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第42回のうのう能 通小町

d0226702_15444949.jpg第42回のうのう能 
2014年11月21日(金)19時より@矢来能楽堂
正面席5000円

解説 観世喜正
仕舞 錦木 クセ 観世喜之

通小町
シテ 永島充、ツレ 佐久間二郎、ワキ 大日方寛
笛 寺井宏明、小鼓 幸信吾、大鼓 佃良太郎
後見 観世喜正、坂真太郎
地謡 桑田貴志ほか総勢4人


数分遅れて行きましたが、解説は全部聞けたと思う。
お知らせその1.NHK教育テレビ古典芸能玉手箱11月28日と12月5日に観世喜正出演。矢来で収録のあと、ディレクターに「観世さんは今回の選挙でどなたか応援していらっしゃいますか。」と詰問され「い、い、いいえ」。特定候補を応援していると放送は延期になってしまうのだそうです。
お知らせその2.「演目別にみる能装束」の続編が年明けに出るそうです。

装束着付けは何回見ても面白い。今回の小知識は、黒頭の毛を一部顔の両側におさげのように分けて垂らす、あの部分は力毛(ちからげ)と言うのだそうです。


さて、仕舞の後は通小町。京都の八瀬で夏安居をする僧登場。通常観るワキよりもこの人だいぶ謡の存在感が大きいので、やけに元気な坊さんという印象。ワキツレでいるときよりもわざと存在感を出しているのかな。

そこに木の葉を入れた籠を持った女性登場。この人謡がどても上手なのですが、立っていると若干揺れるのが気になる。
有名な木の実の名前を聞く問答、ここは前の解説のところでみんなで一緒に謡ました。綺麗ですよね。
木の実の名前はわかったけれど、あなたは?と、僧が聞くと「私の名は小野の…」と言って後見座に行ってしまう。

不思議だなー、と思った僧は市原野に行って小野小町を供養することにします。

案の定小野小町の幽霊が現れてお経を感謝。ところが小町を成仏させじと、恐ろしげな声が聞こえてきます。

始まりから思っていたのですが、本日は大小の鼓が今一つ。まあ、あまり大音声では無かったので、謡に集中するとあまり気にはなりませんでしたが、謡っている方はやりにくかったのではなかろうか。
少将が小町の成仏を引き留めようとする緊迫した場面でのやりとり、良かったのですが囃子の出来で一割引き。

四位の少将が百夜通していたなんて知らなかったわ、と小町は言ってワキ座に座ってしまうのですが、その時若干ワキが位置を変えたのは何か不都合があったのか、それともいつもワキは下座にずれましたっけ。

ともかく、少将は百夜通の様子を見せます。のうのう能では地謡はいつも若手四人なのですが、能楽堂の大きさから言って音量は十分ですし、合わない8人が謡うと何言っているんだかわからない詞章も聞き取りやすい。

そしていつものようにあれよあれよという間に少将は突如として悟りの境地に達してしまうのでした。ここの所あまりに唐突なので失われている部分があるというのが定説だそうですが、今回そこを補う試演を梅若で行ったという内容の早稲田の研究者からのお手紙が最初の解説で披露されていました。


この後向かいの鮨屋に行ってみたんだけれど美味しかった。


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by soymedica | 2014-11-24 15:46 | 能楽 | Comments(0)

万作を観る会 野村万作芸歴80年記念公演

d0226702_226376.jpg万作を観る会 野村万作芸歴80年記念公演
2014年11月19日(水)18時半より@国立能楽堂
正面席10000円

素囃子 高砂 八段之舞
笛 藤田次郎、小鼓 観世新九郎、大鼓 柿原弘和、太鼓 観世元伯

狂言 文荷
太郎冠者 石田幸雄、次郎冠者 竹山悠樹、主 月崎晴夫
後見 岡聡史

袴狂言
釣狐 前

白蔵主 野村万作、漁師 野村萬斎
後見 深田博治、高野和憲

狂言 髭櫓 翔入
夫 野村萬斎、妻 高野和憲
立衆 月崎晴夫、破石晋照、竹山悠樹、中村修一、内藤連、飯田豪、岡聡史
注進の者 野村裕基
後見 野村万作、破石澄元


素囃子、間に合わず。
文荷と素囃子はいわば前座の役割かと思っていたら、文荷、凄く良かった。石田幸雄が良いのは当たり前ですが、竹山悠樹もとっても良くて、この二人の掛け合いにニヤリ。

主人の月崎に言われて嫌々恋文を届けに行く二人。「奥様は何とおっしゃるか」などとぐちぐち言いながら二人で楽しく手紙を押し付け合ったり、棒で担いでみたりと道草。で、ついに開いて読んじゃう。

読めばこれは面白い。何せ書き手の主人は妻がいる人、そして恋文の相手は男の子。二人できゃあきゃあ騒いでいるうちに手紙を破いてしまう。ちょっと慌てたけれど、毒喰わば皿までの精神で、手紙をあおいだりしてこれ又ひとしきり遊ぶ。
そこに、二人の帰りが遅いのにしびれを切らした主人がやってきて怒られる。最後の太郎冠者のセリフがまた面白い。

さて、いよいよ今夜のハイライトの釣狐
SB席には物凄い撮影機器が並んでいるし、正面席後ろの廊下にも撮影クルーが。
パンフレットに「お願い 本日上演致します袴狂言『釣狐前』は、終曲で、シテが幕に飛び込んだ後「名残の一声」を発します。それが曲の終わりでございますので、ご注意の上、最後までぜひお聴きくださいますよう、何卒よろしくお願いいたします。万作の会」という説明書きが挟まっており、あちこちに掲示もされている。結果的にはそれが無くてもお客さんの拍手が先走ることは無かったと思う。それくらいの緊張感漂う見所でした。

猟師登場。萬斎は紫の着物にグレーの袴。足袋は白。能楽堂ってこんなにシーンとしてたっけ?と思っていると狐登場。袴狂言とは言いながら、手足は狐の装束を着けている。頭巾(深緑の地にススキの模様)、クリーム色の着物に金茶の袴。
鍛えているだけあって動きは壮年そのもの。謡、発声は老人ではありますが、上手い。比較的前の方の席だったので息遣いは気にはなりましたが(もともと息の荒い人)。

一晩たって振り返ってみて演技の細部は忘れてしまっても「凄いものを観たな」という気分。ちゃんと化けたか、犬はいないか緊張しながら猟師の家に行き、殺生石の話をし、最後に罠の餌に未練を残しながら帰る。その狐の怪しい緊張が伝わってくるような舞台でした。

見所も後見も大緊張。後見の二人はポーカーフェイスというわけではなく、緊張のあまりの無表情に見えました。一番自然体だったのは息子の萬斎だったような。
最後に何回も罠の餌の周りを回るところ、最後の方では見所からは笑いも出ましたが、あれは緊張が続かなくなっての笑いだったのかもしれない。
最後に幕に入って長く鳴いて終了。凄い拍手でした。後場は体力の関係で省かれたとのことですが、別に無くても完成度に不足はありませんでした。

NHKが録画したらしいから、そのうち放映されるでしょう。家で寝転がってせんべいかじりながら観ようっと。
地謡座の後ろの御簾の下がっている空間、あそこにも人がいたようです。録音でしょうか。


髭櫓。これ、一度観たかったんですよね。お話は単純で自慢の髭のおかげで大嘗会で犀の鉾を持つ役をもらった亭主。費用は自分持ちだと聞いて怒った妻を殴っちゃう。妻は近所の女性の仲間を引き連れて戻ってきて亭主の自慢のお髭を巨大な毛抜きで抜いてしまう。最後はお決まりの「くっさめ」で亭主退場。

さっきあんなに熱演した万作、澄ました顔して後見にすわっています。
出て行った妻が攻めて来ると聞いて夫は自慢のひげを守るために大きな櫓で髭の周りを囲います。小さな旗もついていてかわいらしい。
女たちは長刀や槍、熊手などで物々しく武装。妻は背中に大きな毛抜きもしょっています。
派手な斬り合いがこの小書きのみせどころ。
夫は長袴であごには大きな髭櫓をぶら下げているのに飛んだり回ったり凄い。

でも、最後には女房にひげを抜かれてしまうのです。めでたしめでたし?


本日は本当に堪能しました。もし何か一つ欠点を挙げろ、と言われたら、見所のあまりの期待の大きさに「お能拝見」みたいな雰囲気が漂っていたことかな。
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by soymedica | 2014-11-20 22:10 | 能楽 | Comments(0)

]銕仙会定期公演11月 仏原 右近左近 車僧


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銕仙会定期公演11月
2014年11月14日(金)18時より@宝生能楽堂
正面席6000円

仏原ほとけのはら
シテ 清水寛二、ワキ 宝生欣哉、ワキツレ 則久英志、野口能弘、アイ 山本則重
笛 藤田貴寛、小鼓 鵜澤洋太郎、大鼓 亀井洋佑
地謡 浅井文義ほか

右近左近おこさこ
シテ 山本泰太郎、妻 山本則孝

車僧くるまぞう
シテ 小早川修、ワキ 御厨誠吾、アイ 山本則秀
笛 寺井宏明、小鼓 幸正昭、大鼓 大倉慶之助、太鼓 小寺真佐人
地謡 西村高夫ほか


とても地味な演目なのに結構人が入っている。ただ、狂言あたりで帰った人がいたのは残念。

仏原。以下は銕仙会のホームページに中司由紀子さんがお書きになっている解説の一部。とても参考になるので、是非本文もすべてご覧になってください。
 『平家物語』に祇王が清盛の前で謡った今様(流行歌)が以下のように記されています。
 仏も昔は凡夫[ぼんぶ]なり 我らも終には仏なり
いづれも仏性[ぶっしょう]具せる身をへだつるのみぞ悲しけれ
物語の中では祇王が、仏御前も同じ人間であるのに清盛が差別しているという意味で謡います。能〈仏原〉では、この今様を元にシテの仏御前をすでに仏性(仏の性質)を持っている存在として設定し、それゆえ仏の原の草木やすべてのものが成仏をするのだという思想を描きます。主題である人仏不二の真理をシテの舞にこめているといえます。
 応永34年(1427)、興福寺大乗院の別当坊猿楽で音阿弥が上演した記録があり、世阿弥周辺で成立したと考えられ、金春禅竹の可能性もあげられています。能作史を研究するうえでポイントとなる作品です。

台小前に上品な藁屋が出される。白山禅定を志す僧がふもとにやってくる。今まで感じたことは無かったのだが、宝生欣哉、ギョットするほど謡が閑に似てきた。
すると「ありがたいお経ですこと」と女の声。

面は増女だそうだが、花帽子をかぶっていると印象が凄く変わる。女は祇王祇女と仏御前の話をし、自分こそ仏御前であると仄めかして草堂に消えていく。
不思議に思っていると里人がそれは仏御前の霊でしょうと教えてくれて…。

という話。詞章がとても綺麗なので謡本を買えばよかった。
舞が物凄くゆっくりなのですが綺麗。
笛の調子が今一つ…。
http://www.tessen.org/dictionary/explain/hotokenohara/hotokenohara2011

右近左近は最近何回か見ていますが、この二人も良かった。この気の弱い亭主が昨日観た茂山家の禰宜山伏の禰宜を何となく思い出させる。
終わり方が和泉流と大蔵流とではちょと違う。


車僧は何だかおちゃめな演目。そもそも車に乗っているから車僧っていうネーミングも面白い。モデルがいたのだろうか。
ざっくり言うと、「聖アントニウスの誘惑」の日本版。ただ、誘惑するのはむくつけき天狗。

ワキ座に車が出されて車僧登場。物凄く着付けがきっちりしている上に生地がしっかりしているので何だか後姿がロボットのようでキュート。

山伏に化けた天狗登場。前シテって直面なのね。この人動いているときも静止しているときも姿勢がとても良い。
車僧を誘惑しようとするが偉い坊さんの車僧はびくともしないのでひとまず退散。

手下の溝越天狗登場。コイツ、京都の町の溝を飛び越えたのを自慢したら親分の太郎坊に「当たり前だ!」と怒られてそういう名前になったらしい。自分の名前の由来を自慢げに話し、車僧をくすぐって見たりと落ち着かないやつ。
これも退散。

ついに本来の姿になった天狗の太郎坊がやってきて行比べを挑むけれど、負けて退散、というもの。御厨誠吾、もうちょっと「自分が主役」という感じで存在感を出しても良いと思う。
シテもワキも上手だったけれど、今一つ印象の薄い2人でした。一つには囃子が、特に大鼓があまりに大音声ということがあったかもしれない。もう少し演技や謡に合わせてほしかった。
面は仏原が増女、銘は「越」出目元休。車僧が大癋見、洞水。
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by soymedica | 2014-11-16 13:37 | 能楽 | Comments(0)

東京茂山狂言会第二十回 枕物狂 栗燒 禰宜山伏

d0226702_20584358.jpg東京茂山狂言会第二十回 茂山千作一周忌追善
2014年11月13日@国立能楽堂
正面席7500円

枕物狂
祖父 茂山千五郎、孫甲 茂山竜正、孫乙 茂山虎真、乙御前 茂山蘭
地謡:茂山正邦 茂山茂 茂山逸平 井口竜也
笛 松田弘之、 小鼓 曽和正博、大鼓 亀井広忠、太鼓 観世元伯
 
栗焼
太郎冠者 茂山七五三、主人 茂山宗彦

禰宜山伏
山伏 茂山千三郎、禰宜 茂山あきら、茶屋 茂山童司、大黒天 島田洋海


行きの電車の中でふと後ろの若い男性の会話に聞き耳をたてたら、国立能楽堂への行き方をスマホで検索中。一緒のところに行くのね。

この会のお客さんは野村両家や山本家の会のお客さんと笑うところが明らかに違う。どういう感じの人たちなんだろう。会場には男性が比較的目立つものの来年の切符の先行販売の行列に並んでいるのは中高年の女性ばかり。


まず、お目当ての枕物狂。百歳のおじいちゃんが恋に悩んでいると聞いて、孫2人が助ける話。竜正君も虎真君も長袴で大活躍。刀が気になって手が決まらなかったり、襟がうるさくて頭が動いたりと大変そう。東京の狂言の家の子よりものびのびやっている様子。後見の松本おじさんも優しそうだし。

秘曲というからには重々しいかというと、枕を結び付けた笹を担いでよろよろ登場するのっけから笑いをさそう。可愛い乙御前の事を考えてぼーっとしているおじいちゃん。心は若いけれど脚はよろよろ。でも、孫たちの努力(足が痛いのによく座れました!)のかいあって乙御前もついてきてくれることになってめでたしめでたし。調べると普通は面をつけてやるようですが、今回は直面でした。だって本物のおじいちゃんと孫ですものね。

終了後売店の前で皆さんに挨拶する紳士一人。はっとしたら千五郎であった。舞台で感じるよりはるかに小柄。茂山の大所帯を狂言で食わしていくにはお客様第一、と思っているのかな。芸だけでなく人物に対する好感度も一気に上昇。一緒に写真撮ってもらえば良かった。

休み時間の後は季節にふさわしい栗焼。見事な栗を貰って焼くことを言いつけられた太郎冠者。結局おいしそうな栗の誘惑にまけて皆食べてしまう、というだけの話ですが、物凄く楽しかった。栗の芽を欠くところ、なんだかんだ理屈をつけてアツアツの栗を向いて食べてしまうところ、奇想天外な言い訳をするところ、昔の台所と太郎冠者が見えるようでした。


禰宜山伏は大威張りの山伏が気の弱い伊勢神宮の禰宜に自分の荷物を無理やり持たせようとする話。機転を利かせた茶屋が、大黒天を祈り動かした方が荷物を持たせることにしようとする。
気の弱――い禰宜。どうしてあそこまで弱いのか。これもあきらが好演。山伏も地でやっているのか?と思わせるほど。
でも山伏が名乗りで「…です。」というとお客さんが笑うんだが、なぜ?


祝言は聞いたことないな、と思ったら祐善だそうです。祝言とはいっても追善公演の時に必ず歌われるものだそうです。
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by soymedica | 2014-11-15 21:00 | 能楽 | Comments(0)

国立能楽堂十一月企画公演 鬼の世界 伯母ヶ酒 安達原

d0226702_2013447.jpg国立能楽堂十一月企画公演
11月8日(土)13時より
正面席4900円

解説 馬場あき子

狂言 和泉流 伯母ヶ酒
シテ(甥)小笠原匡、アド(伯母)野村万蔵

能 観世流 安達原 白頭 急進之出
シテ 観世清河寿、ワキ 福王和幸、ワキツレ 矢野昌平、アイ 野村太一郎
笛 松田弘之、小鼓 観世新九郎、大鼓 柿原弘和、太鼓 小寺佐七、
後見 木月孚行、上田公威
地謡 山階彌右衛門


久しぶりの馬場あき子さんの解説。鬼というのは場所や時代の境目に出るものだ、と言うところから、安達原の見どころ、聞きどころのポイントを押さえたあらすじ解説。本日は全くの初心者からちょっと上の人を対象とした解説だったような。
都から東北に落ちてきて行政からも見放され明日の食事にも事欠く棄民としての生活を余儀なくされている女。でも、糸歌を聞くと昔は都で華やかな生活をしていたらしい…。

前シテは面は氷見の霊女らしい、とのお話でしたが、帰りに使用面の名前をチェックするのを忘れた…。


まずは伯母ヶ酒。これ、色々な人で何回か見ていますが、今回のは格段に元気の良い伯母と甥。なかなか楽しかった。こんなに出だしから伯母のケチが強調されていましたっけ?


安達原。観世宗家のシテなのに、意外に簡単に好みの席が取れたのですが、やはり満席。運が良かった。

さて、遠く東北は二本松付近(?)の安達原までやってきた僧二人。出てくるときに「ワキツレ、なんとなく歩き方がたどたどしいな」と失礼にも思ったのだが、謡は立派でした。多分、ワキツレの歩き方が下手なのではなく、福王和幸の歩き方が上手なんだな。

日が暮れて来て寂しい原野の遠くに人家が。
中には老婆が一人。やはり観世清河寿の謡は凄い。その上馬場あき子が聴きどころを念押ししたので、大満足。ぼろぼろの生活をしている老婆の家に二人は泊めてもらいます。

泊めてもらった上にずうずうしく糸を繰って見せろという二人。安達原は何回か見ているのですが、この糸かせを沢山動かして見せる人と、ちょこっとしか触らない人と色々。今回は大分長いこと回して見せていました。そして、それだけでなく、割と動きのはっきりした演技でした。

女はふっと「裏山へ薪を取りに行く」と夜中に出て行きます。何やらいわくありげな様子で「閨を覗くなよ」と、念押しをします。このぞっとさせる感じが凄い。
そう言われたらおっちょこちょいの能力は見たくて見たくてしょうがなくなる。主人が寝たかと思いこっそり覗こうとして怒られる。この、寝たふりの仕草が面白い。丸めた両手を目玉に当てたり、広げた扇を顔の前に掲げてみたり。熱演で楽しい。

そしてやっぱり閨には恐ろしい腐乱死体の山が…。何かと理由をつけて逃げる能力。後に残って鬼と戦う僧。
鬼は白髪のザンバラ髪、般若の面。この場面は動きがあって好きなのですが、同じ鬼退治と言っても、道成寺とも違うし、鉄輪とも違う。そういうところもやはり演じ分けているのだろうな。

最後に鬼は弱り切って退場するのでした。
「閨を覗かなかったら無事に帰れたか」というのは良く話題になりますが、私は無事に帰れはするけれど、翌朝に豪華な山の幸が出され、それは実はあの腐乱死体…、というバージョンを考えているのですが。僧侶は生臭物は食べないかしらん。能力は食べちゃう。

観世清河寿、女の役をするときにも足がちょっと開くことが多い。ま、今回は田舎のおばさんだからOKだけれども、以前杜若を見たときには気になりました。調子が悪いと開くみたい。
それと、地謡が元気いっぱいだけれど今一つだった。影がない、というような抽象的なことを言いたくないが、なにか今一つでございました。頑張れ彌右衛門(ちなみに彌右衛門と芳伸、確かに似ているけれど年取ってきたらだんだん違ってきた)。
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by soymedica | 2014-11-10 20:15 | 能楽 | Comments(0)

狂言劇場その八 Bプログラム

d0226702_2257317.jpg狂言劇場その八
2014年11月6日(木)19時より@世田谷パブリックシアター
正面席7200円

小舞 海道下り 岡聡史
   蝉 野村萬斎

文山賊ふみやまだち
石田幸雄、深田博治

能楽囃子
笛 栗林祐輔、小鼓 幸正昭、大鼓 亀井広忠、太鼓 観世元伯

歌仙
柿本人丸 野村万作
僧正遍照 野村萬斎
参詣人 竹山悠樹
在原業平 中村修一
小野小町 高野和憲、
猿丸太夫 月崎晴夫
清原元輔 内藤連
笛 栗林祐輔、小鼓 幸正昭、大鼓 亀井広忠、太鼓 観世元伯


久々の世田谷パブリックシアターの大きい方。席をとるときに、「ずいぶん後ろだな」と思ったら舞台が張り出しているので実際には凄く前の方の席だった。ラッキー。

まず小舞から。結構狂言の小舞って好きです。岡聡史の海道下りはやや硬い。は何所かで見たことがあるな、と思って調べたら野村遼太で以前見ていたけれどやっぱり萬斎の味にはかなわない。

文山賊は能舞台で無くシアターの特性を生かした出だし。石田幸雄、ほくそ頭巾をかぶっていると若くなった万作か?と思えるほど万作に似ている演技。子弟とはこういうものか。
仲たがいした山賊の二人が、果たし合い。人も見ていないところで死んではつまらぬ、遺書を書こう、と、書いたものを読んでいるうちにだんだん悲しくなって…。という間抜けな話で楽しませてくれます。

ここまでで30分ほど。そして20分の休憩。能楽堂ペースの休憩の入れ方なのですが、普通の舞台になれているお客さんは相当驚いたようでした。


囃子の演奏。いつも見慣れているメンバーなのに、なにか違った表情だと思ったら、照明の当たり方ですね。熱演でした。
ホールですので、橋掛かりが二か所、しかも斜めについているのですが、退場の時も普通の能楽堂と同じようにちょっと端を歩いて退場。真ん中を歩いても良いようなものですが…。


和歌の神様、玉津島明神に奉納した絵馬に参詣人が力紙を投げつけると、絵馬の中の6人の歌人が動き出して、という歌仙。通常ホールならではの印象的な出だし。

皆で月見の歌合せなのは良いけれど、お題が「蜘蛛の巣にかかる釣鐘」だったり「富士野山によする石臼」???ま、飲みながら行こうか、とまず小野小町が酒を飲む。その盃を次にどこにやるかと皆がかたずをのみながら見守っていると、杯を受け取ったのは僧正遍照。これに嫉妬したほかの歌人たち。小町&遍照の二人対柿本人丸ら4人とが大立ち回り。万作83歳も頑張ります。肩上げが落ちてしまう熱演。百人一首の読み札のような出で立ちの登場人物が棒を振り回してケンカする面白さ。動きもあってお客さんは大喜びでした。


ところで先日「狂言ってなんですか?可笑しい劇らしいですね」と聞かれたので、「落語を劇にしたようなものかな」と説明したのですが、ちょっとちがったかな…。
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by soymedica | 2014-11-07 23:02 | 能楽 | Comments(0)

観世会定期能11月

d0226702_17504228.jpg観世会定期能11月
11月2日(日)中正面席


井筒 物着
シテ 観世清河寿、ワキ 宝生欣哉
笛 一噌仙幸、小鼓 鵜澤洋太郎、大鼓 亀井忠雄
後見 木月 上田公威
地謡 角寛次朗ほか


全然行かれるはずでは無かったのだけれど、ぽっかり予定が空いたので、観世清河寿の井筒だけちらっと行ってきました。満席かと思ったら脇正面には空席も。

観世清河寿のシテの時には必ずと言っていいほど後見している上田公威が、今回もしずしずと井筒を運んできました。いつも見ている井筒よりかなり低くて、膝丈を少し越えるくらいの高さ。

まず、旅の僧が登場。これが自分でもそう言っているようにいかにも居所の定まらない人物で、あてどなく歩いているうちに在原寺にたどりついたという風情。このワキはとても難しい役どころかもしれない。本日宝生欣哉で良かった。
で、ワキ僧が、そうか、ここがあの…などと思っていると一人の女登場。

「暁ごとの閼伽の水…」のこの出だしが凄い。ここで見所の心をわしづかみにするのはさすが観世清河寿。何だかなまめかしい訳アリの女性がやってきたな、という感じがありありと。
井筒、私はいつも退屈してしまうのですが、この出だしだけで十分期待させる本日。
そしてあまり重くない欣哉の演技が、この女の出現を促すのだな、と勝手に納得。

「物着」の小書きが付いているときには、衣装を何枚も着込んでいて下居することができないので鬘桶に腰掛けるときいたことがありますが、今回も。
僧と色々やりとりして、「え、貴女がここにいるのは時代考証としておかしいのでは?!?」と言われると女はスーッと井筒の陰に隠れてしまいます。

舞台上で後シテの姿になるのですが、これが結構大変らしい。
その後の舞も素晴らしかったのですが、後半までの緊張が続かなかったのは見ている側なのか、舞っている側なのか。初冠がやや斜めになってしまったので、写真家は困ったろうな。

井戸に自分の姿を映すところ。これは薄を押し分けてのぞき込むのではなく、しゃがみこんで井戸のふちに手をかける。物着のときにはこれをするのがふつうだそうだけれど、前にこの小書きでみたときには違ったような。
この姿がとても綺麗。鏡をみて練習するのは邪道だそうですが、どうやって練習するのだろうか。

最後にゆっくりと帰って行きます。
実は今まで井筒って面白いと思って観たことがないのですが、今回は面白かった。家に帰って改めてゆっくりと謡曲集の井筒のところを読もうかな、と思いました。
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by soymedica | 2014-11-03 17:52 | 能楽 | Comments(0)

国立能楽堂 古典の日記念 〈雪景色〉

d0226702_16524490.jpg国立能楽堂10月 企画公演 古典の日記念「雪景色」
2014年10月31日(金)18時より 
正面席6300円

新作小舞
雪づくし 野村万作
雪逍遥 山本東次郎

舞踊 筝曲 鉢の期
西川箕乃助、花柳寿楽
歌・琴 山勢松韻、武田祥勢、奥山益勢
歌・三絃 山勢麻衣子
笛 福原徹、小鼓 望月左太郎、大鼓 福原百之助 
蔭囃子 望月左太寿郎

能 金剛流 雪 雪踏之拍子
シテ 金剛永謹、ワキ 宝生閑
笛 一噌仙幸、小鼓 大倉源次郎、大鼓 安福建雄、
後見 宇高通成、豊嶋幸洋
地謡


なぜかいつもより早く始まっていつもより早く終わる時間設定。やめてほしいのだけれど、この18時始まり。

最初に万作、東次郎の小舞。前者は地謡が4人だけれど、後者は5人なのが珍しい。
万作の方はちょっと色っぽい、東次郎の方は弓矢をもって雪野原に出かける話。万作の舞った曲のほうが好きかな。東次郎の雪逍遥はいささか理屈っぽい。
狂言の家が色々ある中で、小舞は和泉流の中でも万作家が皆上手い様な気がする。


舞踊・筝曲の鉢の木。もちろんあの鉢の木の話。花柳寿楽ってハンサムですねー。日本舞踊ってなかなか面白いけれど、時頼も常世も何となくフェミニンな感じ。


最後のは、金剛流にしかないものだそうで、旅の僧が雪に振り込められていると、何処からともなく(実際には大小前の作り物のなかから)、それはそれは美しい雪女が。雪女は何も悪いことはせず、美しい舞をまって消えていく、それだけの話です。宝生閑と金剛永謹のベテラン二人きりでサラッと演じられた綺麗な曲でした。また観たいな。

大鼓の安福建雄がどうも喘息気味らしく勢いがありませんでしたが、後半持ち直したようでよかった。
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by soymedica | 2014-11-01 16:57 | 能楽 | Comments(0)