めてというお客さんが多いので、と萬斎の解説が急遽追加。
田植も清々しかったし(今なら業務上のセクハラになるかも、しかも神主の…)、八句連歌の親子出演も面白かったけれど、なんといっても今回、私の中のハイライトは棒縛でした。大好きな石田幸雄にハンサムな息子が絡むんだもの。

ということで、満足でした。


# by soymedica | 2022-04-09 22:16 | 能楽 | Comments(0)

第六十二回式能 翁 咸陽宮

第六十二回式能 翁 咸陽宮_d0226702_22210635.jpg都民芸術フェスティバル参加公演
第六十二回式能
2022年2月20日(日)10時より@国立能楽堂

宝生和英、 
面箱持 井上松次郎、 三番叟 高澤祐介、 千歳 小倉健太郎
笛 藤田貴寛、 小鼓 大倉源次郎、田邊恭資、清水和音、 大鼓 亀井弘忠、 太鼓 大川典良
後見 三宅右矩、金田弘明

咸陽宮 
シテ 朝倉俊樹、 ツレ 東川尚文、金井賢郎、浅倉大輔、 ワキ(荊軻)宝生欣哉、 ワキツレ(秦舞陽)則久英志、(大臣)梅村昌功、御厨誠吾、大日方寛、 アイ 野口隆行

後見 辰巳満次郎、山内崇生
    金森良充、金森隆晋
地謡 武田考史ほか


宝生和英のは初見。この人、大化けしそうで注目しているんだけれど、宝生流そのものが今までピンと来ていなかったこともあり…。これからは意識して観ようか。
まあ、翁は翁なんだが、千歳の舞の間に面をつけると本当に変身するもんなんだなあ、と、改めて感心。
笛後見が藤田次郎で、後見のほうが見知った顔というのは不思議な感じ。

そして今日の三番叟は高澤祐介。三宅家の狂言はあまり観ないので、この人も今まで意識したことは無かったのだけれど、いや、上手いわ!凄い迫力だし、ビシっとしてるし。
是非、機会があったらもう一度観たい。

咸陽宮。これ目当てでチケット買って、ここで出てしまったのだけれど、面白かった。(この後、佐渡狐、経正、蟹山伏と続きます)。
大小前に大宮が出されて、まあここに皇帝が座るんだろうな、というのはわかる。狂言口開。
美女三人に先導されて、皇帝が一畳台へ、そしてワキツレ三人。舞台のワキ座のほうに美女とワキツレ6人が座る。
咸陽宮は立派だと謡う。

そこに宝生欣哉と則久英志の悪者2人が登場。
なんかね、立派な宮殿だと紹介されたのに、普通の能の作法で案内を乞うからちょっと笑える。
打ち取った首を皇帝に見てもらいに来たのですね。

でも首桶に映った剣の陰に気づいた皇帝、逃げようとしますが無理。
そこで今生の思い出にと、美女の琴を所望します。その間、美女の機転によって無事逃げる、
という話なのですが、
最後に宝生欣哉がワキ座からシテ柱に向かって剣を投げる、それを後見座に隠れていた皇帝が拾って反逆する、という場面が動きがあって面白い。
あれ、剣がそれて舞台から落ちたり、シテに届かなかったりしたら、どうなるんだ??(まあ、後見が何とかするんだろうけれど)

という、歌あり面白い所作ありの、一大スペクタクルで演者も多く豪華なんだけれど、あんまり出ない曲ですねえ。
他の方のブログhttp://zagzag.blog72.fc2.com/tb.php/1238-33f94c7eによると、宝生流以外ではほとんど上演されないそうです。
面白かったよ。



# by soymedica | 2022-02-23 11:18 | 能楽 | Comments(0)

渋谷能 第三夜 三山

渋谷能 第三夜 三山_d0226702_09415635.jpgコクヨRESENTS 渋谷能 第三夜
2022年2月4日(金)19時より@セルリアンタワー能楽堂

演目解説
金子直樹、石田ひかり

能 三山
シテ(女,桂子)片山九郎右衛門、 ツレ(桜子)友枝雄人、 ワキ(良忍上人)宝生欣哉、ワキツレ(従僧)則久英志、大日方寛、 間(所の物)野村万蔵
笛 一噌隆之、 小鼓 成田達志、 大鼓 亀井広忠
後見 味方玄、分林道治
地謡 観世銕之丞ほか計6人

アフタートーク
片山九郎右衛門、友枝雄人、成田達志


まずは解説から。
1951年にそれまで観世では廃曲だった「求塚」を観世華雪(六世銕之丞)が復曲、そして1985年にはこの「三山」を観世静雄(八世銕之丞)が横道萬里とともに復曲したのだそう。アイ語りは復曲時の創作で、野村万之丞が行ったというのも本日の配役にふさわしい。

そしてもともとは桂子と桜子は良忍上人のおかげで成仏する印象が強かったものを、復曲では二人の心の変化で成仏する、というようにしたそうです。これは、万葉時代の伝説に因った話なのに、融通念仏の祖である良忍(平安後期の人)ではなんだか合わない、ということで行った改変らしいです。

解説、石田ひかりは三山のあらすじを担当していましたが、もしかしたらこちらは要らなかったかなあ。解説を15分くらいにしてアフタートークを充実させるか、お客さんを早く帰してあげた方が良かったと思います。

筋としては、それこそ求め塚の逆、一人の男を二人の女が取り合うというもの。先妻の桂子は優れた女(?)後妻の桜子はかわいこちゃんという設定らしい。前半の恨みがましい里女の感じ、後半出てきたいかにも人の旦那さん取っちゃいそうな桜子の感じ、面白かった。

二人が後場で桜の枝と桂の枝を持って争うところの緊迫感が面白い。観世と喜多の異流試合がさらにそれを面白くしています。

三山ってあんまりでない曲だし(と思ったら宝生ではごく普通に出るらしいし、金剛でも現行曲)、観世の人気役者九郎右衛門と喜多の将来を背負う友枝雄人との異流共演だし、と思って出かけて正解でした。

面は前シテが泣増(近江作と言われてきたが、近年の研究では出目ではないかと)、後シテは増髪、ツレは萬媚(普通は小面を使う)
装束は桜子の方が上等なんですよ、とアフタートークで言っていた。
小鼓の成田、九郎右衛門、仲がよさそう。友枝雄人もあまり違和感なく混じっていて、子供のころからこの世界になじんでいた三人なんでしょうね。こういう世界に外から入るのって大変なんだろうな、とも思った晩でした。

なお、このシリーズは和菓子屋さんもタイアップしていて、彩雲堂、田中屋せんべい総本家、山形の佐藤屋、のお菓子がそれぞれ一つずつ頂けちゃうという嬉しい公園なのですが、写真はそのうちの一つ彩雲堂のねりきり「大和三山」

# by soymedica | 2022-02-17 22:40 | 能楽 | Comments(0)