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Disgraced 恥辱

Disgraced 恥辱 

2016年9月21日19時より@世田谷パブリックシアター
作:Ayad Akhtar アヤド・アフタル
翻訳:小田島恒志、小田島則子
演出:栗山民也
小日向文世、秋山奈津子、安田顕、小島聖、平埜生成

パキスタン出身のイスラム教徒であることを隠し、インド出身と何となく思わせて、ユダヤ系ロー・ファームのパートナーの座を狙う弁護士のアミール。妻は進歩的で自由な考えを持つアーティストの白人エミリー。
妻のキュレーターのユダヤ人画商。その妻は同じローファームの弁護士で黒人。
イスラム過激派として逮捕されている友人の弁護を頼みに来た甥。

アーティストである妻の、偏見の無い、ある意味進歩的で独善的な考え方がすべての均衡を壊していく。

メトロポリタン美術館にある、ベラスケスの「ファン・デル・パレーハの肖像」がモチーフとして上手く(いや、どぎつく)使われています。

というお話だとは少しも知らず、行ったのですが、大変面白かった。
原作の力もあるし、俳優たちの実力も十分。

でも、ここが日本だから、「色々考えさせられるわよね」などと悠長なことを言ってお芝居を見ていられますが、これ、9.11後に書かれた話でNYで上演されている。相当刺激的なのではと思いますが、アメリカでもっとも製作されている舞台となったそうです。なんだかんだ言ってもアメリカのインテリの懐は深い。

ピュリッツァー賞受賞作。

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by soymedica | 2016-09-23 20:59 | その他の舞台 | Comments(0)

能楽堂リレー公演2016 葵上

d0226702_8412492.jpg能楽堂リレー公演2016 葵上


≪2016年9月15日(木)@宝生能楽堂 観世流≫
解説 観世喜正
シテ 遠藤喜久、ツレ 小島英明、ワキ 福王和幸、ワキツレ 矢野昌平、アイ 善竹富太郎
笛 寺井宏明、小鼓 鳥山直也、大鼓 佃良太郎、太鼓 金春國直
後見 観世喜之、坂真太郎
地謡 観世喜正他計6人

≪2016年9月16日(金)@宝生能楽堂 宝生流≫
解説 山内崇生
シテ 辰巳満次郎、ツレ 和久荘太郎、ワキ 森常太郎、ワキツレ 則久英志、アイ 善竹富太郎
笛 熊本俊太郎、小鼓 田邊恭資、大鼓 佃良太郎、太鼓 金春國直
後見 小倉新次郎、小林晋也
地謡 山内崇生ほか6人


週に2日、計4日続けて葵上を見せようと言う野心的な企画。
最初この企画を耳にしたときには5流がすべて参加するのかと思ったのですが、九皇会と宝生流のみの4日間。

最後の2日に行ってきました。
観世流シテは若干地味ではあるものの実力派の遠藤、そして宝生流は人気抜群の辰巳満次郎。続けて観ると、演出の面白さ、流儀による若干の違いが与える印象の違いなどがとても面白かった。
こうなって見ると最初の二日(こちらは矢来能楽堂)に行かれなかったのが悔やまれる。

何といっても解説のうまさでは観世喜正が圧倒的。好きなんでしょうね、しゃべるのが。それにいつもやっているし。
皆で一緒にこれから上演される詞章の一部を声に出して謡ってみると言うのもいつもやっていること。山内崇生は慣れていないためかマイクを切らないで謡ったのにはびっくり。音響の人も困ったでしょうね
二日とも同じ部分を謡ったのですが、観世流の節付けのほうが華やかで滑らかな感じがする。でも、どっちも難しい。

ビックリしたのは見所の入り。二日目の宝生流の辰巳満次郎ってチケットの取りにくい人で、ツレの和久荘太郎も注目の若手なんですが、見所は6割くらいしか埋まっていなかった。観世流は脇正面後方をのぞいてほとんど埋まっていたのに。
やっぱりチケットを売る力って、流儀の力に依存するのでしょうか。

観世流の遠藤はきっちり普通の公演と同じようにこなしていたようです。中入りして緋の長袴に替える演出(小書きはつけていませんでした)。辰巳満次郎はオーソドックスに後見座で面をかえるだけでしたが、一の松の直下の白洲に照明を置いて、シテ柱に絡みついたとき般若の面が下から照らされるという演出を試みていました。見所を暗めにしてあったのはそのせいか。

ワキも、観世流とやった福王和幸は金の入ったかなり派手な山伏装束だったのに対し、森常太郎は地味な縞の装束。
ツレは小島英明の方が華麗でした。和久荘太郎は地味、というかちょっとお疲れモードだったのか。
囃子は観世流とやった組み合わせの方がしっくり来る感じ。二日目の笛に最後まで馴染めなかった。

色々比較すると面白い。同じ流儀の中で連続公演したり、5流で連続公演したりすればいいのにね。
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by soymedica | 2016-09-20 08:42 | 能楽 | Comments(0)

国立能楽堂普及公演九月 伊文字 玉鬘

d0226702_17482052.jpg国立能楽堂普及公演九月
2016年9月10日(土)13時より

解説 「玉鬘」の狂相と悟り 西村聡

狂言 大蔵流 伊文字
シテ(女、通りの者)茂山逸平、アド(主)茂山茂、アド(太郎冠者)茂山千五郎

能 玉鬘 観世流
シテ 浅見重好、ワキ 飯冨雅介、アイ 茂山宗彦
笛 寺井義明、小鼓 幸正昭、大鼓 白坂信行
後見 武田尚浩、野村昌司
地謡 岡久広ほか


解説の西村先生はいかにも真面目な感じ。源氏物語にそって、玉鬘の解説をきちんとなさいました。狂言の解説もかなり意識していらっしゃいました。どちらにも観音様が登場するのですが、「申し妻」「申し子」と言うのは、「観音様にお願いして授かった妻・子」と言う意味だというのは初めて知りました。
玉鬘が女一人で舟を操って川をさかのぼって登場するのは、玉鬘の人生を象徴しているのではないか、などのお話も。


狂言は伊文字。なんだ、千五郎がシテじゃないんだ。逸平、熱演でしたが。
同じ大蔵流でも東次郎家とちょっと型が違うような。



玉鬘。源氏物語ではわき役に近いものがありますが、印象に残る女性ですよね。
ワキ僧登場。トボトボあるくいかにも田舎の旅の僧。謡も曲趣に合っていて優しく主張しない。ふと気付くと岩の多い川を船でさかのぼってくる女が。
寂しげな女、というより何だか真面目な小学生のようなきちんとした女。着付けのせいだろうか。謡は成人女性風なのに姿がミスマッチ。多くの男性をひきつけることを苦にしていたという玉鬘。装束は目立たない紺と水色の地味なもの。竿を手にすーっとやってきます。

僧の無害に見える様子に安心した女は一緒に長谷寺にお参りすることに。道々玉鬘と長谷寺の関係を話します。
地謡も素敵だし、地味なワキが良い味を出しているのですが、どうも玉鬘のきちんとしすぎている感じが…。

茂山宗彦のアイ語り。最初、元気良すぎ!と思ったけれど全体の流れからはあのくらいのテンションの方が良いのかもしれない。

さて、後シテ。脱下げというのだろうか、肩脱ぎして、一筋髪が垂れている(力毛というとどこかで聞いたことが)。そして面も前シテとはガラっと変わっている。こちらの方がいで立ちが躍動的なのはもちろん、動作や謡も惹きつける。浅見重義の良さが出ています。
前シテとの対比が面白い。

地謡も生き生き。囃子がちょっと。御調べの時から笛がわたしの好みでは無いかも、と思ったのですが、やっぱり…。大鼓もタイプではないなー。小鼓は安心して聞ける幸正昭でしたが。

でも大筋満足できる舞台でした。

面は前シテが小面、後シテが友閑作の十寸髪。
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by soymedica | 2016-09-15 17:52 | 能楽 | Comments(0)

銕仙会九月定期公演 楊貴妃 菊の花 小鍛冶

銕仙会九月定期公演

201699日(金)18時より


楊貴妃

シテ 観世清和、ワキ 宝生欣哉、アイ 中村修一

笛 一噌康二、小鼓 曾和正博、大鼓 安福光雄

後見 浅見真州、永島忠侈

地謡 野村四郎ほか

菊の花 

シテ 野村万作、主 石田幸雄

小鍛冶 黒頭

シテ 片山九郎右衛門、ワキ 森常常好、ワキツレ 館田善博、アイ 内藤連

笛 竹市学、小鼓 幸清次郎、大鼓 柿原弘和、太鼓 小寺佐七

後見 観世銕之丞、清水寛二

地謡 柴田稔ほか


楊貴妃の笛が一噌仙幸から康仁に。仙幸さん体調はどうなんだろう。

大小前に宮が出されます。

玄宗皇帝に申し付けられて楊貴妃を探す旅に出ている方士。小柄だけれど悠揚迫らぬ謡の宝生欣哉、蓬莱までやってきました。

蓬莱にも「所のもの」という人がいて、「きれいなお姫様ならあの辺に」と教えてくれる。教科書通りがんばりました、という感じのアイの中村君。

太真殿までやってきた方士。奥から声が聞こえてくる。

考えてみると観世清和のシテを観るのはすごく久しぶり。謡が上手だけれど強い。女性だったらもう少しやさしく謡っても良いのでは。というのも、出だしは客に姿が見えていないわけで、いでたちで女性を想像させることが出来ないのだから。

「玉の簾をかかげつつ」などと謡われるのに今回も初同後半まで引き回しはそのまま。なぜなんでしょうね。

しかし、さすがに観世清和&宝生欣哉、やり取りや同吟が上手い。

そしておろされた引き回し。鬘帯の簾なしの簡素な作りです。

そして感心したのは、観世清和あれだけの声量でありながら、謡の時に冠の飾りがほとんど動かない。

簪を与えたり、連理の枝の話を教えたりと、お話はどんどん進んでいきます。そしていったん方士に与えた簪を今度は実際に頭につけて(渡すときは後見から受け取っていた)舞っていました。

ところで、楊貴妃はオレンジの大口に上は金地に扇の模様かな?遠目でよくわからなかったですが豪華。そして面の肌がそんなに白くないのが装束によく合っていました。

地謡、そんなに悪くはなかったですが、野村四郎、体調大丈夫でしょうか。なんだか顔色が悪かった。

最後は臺止ではないので、いったん宮に入ってから出てきて止めます。そういえば最近いろいろな小書きに挑戦している家元ですが、今回は小書き無しでしたね。

面は増女(作者不詳、観世宗家蔵)



菊の花は茫々頭と同じですね。毎回オチが良くわからないのですが、緒太の金剛が男性生殖器の事だという説を昔読んで何となく納得。その説が本当かどうかは不明ですが。万作、石田のコンビに満足して観ていたのですが、万作さん働き過ぎではないですかね。今の天皇陛下とと同じくらいのお年ですよね。


ワキ大活躍の小鍛冶。ワキツレの方が若いのだが大師匠の森よりも役柄の上では上。「剣を打つように」と帝の言葉を伝える橘道成に小鍛冶宗近は畏まる。しかし困ったことに相槌がいない。久しぶりに見る森、ちょっとお疲れモード?座ったときにどこか痛むのではないだろうか。

地謡が凄く良い。こういう力強く謡うものの方が、しっとりした曲よりも易しいのかな。

はっと気付くと稲穂を持った若者が橋掛かりに。道成寺を思わせる黒地に丸い縫箔の着物。面は(そう思って見ているせいか)、なんだか狐じみた顔の喝食。黒頭の小書きの時は童子ではなく喝食の面になるそうです。

九郎右衛門は声が良い。まあ、シテ方の平均年齢から考えて「若手」に属する貴公子。貴公子らしく奇をてらったところが無く上手。

しかし本当に森はつらそうに見えるのだけれど、いつもあんなだったっけ。今回前の方で見ていたのでいつもは気付かないことも見えるのかもしれないけれど、謡が終わると肩で息をしている。

クリ・サシ・クセと結構詞章は固いのだけれど、歯切れよく進みます。ただなぜここに日本武尊の話が出てくるのか考えているうちに毎回前後のつながりを見失ってしまうのですが…。

「お前は誰だ?」と尋ねられた若者は、「そんなことより剣を打つ準備をしなさい」と言って一の松でちょっとかがむように見えた。そして幕に走り込んでしまいます。ここがカッコイイ。

アイ語りは短いですね。こちらもきっちり。

持ちだされた檀。とっても狭そう。宗近は準備万端。人事を尽くして天命(相槌)を待つってことでしょうか。

ふと気付くと揚幕の前に狐様が(詞章では童男ですが)。

あれ、いなくなってしまった。

と思っているとまた幕が上がって駆け出して来て一の松で見栄を。手が獣じみている。獅子と同じですね。

二人とも壇にあがり、剣を鍛えます。なんか森は若干「よっこらしょ」という感じでしたが。もうちょっと広ければ色々やりようがあるんでしょうね。

ともかく剣に二人の銘を入れて、めでたしめでたし。

剣は狐から宗近に手渡され、最後にずーっとワキ柱のところにいた勅使(今気付いた、お疲れ様でした)に無事渡されたのでした。

面は前シテが大喝食(片山家蔵)、後シテが牙飛出(徳若)






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by soymedica | 2016-09-13 21:52 | 能楽 | Comments(0)

第十一回 香川靖嗣の會 秋 鐘の音 遊行柳

d0226702_17092936.jpg第十一回 香川靖嗣の會 秋

201693日(土)14時より@十四世喜多六平太記念能楽堂

お話 金子直樹

鐘の音

シテ 山本則俊、アド 山本泰太郎、山本則重

遊行柳

シテ 香川靖嗣、ワキ 宝生欣哉、ワキツレ 大日方寛、御厨誠吾、アイ 山本東次郎

笛 一噌幸弘、小鼓 鵜澤洋太郎、大鼓 國川純、太鼓 観世元伯

後見 塩津哲生、中村邦生

地謡 友枝昭世 ほか

遅れて行ったので、解説は聞き逃しました。会場の方は入っても大丈夫とおっしゃってくださったのですが、通路からだいぶ奥の席だと…。

大蔵流の鐘の音は和泉流よりちょっと複雑で、登場人物も三人。金の値と鐘の音を間違うところまでは同じですが、鎌倉で五大堂、寿福寺、極楽寺、建長寺と回ります。寿福寺では金に石を投げて音を聞く、極楽寺では坊さんが鐘を衝くのを聞くなど細部が違うだけでなく、怒った主人をなだめてくれる三人目の男が登場。彼のとりなしで、太郎冠者は鐘の音を聞いた顛末を仕方ばなしにして聞かせるというエンディング。則俊、熱演でしたが前半飛ばし過ぎたのか、最後ちょっとつらそう。でも、上手いな。

遊行柳は初めての演目。あらすじを読んだだけで「これは渋い!」。要するに枯れた柳の精を遊行上人が回向する話。草木の精としても、桜などにくらべて渋すぎる。

大小前に柳を載せた塚が置かれます。

茶系の装束のコンビネーションの立派な数珠を持った遊行上人一行がやってくる。こういうのは宝生欣哉にぴったりという感じがする。欣哉はおもむろに謡いだすのだけれど、脇ツレの二人は斜めから見ていても「もう少しすると謡いだすぞ」と何となく構えるのがわかるのは面白い。

房州から北へ、白河の関に達すると道が分かれている。当然広い道を行こうとすると、向こうの方から老人が呼びかける。「いくら年寄りでももうちょっとサッサとしておくれ」と、呼びかけられてもそんなには早く歩けないくらいの年より。

老人は前の遊行上人が通った古街道を教え、なんと「急がせたまえ旅人」などと言う。

そこには柳の名木があったのだけれど、もう枯れて蔦に埋もれてしまったのだそうな。

前シテも後シテも老人ですから弱々しい謡ですが、香川はこういうのが上手ですね。ただ弱いだけではなく、ところどころに強さが見え隠れするのが美しい謡。

柳にとっても有名人西行に歌をよんでもらったのが人生(?)のハイライトであったらしい。老人の姿をした柳の精は塚の中に消えてしまうのでした。

さて、ここで土地の男の山本東次郎がやってきて西行の話を教えるのですが、寝落ちしてしまい、聞けず。申し訳ないことです。

塚の中から柳の精が登場すると舞台の雰囲気が一変。装束が物凄く凝っていて、双眼鏡でじろじろ見てしまった。薄い地の狩衣は角度によっては光る。紫かな。下に着ている着物はちらっと袖が見えるだけなのだけれど、大きな市松らしく、見える部位によってベージュ地だったり、濃い紫の地だったりする。大口も淡い灰色。こういう地味な色合わせなのですが、白髪と皺尉にとても合う。

そしてこの皺尉が不思議な面で最後まで見るたびに表情が変わると言う...。

地謡がありがたい中国や日本の故事を謡って場を盛り上げます。地謡や囃子が上手く、バランスも上々。

そ老木は若いころをちょっと思い出して元気をだしてゆったりと舞います。あらすじを読んだ時には、「これは序之舞で寝るな」と思ったのですが、舞台の盛り上がりがここにあり、寝るどころではありませんでした。

遊行柳は 田一枚植えて立ち去る柳かな という芭蕉の句や西行などなどとの関係が色々なものに書かれていますが、私がこの句から連想するのは小野竹喬の明るい絵で、ちょっと謡曲のイメージとは違います。でも柳の精も自分の若かった頃を小野竹喬の絵の様な感じで思い出しているのかも。

パンフのデザインが美しくかつ重くなく裏面の解説も読みやすくて素敵。次回は?受付のお嬢さんに聞いてみたら「決まってはいるのですが、私共も詳しくは」とのことでした。


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by soymedica | 2016-09-04 17:18 | 能楽 | Comments(0)