近松心中物語

d0226702_11160002.jpg近松心中物語
2018年1月12日(金)18時半より@新国立劇場中劇場

作:秋元松代、 演出:いのうえひでのり
忠兵衛:堤真一、 梅川:宮沢りえ、 与兵衛:池田成志、 お亀:小池栄子
市川猿弥、立石涼子、小野武彦、銀粉蝶


もともと30年ほど前に近松を土台にして書かれた戯曲らしいのですが、評判が良く、何回も再演されているようです。
シスカンパニーと「いのうえひでのり」の組み合わせなら上質の娯楽作品に出来上がっていること間違いなし。早くチケット押さえて正解でした。さらに主題歌(?)を石川さゆりが歌ったり、といろんな層を取り込む努力がされています。

筋書が定番で先が見えるので、それだけ役者の魅力や実力が必要な話だと思いますが、その点も満足。
特に小池栄子が良かった。

舞台美術が良いなー、とおもって名前を見たら松井るみさん。
検索するとこの人の舞台を随分観ていて、しかも素敵だと思ったものばかり。
本日の収穫でした。

まだ、チケットあるようでしたら、皆さんも見に行ってね。

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# by soymedica | 2018-01-15 16:14 | その他の舞台 | Comments(0)

国立能楽堂定例公演一月 難波 松楪

d0226702_15114434.jpg国立能楽堂定例公演一月
2018年1月6日(土)13時より

難波 金春流
シテ 金春安明、 ツレ 金春憲和、 ワキ 殿田謙吉、 ワキツレ 大日方寛、則久英志、 相 山本則秀
笛 一噌隆之、 小鼓 曾和正博、 大鼓 内田輝幸、 太鼓 三島元太郎
後見 本田光洋、横山紳一
地謡 辻井八郎ほか

松楪 大蔵流
シテ(攝津国の百姓)山本則孝、 アド(丹波国の百姓)山本則重、 アド(奏者)山本東次郎
笛 一噌隆之、 小鼓 住駒光彦、 大鼓 内田輝幸、 太鼓 三島元太郎


解説が無いのに、終了予定が4時となっていたので狂言と能とどちらが長いのだろう?と思っていたが、能が110分の予定になっていた(実際は2時間以上かかったらしい)。

役者たちにとっても難波は比較的遠い曲らしい。
まず、正先に紅梅の作り物が出される。
天皇の臣下が熊野三山で年を越して津の国(攝津)難波に到着。梅が名木であるのでいわれを聞こうと言うと、おりしも若い女と大口の翁(右手には箒)が登場。なぜか女は楓模様の着物。なんだか紅葉狩りみたいね、とこの辺の装束の約束事が全く分からない私。

出だし、囃子方の大小の息が合っていないような気がしたのだけれど、この辺からは安心。翁と女は橋掛かりで謡うのだけれど、親子の訳者で声質が似ているために一瞬どっちが謡っているのかわからなくて面白い。
後見の本田、暇そう。

「難波津に咲くやこの花冬ごもり、今は春べと咲くやこの花」の歌にかけて、仁徳天皇の即位のお話が延々と語られます。ところどころ聞いた記憶のあるようなエピソードもあるのですが、何せ語られない部分も多く、詞章を見ていても良くわからない。でも、地謡が綺麗。地謡陣が若いのは遠い曲で覚えるのが大変だから???

女と老人はそれぞれ花の精と仁徳即位を勧めた王仁だと明かして消えます。
そこに、梅の精が。面はうそふきかな。笛を吹きます。吹いているのはもちろん囃子方で、「おや、音が後ろから聞こえてくるような」と言って笑いを取るのはお約束。

アイが帰った後、ここで後見が梅の作り物を引きます。プログラムの写真では後シテと梅が同時に写っているので、そういう演出もあるのでしょうか。
ともあれ、木花開耶姫と王仁登場。王仁は一の松で蔓桶にかけています。姫は舞台に入って天女の舞を。この御姫様は目の小さなちょっと変わったお顔ですね。

次いで王仁の舞。「楽」と言うらしい。とても立派な鳥兜をつけていますが、これをつけると全体に下を向いているように見える上にだんだんかぶとが面にかぶさってくる。後見が神経質に何度も直します。
この「楽」もまた長い。そしてハコビが面白い。

木花開耶姫も王仁も、何となく舞が地味。観世流を見慣れているせいですかね。
そして地謡がおめでたい文句を連ねて終了。
王仁の舞の時にワキ柱のところに座っていた姫が立って帰ると、そこにワキがもぞもぞと詰めます。何かするのかなー、と思っているとただ立って帰るだけ。やっぱり定位置から引っ込むというのがお約束なんでしょうか。

長かったー。でも、もう一度観ても良いかな。

面は前シテの老人が小尉、後シテの王仁が鷲鼻悪尉、ツレは前ツレの女と後ツレ木花開耶姫が増。

伊藤正義「謡曲入門」(講談社学術文庫)に詳しい解説があります。

え、松楪はどうしたかって?ごめんなさい、ほとんど寝てしまって肝心のところが観られませんでした。これもおめでたい舞の曲だったらしいのですが…。

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# by soymedica | 2018-01-08 18:03 | 能楽 | Comments(0)

国立能楽堂定例公演十二月 因幡堂 景清

d0226702_22152985.jpg国立能楽堂定例公演十二月 
夏目漱石と能 生誕百五十年記念
2017年12月15日(金)18時30分より

因幡堂 和泉流
シテ(夫) 高澤祐介、 アド(妻)河路雅義

景清 観世流
シテ 梅若玄祥、 ツレ 馬野正基、 トモ 谷本健吾、 ワキ 宝生欣哉
笛 杉市和、小鼓 大倉源次郎、大鼓 亀井忠雄
後見 山崎正道、小田切康陽
地謡 観世銕之丞ほか


あんまり前のことになってしまったので簡単に。
因幡堂は2011年に一度万作家で観ていますが、あまり記憶に残っていなかった。
酒のみで働かない妻を離縁して新しい妻を娶ったら…。と言う話。アドの河路はあまりなじみの無い役者ですが、上手。運びで随分かかとが高く上がるのはわざとなのか、この人の特徴なのか。面白かった。


景清は結構好きな演目。何度も観ているから好きになったのかもしれないけれど。
大小前に藁屋が出されます。玄祥が大きな人だからかもしれませんが、中の人が随分自由に動いている印象。観客の注意がそちらに行ってしまうのでよくありませんね。

人丸と従者がやってくる。人丸の謡が非常に美しくて、もっと聞いていたかったが宮崎に到着。
ここでシテの「松門独り閉じて…」が聞こえてきます。ここの笛ってちょっと不思議
引き回しが降ろされて景清が現れる。白口姿。頭が頭巾の無い蓬髪なのが面白い。
景清が独り言を言っている間、ツレとトモは後見座に。

「景清はどこに」と尋ねる従者に里人は「あの乞食がそうだ」と。
皆さんそうだと思うのですが、この従者が藁屋の戸を叩くしぐさが楽しくて好き。
景清は藁屋から出てきて、(藁屋の中でも蔓桶にかけているのですが)蔓桶に座ります。
ということで、後見はとても大変そう。

里人が娘を父に紹介するところ。欣哉さすがに上手(と手元の詞章に私の書き込みがありました)。

そしてこれも皆さんお好きだと思うのですが「汝は花の姿にて」という詞章。ここで、父は娘を手で触って確かめる仕草を。
その間ワキはずっと目付柱のそばに居るのですが、景清に「屋島の話をしてやりなさい、そしたらお嬢さんは送って行きますから」と言ってひっこみます。

で、景清は屋島の戦の話をするのですが、ここ、私の好みではもう少し武張ってやってほしかった。地謡も何となく湿った感じ。
話しが終わって父は娘の肩にすがって常座まで見送ります。
娘は振り返らずに帰って行き、父は涙をこぼします。そして、藁屋に戻ることなく退場。

なーんとなくアンチクライマックスだったかな。
でも、良かった。



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# by soymedica | 2017-12-31 10:56 | 能楽 | Comments(0)

萬斎インセルリアンタワー17

d0226702_14525962.jpg萬斎インセルリアンタワー17
2017年12月13日(水)19時より

解説 野村萬斎

蚊相撲 
大名 野村太一郎、太郎冠者 内藤連、蚊の精 中村修一

瓜盗人
盗人 野村萬斎、 畑主 飯田豪
笛 藤田貴寛


今回が2回目かな、3回目かな?最初の時は驚きました。だって解説と称して「萬斎この1年」みたいな報告があるんですから。
今回もそうだったのですが、「あれ、○月は何してたっけ」と萬斎が言うと見所から教えてあげる人がいたりして、コアなファンの会。
今回は昨年のように「子午線の祀りやります」みたいなビッグニュースはありませんでした。
あれ、どこかで山崎正和の世阿弥やるってニュースを聞いたような…。

蚊相撲を野村家で見るのは初めて。茂山家の大名とは違って野村家の大名は賢くて一回相撲を取ると相手がすぐに蚊だとわかってしまう。蚊帳を吊るか、蚊やりを焚くかなど色々考えます。
大きく違うところは、最後に太郎冠者と大名が二人で相撲を取るところ。
茂山家バージョンも良いけれど、こちらも良いなあ。
ちなみに蚊の精の中村修一は割とスレンダーな人なので、蚊の精にぴったりでございました。


瓜盗人は初めての演目。最初の解説で萬斎が祭りの山のからくりを説明をするのでなぜかな、と思ったらそこが見せ場だったのでした。
瓜がなって案山子を作る畑主。
蔓桶の上にうそふきの面を載せ、笠、水衣を着せます。
作ると、畑主いったん退場。本当に退場するのは狂言としては珍しいですね。
そこに泥棒がやってきて瓜をぬすむばかりか、案山子も壊す。そして退場。
やってきた畑主。怒って、今度はみずからが案山子に化けます。

またやってきた泥棒。瓜を世話になった人にあげたら「もっと欲しい」と言われ、もう一度やってきたのです。
これ、花盗人と同じパターンですね。
そして夜の畑で人間とは知らずに案山子相手に今度の祭に出す山の細工を考え出す、と言うところが見せ場。
面白かった。
またどこかでやらないかな。


セルリアンタワー能楽堂は毎回不愉快なことがあって(今回はクロークに入れてもらえなかったり、最後には1階に荷物をうつしたと言われ1階ではまだ地下が空いていると言われ皆上に行ったり下に行ったりの大騒ぎ)、もうチケット買わないぞ、と思ったのですが、調べてみたらあと2回催しに行くのでした。しまった。

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# by soymedica | 2017-12-26 12:38 | 能楽 | Comments(0)

硯修会 第一回公演 野宮

d0226702_22115458.jpg硯修会 第一回公演
2017年12月10日(日)16時より@十四世喜多六平太記念能楽堂

お話 大貫誠之 

野宮
シテ 狩野了一、 ワキ 大日方寛、 相 山本泰太郎
笛 竹市学、 小鼓 田邊恭資、 大鼓 柿原崇志
後見 塩津哲生、香川靖嗣
地謡 粟谷能夫ほか


国立能楽堂研修同期の大日方、山本、竹市による会。
お話をなさった大貫さんは国立能楽堂のお勤めのころ三人が世話になった方だそうです。スーツを来て開演前に歩いているお姿を見て、「あ、ここの能楽堂の事務方の人かな」と思った印象はあながち間違いでは無かった。
その大貫さんの説明によると、数年に一回募集される国立の研修生の三人が立ち上げた会だそうで、三人が研修していた時のシテ方担当が喜多流であり、その縁で今回はシテ方は喜多流、同年代の狩野了一がつとめるということらしい。
大鼓の柿原は、彼らの先生だったとか。
会の経緯については「能楽タイムズ」に詳しいとのことです。

野宮は名曲なのに意外に上演回数が少ないような気がします。それだけ重く扱われているということなのでしょうか。
まず正先に作り物が。これは流儀によっていろいろなタイプがあるとのことですが、今回は例の竹を四角く曲げた台の両側に小柴垣が付いているタイプ。安定性は良いけれど入ったり出たりの演技が難しいのでは、と思ったのですが、それを感じさせずに終わりました。

諸国一見の僧がやってきます。ワキツレで見ることの多い大日方ですが、それなりの風格も出て野宮のワキとしてふさわしい。
この時代には嵯峨野はきっと寂しいところだったんだろうな、と感じさせてくれる謡です。
と、そこに里の女がやってくる。老女ものかと思うほどゆっくりした登場。

地謡の「はなになれこしののみやの、あきよりのちはいかならん」が物凄く綺麗。喜多流の面目躍如ですね。
そしてシテが秋のものさびしさを謡うところに長い長い笛がかぶさって何だか見所も寂しくなります。
ここはもともと斎宮のいらっしゃったところ、どこの馬の骨とも知らないあなたは帰りなさい、と里の女は観光坊主をたしなめます(斎宮の習慣は南北朝のころに無くなったそうですね)。
僧は「私だってここを訪ねる資格はあります」と主張。女はあっさりと前言をひっこめて、御息所の話を始めます。

光源氏と御息所の話を始める女。蔓桶にかける演出は初めてのような気がする。下居するよりも、この方が微妙な動きが難しいかもしれませんが、見所からは観やすい。かな?
そして女は実は私は御息所の亡霊だとうちあけて、笛の音をバックに静に去って行くのでした。

アイ登場。装束がパリッとして素敵。昔は山本家の装束の色合わせが不思議だったけれど、見慣れてくると素敵に感じるようになるから不思議。洋服の色合わせの感覚とは全く違いますからね。
ご自身の会だから何か力の入ったアイ語りになるのかと思ったら、全くの平常心で普通。

そして御息所の亡霊登場。車争いの場面を語ります。が、大変申し訳ないことにこのあたりで眠気が…。
やはりここいらあたりで車の作り物を出していただくと目先も変わって大変うれしいのですが。ちゃんと目覚めていた友人に聞くと、大変よろしかったということです。残念。

序の舞あたりから復活。狩野は舞の形がきれいですね。
そして「野々宮の、月も昔やおもふらん」の声。完全に女性に聞こえるのはなぜでしょう。雑誌「観世」に役者は女と男の役では同じ謡の節回しでも微妙に変えている、という研究が載っていましたが。

そして破ノ舞へ。最後に地謡をバックに下居して合掌。ゆっくりと帰って行きます。

やっぱり野宮は難しい曲です。もっと何回も観ないと。

(曲が終わった後、白いハンカチで顔を拭く柿原崇志を見るのが好きなんですが、今回見過ごしたかあるいは拭かなかったか、観られなかったのがとっても残念。)


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# by soymedica | 2017-12-24 10:42 | 能楽 | Comments(0)