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国立能楽堂一月普及公演 禰宜山伏 橋弁慶

d0226702_12491849.jpg国立能楽堂一月普及公演
2015年1月24日(土)13時より
正面席4900円


解説 京の五条の橋の上 「橋弁慶」をめぐる説話 田中貴子

狂言 大蔵流 禰宜山伏
シテ(山伏)善竹十郎、アド(禰宜)大蔵吉次郎、(茶屋)善竹忠重、(大黒天)善竹大二郎

能 観世流 橋弁慶
シテ 武田志房、トモ 武田友志、子方 武田章志、アイ 大倉千太郎、善竹忠亮
笛 藤田朝太郎、小鼓 曽和正博、大鼓 安福建雄
後見 武田宗和、武田尚浩
地謡 角寛次朗ほか


まず、田中貴子先生の解説から。髪の毛にちょっとメッシュ入れられましたね。五条通はいまの五条ではなく、現在の松原通りだとか、お母様が歌っていらした「京の五条の橋の上」の英語の替え歌(爆笑)とか。ところで、千人切りをしたのは弁慶だったのか、牛若だったのか、そう言えばどっちだ?弁慶はゆかりのある寺の再建のために具足1000を奪う計画だったとか、牛若は義朝の供養のためにやっていたとか…。色々蘊蓄を教えていただきましたが、皆さん、「丑のこく詣で」ではなくて正しくは「丑のとき詣で」だそうですよ。


禰宜山伏、なんと出だしに囃子付き。どうもこの善竹、大蔵家の年寄り軍団にはついて行けない。次の世代は良いんだけれどな。それにこのお家の芸はもう少し狭い会場向きかもしれない。国立はかなり大きいですからね。


橋弁慶はお爺ちゃんと孫の組み合わせが多い。しかし、武田のおじいちゃんは弁慶と言うには余りに年とっているイメージ。お歳は実際にはそんなでも無いし、動きも良いのだけれど、たれ目のお顔に頭巾、というので損をしている。

ともかく、弁慶登場。(囃子無しで出てくるのだけれど、字幕には『名乗り笛』と出てくる。)丑の刻詣での最終日。従者が、通り道の五条の橋では12,3、歳くらいの子供が人斬りをしているからやめたほうが良い、と。言われていったん思いとどまるのだけれど、それでは名折れ、と出かけていく。何となく上品なお年寄りの弁慶で心配です。御つきのものに任せておいた方が…。

と、人斬りからからくも逃れた男登場。それを「背中が切れてるぞ」とからかうもう一人。これ、同じパターンが烏帽子折れにも無かったでしたっけ。からかってはいるけれど、昔の夜の闇の中、人斬りに逢ったら怖いだろうな。

さてさて、牛若登場。子方も橋弁慶をやるくらいになると、安心して見ていられます。謡も上手、チャンバラも上手。そしてなかなか気品がある。
前場でちょっと年寄りすぎか、と思われた弁慶。後場ではいささか上品すぎではあるものの、ちゃんと切れのある動き。橋掛かりまでつかって二人とも大活躍でした。
お互い名乗って、めでたしめでたし。

何回か橋弁慶、観たのですが、こんな簡単で短い曲でもそれぞれに個性が出て面白い。
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by soymedica | 2015-01-29 12:51 | 能楽 | Comments(0)

茂山狂言会 猿聟 蚊相撲 犬山伏

d0226702_8252131.jpg茂山狂言会 狂言動物図絵
2015年1月17日(土)13時より@セルリアンタワー能楽堂
正面席

解説 茂山千三郎

猿聟
聟猿 茂山正邦、舅猿 茂山千五郎、太郎冠者猿 島田洋海、嫁猿 茂山茂、
眷属猿 茂山一平、井口竜也、鈴木実、松本薫

蚊相撲 
大名 茂山七五三、太郎冠者 茂山宗彦、蚊の精 松本薫

犬山伏
山伏 茂山千三郎、出家 茂山茂、茶屋 茂山逸平、犬 鈴木実


解説の始まる前に新しい本の宣伝。今回ロビーで既に予定冊数100冊売りきったとかで一本締め。会場大爆笑。
そして千三郎の解説。猿婿は嵐山の替え間だそうで、会場でも見たことのある人は少数。「セリフが無いんですよね」というのは半分本当だった。
犬山伏は復曲だそうで、禰宜山伏とほぼ同じ、という説明が。
では、と切戸から引っ込んだと思ったら、あれ、また戻ってきちゃった。「出演者の大半がまだ人間でございまして…」と、解説始めたところで「いいよー」の相図。これまた会場大爆笑。


猿婿。舅猿が登場して「今日は婿入りだ、太郎冠者に命じて準備させよう」と説明する。そのあと、「太郎冠者おるかー」「おまえに」「ねんなう早かった」のところは全部「きゃきゃきゃ」「きゃきゃきゃきゃきゃ」………。それでも千五郎は千五郎なのが不思議。

新婚のカップルと婿入りにお供してきた眷属猿たち。お土産は鯛や酒、そして先ほどロビーで売っていた本。これも「きゃきゃきゃ」の応酬。めでたく酒を酌み交わし、肴にひとさし舞おう、といくつか舞を披露。もちろん謡の部分は人間の言葉でした。ただ、これだけの筋だったのに面白かった。舞も謡も堪能できるし、お目出度いし、新年向きですね。

解説で「面はかけていても嫁猿は可愛く、そして松本の猿は田舎っぽく」と言っていましたが、松本薫だけ猿の面では無くて堅徳の面だったような…。

休み時間にロビーにお猿さんが一匹。サインしたり、「きゃきゃきゃ」とお礼を言ったり、写真のモデルになったり、忙しい。


蚊相撲は以前和泉流で見ているのですが、ちょっと違う。連れてきた相撲のものが蚊の精だと気づくのが早いのと、あおぐのが和泉流は大団扇ですが、こちらは普通の扇子。そして刺し口を抜いてしまい大名の勝ち!となります。テンポが良くて面白い。


最後は犬山伏。確かに禰宜山伏と設定は全く同じ。茶屋で鉢合わせした気弱な禰宜と横暴な山伏。山伏が荷物を持て、と命令するのを仲裁役の茶屋の主人が、では「あの犬を手なずけた方が荷物を持たせることにしよう」と。犬を手なずける言葉を禰宜に教えて…、というもの。禰宜山伏の時も山伏は千三郎だったが、はまり役。大いに笑いました。
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by soymedica | 2015-01-20 08:27 | 能楽 | Comments(0)

国立能楽堂一月定例公演 成上がり 山姥

d0226702_17364350.jpg国立能楽堂一月定例公演
1月16日(金)18時30分より
正面席4900円

狂言 大蔵流 成上り
シテ(太郎冠者)山本則秀、アド(主)山とすりかえられて本則孝、(すっぱ)山本則重

能 金剛流 山姥 白頭
シテ 豊嶋三千春、ツレ 豊嶋晃嗣、ワキ 工藤和哉、ワキツレ 則久英志、大日方寛、アイ 山本泰太郎
笛 藤田六郎兵衛、小鼓 鵜澤洋太郎、大鼓 河村大、太鼓 小寺佐七
後見 宇高通成、豊嶋幸洋
地謡 金剛永謹ほか


お正月は連休まであちこち出かけていたので、今年初めての能楽堂です。ちょっと遅れて行ったので狂言は観られませんでした。どうやらすっぱに太刀を盗まれ、杖竹にすり替えられてしまった太郎冠者が主人に言い訳をする話らしい。


 松風共に吹く風の、声澄み渡る谷川に、手まづ遮る曲水の、月に声澄む深山かな。

山姥は実に何回も見ている曲。百魔(金剛流ではこう書くらしい)山姥という美しい芸人の一行登場。お供の工藤、またさらに年取った感じ。親の十三回忌に善光寺参りをしようと、越中と越後の国境に差し掛かった一行。百魔山姥は若いだけあって(?)何となくセリフが性急。緩急がないのかな。どの道を行こうか考えて里人に聞くと、大変ではあるけれど上路越えがご利益があるだろうと言われ、そこを通ることに。

するとにわかに日が暮れて途方にくれる一向に「お宿を貸そう」という親切な女登場。あんな、幕の奥の方からおどろおどろしく声をかける女について行ってはいけないよー。この女、所作の感じからはかなりの年よりらしいのだが、髪が黒々していて何となく妙。姿勢も前傾姿勢というよりは亀背なんだけれど…。

ここでふと気づいたのだけれど、シテは右膝を立てて座っているのに、ツレは左膝をたててすわっています。金剛流ってそうなの?

ついて行ったらこのおばあさん、百魔山姥に向かってお得意の山巡りをやってみせよ、という。私こそは真の山姥なのに挨拶が無いじゃないの、というわけ。ここのところのシテのばあさんの言葉が大変に綺麗。聞きやすいしテンポが良い。
この山姥にさからったらまずいだろう、と百魔山姥が考えていると、「ちょっと待ってなさい、本当の私の姿を見せるから」と言って山姥は消えてしまう。

そこで一行が先ほどの里人に山姥とは何か、と尋ねると、それは「ドングリに木の葉のくっついたものだ」とか「野老(ところ、山芋の事)が長雨の後に山姥になるのだ」とかはては「家が腐って柱が残り、木戸が山姥になるんだ」とか適当なことを言って、怒られる。

いよいよ山姥が真の姿となって表れる。この山姥の面、なかなか素敵。そして前シテの姿とは打って変わって動きにキレがある。やっぱりあのヨボヨボぶりは演技だったのだと思うけれど、だったらあの黒々した髪の毛はちとミスマッチ。前回この人を観た時には後半息切れしたようだったのですが、今回は全然違う。一の松で謡ってからイロエ、その後の謡が素晴らしい。
最後の舞働きのあとでもしかして詞章を間違ったのではないかな。あれっと思ったら後見が若干動揺していたので(笑)。
それがあっても素晴らしかった。

最後一の松のところで欄干に足をかける型が面白かった。最後幕は巻き上げ、長い半幕で名残惜しげに去っていくのでした。

面は:
前シテ 曲見、後シテ 山姥、ツレ 小面
作者は示されず。
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by soymedica | 2015-01-18 17:39 | 能楽 | Comments(0)

太郎冠者・山伏行状記 野上豊一郎

d0226702_82906.jpg太郎冠者・山伏行状記 野上豊一郎 檜書店
2002年10月26日第一刷
205頁 1300円+税

解説にありますが、「太郎冠者行状記」は既に一度昭和21年に出版されたもの、「山伏行状記」は死後原稿のまま発見されたもの、それに雑誌「文学」に掲載された「狂言の風刺と諧謔」を入れて一冊にしたものです。
太郎冠者、山伏を一人の人と見て、色々な有名狂言のお話をつなげていくと行った解説本です。冠者とは何か、山伏とは何か、ちょっとした時代背景の説明などがあって、楽しく読めます。
狂言を良く見る人は「ああ、あそこの場面がこんな風に文章になっている」と楽しめますし、あんまり見ない人は見たくなりますよ。

最期の「狂言の風刺と諧謔」に「釣狐」と対比されて出てくる「狸腹鼓」、なるほどね。
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by soymedica | 2015-01-07 08:30 | 本・CD・その他 | Comments(0)