MUGEN∞能 千鳥 国栖

d0226702_17501417.jpgMUGEN∞能
2018年10月31日(水)18時半より@観世能楽堂

一調
班女
林宗一郎、 大鼓 亀井忠雄

狂言
千鳥 
太郎冠者 野村太一郎、酒屋 野村萬斎、主 中村修一

仕舞
藤戸 
観世清和

国栖 白頭 天地之声
シテ 坂口貴信、天女 観世三郎、姥 林宗一郎、子方 谷本康介、ワキ 宝生欣哉、アイ 茂山逸平、茂山宗彦
笛 一噌隆之、小鼓 飯田清一、大鼓 亀井忠弘、太鼓 林雄一郎
後見 上田公威、野村昌司
地謡 観世清和ほか


最初に茂山逸平、阪口貴信、野村太一郎、林宗一郎が出てきてそれぞれの曲の解説
野村の千鳥の解説を聞いて、和泉流と大蔵流とではそんなに違うのかと驚く逸平。先代千作は「この頃は請求書が毎月来る。昔は節季払で良かったのに」と嘆いていたそうですよ。
「パンフレットが無いので」と一調や国栖の説明も。
解説はパンフレットにして終了時間を早くするか、解説でそれぞれの素の顔を見せるか、前者を選んで正解だったのでは?と思われる客層でした。


一調。林宗一郎は決して下手ではないし(上手い)、亀井忠雄はもちろん名手、だけれど何となく私にはピンと来なかった。林の頑張っている感が前に出すぎたのかな。


千鳥は萬斎の胸を借りる形の太一郎。2,3年前とは打って変わった達者さ。よほど練習したのでしょうか。こんなに上手くできるんだったら昔からそうしたらよかったのに。
ただ、中盤ちょっとだれましたね。まだまだ君はできる。


ここでちょっと仕舞をスキップして腹ごしらえに。
今回は愛弟子の川口のシテだし、三郎太出演だし、家元も頑張ってますねえ。


能は国栖。ちょっと速足の王がやってきます。輿の左右の棒の角なが度が違うのが気になる。揃えて持ってほしいな。(たぶん前下がりに持っている方が正しい)。
おつきの欣哉、家元の風格が出てきました。下宝は欣哉の前後の世代が結構いますが、やはり地位が人を作るというか稽古や舞台の数が違うのか、彼がダントツの安定感。
御座を据えると輿かきはすぐ退場。囃子の後ろにしばらく控えている場合もありますが、何が違うのでしょうか。

今度は幕から紺色の船が出てきて一の松のところに据えられます。
その船に、老夫婦がやってきて乗ります。婆様が釣竿を持っていて、やや婆様の方が背が高い蚤の夫婦であります。
仲がよさそう。
自分のあばら家の上に紫煙たなびくのを見て驚く二人。

シテが舞台に入ってくると船は橋掛にたてかけて干してある体。

家に行ってみるとやんごとなき一行が。しかもお腹を空かせている。
お婆さんは根芹を、お爺さんは焼いた国栖魚(鮎)を献上。
尊い方はお魚を裏返して食べるなどという事はなさらず、半身をお爺さんに下げます。
お爺さんがそれを川に放すと、なんとその魚は泳ぎだす!!このお爺さんの演技が真に迫っていて目の前に川があるかのよう。

吉兆だと喜ぶ間もなく、追手がやってきます。
うろたえる王の一行に「安心しろ」というお爺さん。
老夫婦はよろよろと橋掛から地謡前へ船を運んできます。そして王を船に隠すのでした。

狂言方扮する二人の追手。「ちょっとしか出ませんよ」と言っていましたがどうしてどうしてなかなかの存在感。王を捉えて手柄は立てたいが、面倒なことは避けたい2人。
そんな二人を相手にお爺さんは一世一代の見栄を切って追い払います。

やれやれ、と船から王をお出しして船は脇正へ。
(ここから先のお片付けは後見のお仕事)。
お爺さんは正中に下居して後見が衣の方を下ろします。
お爺さんとお婆さんは王に有難い言葉をいただき、王のお立場を思いやって涙を流すのでした。

2人が居なくなると天女登場。なぜツレが前と後と違う人がやるのかというと、お婆さんから天女に変身する時間が取れないからなのですね。
天女、ちょっと太鼓のリズムに乗りすぎで、優雅と言うよりおきゃんな天女ですね。立ち姿の美しさはさすが訓練の賜物。

次いでやってきた蔵王権現が凄い。面の色が面白くて、青銅製??と一瞬思った。袴が紫と金、上は金と薄い黄緑。私好みの派手さ。
この力強い舞が後場にもカタルシスを与えてくれて、とても満足の夜でした。

パンフレットが無かったので小書きの説明は、三宅襄の能の鑑賞講座一によると、
白頭は後シテが赤頭から白頭になり、面は不動か蔵王。位は強く重くなる。幕内で謡いだし、型も替わる。天地之声は観世流にあり、他流の白頭に似る。白頭と併用される、
とあります。


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# by soymedica | 2018-11-05 17:50 | 能楽 | Comments(0)

狂言ござるの座58th 悪太郎 柑子 三人片輪

d0226702_23133790.jpg狂言ござるの座58th
2018年10月24日(水)19時より@国立能楽堂

悪太郎
悪太郎 野村萬斎、伯父 石田幸雄、僧 野村万作

柑子
太郎冠者 野村萬斎、主 深田博治

三人片輪
博打打 (唖)野村太一郎、(盲)中村修一、(いざり)内藤連
有徳人 野村裕基


ごさるの座、今回のトップバッターは重鎮三人。お互いに安心感のある相手だと演技が安定して悪太郎のおかしみも増します。
良い意味で三人が楽しみながら我が家でやっているような感じ。
萬斎もオリンピックなんかにかかわらないで、狂言と世田谷PTだけやっていればいいのに。

柑子もまたシテが萬斎。なぜ連続して、と思ったら「ごさるの座」は萬斎の会だったのだ。万作一家の会かと何となく思っていました。
柑子は万作が得意としている曲ですが、萬斎も臭みの無い演技ができるようになってきて面白い。

三人片輪。これ、タイムリーですよねー。官公庁の障碍者採用ごまかし事件の真っただ中ですものね。
こちらの有徳な裕基君は、積極的に障碍者を雇用しようとするのですが、博打打が障碍者に化けてやってくる。
この三人が留守中に宴会をやるのが見どころ。

お家の会を続けて観ていると、若い役者の成長がわかって面白い。中村&内藤、まだまだではあるけれど、狂言小舞、昔よりは上手くなりました。
太一郎は子供のころからやっているので一日の長がありますが。
皆偽装がばれて、ドタバタと退場。
裕基君、背は高いんだけれど何となく演義から受ける印象がまだ子供ですね。皆に守られているけれど、お父さんがオリンピックにかかりきりになったら君がお家を背負うんだよ!


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# by soymedica | 2018-11-01 17:37 | 能楽 | Comments(0)

橘香会 姨捨

d0226702_14004180.jpg梅若研能会九十周年記念 橘香会
2018年10月20日(土)13時より@国立能楽堂

「姨捨」によせて 馬場あき子
仕舞
小袖曽我 梅若志長、梅若久紀
芦刈 キリ 梅若紀長
松虫 クセ 梅若猶義
卒塔婆小町 梅若万佐春

狂言 箕被
山本東次郎、山本則孝

仕舞
実盛 キリ 観世銕之丞
遊行柳 キリ 野村四郎
野宮 大槻文藏
定家 梅若実

姨捨
シテ 梅若万三郎、ワキツレ 大日方寛、則久英志、アイ 野村万作
笛 松田弘之、小鼓 大倉源次郎、大鼓 亀井忠雄、太鼓 小寺佐七
後見 大槻文藏、梅若泰志、加藤眞悟
地謡 梅若実ほか


駆け込みだったので、狂言見られなかった、残念。
仕舞と姨捨の間に20分の休憩があったのだけれど、お家の会にありがちな見所のマナーの悪さ。トイレが混んで遅れたとも思えないグループでの遅刻。お調べが始まったら特に列の真ん中の人は早めに戻るようにお弟子さんに教えた方が良い。
そして、補聴器の調整をするように言っておいた方が良い。


囃子が始まってから前の席の三人連れ着席(!)
都からやってきた三人連れは北陸に出てから信濃に入ったらしい。姨捨山の有名な月を見ようという三人。ワキは持っていた笠を後見座まで行って渡します。
三人が月を待っていると、忽然という感じで女が現れます。のうのう、の呼びかけが素敵でこの先に期待させます。
着ている茶系の地味な着物が素敵。

舞台に入るまでに橋掛でシテが二度ほど絶句。気にはなりませんでしたが、姨捨って絶句無しで終わったのを観た事が無いような気が。難しいんだろうか、それとも年配になったシテがやるものだからだろうか。
でも今、詞章を読み返しているのだけれども、活字で読む感じとシテが語った感じとの間に相当距離があって、いかに梅若万三郎が上手いかが良くわかる。

三人の都の旅人が(おそらく)「この女は現実のものだろうか?」と思っているうちに女は消えてしまいます。本当に、かき消すように中入り。

里人がやってきて三人に姨捨の話をします。
このバージョンだと、叔母は盲目であり、そうと知らない叔母に山奥の石を「仏だ」と言って拝ませて甥は逃げ帰るということになっています。
前半に「妻にひかるるは夫のならい」というところがあって、笑ってしまった。
また、ところどころに桂の木がモチーフとして読み込まれてもいるのが「月と桂」の組み合わせを意識したものか。
やっぱり万作はアイがうまいなあ、と思っていたら今回が間語りの最後となるという話もあちこちから。もしそうだとすると残念です。

月の精のような女が出てきます。面が色白でしわの表現もおとなしい。
しばらくの間橋がかりに座っていた万作は、幕から退場。切戸じゃないんだ。

なんか儚げな老婆だなあ、と思って観ていると、ふっと舞の途中で囃子も地謡もすべての時間が止まってしまったような数秒が。後見の大槻文藏が出てきて手を添えて下居させる。万三郎って脚そんなに悪かったか???と思って観ていたが、扇を見る型なども素晴らしく、あれはなんだったのだろう、と思っているうちに序の舞に。

と、後見の文藏が扇を取っていまにも出てきそうな構え。物着ってあったけ???と思っているとただ単にそうしただけなのか。
序の舞って退屈だと思っていたけれど、これは素敵だなあ、そして、本日は(まあこのメンバーなら当たり前なのだけれど)囃子が最高に染み入る。

なぜ、老女の長絹の模様が胡蝶なのだろうと考えていたら最後に蝶をモチーフにした詞章があるのですね。

この老女を残して都の三人は帰ってしまいます。
最後、1人捨てられた老女は月の光の精なのだ、と読んだことがありますがまさにその通りの舞台でした。

姨捨は笛の終わり方が素敵。

膝行した大槻文藏が万三郎の右手を支えながら橋掛を退場。
やはり体調が悪かったのだな、と思いつつ、でも素晴らしい舞台だった。

これを超える姨捨をこの先見ることがあるのだろうかと思いつつ、帰途につきました。





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# by soymedica | 2018-10-25 08:36 | 能楽 | Comments(0)

国立能楽堂定例公演十月 右近左近 自然居士

d0226702_21585047.jpg国立能楽堂定例公演10月
2018年10月19日(金)18時30分より

狂言 大蔵流
右近左近おこさこ
シテ(右近)善竹十郎、アド(妻)善竹大二郎

お話 松岡心平

能 観世流
自然居士 古式
シテ 観世清和、子方 谷本康介、ワキ 森常好、ワキツレ 館田善博、アイ 善竹富太郎
笛 一噌隆之、小鼓 観世新九郎、大鼓 亀井広忠
後見 武田宗和、上田公威、谷本健吾
地謡 角寛次朗


パンフレットの解説によると、この右近左近は初代善竹彌五郎(1883-1965)が得意としたものだそうです。幕切れが、拍手して良いものやら、いつも困る。
善竹十郎はなかなか良い味を出していました。これ、右近があまり若いと辛いですね。
ところで、十郎はとても小さなお爺さんなのに、大二郎、富太郎はともにとても肉付きかよいです。十郎も昔はああだったのでしょうか。


松岡心平の解説。何だか本日はいつもの冴えの無い語り口。確かに「古式」とは何かを資料なしに説明するのはちょっと辛いかもしれない。簡単に言うと前場の自然居士の語りがとても長くなるもので、語りの内容は「いかにして自分は自然居士と言う町中の説法師になったか」と言うものみたいです。
義満が寵愛していた世阿弥に「これは観阿弥にかなわないだろう」と言ったというのはこの自然居士を演じている観阿弥を見ながらの事であったそうです。


さて、その自然居士。本日亀井広忠はなぜか1人ベージュの袴。この人比較的派手な色の袴が好きですね。
善竹富太郎がやってきて、さあ、今日は自然居士の七日の説法の結願の日だから、聴衆も集めたし、居士を呼び出そう、と言うところから始まります。
居士は出てきて一の松のところで雲居寺(うんごじ)の札を配ります。麺は観阿弥の時代の本面だそうですが、角度によってずいぶん印象の変わる面白いものです。両側のこめかみにほつれた髪の毛が書き込んであります。

そして大鼓の前あたりで葛桶にかけ、「法のためならば身を捨つる」などと語ります。とても力強い。
子方登場。小袖と書付を持っています。それを受け取ったアイは正先にその小袖を広げます。
これに気付いた居士は書付(諷誦文と言っていますが、現代的な意味のそれではないようです)を読んで、「この子は身を売ってこの小袖を得たのだ」と気づきます。
あまりの事に、書付をぽとりと落とす自然居士。

観世清和がこの「古式」を選んだわけが良くわかります。ここまでシテの謡も言葉もたっぷり。仏教用語も多いのに、退屈させないで聞かせる力量を見せられる、という事でしょう。はい、楽しめました。

と、人買いが「買ったはずの子供が朝からいない」と探しに来ます。後半子供を縛って猿轡までして船に乗せる人買いにしては何だか呑気。幼子を無理やり連れて行ったのに気付いた居士は、小袖を襟巻のように巻いて人買いを追いかけます。

実際に舟の作りものは出ないのですが、ワキ座に櫂を手に人買いと少女が。
居士は揚幕の前まで行ってそこから「のうのう」と呼びかけます。
ここで「おれたちは渡し船では無いぞ」などというやり取りが面白い。
面倒なことになったのもお前のせい、と船頭たちが子供を殴る場面、櫂に見立てた竹の杖を扇で打つのですが毎度のことながらこれが面白い。

居士は舞台に入って「この小袖を返すから子供を放せ」と、小袖を舟に放り込みます。この迫力も、観客に「見たか!」と叫ぶ観世清和の心の声が聞こえてきそう。

人買いは竿を捨て、脱いでいた肩を上げます。二人で相談して、腹いせに居士に芸をさせることに。
烏帽子をつけさせ、舞を舞わせたり、ささらをすったり(これは数珠を扇で擦って実際に音を出していました)、最後には鞨鼓を打ちます。私は鞨鼓を打つ芸を見ると、大変失礼ながら食い倒れ人形を想像してしまうのですが、あれは太鼓でしたね。
ここの芸づくしのところも、観世清和の「魅せてやるぞ!」の気迫が。

最後に鞨鼓と烏帽子を脱ぎ捨て、子供を立たせて帰ります。
めでたしめでたし。

面は龍右衛門の喝食





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# by soymedica | 2018-10-23 22:02 | 能楽 | Comments(2)

銕仙会定期公演十月 龍田、鳴子遣子、項羽

d0226702_21510458.jpg銕仙会定期公演十月
2018年10月12日(金)18時より@宝生能楽堂

龍田 移神楽
シテ 鵜沢久、ワキ 則久英志、ワキツレ 館田善博、野口能弘、アイ 善竹大二郎
笛 八反田智子、小鼓 幸正明、大鼓 國川純、太鼓 小寺佐七
後見 浅見真州、谷本健吾
地謡 清水寛二ほか

鳴子遣子
シテ(茶屋)善竹十郎、アド 善竹富太郎、善竹大二郎

項羽
シテ 浅見慈一、ツレ 観世淳夫、ワキ 福王和幸、ワキツレ 村瀬提、矢野昌平、アイ 善竹富太郎
笛 藤田次郎、小鼓 森澤勇司、大鼓 柿原光博、太鼓 大川典良
後見 長山桂三、観世銕之丞
地謡 浅井文義


本日の龍田はシテが人気の鵜沢久とあってか比較的空席が少ない。学生さんと思しき団体も。
まず、大小前に一畳台とその上に小宮が出されます。
全国を旅しているお坊さん(物見遊山では無くて法華経を収めているらしい、神社にも行くところが室町時代)が奈良から龍田川に着きます。この大口はいたお坊さん、朗々とした声が素晴らしいなあ、と思っていると向こうからこれもまた素晴らしい声の呼びかけが。この「のうのう」で見所の心を鷲掴みする鵜沢久って凄い。

女は榊を持った巫女。僧が川を渡ろうとするのを引き留める。
「竜田川紅葉乱れて流るめり渡らば錦中や絶えなん」
「竜田川紅葉を閉づる薄氷渡らばそれも中や絶えなん」
の歌を中心に問答がなされるのですが、結局川を渡ったのか渡らないのか良くわからない…。

僧がご神木に礼拝したりという間に、巫女は「実は私は龍田姫」と言って、宮の中に入ってしまう。

里人の善竹大二郎。この人も負けずに良い声で朗々と語ります。声も体も大きな人だとは思っていましたが、こんなに良い声だったろうか。

僧たちがうとうとしていると、宮から龍田明神が。頭には紅葉の冠、朱赤の大口の模様は金の水に楓が流れているし、薄いオレンジの長絹も楓模様。ここから見ると、あんまり美人じゃないなあ。
「移神楽」と言う小書きは通常は神楽が後半から神舞へと変化するが、後半も特殊な神楽になるというものだそう(良くわからん)。この場合シテは幣では無く神楽の最初から扇をもって舞う、とあります。

最後に橋掛へ行くのですが、「…もみじばちりとぶ、…みそぎのぬさの」のところの型が印象的でした。
この人、とても小柄だと思うのですが、舞台で動いていると大きく見えますねえ。

面は前シテが 作者不詳で形替孫次郎、後シテが洞水作の僧女。


狂言の鳴子遣子。前は善竹家の狂言って今一つだと思っていたんですが、最近なかなか面白い。
お話は船舟と茶壺ををあわせたような筋。
何だか十郎の足袋が緩そうなのが気になりました。


項羽は初めて見る演目です。
まずやってくるのが草刈りの福王一行。「敦盛」のシテが持つような草の束を肩に担いでいるのですが、そこには綺麗な花も刺してあります。家へ帰ろうと舟を待っていると、後見が舟の作りものを常座に起きます。船頭がやってきて、乗せてやるには船賃がいると。船賃は一本の美人草。
そして船頭は項羽と劉邦の戦いの様子を聞かせます。そういえば漢文の時間に習ったな。「…騅ゆかず。虞や虞や汝をいかんせん」でしたっけ?
ここのところ、シテが素晴らしい。
そしてなかなか尉面が素敵。

どうやら能では項羽は自分の首を自分でかき落としたと言うことになっているらしい。

自分は項羽であると明かした船頭は中入り。

本当の渡守がやってきて、びっくり。自分が渡した覚えの無い一行が川を渡っている。さては項羽の霊がでたな、と。
渡守の話の後、正先へ一畳台が出されます。

するとそこに虞氏に続いて項羽が。
中国をイメージしているのでしょう。二人とも凄く豪華な衣装です。
どうも一畳台は高楼に見立ててあるらしく、そこにのった虞氏は前方に降りることで身を投げることになります。
嘆いた項羽は一畳台に乗り、矛を降ろして虞氏を探し求めます。(なんだか水死体を探しているようでもあるけれど)。

シテは戦いの様子を見せるのですが、矛の扱いが上手い。
今まであまり気にしたことのない浅見慈一ですが、ちょっとファンになりました。

項羽は衣装や持ち物が華やかで動きもあり、そんなに長くないし、入門編にも良い曲だなと思いました。

面は前シテが出目満志の笑尉、後シテが洞水の筋男。
ツレは小面(銘 閏月)、作者不詳。


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# by soymedica | 2018-10-18 17:20 | 能楽 | Comments(0)