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山崎正和 世阿弥

d0226702_15333798.jpg世阿弥 山崎正和 新潮文庫
昭和49年12月15日印刷

山崎正和に世阿弥を扱った著作があるということを知ってアマゾン検索して中古で買ったのがこの本。買うまで戯曲だとは知らなかった。なぜか文明評論だとばかり思っておりました。岸田國士賞を受けた作品だったのですね。失礼しました。

足利義満の全盛期の時から、晩年佐渡に流される直前までの世阿弥を主人公とした戯曲です。光でも暗闇でもなく、「影」として芸術をつらぬいた世阿弥、というテーマらしいです。
調べると21世紀になってからも上演されており、結構評判が良かったとか。字で読むとあまりに観念的すぎていささか辟易しました。

また舞台になったら、見てみたいですね。
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by soymedica | 2014-12-29 15:34 | 本・CD・その他 | Comments(0)

第十五回一乃会 塗師平六 道成寺

d0226702_11185144.jpg第十五回一乃会 道成寺
2014年12月20日14時より@国立能楽堂
脇正面


お話 林望

仕舞
野宮 観世喜正
 観世喜之

狂言 塗師平六
シテ 野村萬斎、アド(師匠)野村万作、(妻)高野和憲
地謡 石田幸雄ほか

能 道成寺 赤頭
シテ 鈴木啓吾、ワキ 森常好、ワキツレ 森常太郎、館田善博
アイ 深田博治、竹山悠樹
笛 竹市学、小鼓 観世新九郎、大鼓 亀井広忠、太鼓 観世元伯
後見 永島忠侈、遠藤喜久、永島充
地謡 長山禮三郎ほか
鐘後見 観世喜之ほか、狂言鐘後見 野村萬斎ほか


ちょっと遅れたので、お話の途中から。
林望って物凄いお金持ちの息子で、慶応はそのお金を目当てに「斯道文庫の教授にしようか」と考えたくらいだ、という話を聞いてじーっと見るとなるほどお坊ちゃまぽい。

塗師平六、皆良かったとは思うのだが、これは脇で観るものではないな、と。で、道成寺も今までは正面からだったのでどうなる事かと思ったけれど、意外にこれは面白かった。

後見が橋掛かりに出てきて切り火。わりとせわしなく長いことやっていた。引っ込んでからも御調べの間中やっていた。

鐘をかついだ4人の狂言方登場。身長に高低差が無いのに、やたらに大変そうな顔をした人と、そうでもない人と、皆つま先立になってがんばる。そういえば装束をつけないときには足袋は白足袋なんですね。一度シテ方の鐘後見も長袴というのを観たことがあるけれど、今回は鐘後見は全員普通の袴。

さて、鐘供養をするぞよ、女人禁制だぞよ、と言っているのにすぐに騙されて白拍子を入れてしまう深田&竹山(いかにもやってしまいそうな二人組ではある)。尚、女の面は古そうだけれどもとても品が良い。
前に「あまり印象に残らない」と書いた鈴木啓吾だけれど、今回もすらーっとした謡。自己主張が無く本に忠実というイメージ。きっと真面目な性格なんだろう。
何となくこの女なら境内にいれても大丈夫なのでは、と思わせるところあり。

舞をみせてあげましょうねー、と烏帽子をかぶる。後見座で後見の助けを借りてかぶるところがとてもよく見えたのだけれど、シテのクビが閉まってしまうのでは?!と思わせるほど永島が力を入れて顎紐を縛っているのがみえて面白かった。動きに強く、かつ簡単に脱げる、という縛り方にはコツがあるのでしょう。

花のほかには松ばかり…と珍しく地謡前後列で扇を取り上げるタイミングが大きくずれる。脇でみていると妙なことが気になるものです。
乱拍子、わりと前の方の席だったので力が入っているのが良くわかる。面白いし、綺麗。これは正面だろうが脇だろうが前の席方が良いかも。時々「いつまでやってるんだ?」と思われる乱拍子があるけれど、この人のは良かった。

いよいよ鐘入り。良いのだか悪いのだか、(きっと良かったのだと思う)結構乱拍子で楽しんだので前場は満足。
橋掛かりで能力二人が驚いて転げまわる。竹山悠樹って近くで見るとハンサム。それはともかく、「誰が女を入れたことを申し上げるか」でもめた挙句、深田がご報告。正直に告白して胸がすーっとした、というのだが、わりとパターンとしてこなしていたような感じ。深田にはもう少し期待したのだけれど。

森常好が道成寺の恐ろしい話を打ち明ける。こんな恐ろしい話を聞かされているのに、ワキツレ二人がじーっとして大した感想も述べないのは一体どういうことであろうか、と思わないのかな、皆。もうこの道成寺を数百回やっているであろう森常好。芸談を聞いてみたい。

そしていよいよ祈りにこたえて鐘が上がります。一度ちょこっと鐘をあげてチラ見せするのがとても怖い。いよいよ蛇女登場。後見、ちょっと手際が悪いな。
ともかく、出てきた蛇女、若干おとなしめではありますが、なかなかの動きで簡単には祈り倒されない。最後の幕入りの時にも弱っている様子は無く、また何年か後にはやってくるのでしょうね。

わりとさらさらと演じられた蛇女でしたが、素敵でした。この人、結構気に入りましたよ。次回の藤戸も行ってみよう。
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by soymedica | 2014-12-25 12:17 | 能楽 | Comments(0)

国立能楽堂十二月定例公演 塗付 葛城

d0226702_21232456.jpg国立能楽堂十二月定例公演
2014年12月19日(金)18時30分より

狂言 和泉流 塗付
シテ 野村万蔵、アド 小笠原匡、野村太一郎

能 観世流 葛城
シテ 角寛次朗、ワキ 工藤和哉、則久英志、野口能弘、アイ 吉住講
笛 一噌仙幸、小鼓 飯田清一、大鼓 柿原弘和、太鼓 梶谷英樹
後見 木月孚行、藤波重彦
地謡 武田志房


塗付は初めて見る演目。万蔵と太一郎、何となく似ている。従兄弟でしたっけね(*)。解説には「漆の工程がよくわかります」と書いてあります。烏帽子がみすぼらしくなったので新年を迎えるにあたって塗りなおす話。スピード仕上げに引かれて頼んだら、ふたりの烏帽子がくっついてしまう。本人たちも困るけれど塗師も困る。と、囃子が登場してそれにのって、くっついた帽子を無理やりはがす、というナンセンスコメディー。おめでたいし、年の瀬の話だし今年最後の定例公演にぴったり。


葛城は良く出る演目ですね。笛の一噌仙幸、あんまり注意して聞いたことが無かったのですが、音が小さいのに綺麗。綺麗に枯れるとはこういう事か。
山伏が雪に振り込められていると、地元の女が「大変でしょう」と自分の家に誘ってくれる。この時の地謡の詞章がとても綺麗。

  肩上の笠には無影の月を傾け、担頭の柴には不香の花を手折りつつ、かえる姿や山人の、傘も薪も埋もれて、ゆきこそくだれ谷の道を

さて、いつもどこか悪そうな感じのするワキの工藤。今回はやたらに息継ぎが多いのですが。シテとの同吟のところも何となく合わなかったのが残念。

村人が山伏に「あなたの会ったのは葛城の女神ではなかろうか」と語る。この人だけが何だかつやつやと若い。語りも元気。なかなか良かった。

いよいよ女神登場。なぜか橋掛かりでの歩き方がおぼつかなかった。装束のせいだろうか。赤の大口に紫と金の長絹。新品なのだろうか、袖に張りがあって豪華。今回は作り物がでなかったけれど、この衣装を作り物の中で着替えるのは大変だろうな。

見るうちにだんだん好きになる曲です。

面は前が曲見、後が増。



*伯父甥であるとのご指摘いただきました。
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by soymedica | 2014-12-23 21:26 | 能楽 | Comments(0)

銕仙会青山能12月

d0226702_11225644.jpg銕仙会青山能12月
2014年12月17日(水)18時30分より@銕仙会能楽研修所

仕舞 
忠度
 馬野正基
玉鬘 安藤貴康

狂言 八幡前
シテ(聟)大蔵基誠、アド(舅)善竹十郎、(教人)善竹富太郎、(太郎冠者)大蔵教義

能 歌占
シテ 長山桂三、ツレ 青木健一、子方 長山凛三
笛 一噌隆之、小鼓 幸正昭、大鼓 原岡一之、
地謡 西村高夫(6人)


前二回はぎっしりと座布団の敷いてあった銕仙会研修所。今回はちょっと畳が見える。今度はベンチシートを試してみよう。

狂言は八幡前。萩大名と同じような筋立てだけれども、こちらは金持ちに婿入りしたいバカ男に親切な人が指導するが、あまりのバカぶりに逃げ出してしまうというもの。「いかばかり神も嬉しと思すらん八幡の前に鳥射るたてたり(鳥居たてたり)」というちょっとした歌を覚えさせようとするが…。
なかなか面白かった。大倉基誠、善竹富太郎も上手でした。ただ、もっと大きいホールで後ろの方で見たときに届く芸ではないような気がする。


歌占は地味な演目なのですが、ちょっと好き。シテがあやしいところが面白い。
大鼓がやたらに掛け声が大きく若干犬の遠吠えに聞こえるのがちょっと。

さて、子方を連れた男登場。観たことのないワキだな、と思ったらツレだった。そうそう、上掛はツレがやるのですね。眼光鋭い方です。この男と子供ってどういう関係なのか説明のせりふは無かったような。

白髪の神人登場。緑の大口。全体に不思議な雰囲気が出ています。なんで若いのに白髪か?と聞かれて「にわかに頓死す」、そして目覚めたら白髪になっていた、と。下掛ではもっと説明があるそうですが、上掛のこの唐突な感じも捨てがたい。

そしていよいよ占い。弓につけた短冊の歌を読み、それについて神人が解釈を加えるという形式。そういえば前の狂言も「弓」(こちらは当たらない)が題材だったし、弓つながりですね。

ツレがまず短冊をひきます。で、ツレの父親について占うのですが、ここのところは筋立てと全然関係ない。占いの面白い風俗を観客に楽しませるための部分らしいのですが、私には冗長に感じられたし、きっと演者もそう思っている…。

いよいよ子方がくじを引き、親子の再開となります。シテと子方は実の親子なので、練習もたくさんできたのでしょうね。息がぴったり合っていました。前にも思ったのですが、この子方は上手だし、言われてやっているのではなくてちゃんと演技している。(パパよりハンサムだと思う)。

そして「これが最後だから」と、自分が見てきた地獄の様相を舞います。ここのところの謡の文句が非常に面白い。歌占の詞章を持っていないのが残念。喜多流のは国立能楽堂のプログラムのバックナンバーにあるのですがね。

地謡も良かったし、迫力のある舞台でした。大鼓がちょっとねー。
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by soymedica | 2014-12-21 11:25 | 能楽 | Comments(0)

銕仙会定期公演十二月 通小町 千切木 殺生石

d0226702_22345698.jpg銕仙会定期公演12月
2014年12月12日(金)18時より

通小町 かよいこまち
シテ 馬野 正基、ツレ 長山桂三、ワキ 殿田謙吉
笛 一噌 隆之、小鼓 観世新九郎 大鼓柿原崇志
地頭 山本順之

千切木 ちぎりき
シテ 野村 萬斎、アド(当屋)深田博治、(太郎冠者)月崎晴夫、(当屋)竹山悠樹、中村修一、内藤連、岡聡史、(妻)高野和憲

殺生石 せっしょうせき
シテ 観世淳夫、ワキ 則久英志、アイ 石田幸雄
笛 藤田貴寛、小鼓 鳥山直也、大鼓 安福光雄、太鼓 梶谷英樹
地頭 観世銕之亟


寒くなってきましたね。なぜこの季節に通小町を続けて観ることになったのか。ま、綺麗な曲ですけれど。

ワキの殿田。最近とてもノッテいる人。謡が素敵、と思っていたら大鼓の出だした今一つ。後半持ち直しましたが。
修行をしていると毎日来る人がいる、名前を聞いてみようと。
そこにちょうど当の美女登場。この人、中年女性ということだけれど、とても綺麗。
木の実問答の詞章ってきれいだな。

ちょっと眠くなってぼーっと見ていたのですが、本日のシテ方の出来はツレ>シテ>地謡の印象でした。ツレがシテを食っちゃあいけませんよね。
面はシテが近江作の痩男、ツレが北沢耕雲作の若女

千切木は前に東次郎で観ていて面白い曲だな、と思ったのですが、今回はまた間抜けな亭主の野村萬斎とわわしいけれども夫を愛している高野和憲妻、という絶妙の組み合わせ。実は我が家のトイレのカレンダーの写真が同じ組み合わせの石神。
嫌われ者の太郎を誘わずに連歌の会を始めたら、誘いもしないのにやってきて煩い。ということで皆で太郎を踏みつけに。
「けんかに負けたなんてみっともない、この棒持ってやっつけてきなさい!」と言われ、本当は気が弱くてそんなことしたくない太郎は嫌々出かけていく。皆は居留守をつかうので、安心。在宅ならばさんざんに打ち負かしてやるものを、と妻に自慢して「あらー、あなた素敵」と、めでたしめでたし。


殺生石は好きな演目です。派手だし。囃子が若いなーとおもってふと横を見ると、なんだかこれ以上にないくらいに力の入った地謡陣。凄く良かったです。

玄翁道人がやってくる。ベビーフェースの則久英志ですが声はどでかい。鳥が傍に落ちる不思議な石を見ていると怪しい女が近づいてくる。銕仙会次世代トップと決まっている観世淳夫。荷が重いだろうけれど、これだけ経験を積ませてもらうとうまくなるのも速い。教えられたとおりにきっちり女をやっています。10年この調子でやっていくと大化けしそう。後見に座っている野村四郎あたりがしごいているのだろうか。

女は、その石は玉藻前の執心が固まったものだと言い、自分こそがその玉藻前だと言って消えてしまう。消えるところはかっこよく消えましたが、そのあとアイ語りのとき石にさざ波がたつのはいただけないと思います。

何でも知っている小賢しい能力がとうとうと殺生石のいわれを語ります。さすが石田幸雄。今回ワキとアイの装束の色がかぶってしまったのは残念。前もって相談しないのかな、メールとかで。

石から狐(別に頭に狐をのせているわけではありませんが)のお化け登場。この割れ方が何となく凝っていて面白い。蔓桶に座っている化け物を割れ目から少しの間見せる方式。最後に大きく割れて後シテ登場。
若くて勢いの良い囃子と上手な地謡にのって、さすが若者切れが良い。楽しませてくれました。
この人、変声が上手くいっていないか、発声に無理があるか。一度プロ(謡ではなく発声の)に見てもらった方が良いと思いますが、能の人はそんなことしないでしょうね。でも、そのうち声帯ポリープになるよ。

地謡前列の谷本・安藤の二人はちょっと頑張っていて注目しているのですが、この二人、扇をとるときにもあまり姿勢が乱れず、さすがだった。宝生閑もほめてくれるのでは(どこかであまりにはっきり座りなおす地謡は『見苦しい』と言っていたから)。

面は前シテが近江作の萬眉、後シテが中村直彦作の牙飛出。
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by soymedica | 2014-12-16 22:39 | 能楽 | Comments(0)

能への扉 vol.2  天鼓

d0226702_1793858.jpg能への扉vol.2 ひろがる 幽玄の世界 in 表参道
2014年12月6日(土)14時より@銕仙会能楽研究所
5000円

仕舞 白楽天
観世銕之丞

天鼓 弄鼓之舞
シテ 谷本 健吾、ワキ 大日方寛、アイ 野村太一郎
笛 八反田智子、小鼓 田邊恭資、大鼓 大倉慶乃助、太鼓 観世元伯
後見 安藤貴康、山崎正道
地謡 関根知孝ほか計6人


30分ほど前に行って正面席やっとのことでゲット。前回よりだいぶ人が多い。それもジーンズ姿の若者や解説片手のお嬢さんなどが多くて良い感じ。
ただし、(私も含め)現代の日本人は能楽師以外は正座というものができないのだから、もう少し余裕をもって席を考えた方がよいかもしれない。

仕舞。いきなり能から、というのもなんだから、そしてお師匠さんが花を添えてくれるのだから、というものかもしれませんが、必要かなー。

とてもきれいな鼓が出されます。ちなみにパンフレットの絵はなんとボールペン画だそうです。

いかにも(日本人の考える)中国と言った感じの派手な服装の臣下登場。天鼓の物語を語り、これから父の王伯を呼びに行くところだ、と語ります。大日方はいつも上手ですっきりした感じですが、どうも力いっぱい過ぎて…。要所要所で緩めても良いのでは。それともほかのワキ方と比べて若いからそう感じるのか。
そして八反田さんの笛がすっきりしているので、「若い舞台だなー」という印象が強まります。

呼び出されてお爺さん登場。あれ、谷本健吾ってこんなに小さなひとだったっけ、と思わせる老けぶり。呼び出されて皇帝の前で鼓を打つ。誰もならせなかった死んだ息子の鼓、なのに自分が打つと鼓が鳴る、それが悲しい。


使いの者に送られ、家に帰る。ここのところ、アイと何となくタイミングが合わなかったような印象。
このアイの装束が可愛い。狂言の「中国」って磁器の絵付けのようなイメージ。

そして天鼓が登場。後シテの謡は前シテのときよりも明らかに若い感じで、いかにも無邪気な少年の霊という感じが出ていました。そして軽やかな舞が明るい。
昔どなたかが、天鼓は帝に殺されたことに一言も恨みを言わずに明るく舞うのが不思議である、と書いていらっしゃいましたが、確かに底抜けに明るいのびのびした舞で楽しめました。衣装も金、白、黄色、紫と軽やかで華やか。

天鼓は比較的上演回数が多いようで、能楽師が好きなんだな、と思っていましたが確かに前後の対比や後場の所作など見どころが多いし、楽しい曲ですね。
今回も楽しめました。囃子も軽やかでした。最近私の中の注目株は小鼓の田邊。若いのによく見かけるという事は、評価されているのでしょう。

こういう会は「多く演じて上手くなりたい」「多くの人に知ってもらいたい」という目的で開かれるのだと思いますが、色々なタイプの曲に挑戦して楽しませてほしいものです。
野守、とかどうかな。

来年は12月5日 葵上 だそうです。
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by soymedica | 2014-12-09 17:11 | 能楽 | Comments(0)

第八回 広忠の會 三番叟 山姥

d0226702_11182557.jpg第八回 広忠の會
2014年12月2日(火)17時より@銕仙会能楽研究所 
8000円

狂言 三番叟
シテ 野村萬斎
笛 一噌幸弘
小鼓 大倉源次郎 鵜沢洋太郎 田邉恭資
大鼓 亀井広忠

一調 桜川
謡 金剛龍謹
大鼓 亀井忠雄

能 山姥
シテ 大島輝久、ツレ 佐々木多門、ワキ 森常好、ワキツレ 館田善博、森常太郎、アイ 野村萬斎
笛 一噌隆之、小鼓 成田達志、大鼓 亀井広忠、太鼓 大川典良
地謡 粟谷能夫 出雲康雅 粟谷明夫 長島茂 友枝雄人 金子敬一郎 内田成信 友枝真也
後見 塩津哲生 狩野了一


30分前に表参道の駅に降り立ち、早く着いたな、と思ったら甘かった。開場直前で長蛇の列。通行人が何事かと見ていく。

萬斎の三番叟。これ目当てに来た人もいるらしい。舞囃子形式だけれど、ちゃんと鈴之段もある。紫の袴ということで何となく正式感あり。

直前にTVで万作の三番叟を観ていたのでその対比が面白かった。萬斎も年取るとああいう風に枯れていくのかな。そして、鈴之段の直面というのも面を切るところとか面白い。ダンスの面白さ。パンフレットの中で広忠が萬斎との三番叟を大事に思っていると書いていたけれど、そういえば私は萬斎―広忠の組み合わせ以外の萬斎の三番叟を観たことが無い。

広忠は薄い色の着物だったのだけれど、ひどく汗をかいているのがわかって、力入っていたなー。
途中で共産党の宣伝カーがけたたましい宣伝をしながら流して行った。こんな場所で熱心に宣伝活動しているから票が伸びないんだよ、と心の中で毒づいていました。


そして一調。金剛龍謹、いつ見てもエキゾチックなハンサム。亀井パパは着物のあわせを何か金属で止めていたように見えたのだけれど…。


休憩の後亀井広忠の挨拶があり、それによると一番の客は10時から並んでいたということ。どうやらそれは萬斎ファンであったらしく「萬斎さんの出が終わっても帰らないでくださいね」と会場の笑いを誘っていました。
で、亀井広忠は大変に暑がりなので会場の暖房は三日間とも使用していなかった、と。それ、前もって言っておくべきじゃなかったの??先日の梅若なんかお年寄りはとても気の毒だったけれど。前もって知っていればやりようもあるだろうに…。自分の芸術を追求すると同時に舞台芸術ではお客さんの事も考えなくっちゃね。


大島輝久の山姥。なぜか本日はワキ一同の調子が今一つだった。
それはともかく善光寺参りする百ま山姥の一行がどの道で行くか、と地元の人に聞き相談した結果、足元は悪いけれど上路を行こうと決定。
歩いて行くと急に暗くなり、泊まらなくては、という事に。そこにいかにも怪しい「のうのう」という声が。赤ずきんちゃんとかヘンゼルとグレーテルとか、森の中には危険がいっぱい、と連想してしまいますよね。

さて、あなたは百ま山姥ですよね、から始まる本当の山姥の長い科白、おどろおどろしくて良かったです。そして百ま山姥は震え声で「もしやあなたは本当の山姥??」というと、そうなのよー、とぐるぐる回って消えてしまいます。

と、また明るくなる。百ま山姥の一行が地元民の萬斎に「山姥とはなんだろう」と聞くと、この人は聞かれたら知りもしないことを答えるラテン系で、荒唐無稽なことを言いだす。最後に「山姥は古い木戸が化けたものでは」と言いだすと、ずーっと不愉快な顔をして聞いていた森常好がぴしゃりと「そりゃちがう」。

ところで、本当にアイが終わったら帰る女性あり。40代後半だと思われるオシャレな女性だったけれど、この人のスマホの振動が響き渡るわ、演能中にLINEやるわと迷惑な人だった。別に萬斎の出が終わったから帰るのではなくてLINEのメッセージに呼ばれて帰ったみたいですが…。

それはともかく後シテ登場。花が中に描かれている大きなウロコ模様の装束で、裾の方は色がぼかしてあるという凝ったもの。白頭が灰色がかっている。

型がとても綺麗。観ていてうっとり。若いのだからもっとグイグイ押しても良いかもしれない。最初の満載のエネルギー爆発があったので、余計におとなし目に感じられました。でも喜多の人気若手というのも納得。頑張ってほしい。

謡は豪華メンバーの割に(期待ほどには)良くなかった。

三の松で終わりになってめでたしめでたし。


パンフレットの作り方とか(三番叟が舞囃子形式であるとの記載が無かったり、初日から配っていた豪華パンフレットの本日の開演時間が間違っていたりとか)何だか素人くさいところはありましたが、楽しめました。

来年は12月22日(火)青山の銕仙会で味方玄の定家だそうです。
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by soymedica | 2014-12-07 11:21 | 能楽 | Comments(0)

第六回 広忠の會 木六駄 朝長

d0226702_2146956.jpg第六回 広忠の会
2014年11月29日(土)14時より@梅若能学学院会館
8000円

舞囃子 芭蕉 山井綱雄
笛 杉信太朗、小鼓 飯田清一、大鼓 亀井忠雄

木六駄
シテ 山本則重 アド山本則孝、山本則秀、山本凛太郎

朝長 三世十方之出
シテ 坂口貴信、ツレ 谷本健吾、トモ 林宗一郎
ワキ 宝生欣哉、ワキツレ 大日向寛 御厨誠吾
アイ 茂山逸平
笛 杉信太朗、小鼓 飯田清一、大鼓 亀井広忠、太鼓 小寺真佐人
地謡 片山九郎右衛門 梅若紀彰 観世喜正 山崎正道 坂真太郎 観世淳夫 川口晃平 大槻裕一
後見 観世清河寿 清水寛二 山中迓晶


初めて梅若能楽学院会館に行きました。なかなか良いところではありませんか。このサイズの能楽堂、好き。

まず、山井綱雄の「芭蕉」の舞囃子から。この人物凄くすっきりした仕舞をしますし、謡も上手。明日にでも老女ものができそう。
この能楽堂の採光には色々な人が言及していますが、今回も最後のところで光が差して演出効果満点でした。


大蔵流の木六駄を観るのは初めて。細部が和泉流とは異なりますね。和泉流の太郎冠者は木六駄に加え炭も六駄持っていませんでしたっけ。出かける前に飲ませてはもらっていなかったような。地吹雪に合うダイナミックな演技はすごい。箕を着ていないのはなぜかと思ったけれど、これのためか?
動きが激しくて背負った酒樽がずれてしまい後見の則俊がお出ましになって直していました。

こちらは木を届ける先の叔父さんも峠の茶屋までやってくる。茶屋と太郎冠者が酒盛りをしているときには奥で休んでいるという設定なのだけれど、二人があれだけ大騒ぎしたら気づきそうなものですが。

それはさておき、和泉流ほどの大曲ではないけれど、なかなかの熱演でこのバージョンも好きになりました。
しかし見所が物凄く寒かった。あれは寝ないようにという亀井広忠の配慮なのだろうか。牛を追って峠に行くまでの寒さをリアルに感じることができました。


朝長。観ようと思うたびに何かがあっていままで見られなかった曲です。

清涼寺の僧がやってきて地元の人に朝長のお墓の場所を聞いて涙を流しながら弔っています。この人は出家する前は朝長の乳兄弟(と、理解したんですが)だったとか。いつものように危なげのない宝生欣哉。
と、そこに若い女と太刀持ちを連れたちょっと威厳のある上品な女性がやってくる。この人、いつも観世清河寿のツレをやっているひとですよね。宗家に見込まれただけあって上手。

悲しい朝長の最後を語る女。謡は分かりやすく聞きやすい。そしてこういう話をダイナミックにかつ哀切に謡うと言うのは修練のたまものなのだろうな。

女が御宿をお貸ししましょうと言っていなくなった後に朝長の墓のありかを教えた地元の人がやってきます。この人の話も中々良かったけれど、このあたりになると本当に見所が寒くて…。

後シテ登場。朝長は亡くなった時十代半ば、ほっぺがちょっと丸くていかにも若々しい。卍模様の法被に白地に金の波模様の大口。渋い赤の厚板です。
クセのところからぐいぐい引き込まれるような舞台でした。地謡も後場でさらに良くなってきたし。
膝を射られる場面など見ているとシテが誰、などと言うことはすっかり忘れて実際に朝長が演じているように感じられる。切腹のシーンは本当に表情が変わったかのよう。

今回は囃子方の会ということで、囃子も大いに力が入っていたよう。掛け声も大きかったけれど、詞章を消さずに聞ける。ただやたらうるさい人もいるけれど、そういうことは無く、こういうのが上手いということなのだろう。

藤戸を反戦の能、と言う人がいるけれど、こういう舞台こそが反戦の能、って言えるんじゃないかな。
こうやって若くて(でも40くらいだから昔風に言えばベテラン)上手な人がやる舞台って良いものです。
力の入ったパンフレットが作られていて最後に今回のシテ三人(坂口、和久、大島)と広忠が青春時代を語った座談が入っています。是非ご覧あれ。


ところで、16時になるとこの辺の住民は「遠き山に日は落ちて」を延々と聞かせられるらしい。いまどき時間のわかるものを持っていない子供が都内にいるとは思えないのだが。せめてサイレンにしてほしい…。
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by soymedica | 2014-12-02 21:48 | 能楽 | Comments(0)