鷹姫

d0226702_12402232.jpg鷹姫 
2017年2月16日(木)19時より@Bunkamura オーチャードホール
6000円

原作 W.B.イェイツ、作 横道萬里雄、演出 梅若玄祥、マイケル・マクグリン
鷹姫 梅若玄祥、老人 観世喜正、空賦麟 山本則重
笛 藤田六郎兵衛、小鼓 大倉源次郎、大鼓 亀井広忠、太鼓 観世元伯
岩 山崎正道、坂慎太郎、川口晃平、山本則秀、馬野正基、松山隆之、御厨誠吾、山本凛太郎、角当直隆、谷本健吾
アヌーナ:
男声 Michael McGlynnm, Francis Flood, Nick Stoppel, Sam Kreidenweis, Dónal Kearney, Zachary Trouton, Jan Kuhar
女声 Dominique Cunningham, Miriam Blennerhassett, Andrea Delaney, Rachel Thompsonm Sara Di Bella, Hannah Traynor


日本・アイルランド外交関係樹立60周年ということで、パンフレットにはアイルランド大使も一文を寄せているし、客席にもアイルランド人らしき人たちが。
日本の能について調べていたイェイツが1917年に出版した「鷹の井戸」をもとにしています。横道萬里雄の最初の改作が能として上演されたのが1949年、その後ダンスなどとのコラボもされているようです。

孤島の枯れた泉に何年か一度に湧く水を飲むと永遠の命を得ることが出来るという。その泉を守る鷹姫と、水の湧くのをまつ老人。そこに伝説を聞いた若者空賦麟がやってくる。
しかし、鷹姫の妖術で老人も若者も水が湧き出た瞬間には眠ってしまう。

ホールの中央に能舞台と同じ大きさに区切った部分はあるけれど、地謡も囃子もアヌーナもほぼ地謡座方面に階段状に配置されて、橋掛かりに相当する部分が両側に作られた構成。照明やオブジェも使われています。両側にはセリフが日英両方の訳で表示される部分も。

アヌーナのコーラスにかぶせて謡がうたわれたり地謡の「岩」も面をかけていたり、エキゾチック。
玄祥は才能のある人だなー、と思います。

ケルトと日本の文化、ともにアニミズムが強くいきのこっていて相性がぴったりなのでは。
わたしはかなーり満足して、再演があったらまた見たいと思いました。
皆さんはどうだったのでしょうか。

ただし、S席とうたっていてあんなに後ろは無いんじゃないの?)

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# by soymedica | 2017-02-19 12:43 | 能楽 | Comments(0)

銕仙会定期公演二月 賀茂 痩松 箙

d0226702_14235997.jpg銕仙会定期公演2月
2017年2月10日(金)18時より@宝生能楽堂

賀茂
シテ 鵜澤光, 前ツレ 青木健一、 後ツレ 観世淳夫、 ワキ 則久英志、ワキツレ 梅村昌功、野口能弘、アイ 高野和憲
笛 藤田次郎、小鼓 観世新九郎、大鼓 亀井実、太鼓 大川典良
後見 観世銕之丞、鵜澤久
地謡 西村高夫ほか

痩松
シテ(山賊)石田幸雄、アド(女)中村修一

シテ 浅見慈一、 ワキ 大日方寛、 ワキツレ 館田善博、野口琢弘、 アイ 竹山悠樹
笛 栗林祐輔、小鼓 古賀裕己、大鼓 柿原弘和
後見 浅見真州、馬野正基
地謡 浅井文義ほか


昼間は小雪が舞っていたけれど、夜には上がってしまった。
切符には余裕がございます、と言う割にはほぼ満席に近い宝生能楽堂。

この寒いのになぜ賀茂かな、と思うけれど、まずは正先に作りものが出されて、室明神の神職が兵庫県からやってきます。この出だしの謡が清冽な雰囲気を出していて上手。はるばる賀茂神社まで来てみると、白羽の矢が立っている。あれは何だ、と言いあっていると二人の女性がそれぞれ水桶を持ってやってくる。
ツレの装束がブルー系の地色でちょっと珍しい。シテはオレンジ系。

実はちゃんと本日のシテは鵜澤光、とわかってきているのに謡を聞いたら何となく鵜澤久だと勘違いしてしまった。そして後から貢献に入った久を見て、「あれっ」。親子って、声が似ますからね。
そして女たちは矢のいわれを語り、自分たちの正体をほのめかします。
中入りのところでくるくるとまわる姿がきれい。
今改めて詞章を見ると、前場は結構長いのですが、その長さを感じさせないシテ、ツレ、そして地謡でした。

そこに賀茂社の末社の神が出てくる。このアイが末社の神、っていうのが結構好きなパターンです。
ワキ僧の夢の中に出てくるわけなので、アイが僧に向かって話しかけても全くワキは反応せずに独り言になるのも面白い。
高野はアイも軽々とこなします。

天女登場。この天女は美人です。
謡はいつものごとくいつもの様ですが、観世淳夫、舞や所作は上手くなったのではないだろうか。

そして別雷神のシテが。これが中々カッコイイ。下居して袖をかずく型があるのですが、とても力強い。お稽古をしている人は「やってみたい」と思うのではないだろうか。

鵜澤光って地謡につまらなそうな顔をして座っている所を見ると、小柄な普通の女性ですが、ご本人の技量十分なうえに、舞台上でツレの力量を引き出す才能がありそうな。期待しましょう。

面は前シテが増女(堀安右衛門)、後シテが大飛出(出目満照)。
前ツレは小面(西村雅之)、後ツレは万眉(近江)


人相の悪い山賊登場。痩松というのは山賊の符牒で、収穫の無かった時のこと。あったときは肥松。そう言う説明をする山賊。痩松を嘆いていると、大荷物を持った女が夕暮れの道をやってくる。
この女からまんまと色々せしめたと思うのに、逆に身ぐるみはがれてしまう哀れで間抜けな山賊という石田が上手い。


今まさに梅のさかりなので、。生田川についたお坊さんたち。あまりに綺麗な梅に、「これは?」と地元の人に尋ねる一行。浅見滋一って50過ぎていると思うけれど、凄く若く見えます。素袍白大口といういで立ちなんだそうですが、その素袍が茶の唐草模様の裾に水色の水のデザインが入っているというもの。好きな色合わせでは無いけれど、よく似合います。

里人は「これは箙の梅と言って、梶原景季が一の谷、生田の合戦で箙にさした梅なのだ」と教えます。合戦を物語るときに正中に座っている姿がとてもきれい。
地謡が揃って聞きやすい。全列はさっきとあんまり変わっていないメンバー。囃子はちょっと賑やか過ぎるかな。

そして里人は自分は景季の幽霊だと言って去っていきます。

竹山のアイ語り、寝ていたわけではないのだけれど、あんまり印象に残らなかった。失礼。
私の席から見ると、ワキとワキツレの水衣と頭巾の色合わせがきれいだなー、とぼんやり見ていました。

そして、景季の幽霊が。背負っている梅は白梅です。現在生田神社にある梅はピンクがかった白らしいです。ただ、色々な演能写真を見ると、紅梅を使うこともある様ですね。

きびきびとした所作と若々しい地謡で戦いの様子を見せて行きます。シテは「巧み」、という感じがしますが何となくスケール感に欠けるような。一曲目の演者が若者でしたからそう感じたのでしょうか。

後シテの面は平太(近江作)。

初めから終わりまでなかなか質の高い演技が楽しめた本日でした。

写真は上賀茂神社の御手洗川


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# by soymedica | 2017-02-17 08:50 | 能楽 | Comments(0)

観世会定期能二月 弱法師 舟船 胡蝶

d0226702_15221156.jpg観世会定期能二月
2017年2月5日(日)13時より@梅若能楽学院会館

弱法師
シテ 関根知孝、 ワキ 森常好、 間 大蔵基誠
笛 一噌庸二、 小鼓 幸清次郎、 大鼓 國川純
後見 観世清和、上田公威
地謡 坂井音重ほか

舟船
大蔵彌右衛門、大蔵彌太郎

仕舞

胡蝶 
シテ 武田志房、 ワキ 梅村昌功、 間 吉田信海
笛 藤田朝太郎、 小鼓 鳥山直也、 大鼓 柿原光博、 太鼓 大川典良
後見 藤波重彦
地謡 岡久広ほか


あと二回、定期能は梅若の能楽堂。ここにだけ昭和の住宅街が残ったというような印象の能楽堂。
客席の背もたれに昔の日立のマークが貼ってあります。後援していたのだろうか。

私の今年最初の観能は弱法師から。高安の里の通俊登場。森を観るのが久しぶりなせいか、「何だか年取ったな」と感慨にふけってしまい、良いお声を堪能できなかった。森は少し痩せたようにも見えるのに、能楽堂の舞台はちょっと小さいのでは??という印象。でも、ここは国立より観やすい。
間の基誠が「お布施があるぞよ」と告げて切度から退場。

そして俊徳丸登場。後の胡蝶を観ながらも思ったのだけれど、観世会でシテをやるクラスは安心して観ていられる。俊徳丸がいかにも俊徳丸という感じで登場。どう「いかにも」なんだと言われてもチト困るけれど、観ていると「ああ、俊徳丸ってこういう役よね」と思える説得性がある。
着ている水衣がなぜか三の松で謡っているときにピンクに見えて、珍しいな、と思ったら舞台まで来たのを見たら黄色でした。照明のかげんでしょうか。

遅すぎず、急ぎ過ぎず、舞台までやってきてシテ柱を「石の鳥居ここなれや」と叩きます。大きくたたく音がしたな、と思ったのは大鼓の音でしょうか。
ここからのワキとのやりとりが綺麗。垢にまみれ髪の毛もボロボロのホームレスなのに、梅の香を楽しみ、仏のありがたさを感じることができるのはお坊ちゃま育ちだからか。
このシテは非常に端正な印象を与える方ですね。前に楊貴妃だったかを観た時もそう感じたのですが。

そして地謡がまた上手い。こういう他所のお家が入らない構成でやると、解釈や方向性が統一されるためだろうか。

久しぶりに観た弱法師、満足でした。

面は、満志(江戸時代)作の弱法師


舟船は大蔵彌右衛門と彌太郎。大名の装束は新品かな。素敵でした。
この二人が狂言をやると、「昭和の初めごろの狂言ってこんなだったのかなー」という気がします。観たことも聞いたことも無いですけれど、きっと野村萬・万作家や茂山はかなり変わっているのだろうし、守って滅びよの山本家も守っているだけあって時代を感じさせることは無いのですが。


胡蝶のシテが高橋弘から武田志房に替わったという貼り紙がひっそりと張り出されていて何だか不思議なお知らせの仕方だな、と思ったら、3日にお亡くなりになっていたとは。

梅の作り物が正先に出されます。
梅の花と出会えなかった蝶が霊となって現れて梅の花と戯れる、と言う話です。そう言えば梅は虫の少ない季節に花が咲くのでどうやって受粉するのかと思って調べたら、自家受粉しにくい性質もあり、人工授粉が主流らしいですね。

話を舞台に戻すと、ワキ僧が田舎から出てきて由緒ありげな屋敷の梅を眺めている、という出だし。ワキの梅村さん、間の取り方が今一つなのと、ちょっと発声に鉛があるように聞こえるのは気のせいでしょうか。すると、綺麗な女の人が一人やってくる。このシテの謡が物凄く綺麗でいかにも蝶の精と言う感じなのでワキと雰囲気が合わない。シテの所作をみていると、「何となく腹筋が弱そう」と思えるのは何故だろう。

ワキの一行が「あの人は誰だったのだ?」と、不思議に思っていると、地元の人が。吉田信海って何となく外人っぽい顔立ちですね。あ、アイ語りは良かったです。

僧たちが夢の中で胡蝶の精に会おうと待っていると、美しい蝶が現れる。金とオレンジの優雅な姿。前半の躯幹筋弱そう、という感想は撤回。美しい舞でした。

面は満真(江戸時代)作のいなのめ

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# by soymedica | 2017-02-12 16:53 | 能楽 | Comments(0)

足跡姫 時代錯誤冬幽霊



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足跡姫 時代錯誤冬幽霊ときあやまってふゆのゆうれい

2017年1月18日-3月12日@東京芸術劇場プレイハウス

三、四代目出雲阿国 宮沢りえ、淋しがり屋サルワカ 妻夫木聡、死体/売れない幽霊小説家 古田新太、戯けもの 佐藤隆太、踊り子ヤワハダ 鈴木杏、伊達の十役人 中村枝雀、腑分けもの 野田秀樹
美術 堀尾幸男、照明 服部基、衣装 ひびのこづえ


新作です。特にテーマらしいテーマやメッセージの無い本。それをこれだけ作りこむのは大変だろうな、と思いました。
お話は物凄く楽しめましたし、「足跡」が作る模様をはじめ美術や照明、衣装もすばらしい。
まだやっていますからお出かけください。

再演があったら行こうと思う。そのときはもう少し本が整理されるかもしれないけれど、今回の雑多な感じも面白い。
「これは何かのパロディだな」とか「何かからの引用だな」と思うセリフがあったのですが、次回は出典がわかるかもしれないし。

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# by soymedica | 2017-02-10 08:11 | その他の舞台 | Comments(0)

狂言の会 佐渡狐 鶏猫 政頼

d0226702_09434063.jpg狂言の会 
2016年1月27日(金)18時30分より@国立能楽堂
正面席4600円

佐渡狐 大蔵流
シテ(佐渡のお百姓)山本則重、アド(越後のお百姓)山本則秀、アド(奏者)山本則俊

鶏猫 大蔵流
シテ(河野某)茂山千作、アド(藤三郎)茂山七五三、(藤三郎の子)茂山虎真、(太郎冠者)茂山茂、(次郎冠者)鈴木実、(三郎冠者)山下守之
地謡 茂山童司・宗彦・逸平、松本薫

素囃子 神楽
笛 栗林祐輔、小鼓 森貴史、大鼓 原岡一之、太鼓 林雄一郎

政頼 和泉流
シテ(政頼)野村萬斎、アド(閻魔)石田幸雄、立衆(鬼)深田博治、高野和憲、竹山悠樹、内藤連、岡聡史、小アド(犬)月崎晴夫
笛 栗林祐輔、小鼓 森貴史、大鼓 原岡一之、太鼓 林雄一郎
地謡 奥津健太郎、野村又三郎、野口隆行、中村修一


考えてみたら今月は能は見ていなくて狂言ばかり。
入口に「東次郎怪我のため則俊に変更」の案内が出ていて驚く(数日後の喜多に出演していたそうでめでたしめでたし)。

前に何回か観ているような実がしていた佐渡狐。調べたら和泉流で一度観ただけ。あの時は話題が狐に行く前にもっとお国自慢があったような気もするが。
ともかく、佐渡に狐はいないのに居ると言ってしまった佐渡のお百姓。年貢を納める先のお役人に賄賂をやって特徴を教えてもらう。教えてもらったことも忘れてしまうので、「狐はどのくらいの大きさだ?」などなどの越後のお百姓の問いに答えられず、お役人にこっそり教えてもらう。
でも、お役人の前を辞してから、越後のお百姓に狐の鳴き声を聞かれて…。
こちらが見慣れてきたのか、それとも若手が(と言っても則秀・則俊)がこなれてきたのか、昔ほどがちがちの硬さを感じなくなった最近の山本家です。

次いで同じ流派でも大分違った茂山一家の鶏猫。前回は昨年竜正くんで観ています。大分しっかりしてきて安心して見ていられるようになりました。新千作、七五三のコンビもよろしい。これ、千五郎だとかなり印象が変わるでしょうねー。
偉い人の可愛がっていた猫が鶏を取るので殺してしまった父親。それを告発して褒美をもらおうとする息子。その褒美とは、という話なのですが、かなり長い理屈っぽいセリフを竜正くん、わかりやすく言えて良かったです。

神楽は小鼓が今一つの印象でした。

政頼も前に一度観ていますがほぼ同じ顔ぶれ。地獄で暇な閻魔大王と鬼たちが、六道に出て人間を待っていると、やってきたのが政頼。政頼の見事なタカ狩りを見せられて、閻魔大王もついつい3年娑婆に戻ることを許してしまい、あまつさえ贈り物までしてしまうという。
和泉流の物かと思ったら茂山家にもあるそうです。

羽が広がる立派なタカの作りものができたので…という話を野村万作か満斎がどこかでしていたような。この作り物のおかげですっかり万作一家の曲となりましたね。
鬼たちが取った獲物のお相伴にあずかるところが好き。

所で野村太一郎、最近万作家とよくジョイントするようですが、一緒になるのでしょうかね。

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# by soymedica | 2017-02-01 09:44 | 能楽 | Comments(0)