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中島みゆき 夜会 Vol.19 橋の下のアルカディア


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中島みゆき 夜会 Vol.19 橋の下のアルカディア
2016年11月24日(木)20時より@TBS赤坂ACTシアター

中島みゆき、中村中、石田匠、森尻斗南、小泉将臣、馬場太史


ポップシンガーのコンサートに行ったのは初めてのような気がする。クラシックのコンサートや歌舞伎に比べるとチケットが割高。オペラを考えると安い。日本では行ったことがないが、ミュージカルと比べるとどうなんだろう。
S席ということだったが2階席の前から5列目中央で、2万円。
パンフレットの3200円にもびっくり。行き慣れた人によると、大体人気シンガーのコンサートではこんなものだそうな。
始まりの時間が遅いのが大変に宜しい。

ダンスの無いミュージカル、と言った雰囲気の構成。でも、かなり動きがあるので手持ちマイクが気になる。何かこだわりなのでしょうね。
殆ど歌でつないでいく構成で、中島みゆきはもちろん、中村中、石田匠にも大満足。

2年前の再演だそうで、切符が入手しやすかったのかもしれません。
お客さんに50歳代、60歳代の男性が多かった。


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by soymedica | 2016-11-29 08:42 | その他の舞台 | Comments(0)

国立能楽堂定例公演十一月 木六駄 葛城

d0226702_11575267.jpg国立能楽堂定例公演十一月
11月18日(金)18時より

狂言 大蔵流 木六駄
シテ(太郎冠者)山本泰太郎、アド (主)山本則孝、(茶屋)山本東次郎、(伯父)山本則俊

能 喜多流 葛城 神楽
シテ 出雲康雅、ワキ 福王和幸、ワキツレ 村瀬提、矢野昌平、アイ 山本則重
笛 杉市和、小鼓 飯田清一、大鼓 亀井広忠、太鼓 観世元伯
後見 中村邦生、粟谷浩之
地謡 香川靖嗣ほか


木六駄は大蔵流と和泉流とちょっと違って、大蔵流の方は太郎冠者と伯父が峠の茶屋で出くわす設定で、全体にコンパクトな作りになっているような気がする。太郎冠者が出ずっぱりの和泉流と違ってこちらは雪の日にお使いに行くのを渋った太郎冠者にお酒を飲ませるためにいったん主と太郎冠者が引っ込む演出。
すると、ワキ柱に蔓桶が出される。これは峠の反対側から木の催促にやってきた伯父が茶屋で茶を飲むときに腰掛けるもの。

先にやってきた伯父さんはお茶を飲むと奥に引っ込んで寝てしまう。ここで桶を片付けてしまうのだけれど、他の客は椅子に座らせないつもりなんだろうか…。
太郎冠者が雪の中を牛を引いてやってくる。ここのところも吹雪に飛ばされたりして派手な演出だけれど、和泉流よりも時間は短いのではないだろうか。
茶屋にやってきて楽しみにしてきた「酒が無い」とショックを受ける。
で...茶屋の親父にそそのかされて二人でお使い物の酒を飲んで宴会始める。

ここでたくさんの舞や謡が出てくる。書き取ったものを正確ではないかもしれないけれど、ちょっと書いておきます。

  うきねながらのくさまくら ゆめよりしもやむすぶらん

  うかめうかめみずのはな げにおもしろきかわせかな

    この後に有名なウサギ舞が入って

  きこしめせやきこしめせ じゅみょうひさしかるべき

  はこびかさねてゆきやまよ ちよにふれとつくらん ゆきやまをちよとつくらん

  ざざんざ はままつのおとはざざんざ

やんややんや!
で、太郎冠者は調子に乗って茶屋の親父に木六駄あげちゃう。喜んだ親父は牛引いて行ってしまう。
目を覚ました伯父に、太郎冠者は散々怒られるのだが、
最後に「牛があまり寒いので、のっもーかと」というシャレがついているのは初めて聞きました。

東次郎にじーっと見られながら太郎冠者をやるのは大変だろうけれど、泰太郎の太郎冠者、結構面白かったです。セリフの間の取り方はもちろん東次郎にはかないませんが、何となくおかしみが出てくる熱演でした。


葛城。今回は演出の様々な形という事で、先月に続き「木六駄&葛城」という寒そうな組み合わせなのですが、それ以外でも葛城というのはよく出る曲ですね。
なんて考えていましたが、出だしから囃子がちょっと。
そしてワキとワキツレもvisualは大変宜しいのだけれど、ちょっと。

前半のワキとシテの問答の所が、先月と大きく違うような気がして、今パンフレットの詞章をチェックしたのですが、やはり前半は観世流とはずいぶん異なっていますね。耳で聞く分には喜多流の方が筋を追いやすい詞章のような気がします。面白いですが、ワキ方は大変だろうなー。

そして演出と言えば、シテが出てくるとき手にしているしもと(小枝です)が今回は雪をかぶっている。庵について笠をとるときに後見が雪のないものとさりげなく交換していました。
しもとを焚くときに完全に床に置かないでポトリ、と落としたのは演出なのだろうか、と。なぜ疑問に思ったかと言うと、シテの所作に膝か腰が悪いのではないかと感じさせるところがあったので。中入り前に立ち上がるときもちょっと辛そうでしたし。

ともあれ笛に送られて女は自分の正体をほのめかしつつ中入り。

ここで里人が薪を取りにやってきて、山伏たちに「その女は葛城明神だろう」と教えるのですが、雪山の晴れ間をぬって薪取りにやって来るのに長裃はなかろう。(監督をするような偉い人なんでしょうけれどね)。しかもふもとは雨だったのが、あられになり、雪になり、とかなりの高所。このアイ語りもこのバージョンは初めてのような気がする。

後半の舞ですが、若干硬い感じがしました。舞は観世流の方が好きだなー。大和舞と神楽の違いと言うより、シテの個性の違いだと思う。
そしてこのシテはかなり謡や言葉の重い人で、ちょっと私の葛城の女神のイメージと異なっていました。
いつも喜多流の舞台ははずれないのだけれど、今回は全体としてわたし好みでは無かった。

ともあれ、女神は帰ってゆき、ワキが留めておしまい。


面は増。





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by soymedica | 2016-11-24 11:58 | 能楽 | Comments(0)

国立能楽堂普及講演十一月 二人袴 三笑

d0226702_19462800.jpg国立能楽堂普及講演十一月
2016年11月12日(土)13時より

解説  仙境への憧憬 林望

狂言 大蔵流 
二人袴
シテ(聟)大蔵教義、アド(舅)善竹十郎、(太郎冠者)大蔵元誠、(親)大蔵吉次郎

能 観世流
三笑
シテ 松山隆雄、ツレ(陶淵明)相田昇、(陸修静)梅若紀彰、子方 松山絢美、アイ 大蔵彌太郎


解説は林望先生。本日はスタンドカラーのシャツ。裾は外に出すラフな着方。三笑のもとになった話、「虎渓三笑」(日本がの題材に良くなっているので私でも知っています)が載っている廬山記はそうそう誰もが手に取って見られる本ではないので、作者は教養の高い人であったろう、などのお話を聞いているうちに気持ちよく寝てしまった。


二人袴。前回茂山襲名披露で見たものとは違って、本来の長いバージョン。短いのもピリッとして良いけれど、これもなかなか。


初めて見る三笑。考えてみると一枚の絵になってしまう情景を演劇に仕立てたのだからすごい話だ。本を読んだ人は少なかったにせよ、この話は当時どれくらいの人が知っていたのだろう。

まず藁屋がワキ座に置かれます。幕から慧遠禅師に使えるアイが出てきて状況を説明し、また幕に帰っていくと、藁屋の中から謡が聞こえてきます。

地謡が謡いだすと、引き回しが下ろされて、白菊に囲まれて巻物を手に輿舁けた慧遠禅師が現れます。
そしてヒョウタンを手にした子方を先頭に、陶淵明、陸修静が登場。
解説には子方を出す演出は観世流本来のものではないけれど、最近ではほとんどの場合子方を出す、とあります。確かに子方が出ないとあまりに地味な舞台になりそう。
陶淵明のかぶっている帽子が面白い。高級な醤油や酒の瓶に紙かぶせてキュッとひもで縛ったような形のあれ…。

どうやら石橋をわたって舞台に入ってくる3人。シテも迎えに出て三人一緒に床几かけます。
ここで、楽しい宴会に。子方のヒョウタンにはとっても良いお酒が入っているらしい。

そして、子方が舞い、子方退場の後に爺さん(いや、きっとそうでもないのでしょう)三人が楽しく舞い、お話もして楽しむ。あんまり楽しいので慧遠は虎渓から皆とお話ししながら出てきてしまい、橋掛かりでおやおや、とみんなで笑いあって退場。
ただそれだけの話ですが、何だか面白かったなー。

日本では閑職に追いやられた人や退職した人は退屈したり不機嫌になったりすることが多いようだけれど、皆さん、この三人をみならったらどうでしょう。

面はシテの慧遠禅師が三光尉、陶淵明が小尉、陸修静が三光尉

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by soymedica | 2016-11-22 08:27 | 能楽 | Comments(0)

銕仙会定期公演十一月 菊慈童 茶壺 融

d0226702_17373376.jpg銕仙会定期公演十一月 
2016年11月11日(金)18時より@宝生能楽堂

菊慈童
シテ 鵜澤光、ワキ 村瀬提、ワキツレ 村瀬慧、矢野昌平
笛 藤田貴寛、小鼓 亀井俊一、大鼓 佃良太郎、太鼓 大川典良
後見 観世銕之丞、西村高夫
地謡 浅見慈一ほか

茶壺
シテ(すっぱ)小笠原匡、アド(中国の者)能村晶人、小アド(目代)野村万蔵

融 白式舞働之伝
シテ 野村四郎、ワキ 殿田謙吉、アイ 野村万蔵、
笛 藤田次郎、小鼓 曾和正博、大鼓 國川純、太鼓 三島元太郎
後見 浅見真州、北浪昭雄
地謡 大槻文蔵ほか


菊慈童、途中からだったので簡単に。正先に出された一畳台。飾ってある菊の花が白と黄色と、そして赤。赤いカーネーションかと思った…。
シテは素敵だったけれど、ワキが何となくたどたどしくて残念。シテの面と装束がおしゃれでしたね。
最初から腰を落ち着けて観たかった。
もしかして光はお母さまを越えるかもしれない。

面は是閑作 童子
パンフレットの後半にある松岡心平の「境界の司祭としての菊慈童」が面白いです。


茶壷は、主人に言われて茶壷を持って帰る途中の中国のものが道で酔っぱらって寝込んでいると、すっぱがやってきてそれを取り上げようとする話。仲裁に入った目代の前で、二人がそれぞれ茶壷の由来を謡うのが見せどころ。
能村の酔っ払い、上手だけれど時々正気ですね。ちょっと風邪ひいていたのかもしれない。
最後に能村の舞を盗み見ながらすっぱの小笠原が一緒に舞うという場面。盗み見て舞うので一拍遅れながら舞います。考えてみるときちんと合わせる相舞より難しいでしょうね。
すっぱ(詐欺師)っていつも羽織をきて登場するような気がする。今度注意してみてみようっと。


スーパームーンも近い本日、。僧の殿田が都見物にやってきます。この人、どんどん良くなりますね(前から良かったけれど)。声も良いし。
見まわしていると、向こうから桶 ー担桶(たご)と言うらしいー を右肩に担いだ老人がやってきて、一の松で景色を謡います。
滑り出しあんまりよくないな、と思ってみていると、そこで桶を下ろします。天秤棒がすごくしなります。
私の持っていた本にはシテがここで長く景色と自分の心境を謡うのですが、そこは略されて、いきなり僧が話しかけます。

老人は僧に河原の院について教えながら、「や、月こそ出でてそうらへ」と。ここの間の取り方と調子はさすがです。この後の謡のところは声がちょっと枯れてしまい残念。野村四郎なら、もっと華麗に見せてくれるはず、という期待が大きすぎるのかな。でも、地謡が寂しい荒れ果てた様子を謡うと、伸びあがってあたりを見る様子等の型で風景が浮かんできます。

この爺さん昔を思い出して泣き出しては厄介と、僧は話題を変えてあたりの名所を教えてもらいます。この名所教えのところでも、ぐっと舞台の広さが広がって感じられる。野村もうまいけれど、受ける殿田も上手。向きを変えるところにはいろいろな演出があるらしいのですが(今回はシテがワキの手首を掴んだように見えた)、そういう細かいところはともかく、こうやって広がりを感じさせるというのはどういうマジックなのだろうか。

さあ、夜が更けてきたと、おじいさんは一の松に置いてきた桶を今度は反対の肩に担ぎます。舞台に戻ってきて桶を大きく揺らして汐を汲む。ここも動作がとても大きい。
そして定座で担桶を置いて去っていきます。二の松で膝をついて留めていましたが。

万蔵のアイ語り。この人の語りは格調高いですね。でも重過ぎなくて好感が持てます。

ワキが夢がやってくるのを待ちながら謡う上歌も綺麗。
向こうに融の姿が浮かび上がります。「白式舞働之伝」というのは装束がかわって後シテは初冠、黒頭、上は白地に金の模様、大口は白地にグレーの模様(大きな丸い模様が散らしてあるのは何というのでしょうね)。一の松で私は融の大臣であると歌い上げます。
扇を投げて「あら面白や曲水の盃」で拾うという演出。

白一色に金色が映える装束で舞うので、月の精というイメージ化と思うと、それにしては面がおどろおどろしい。そういえば10月末から11月上旬にかけてはハロウィーンやら死者の日(スペイン語圏中心)だなー、と思いながら眺めていました。
そんなに複雑な構造の冠ではないのに、袖を被いたときにひっかかってしまった。そこはベテランのシテと後見ですから、安心して観ていられましたが。

明け方になってきて融は地謡を背に帰っていきます。

今回動きの大きい演出でしたが、わざわざそうしなくても話のスケールの大きさが感じられる舞台でした。ただ、もう少し華麗な舞台を期待していたのだけれど。

面は前シテが古元作の三光尉、後シテが増阿弥作(伝)の霊神。
写真は東北の塩釜神社です。

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by soymedica | 2016-11-15 17:47 | 能楽 | Comments(0)

遠野物語・奇ッ怪其ノ三

d0226702_22253362.jpg遠野物語・奇ッ怪其ノ三
2016年11月4日(金)@世田谷パブリックシアター

脚本・演出 前川知大

ヤナギタ 仲村トオル、ササキ 瀬戸康史、イノウエ 山内圭哉、イソ 池谷のぶえ、ミズノ 安井順平、テラダ 浜田信也、スズ 安藤輪子、ノゾミ 石山蓮華、ノヨ 銀粉蝶

美術 堀尾幸男、照明 原田保、音響 青木タクヘイ、音楽 ゲイリー芦屋、 衣装 伊藤早苗、 ヘアメイク 宮内宏明、演出助手 谷澤拓巳、舞台監督 田中直明


評判の高い前川知大の奇ッ怪、観てきました。

「遠野物語」有名で、私も昔ちょっと読んでみましたし、水木しげるの漫画も持っています。びっくりしたのは、起承転結の無い話がほとんどだったこと。「…っで?」と言うところで終わっている。作中で登場人物が全く同じこと言ったので笑っちゃったし、パンフでも読んだ俳優たちがそう言っています。

その遠野物語のいくつかをモチーフにし、その断片をうまくつなぎ合わせて、最後に「ああ、それで遠野物語にははっきりした終わりのない話が多いのか」と思わせる流れになっています。
面白くて、ちょっぴり悲しい。

ヤナギタとイノウエの対話も面白いですし、池谷のぶえと銀粉蝶が上手。
どの登場人物も、「いかにも」というビジュアルになっているのが面白い。

まだチケット入手可能でしたらお勧め。

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by soymedica | 2016-11-05 22:28 | その他の舞台 | Comments(0)

茂山狂言会特別公演 五世千作、十四世千五郎 襲名披露公演

d0226702_11412397.jpg茂山狂言会特別公演 五世千作、十四世千五郎 襲名披露公演 
東京公演 2016年10月30日(日)11時より@国立能楽堂

翁 烏帽子祝言
友枝昭世、茂山千五郎、茂山寅真
笛 藤田六郎兵衛、小鼓 曽和正博・住駒匡彦・曽和伊喜夫、大鼓 亀井広忠、
後見 内田安信、狩野了一、狂言後見 茂山茂、島田洋海
地謡 香川靖嗣ほか

三本柱さんぼんのはしら
大蔵彌右衛門、大蔵吉次郎、大蔵彌太郎、大蔵基誠
笛 藤田次郎、小鼓 鵜澤洋太郎、大鼓 亀井広忠、太鼓 観世元伯
後見 大蔵教義、善竹富太郎

語那須なすのかたり
山本東次郎

庵梅
茂山千作 茂山逸平、茂山童司、井口竜也、島田洋海、山下守之、茂山宗彦
笛 藤田次郎、小鼓 鵜澤洋太郎、大鼓 亀井広忠、太鼓 観世元伯
地謡 松本薫、茂山七五三、茂山茂、増田浩紀
後見 茂山千五郎、丸石やすし

船中ノ語 宝生欣哉
業平餅 野村萬

二人袴ふたりばかま
善竹富太郎、善竹大二郎、善竹十郎、大蔵教義

小舞
 茂山蓮
土車 茂山鳳仁
吉の葉 茂山竜正

蝸牛 
茂山七五三、松本薫、茂山あきら

小舞
住吉 野村万作
 野村萬斎

花子はなご
茂山千五郎、茂山茂、茂山童司


録音マイクが舞台の下少なくとも4カ所においてある。DVDになるのかな。
満席の満席。さすが襲名公演。狂言しかみないお客さんも多いのか、会場の人に「途中退出したら入れません」(始まる直前に出ようとして)びっくりしたり、「ほんのちょっと遅れただけで入れてくれないのよ」(翁が終わって席にかけながら隣の人に)というちょっとした混乱がありました。

。当然下掛の喜多流。翁は下掛の方が面白いな。面箱の虎真の背が伸びていて予想よりずっと大きくなっていたので後ろからやってくる友枝昭世が膝行しているのかと思った…。
面箱の扱いはしっかり、千歳の舞もとても元気よくできました。
そして揉の段。新千五郎の力の入った舞は泥臭くてしかもカッコイイ。

烏帽子祝言とは何かと思っていたら、後見座で面をつけて出てきた黒尉が、白尉や千歳の烏帽子は何か、と尋ね、自分のは「ふりえぼし」というのだ、という問答が加わる形式でした。そして鈴を受け取り鈴の段へ。
最後は面箱を前に控えていたシテ方の後見のところで面を外します。紐を外す手が友枝とは逆なのは決まりなのか、単に利き手の問題なのか。

ワキ鼓が若いのはいつものことですが、リズムが変わるところで少し乱れましたね。でも、きちんと合わせてくる。
終わると囃子方も全員退場。


三本柱。祝言性の高いもので、初めて見ました。果報者が家の普請のため、山に切っておいた三本の柱を太郎冠者、次郎冠者、三郎冠者にとって来させる。その時、「三本の柱をめいめい二本ずつ持ってこい」という謎を出す。謎を解いた三人と果報者が囃して終わる。最後の見栄のところで拍手したかったけれど、会場は皆演者が橋掛かりに行くまで待っていた。
果報者をやったのが彌右衛門だと思うのだけれど、発語が悪いのと、声が弱いのとで、反対方向を向いたときのセリフが極めて聞き取りにくかった。(次の東次郎の素晴らしい発声のようにやってほしかった。)


東次郎の語那須。何回か聞いていますが、考えてみるとこんなすごいものを複数回聞けたるなんて凄いことだ。そしてこの語那須というのは何回聞いても新しい発見がある。
ということで、ちょっとざんねんだった三本柱のお口直しでした。


次いで庵梅と、いかにもお目出度い話が並びます。これは大した筋は無くて、庵に住まう年取った尼さんのところに女房や娘が歌をみてもらい、梅の花見がてらお酒でも飲もうと、やってくる話。
紅白の混じって咲いている梅の作りものが目付柱におかれます。そして、(中に千作の入っている)庵の作りものが大小前に運び出されてきます。
尼さんは庵の前の梅が満開になったので、皆そろそろやってくるころ、と楽しみにしているのです。
囃子に乗って女たち登場。庵の引きまわしが下ろされ、尼さんが女が聞いているとも知らず、小唄を歌っています。
皆が集まって詠んだ歌を梅の枝にかけたり、酒を飲んだり、尼さん(おりょうさま)も舞を舞ったり。千作はいかにも小さいお婆さんと言う感じでステキ。何だか面がちょっと怖かったですが。
千作、作りものに出入りする時にちょっとひっかかって、やはり去年の骨折がひびいているのでしょうか。
地謡の七五三の謡が凄く良かった。


休みをはさんで宝生欣哉の船中ノ語。会場がザワザワしていて落ち着かなかった。もう少しゆったり聞きたかったのに残念。
さすがに萬の業平餅のあたりでは落ち着いてきたけれど、皆さんあんまりわかっていなかったみたい。餅づくしでとってもおめでたかったのでした。


2人袴。良く出る狂言ですが、聟入りのおめでたい話ですね。今回は富太郎と大二郎の二人で、通常の父と子と言う想定ではなく、兄と弟。見慣れたものとそのほかの所も若干違っていたような気がしました。テンポよく楽しめました。善竹富太郎はだんだん良くなる。


茂山蓮、鳳仁、竜正三人の小舞。ちょっと見ない間に子供って大きくなるものですね。こうやって子供のころからプロ意識を高めさせるのでしょう。皆よくできました。


蝸牛も最後楽しく囃す定番ですが、七五三の山伏装束が派手。黄色の衣に緑の房(梵天)が付いている。ベテラン三人の舞台でそれはそれでよかったと思いますが、この曲はもっと若い子が入った方がぴったりしませんかね。
ともあれ、七五三が最近凄く好きになってきました。


また小休憩をはさみましたが、この辺りになると帰るお客さんがちらほら。「え、花子みないの?!」と思いましたが、お年寄りには長丁場すぎるのでしょう。

万作の住吉と萬斎の。住吉は初めて観るような気がします。万作と萬斎の対比が面白い。円熟と壮年、と言った感じの対比を意識した曲選びですかしらん。住吉の謡の出来が今一つでざんねんでした。


花子。嫉妬深くてわわしい妻をまいて花子に逢いに行きたい夫登場。なぜか長裃の後見も橋掛かりから登場する。もう一人は座禅衾などもって切戸からやってくるのに。
無い知恵を絞ってなんとか一晩逢いに行く方法を考え付いた、それが「離れに籠っての座禅」。嫌がる太郎冠者を身代わりに仕立てておでかけ。
そしてそれを発見した妻が太郎冠者の代わりに衾を被って待っていると、そうとは知らない夫が帰ってきて逢瀬の逐一を妻に語ってしまう、その語りが聞かせどころ。
花子は萬斎で見ていてその印象が強かったのですが、こんなに違うものかと思いました。華やかで芸の細部までの完成を楽しんでもらおうという萬斎。こちらは全体の流れの方を重視している作り。地味な夫が思いもかけない楽しい一夜を過ごしたという雰囲気が伝わって来て「おいおい、聞かせているのは妻だよ」と、よりハラハラします。こっちの方が好きかな。
大曲ということで、物凄く練習するのでしょうが、地でやっているような感じ。
堪能しました。


祝言は猿聟。こんなに長くやるの初めて聞きました。



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by soymedica | 2016-11-03 11:43 | 能楽 | Comments(0)