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国立能楽堂九月定例公演 蚊相撲 鵺

国立能楽堂九月定例公演
9月16日(水)18時30分より
正面席 4900円d0226702_00094.jpg

狂言 大蔵流 蚊相撲
シテ(大名)茂山千五郎、アド(太郎冠者)茂山良暢、(蚊の精)茂山正邦

能 宝生流 鵺
シテ 佐野登、ワキ 高井松男、アイ 茂山茂
笛 槻宅聡、小鼓 観世新九郎、大鼓 大倉正之助、太鼓 小寺真佐人
地謡 渡邊荀之助ほか


記録を見ていたらこれを書き忘れていたことに気付きました。あまりに時間が立っているのでメモだけ。

蚊相撲。千五郎と七五三、似てない兄弟だな、と思ていたら年取ったらだんだん似てきた。角度によってはそっくり。二人とも千作みたいになってきた。
まだまだ似るような歳では無い正邦。栄養の良い蚊でした。
相手が蚊の精だと気づいても、やっぱり勝ちたいというほど、相撲は面白い娯楽だったのでしょうね。

太郎冠者の来ていた肩衣の模様が面白かった。笹の衣装にやけにリアルな印象の動物が描いてありました。


。新九郎いがいはあまりなじみのない囃子陣。お調べ聞いてると不安なんですよね。特に笛が。始まってからは普通でしたが、まあ、普通。
高井松男さん登場。歩き方がいつも「この人ご病気かしら」と思わせる。腰帯が面白いデザインだった。
でも、やっぱりこういう演目は宝生閑で観たかったなー。ごめんね、高井さん。

今回のシテの佐野登、おそらく初めて見る人。別にどこが悪いというわけではないのだけれど、選んだ型のせいか、何となくせわしないのに印象に残らない。前場で棹を二回捨てるのはいつもでしたか?そんなに色々盛り込んでどうするの?と思わせる。

宝生流の鵺は初めてだと思うのですが、観世や喜多と受ける印象が違いますね。

面は前シテが怪士、後が猿飛出。
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by soymedica | 2015-09-26 00:00 | 能楽 | Comments(0)

国立能楽堂九月普及公演 貰聟 女郎花

d0226702_9471842.jpg国立能楽堂九月普及公演
2015年9月12日(土)13時より

解説 花と和歌と能 表きよし

狂言 和泉流 貰聟
シテ(舅)野村萬、アド(夫)能村晶人、小アド(妻)炭光太郎

能 金剛流 女郎花おみなめし
シテ 種田道一、ツレ 今井克紀、ワキ 安田登、アイ 山下浩一郎
笛 藤田朝太郎、小鼓 住駒匡彦、大鼓 高野彰、太鼓 桜井均
後見 松野恭憲、宇高竜成
地謡 今井清隆ほか


表きよしの解説は初めて聞きました。あらすじから解説する比較的オーソドックスなもので、聞きやすかった(でも、もっと個性の強い解説の方が好み)。

狂言の貰聟。酒癖の悪い夫に愛想を尽かして夫と子供を置いて実家に帰ってしまう妻。渋い顔をしながらも、「じゃあ」と娘を受け入れる父親。
ところが酔いの覚めた婿が迎えに来ると「娘はいない」という父の陰から娘が顔をだし、「のういとしい人」とかなんとか言いながら父親を足蹴にして、夫と手をつないで出て行ってしまう。

何だか現代でもありそうな話だけれど、後ろのオジサンに凄く受けていました。思い当るところがあるにちがいない。


初めて観る女郎花。初めての曲って何だかやたらに複雑な筋のような気がするのですが、良く考えると、簡単。石清水八幡に行った僧が女郎花の花を手折ろうとすると「それを折ってはいけない」という老人登場。夫の頼風の不実をなじって身投げした妻とその後を追って死んだ夫の話をしてくれます。僧が弔っていると、頼風とその妻の霊が現れる、というそれだけの話なんですが。

登場した地謡陣を眺めると、前列もベテランの風情。見かけを裏切らずなかなか良い。
ワキの安田登。いろいろな方面で活躍している方ですが、ロルフィングが役に立っているのかな、歩き方が綺麗。アイとの問答も感じが良かった。前半、詞章がきれいなので、もっと読み込んで来ればよかったな。

さて、後場、頼風と妻は塚に埋められたのだけれど、そのせいか詞章が求塚を思わせる(突き合わせたわけではないけれど)。中世信仰ではあまりに誰かを好きになると地獄に落ちるらしく、二人も地獄にいるらしい。
ツレの謡が性急な感じで、それがとても場面に合っていました。シテ、あんまり印象に残らなかった、ということはオーソドックスな上手な演技だったのだと思います。

最後、地謡の文句は「邪淫の悪鬼は身をせめて云々」。ここはもう少し力強く謡ってほしかったな。そういうメリハリのつけかたがあんまりないのが金剛流なのだろうか。
この曲と演者、またしっかり観てみたい。

面は
前シテ 三光尉、後シテ 中将(近江)
ツレ 小面
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by soymedica | 2015-09-17 22:01 | 能楽 | Comments(0)

銕仙会定期公演九月 班女 悪坊 阿漕

d0226702_13244191.jpg銕仙会定期公演九月
2015年9月11日(金)18時より@宝生能楽堂

班女 笹之伝
シテ(花子)観世清和、ワキ(吉田少将)殿田謙吉、ワキツレ(従者)則久英志、御厨誠吾、アイ(野上ノ宿ノ長)三宅近成
笛 一噌仙幸、小鼓 幸清次郎、大鼓 國川純
地謡 観世銕之丞ほか

悪坊
シテ(悪坊)三宅右近、アド(出家)三宅右矩、小アド(茶屋)前田晃一

阿漕
シテ(漁翁、阿漕)浅見真州、ワキ(男)福王和幸、アイ(浦人)高澤祐介
笛 寺井久八郎、小鼓 観世新九郎、大鼓 安福光雄、太鼓 小寺佐七
地謡 浅井文義ほか


凄く久しぶりの宝生能楽堂。ここの照明って好きです。
本日は人気のシテということもあり、満席に近い。

まず班女
三宅近成の野上の宿ノ長が気が強そうでなかなか宜しい。
呼ばれて出てくる花子。吉田少将を思い、上の空。最初ちょっと足さばきが気になりましたが、あとはしっかり。しっかりとは言いながら、観世清和、女をやるとき時々足が開き加減になりやすい。本人も気づいているらしいけれど。

扇を交換した吉田少将が戻らないのでぼんやりして働かない花子を、遊女宿の長は追い出す。ここで中入りとなるのだけれど、大鼓の國川が、シテが中入りしたかどうかをかなり横を向いて確認していたのは何故だろう。

入れ替わりにちょっと東北から帰ってくるのが遅れた吉田少将が部下を連れて野上の宿へ。花子と入れ違いになってしまった。しょうがないので京都へ入り、お参りする用事があるので糺の森へ。少将、ゴージャスな昔の色男、という感じが殿田のルックスと声にぴったり。
そこに花子がやってくる。「笹之伝」という小書きはここのところで花子が笹を持って登場することらしい。本日は「肩身の扇手に触れて」で笹を落とし、舞は扇で舞いましたが、笹で舞う演出もあるとか。

一寸戻ると、この後シテの衣装が素晴らしかった。出てきたときにはっとする。金と黄色を基調にしているのだけれど。観世清和はいつも装束の趣味が良い。
吉田少将の部下が「狂女よ、狂って見なさい」と言う。ここから後半、動きが多くて大きくて面白かった。クセのところで橋掛かりまで行って、「欄干に立ち尽くし」で橋掛かりの柱に手をかける。

最後に扇を見せ合って再開を喜ぶのですが、扇って西洋のハンカチみたいな意味合いがあったのでしょうね。
舞台の内容が濃くてお腹いっぱいの班女でした。

面は河内の若女の本面。とても素敵な面ですが、何だか不気味。


悪坊。三宅のおうちの狂言、最近だんだん好きになってきました。いますよね、ああいう迷惑な酔っ払い。


班女と阿漕、どちらも比較的重い曲だけれど、シテが人気者なので、満席に近い。(銕仙会定期は見所にお年寄りが多いので、早く帰りたがる人も多いのですが。)
遠くから旅をしてきたとは思えないパリッとした出で立ちの福王和幸登場。誰もいない浜辺を見渡しているとふっと釣竿を持ったお爺さんが現れる。

聞く気も無いのに口が勝手に動いてこの土地のいわれを尋ねることになる旅僧。田舎の漁師とは思えないほど饒舌な尉は色々語ると消えていく。

不思議な心地がして僧が土地の人に今の話をすると、「それは阿漕の幽霊に違いない」と。ところで高澤祐介、どこの出身でしょうか。ヒとシの発音が不安定で(私としては)好感が持てる。

僧が阿漕のために回向していると、霊が現れます。
浅見真州は時々不思議な演出をしますが、この後シテの漁師の霊、上はしけ水衣ですが、白の袴に腰蓑というニューファッション。漁がしにくそうなんですが…。

ところで、前シテは釣竿を手に、後シテは四手網を手にしていますが、釣りと網、当時の漁師は両方やったのでしょうか。
阿漕はシテ柱のあたりに網を仕掛けて橋掛かりから「魚が入ったかな?」と覗きこむ。これが楽しそうで、悪いとわかっていてもやめられなかったんだな、とわかります。
波が地獄の炎に変わって、「あら熱や、耐えがたや」と言いつつ、顔の前で手を交差させる仕草は初めて見ました。

「丑三つすぐる夜の夢云々」から最後くらいまでは、演者の工夫が切れたのか、こちらの感性が切れたのか、なんだかおもしろくなかったけれど、この「阿漕」がシテの演出心を刺激する曲だという事は良くわかった。

面は三光尉(古元)、霊神(伝 増阿弥)。

本日観世清和と浅見真州見て、両者とも好き嫌いはあれ、謡も仕舞も素敵だと思うのですが、何もしないで「立っている」という演技は観世清和のほうが上だな、と思ったのでした。
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by soymedica | 2015-09-13 13:26 | 能楽 | Comments(0)

日本〈聖女〉論序説

d0226702_20114025.jpg日本〈聖女〉論序説 斎宮・女神・中将姫 田中貴子 講談社学術文庫
2010年9月13日第一刷発行 269頁 920円(税別)

1996年に人文書院より発行された「聖なる女―斎宮・女神・中将姫」の文庫化とあります。

津村順天堂→雲雀山→中将姫→中将湯と連想がぐるぐるめぐる第一章。中将湯って中将姫から来ていたのか(うかつ)。そもそも「血の道」って月経不順の事だと思っていたし。(漢方では更年期のhot flashのことをさす。)
なぜ無垢なる中将姫が下の病の神様になるのかを考察。

第二、三章では斎宮のイメージ:無垢なる聖女、あるいは「いや、本当は淫乱で人里離れたところで凄いことしているんだぜ」と言うような説。いつの時代でも人の妄想って変わらないんだなー。
斎宮とか皇女というのは結婚しない方が宜しいとされていたらしい。確かに愛子様の配偶者を選ぶ、ということに置き換えてもよくわかる議論。

第四章は神は男か女か、という話。葛城の神、三輪明神、などの性別とその変遷について書かれています。

最後に:なぜ女神は信仰されるのか、女神の「神聖さ」とはいったい何なのか―。私がこの問いに本当に答えることができるのは、まだまださきのことになりそうだ。
とあるように、資料を引用して結論を出している本ではなくあれかこれかと逡巡がいろいろあるので、却って素人には読みやすいです。


ところで、漢方で有名なツムラの営業の人も「血の道」って月経不順の事だと思っていました。いまツムラの配っている漢方の手引きみたいな手帳からは「血の道」の記載は無くなった模様。
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by soymedica | 2015-09-05 20:12 | 本・CD・その他 | Comments(0)