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大手町座 三番叟 乱 若菜

d0226702_16473510.jpg大手町座第20回記念公演 亀井広忠プロデュース能楽舞台 三番叟
2016年12月20日(火)19時より@日経ホール

三番叟
三番叟 野村萬斎、千歳 中村修一
笛 杉信太朗、小鼓頭取 鵜澤洋太郎、脇鼓 田邊恭資、清水和音、大鼓 亀井広忠
後見 深田博治、月崎晴夫

舞囃子 
シテ 梅若紀彰、観世喜正
笛 一噌隆之、小鼓 飯田清一、大鼓 亀井忠雄、太鼓 林雄一郎
地謡 山崎正道ほか

狂言 若菜
海阿弥 野村万作、果報者 石田幸雄、大原女 高野和憲、深田博治、内藤連、飯田豪、岡聡史
笛 杉信太朗、小鼓 飯田清一、大鼓 亀井広忠、太鼓 林雄一郎
後見 月崎晴夫、野村裕基


太鼓が観世元伯にかわり林雄一郎に。体調不良で無ければ良いのだけれど。インフルのシーズンですからね。
ホールで萬歳の三番叟を見るのは二度目なんだが、以前の杉本博司とのコラボでやった凱旋公演の方がずっと良かったような気がする。
見ながら考えたのは、ホールでやるというのは能舞台とはおのずと違うので、それなりの照明効果とか演出が必要だということ。
演者も三方から見られている能舞台と、一方向からしか視線の来ないホール能とは恐らく違う気持ちで臨んでいるだろうし。

舞囃形式のは面白かった。普段は装束と面に隠れていてはっきりしない体の使い方が素人目にもわかる。
おまけにシテがハンサムなお二人だし。
相舞が揃うとか揃わないとかよく批評されるが、「揃う」というのはボリショイバレーの群舞が「揃う」とはまた別の意味なのではないだろうか。面をかけていなくて相手の気配が良くわかるだろうに、二人とも一糸乱れず揃えようという意識はあまりないようだったし、見ていても不自然では無い。この辺のところはだれか評論家に教えてもらいたいものです(役者自身はあんまり西洋の踊りとの違いを意識していないのではないか)。

そして期待の狂言、若菜
野に遊びに出てきたお金持ちの石田と太鼓持ちの万作。二人が出会った大原女達と酒を酌み交わし、小唄や舞を楽しむというもの。
「庵の梅」のような感じですね。
囃子方が4人ずーっといるのですが、全員正面を向いていました。
これもホールでやることの宿命なのでしょうが、脇正面席がないと、全体の人の配置のバランスが難しいかも。演者はどう思ってやっているのか。一番不自然さを感じさせないで立ち位置を決めているのが万作だったのはさすが。
高野が謡が上手なのにびっくり。そして、こう言うちょっとした謡を小学校で教えたら面白いのにな、と思いました。

しかし、80歳を越えている万作、片足けんけんをしていましたよ。




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by soymedica | 2016-12-28 16:49 | 能楽 | Comments(0)

国立能楽堂定例公演十二月 胸突 船弁慶

d0226702_09550394.jpg国立能楽堂定例公演十二月
2016年12月16日(金)18時30分より

和泉流 
胸突
シテ(借り手)野村又三郎、アド(貸し手)野口隆行

宝生流 
船弁慶 後之出留之伝
シテ 辰巳満次郎、子方 和久凛太郎、ワキ 殿田謙吉、ワキツレ 則久英志、平木豊男、大日方寛、アイ 奥津健太郎
笛 一噌隆之、小鼓 森澤勇司、大鼓 山本哲也、太鼓 前川光長
後見 宝生和英、山内崇生
地謡 大坪喜美雄ほか


胸突は初めての演目。些細な事故で大げさな症状を言い立てて保険金詐欺に近いことをやる人の昔版。短い話でした。貸し手の野口の来ている長裃の柄、どこかで見たようだと思ったら檜書店の袋の模様だった。
又三郎、東京ではあまり見られませんが面白い。

観世流以外の船弁慶を見るのは今回が初めてでは無かろうか。
弁慶の役を殿田がやるのも初めて見る。最近出番が多いですね。
子方はハンサムな凛太郎君。地謡後列の端にいるお父さんが心配そう。でも、最後まで立派でしたよ。

西国に逃げ落ちていく義経一行。弁慶の勧めで静を置いていくことにする。それを伝える弁慶。静とのやりとりが橋掛かりで行われるけれど、静はただ座っていてもお美しい。さては弁慶のさしがねか?と直接真意を確かめたい静。私は話の流れからして、弁慶が何も言わなければ静は同道できたと思うが、義経と直接話をした静は納得する。

別れの舞を舞う静。金の烏帽子を受け取った弁慶は静かに進めると、静は大小前で準備を始める。
満次郎はさすがの演技。扇の使い方が素晴らしい。
が、この人にはこの着物、ちょっと袖が短いような気がする。そもそも宝生流の着付けって観世とは少し違うような気もするし。

そして囃子の笛に余裕がない。

ま、それはともかく一行は舟に乗ります。
ここのアイは特に小書きが無い場合でも、聞かせどころですね。また義経の世になったら取り立ててほしい、と頼みます。前後の演技の緊張を和らげる面白い構成だと思います。

海の向こうに怪しいやつが。半幕になったところで知盛の幽霊だと、名乗りをあげます。ここと、最後の退場の仕方が小書きの由来だそうです。

    名乗りが素晴らしい。

名乗って地謡が「声をしるべに」と謡ったところで幕は下りてしまう。
そして早笛で再登場。
面は霊怪士(りょうのあやかし)と言うのだそうですが、こういって褒めるのも何ですがまさに水死体。

弁慶が数珠を揉むところ、宝生閑を思い出してしまいました。これから先船弁慶を見るたびに思い出しそうな気がする。
そして祈り倒された知盛は橋掛かりまで引っ込むと長刀を投げ捨て、刀を持って戻ってきます。
が、汐に流されて退散するのでした。

数日後、役者のツイッターで「満次郎さんに『後シテは面が要らないんじゃないか』と言ったら『いや、面を掛けないと子方が怖がる』と返事した」という爆笑のお話が。
しかし、満次郎、すばらしかったです。

前シテの面は孫次郎。

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by soymedica | 2016-12-25 09:56 | 能楽 | Comments(0)

銕仙会定期公演十二月 頼政 酢薑 安達原

d0226702_23252837.jpg銕仙会定期公演十二月
2016年12月9日(金)18時より@宝生能楽堂

頼政
シテ 清水寛二、ワキ 工藤和哉、アイ 高野和憲
笛 一噌隆之、小鼓 幸正昭、大鼓 亀井広忠
後見 山本順之、浅見慈一
地謡 浅見真州ほか

酢薑
シテ 野村萬斎、アド 深田博治

安達原 白頭
シテ 小早川修、ワキ 御厨誠吾、ワキツレ 大日方寛、アイ 竹山悠樹
笛 八反田智子、小鼓 鳥山直也、大鼓 佃良勝、太鼓 小寺眞佐人
後見 観世銕之丞、長山禮三郎
地謡 西村高夫ほか


もうだいぶ時間がたってしまったけれど、久しぶりの観能で楽しかった頼政。諸国一見の僧の工藤登場。この人、国立のパンフレットによるとそんなにお歳ではないのだけれど、凄く年取っている印象がある。口をもぐもぐ動かすせいかな。
謡は上手だけれど、場をつくる、という気迫に欠けているような気がする。

と、そこに地元の老人登場。この老人は親切で、田舎者の老人に宇治の名所を教えてあげる(ま、宇治も十分田舎なのだろうけれど)。朝日山から月が出てきた、という所など、やはり清水は上手だな、と思う。
一通り名所を教えた老人は、扇の柴に僧の注意を向けて、思わせぶりに退場。

アイの高野登場。私ちょっと疲れていたのか寝てしまってごめん、高野クン。

頼政の幽霊が出てくるのを期待しながら謡う僧。
後シテ登場。グリーンの地に金の波の頼政頭巾、袴、そして厚板と法被は金の波の模様かな。華やかでかつ上品。
うーん、ワキとシテとのセリフの交換のタイミングが今一つ緊迫感を欠く感じ。

地謡が「御謀反を勧め申し」とうたうとシテは床几にかけます。あれ、と思ったけれど、座りつつも型が物凄く力強くて迫力満点でした。
そして地謡が戦闘の様子を謡うのですが、これ、平家の側から見た(攻め込む側の)描写と混じっているのが面白い。
で、「攻めてきたぞ」と守る側の謡になったところでシテは立ち上がります。

頑張って太刀を振うのですが、味方の兄弟も打たれてしまい、切腹して果てるさまを演じます。最後に扇を投げるところ、舞台から落ちましたが、あれ、どうなったんだろう。ホームランボールのように拾ったお客さんのものになるのだったら面白いな。
かなり満足した頼政でした。清水、これからもどんどん頑張ってほしい。

前シテが出目満志作の笑尉、後シテの頼政は伝近江作。後シテの面、とても気に入りました。


萬斎&深田の酢薑。深田が茶系の装束で組み合わせた津の薑売り。藁苞に入れた薑をもって津の国から出てきたらしい。そのあとから出てきたのが萬斎の酢売り。ブルーグリーンの装束で堺からやってきた。
どっちの商売のほうが偉いか、歴史があるかを張り合って、洒落の言い合い。
最後に大笑いして終わる、おめでたい曲です。これも結構好きなもののひとつ。万作や石田の雰囲気ともまた違う、萬斎と深田の元気な掛け合いがこれまた楽しかった。


安達原に白頭の小書きが付くと、通常は鬘姿の後シテが白頭をつけ、前シテも通常の深井や曲見から姥なと老女の面に変わるなど、全体に位が重くなるそうです。
後見が、引き回しをかけた小屋の作り物を大小前に。白頭の小書きの時にはススキをつけることもあるそうですが、今回は無し。
有名な山伏の祐慶が弟子と一緒に紀伊半島から東北までやってきました。大変な旅ですよね。でも皆さん若くて体力ありそう。

安達が原についたところで小屋の引き回しがおろされます。この中に婆さんが入っている、というのはなかなか恐ろしい光景。
でも、仏のありがたい力を信じていて若くもある一行はその恐ろしさに気づかないらしく、なんとここに一夜の宿を借りようとする。
そんなに頼むなら泊めてやろうと、小屋の中から老女が出てくる。この老女の渋い銀の装束がとても素敵。

私はそもそもこの祐慶の一行が怖い目に合うのは、みんな「俺たちは偉い修行者なんだぞ」という驕りがあるからだと思うのですよね。泊めてくれた家の主人に向かって、「余興に糸を紡いで見せろ」なんて図々しい。
この糸をつむぐところはとてもしっとりして好きな場面ですが、今回も素晴らしい。それにしてもシテは小顔ですね。面からほとんど顔がはみ出さない。

親切な主は夜だというのに山に柴を取りに行きます。「留守の間閨を見ないでくれ」という問答。様式的というより現代の演劇につながる表現を感じました。中入りの時に一の松で振り返るシテの所作にも説得力がでます。「本当にみないでくれるだろうか…。」

まず誘惑に抗しきれずに閨をのぞくのは能力。これをコミカルに軽くやるのが見せ所だと思う。竹山も上手。こういうそそっかしい子、うちの事務にもいますよ…。
主人の部屋には腐った死骸が山のように。
裏山から帰ってきた主人は「何かが変」というように幕からちょっと出てきて舞台を見つめた後、いったん戻って、走り出てくる。

早笛と言うのだろうか、鬼はその笛にのって地謡とやり取りを。ここがテンポが良くて素晴らしい。そして担いできた柴を落として大立ち回り。
でも、祈りふせられてしまう。ワキとワキツレはちょっと若くて信仰の力で倒すと言うよりは、体力で鬼を倒していたように見えたが。

今までは頑張ったけれど、と鬼は言いながら座り込んでしまいます。
そして幕へと地謡のコーラスの中走りこんでいくのでした。


前シテの姥、後シテの般若ともに岩崎久人作。

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by soymedica | 2016-12-18 21:44 | 能楽 | Comments(0)

エノケソ一代記

d0226702_12380081.jpgエノケソ一代記

2016年12月5日@世田谷パブリックシアター
9800円

【作・演出】 三谷幸喜

【出演】 市川猿之助 吉田羊 浅野和之 山中崇 水上京香 春海四方 三谷幸喜

抱腹絶倒なんだけれど、最後はほろっと。客席からは洟をすする音も。
というお話。

エノケンこと榎本健一の全盛期を知っている人は客席にはほとんどいないでしょう。かくいう私も知らない(1970年に亡くなったらしい)。糖尿病性の壊疽で下肢切断をしたコメディアンということしか知らなかったです。
歌は聞いたことありますが、劇中で誰かのセリフに合ったように「一本調子で面白くないよね」と思っていました。

ともあれ、そのエノケンの偽物の話。
今のようにTVの普及しない時代には地方に人気芸人の偽物がよく出たそうです。その偽物一座。最初のうちは皆本物と間違って、偽物とばれそうになると一座は逃げだすのだけれど、エノケンが叙勲されてからは、雇うほうも偽物だと思って雇ってる。
猿之助、はまり役ですね。パンフによると最初は「エノケンの役です」と言われていたのに、台本受け取ったら「エノケンの『偽物』の役になっていました」(大笑い)。

そして吉田羊の役って、よくある尽くす妻のようだけれど、それだけじゃない。そこをうまく演じて、最後に筋を客に涙させるだけの力量のある女優なんだな、と思いました。

ということで、もしチケット手に入ったらお勧め。

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by soymedica | 2016-12-08 12:42 | その他の舞台 | Comments(0)

萬斎インセルリアンタワー16 鬼瓦 三人片輪

d0226702_14505419.jpg萬斎インセルリアンタワー16
2016年12月1日(木)19時より@セルリアンタワー能楽堂

解説 野村萬斎

鬼瓦 
大名 石田幸雄、太郎冠者 月崎晴夫

三人片輪
博奕打 野村萬斎、 有徳人 飯田豪、 博奕打 高野和憲、深田博治


16回目だそうだが、初めて行ってみました。ほとんどの客が「おばさん」と言われる年齢の女性(笑)。
横の畳席が使われているのを久しぶりに見ました。


最初の「解説」というのは曲の解説ではなくて、萬斎のこの一年の解説だったのには笑いました。
どうもスキャナーという映画は当たらなかったらしい。
面白かったのはコスタ・リカでの狂言興行の話。一般から茸の役者を募集して、現地の人にやってもらったんだそうな。観たかったなー。
ゴジラの話も出ました。あれは道成寺のシテの祈りの動作がはいっているらしい。へー。


狂言はまず大好きな鬼瓦から。とても短いけれど、笑っちゃう。
鬼瓦は石田幸雄が物凄く良い味をだしていました。今回の役は地かな。楽屋で若い者に「うちの女房は鬼瓦みたいだからね」と言っている姿が目に浮かぶ。


ずっと観たかった三人片輪。パンフレットの下に小さく「上演中、現在不適切とされている語句が出てまいりますが、決してそれ以外の意図はございません。古典ということでご了承いただければと存じます。」それ以外、ってなんでしょうね。
現代でも聴覚障害のふりをして身障者手帳とったり、という事件がありましたが、まあ、そういう話です。

お金持ちが「身障者雇用促進」の札を立てます。偉い人ですね。ところがそれを見たのが三人の博奕打。高野は偽めくらに、深田は偽いざり(下半身まひのことです)、萬斎は偽の啞になってそれぞれお金持ちに雇われます。顔を合わせてお互いびっくり。
お金持ちが出かけたすきに、盗み酒をして宴会。
ここでみんなが小舞をするのが見せどころ。高野は「風車」というおもちゃ尽くしのもの、深田は「兎」、萬斎は「景清」。深田と高野の小舞を見るのは初めてのような気がしますが、さすがにこの二人は上手。

で、帰ってきたお金持ちに見つかって…。最後のところも面白いオチでした。

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by soymedica | 2016-12-03 14:52 | 能楽 | Comments(0)