能楽Basara 第9回公演

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能樂Basara 第9回公演 妄執の霊たち
7月16日14時より @国立能楽堂
中正面 6000円


解説 定家と式子内親王 林望

舞囃子 船弁慶 観世喜之

狂言 萩大名
野村万作 月崎晴夫、高野和憲



定家

シテ 駒瀬直也、ワキ 森常好、ワキツレ 館田善博、森常太郎
アイ 石田幸雄
大鼓 佃良勝、小鼓 鵜澤洋太郎、笛 松田弘之
後見 遠藤喜久、奥川恒治


本当に暑い日。よそから回ったので早めに着いてしまった。前から気になっていた能楽堂前のビルの地下の中華料理屋へ。冷やし坦坦麺650円と安いが、まあ、そんな感じの店。

林望、うすい色の袴で登場。定家と式子内親王の恋というのは年齢差を考えるとあり得ないけれど…と言う話。途中で寝ちゃった。ごめんなさい。

それはそうと、今年は法然の何回忌かなので雑誌「太陽」の特集が出ましたが、そこにちょこっと式子内親王が法然に師事していたらしいことが書いてあった。

舞囃子船弁慶。観世喜之、仕舞は美しかったけれど、この人声が細いですね。面をかけたら聞き取りにくいのではないか?


狂言萩大名。頭の弱い大名が歌を覚えなくてはいけないのですが、これがどうも…、と言うお話。何となく終わり方が弱かった感じがしましたが、そこまでは可笑しい。万作ってやはり上手ですね。


定家。解説書を読む限りでは動きの少ない、とても退屈そうなものでしたが、あにはからんや、とても堪能しました。エロチックなイメージがある能だそうですが(内親王に定家蔓がまといつくという)、それよりはもっと寒い感じ。だって、まとわりつく蔓をよりわけて内親王の霊が出てきて、「あなたの御経のおかげで出てこられました」と言いながら、また「それでも…」と、また墓に入ってそこに蔓がまといつくのですよ。怖くありませんか?夏にはふさわしいけれど。

駒瀬直也と言う人は、なかなか注目すべき人なのでは、と思います。特に謡がよく通る艶のある感じでした。来年も予定が合ったらこの会に行こうと思います。ただし会の名称は私の好みではありませんが。何でバサラなんだ??
チケットのお値段もリーズナブルですし、7割くらいしかお客さんが入っていないのはどうしてでしょう。やはりスポンサーがつくタイプのひとでないと、国立能楽堂は大箱すぎるのでしょうか。

ちなみに来年は6月23日で道成寺だそうです。



この能については
これならわかる、能の面白さ 林望 淡交社
幻視の座・宝生閑聞き書き 土屋恵一郎 岩波書店
能 中世からの響き 松岡心平 角川叢書 (新演出で浅見真州が行ったものについての感想)
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# by soymedica | 2011-07-19 20:25 | 能楽 | Comments(0)

TV 木六駄 鉄輪

古典芸能への招待 能・狂言 狂言「木六駄」~和泉流~・能「鉄輪」~喜多流~

狂言「木六駄」は、人間国宝の兄弟、野村万作・野村萬が共演する。雪道を12頭の牛を苦労して運ぶ太郎冠者。あまりの寒さに、預かった酒を飲んでしまうのだった。▽能「鉄輪」は、喜多流の実力者・香川靖嗣が主演。夫から不当に離別された妻は、恨みを晴らすために貴船神社に詣でる。やがて、妻は鬼となって、夫と新妻に復しゅうを遂げようとするが、安倍晴明の術に妨げられ…。


あ、NHKのホームページからそのまんまの引用です。まさか著作権侵害!!て誰も飛んでこないと思うけれど。ちなみにワキは森常好。

この野村兄弟は本当に上手い。二人とも実際には酒を飲んでいないなんて信じられない。萬の一般マスコミ露出は弟より少ないから、「え、万作にお兄さんがいるの?」という人がときどきいます。人間国宝ですよ、アナタ。
…「へえ、萬歳のお父さんも狂言師なんだ。」と言われたときには腰を抜かした。(違いのわからん奴。)

実際にこの木六駄、劇場で観てみたいものですが、実は狂言はTVでも結構楽しめたのです。

でも、能はTVは苦しい。
オーケストラをホールで聞くのとTVで見るのと、くらいの違いを感じます。
これはなぜだろうと考えたのですが、能楽堂では、シテに注意が行ったり、囃子を見ていたり、地謡に耳が、とか自由に視線や注意を向けられるのですが、TVではそこをTV側に決められてしまうからでしょうか。

オペラをTVで見たことは無いのですが、同じように感じるのでしょうか。

ということで、「鉄輪」、ぜひ能楽堂で見てみようとおもったのでした。

(ところで本日のこれ、中継では無くて番組用の録画じゃないかと思ったのですが、どうでしょう。)
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# by soymedica | 2011-07-17 18:00 | 本・CD・その他 | Comments(2)

国立能楽堂7月定例公演

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国立能楽堂7月定例公演 
7月13日6時30分より
正面席 4800円

狂言(大蔵流)呼声
シテ 茂山千三郎、アド(主) 茂山千五郎、アド(次郎冠者)茂山逸平

能 蝉丸 替之型
シテ 角寛次朗、ツレ 木月孚行
ワキ 森常好、ワキツレ 館田善博、ワキツレ 森常太郎
アイ 茂山七五三
笛 一噌康二、大鼓 亀井忠雄、小鼓 幸清次郎、
後見 観世恭秀、武田尚浩


呼声は、居留守を使う太郎冠者を何とかして呼び出そうと声色をつかったり、歌にして呼びかけたり、というもの。現代で言うなら、シャンソン風、ボサノバ風、ロック風という感じで呼びかけます。声や歌を聴かせるところが主眼なのだと思いますが、皆すばらしいお声で良い歌でした。

肩衣の模様がそれぞれ面白かったが、何の意匠か知りたかったです。そういう説明も字幕にちょこっと入っていると嬉しいのですが。ちなみにソラマメのようなものが三つほど書いてあるものと、お茶で使う蓋置き(三本脚の五徳みたいなあれ)のような柄でした。

蝉丸は以前観世の定期能で見たときは初めてということもあり、花粉の季節ということもあり、ひたすら眠かったのですが、本日は面白かった。
特に逆髪は登場するところから目を奪われました。

盲目の皇子蝉丸が山中に捨てられる。しくしく泣きながら寂しく琵琶を弾いていると、狂乱の皇女逆髪が偶然やってくる。「あら、弟の琵琶の音だわ」。そして兄弟再会となり、「あんたも寂しいだろうけれど、しっかりするのよ」と、逆髪は去っていく。話としてはそれだけなのですが、色々な土俗信仰―坂には社会経済的に辺境の民が住むとか、そのような階層の民や身体障害のある民は神に近いと思われていたとか―が背後にある古い話のようです。

写真で見る逆髪は本当に髪ぼうぼう、寝起きの私みたいな姿のものが多いのですが、今回は一筋乱れた髪があるだけでした。笹をもって気強く謡う様子は印象に残るものでした。蝉丸は本当に弱々しそう。一瞬絶句しましたが(私はただの間かと思ったのですが、プロンプトされていたので、そうではなかったのでしょう)、それも気にならず。この逆髪と蝉丸は良い組み合わせではないでしょうか。


髪の毛と言えば、私の前に座った女性。巻き髪を盛り上げたスタイルに綺麗な櫛がささっている。ひところ渋谷系ではやったスタイル。邪魔だなー、と思っていたのですが、立った姿をみてびっくり。少なくとも60歳は越えている方で、着ているのはTシャツと地味なパンツ。…だったらもっと地味で小さな髪にしてきてほしい。それともあれは演目に合わせた逆髪ファッションだったのか??


参考は、能 中世からの響き 松岡心平 角川叢書
この本お勧めです。
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# by soymedica | 2011-07-15 09:40 | 能楽 | Comments(0)

観世会能楽講座 第2回 葵上

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平成23年度観世会能楽講座 第2回 葵上
2011年7月11日 @観世能楽堂
1500円

若干遅刻して到着。林望が講義の真っ最中。この人どこかの女子大の先生だと思っていたら、文筆業に専念しているのですね。あ、でもプロフィールの年齢からすると、定年??

林望は葵上の心理を説明:年上女が執着するのは醜いと思いつつ、やはり源氏のパレードが見たくてこっそり目立たない車でやってきたら、後から来た(きわめて陽気で豪勢な)葵上の一向にどかされ、しかも人目を忍んできたわが身をさらされてしまった。奥に押し込められて帰ろうにも帰れない。でも、源氏が見えるかと思えば、目の前には葵上の車。そしてパレードの源氏は葵上に目をやって通り過ぎてしまった...。
さすが現代語訳を出しただけあって、なるほどと思わせる語り口。

「能で、最後に葵上が成仏しちゃうのは変ですよね。生霊なのに(笑)。」ですからこの部分はあとから付け足したのでは?と。(何か言いたい研究者がいっぱいいそうな部分なのに、こういうとことさらっと言っちゃってよいのだろうか。)

次はお待ちかね松岡心平のお話。こういう自分の研究対象を愛している人の話って良いですよね。

「申楽談義」のコピーを示しながら:
世阿弥は犬王の演出に非常に関心があり、このようにそれを書き留めてある。車の作り物を出し、青女房(御息所のおつきの女房)を出すのが犬王の演出で、私どもの「橋の会」でこの形で復曲しました。能の「あらあさましや、後妻討ちの御振舞い いかでさることの候ふべき ただ思し召し止まり給え」のセリフ(ふつうは照日の巫女が言う)は青女房のもの。さらに、御息所が頭のほうを打ちすえるのなら私は足のほうを打つわ、と「この上はとて立ち寄りて わらはは後にて苦をみする」(これも普通は巫女のセリフ)と語っているとしなければつじつまが合わないでしょう。
なるほど。

また、後妻(ウワナリ)打ちの風習にふれて、「葵上」のこの部分は古くからあった後妻打ちの風習が意識されているつくりなのではないか、とも。

そして、なぜ青女房が出演しなくなったかについては、女性の鬼が出るものは近江申楽の系統であって、世阿弥の系統ではなかった。このためしばらく上演が途絶えていて、のちに観世が復活させたときに一人シテになったのではないだろうか。テキストはそのままに、犬王時代の演出が忘れられたのではないだろうか、と推測していました。

いろいろな研究者が言っていることですが、能には源氏物語の直接引用は無く、世阿弥や犬王は原典にあたることは無かったのではないだろうか、おそらく善竹は読んでいたのあろうが、と。そしてこれが原作から離れて自由に巫女や山伏などを出して土俗的に作れた理由だろうとのことです。


ついで、横山太郎の司会で、実際に青女房と破れ車を出した形を家元や上田公威が見せます。家元、色々説明しつつヒートアップ。熱い人ですが、周囲はハラハラするでしょうね、お客さんは大喜びです。そして、舞台の上で摺り足ではなくドタドタあるく観世清和なんて、ここでしか見られないでしょう。

ワキの森常好も登場。山伏の持つ数珠は自分でひもを確認するのだそうです。そして数珠の房は、葵上、安達が原、道成寺それぞれ色が違っているとも説明がありました。へぇぇー。昨日山伏姿の弁慶が持っていたのは何色だった?地味な色だったけれど。

前記の「橋の会 新演出」には林望は異論があるようで、「巫女をよりましにしてそこに下りてきた生霊を山伏が退治すると考えれば、わざわざ青女房を出さなくても良いのでは」、と語っていました。当然そのへんのところは松岡たちも考えているでしょうが、特に反論無し。この二人を見ていると、作家と研究者の違いが面白い。それとも性格の違いか。


さてさて、葵上ではシテは舞台上で面を代えるのですが、これは鐘のなかで面と装束を代える「道成寺」の良い予行なのだそうです。秋にはお家元は道成寺ですからね。是非見たいものです。

ということで、終わったのは9時15分でした。学会だったら座長真っ青だけれど…。
実際にペーパーにするときにはもっと控えめにしたり、思っていても書けなかったりすることがあるでしょうが、こういう素人向けの講座ではどんどん言っちゃえ、と松岡心平を応援したのでした。

ということで満足しました。
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# by soymedica | 2011-07-13 22:01 | 本・CD・その他 | Comments(0)

白翔会公演 平家物語の世界

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白翔会公演 平家物語の世界
平成23年7月10日 @国立能楽堂
正面最前列真中 10000円


連吟:俊寛、藤戸

能 清経 恋之音取
シテ 坂井音雅、ツレ 坂井音晴、ワキ 森常好
大鼓 柿原崇志、小鼓 幸清次郎、笛 藤田次郎
後見 谷村一太郎、津田和忠、寺井栄

狂言 六地蔵
山本東次郎、山本則俊、山本則孝、遠藤博義

仕舞 鵺
坂井音隆

独吟 起請文
関根祥六

船弁慶 重キ前後之替、名所教、船中之語 附祝言
シテ 坂井音重、ワキ 宝生閑、子方 藤波重光、アイ 山本東次郎
大鼓 亀井忠雄、小鼓 観世新九郎、太鼓 助川治、笛 一噌康二
後見 観世恭秀、坂井音隆、藤波重彦


友人のお父様の先生のおうちの会。素敵なお父様に丁寧にごあいさついただく。
坂井音重は華やかなことのお好きな方、とのことで、豪華なパンフレットもさることながら、お弟子さんと思しき人たちもゴージャス。堂々たるロシア人軍団もきていた。(ロシア講演をやったので大使館関係者だろうとのこと。)

清経。戦闘で生き残ったにもかかわらず、待つ妻を残して自害してしまった清経。その遺髪を持って粟津三郎が人目を忍んでやってくる。(昼メロだったらここで残された妻と粟津三郎の恋愛が始まるのだが、)あくまで夫を思う妻は遺髪を見ると悲しくなるので、と遺髪を神社に帰してしまう。そこに夫の幽霊が現れ、お互いに「何で私を残して自害するの」「せっかくの遺髪をなぜ手元に置かない」と、言い合うという悲しいお話。恋之音取という小書で、笛方が地謡の前まで出て橋掛かりのほうに向かって笛を吹くと、それに合わせて清経の霊が出てくる。

囃子方も地謡も長袴。皆ああいうものお持ちなのね(当り前か)。でも、こういうおはなしなのだから、あまりしゃっちょこばったのも。全体に真面目すぎる感じが気になる。


六地蔵。地蔵を六体買おうとしている田舎者をだまそうとする詐欺師。3人で6体の地蔵のふりをしようと大わらわ。友人が「皆年寄りなのに頑張るなー」と感心。確かに。


最後は小書のたーくさんついた船弁慶。子方ちゃんに「静はこっから帰れ」と言われて悲しむ 静。実はこの静の衣装の後ろが途中で若干裂けてしまって、それが気になってしょうがなかった。シテは真面目そうな仕舞と謡。華やかなことがお好き、とのことでしたが、実は真面目一方なのでは、と思わせる舞台。

アイの船頭が相当活躍する話なのですが、山本東次郎、すごく良かったです。動きが綺麗ですね、この方。そして、ワキの宝生閑扮する弁慶。この人、他の全員を喰っちゃってました。まずいんじゃないか…。でも最後に知盛の幽霊に襲われそうになる義経を守ろうとするときは、孫を守ろうとするおじいちゃんのようであった。これもまずいのでは(笑)。

小書がこれだけついて長くなったせいか、若干焦点の絞りきれない話の感じ。もともと船弁慶の話の作りがそうなのかもしれません。子方ちゃんがあくびを噛み殺していたのがかわいかった。

さて坂井家の三人の息子のなかで誰が一番上手なのかはわかりませんが、音隆が一番華があるかな。皆ハンサムさんなのですが、どーも(ただの印象ですが)真面目すぎるような感じがしますね。

ということで、豪華絢爛な一日でありました。


世阿弥の能 堂本正樹 新潮選書
能の平家物語 秦恒平 朝日ソノラマ
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# by soymedica | 2011-07-12 21:56 | Comments(0)