<   2014年 10月 ( 4 )   > この月の画像一覧

ござる乃座 50th Anniversary 狸腹鼓 狐塚

d0226702_094017.jpgござる乃座 50th Anniversary
2014年10月22日(水)@国立能楽堂

舞囃子 山姥 
大槻文蔵
笛 藤田六郎兵衛、小鼓 大倉源次郎、大鼓 亀井広忠、太鼓 金春國和

狂言 狸腹鼓
狸 野村萬斎、漁師 石田幸雄

狂言 狐塚
太郎冠者 野村万作、主 深田博治、二郎冠者 高野和憲


この間能の素人発表会に行ったのだけれど、そのロビーの華やぎに比べぐっと落ち着いた感じ。本日GB席は使用されておらず。


まず大槻文蔵の舞囃子。この人、ハンサムだけれど分け目があまりに端に寄り過ぎているのがちょっと未練がましくて残念。能の山姥でシテをするのを観てみたいな。


続いて狸腹鼓。通常こういうときにはすぐに始まるのに、この長い間は何?と思ったら、囃子が全員裃姿で登場。着替えていたのね。そして地謡前に斜めに一畳台がおかれ、それをぐるっと秋の草花(女郎花、桔梗、刈萱、吾亦紅、狸菖蒲)が取り囲む。

烏帽子姿の猟師が登場。「タヌキを殺すのは楽しいなー」と言っているうちに、何やら音がしてふと気付くと揚幕の前に怪しい尼が。すーっと幕の裾から這い出て消える。そして次の瞬間には挙がった幕から尼が歩いてやってくる。
白い花帽子。口の動く面。紫の衣もありがたいが、手足は毛むくじゃら…。動きも何やら怪しい。
帰って来ない夫を心配してやってきた妊娠中の雌狸。恐ろしい猟師に説いて殺生をあきらめさせるが、帰りに夫かと間違えて犬に出会ってしまい、猟師に正体がばれる。命乞いをすると、「タヌキの腹鼓を見せてくれたらゆるしてやろう」と。腹鼓を観ているうちに猟師も楽しくなって一緒に踊る、というもの。

笛に合わせて踊る一人と一匹が幻想的な話です。秘曲としてあまりに大切にしているうちに伝承が途絶えてしまったものを1986年に万作と堂本正樹が復曲したものだそうです。釣狐と対比して語られますが、靫猿のようでもありますね。テンポよく、楽しく演じられた曲でした。


後半は狐塚。今まで見たのが大蔵流だったからなのか、はたまた「小唄入」の小書き付だったからなのか、少し前に観たものとは違うものでした。

刈り取りの迫った山の田に「鳥追に行って来い」と言われた太郎冠者。鳴子をもっておでかけ。狐が出たり、イノシシが出たり、とあまり楽しい場所ではなさそう。ワキ柱に鳴子を縛り付けて真面目に(よその田に!)鳥を追っているうちに日が暮れる。

さみしい思いをしているだろうとやってきた次郎冠者と主人を次々狐と思って縛り上げ、青松葉で燻してしまう。「皮を剥ごう」と鎌を取りに行った隙に縄を解いた二人に田んぼに放り込まれる、というのがおち。
このバージョンも中々楽しかった。やはり万作は良いなー。

後見が鳴子を渡す時にはあんまりバタバタ音をさせない方が良いと思います。
[PR]
by soymedica | 2014-10-24 00:11 | 能楽 | Comments(0)

神遊 徹底解剖!ワキ方 土蜘蛛

d0226702_1235716.jpg神遊 徹底解剖!ワキ方
2014年10月17日(金)19時より@矢来能楽堂
正面席6500円

鼎談
観世喜正、森常好、福王和幸

仕舞
春栄
 森常好
鷺 福王和幸

独吟
大原御幸 森常好
松虫 福王和幸

ワキの登場音楽 名乗笛・五段次第・真之来序
森常好 福王和幸
笛 一噌隆之、小鼓 観世新九郎、大鼓 柿原弘和、太鼓 観世元伯

半能 土蜘蛛
シテ 観世喜正、ワキ 森常好、ワキツレ 館田善博、森常太郎
笛 一噌隆之、小鼓 観世新九郎、大鼓 柿原弘和、太鼓 観世元伯
後見 遠藤喜久、桑田貴志
地謡 角当直隆、佐久間二郎、永島充


早々切符を買ったものの、仕事の関係で行けないかと諦めていましたが、ちょっと遅れたけれど大丈夫でした。

着いた時には喜正オンステージ、じゃなかった、森常好&福王和幸に喜正がインタビュー中。詳細は充実したパンフレット(100円で買えます)に載っていますが、ワキ方は下掛宝生(シモボーって略すらしい)で全国26名、福王流で16名という少なさ。いつ見てもあの方たちが出ているはずです。

仕舞や独吟、珍しいですよね。実は下掛宝生の謡を習いたいとひそかに思っているのですが、かなり音感が良くないと難しそう。どちらかというと福王流のほうが素人向きみたいだけれど、全国に16人では素人に教えている暇は無いでしょうね。
ところで森常好さんのお話は時々伺ったことがあるのですが、福王和幸さんの話は初めて。バリバリの関西アクセントにびっくり。そしてこれは私の持論なんですが「美男は話が下手」。ま、そういう感じでした。人柄真面目で、面白い話をしようとするのだけれど、無理、という…。お父さんのお話も伺ったことがありますが、これまた真面目。

そして面白かったのが「ワキの登場音楽」。観世元伯の解説で「こういうときはこう」と。これも詳しくはパンフレットに載っているのですが、なるほどなるほど。
そして「真之来序」が終わっての解説。観世元伯が福王和幸に「いつもより歩き方がゆっくりだったでしょ、死ぬかと思った」。ワキ方のテンポに合わせて掛け声をかけるのですね。どっちが主導権を持つのかと不思議に思っていましたがそうだったのか。


そして土蜘蛛の後場。とても楽しく、そして喜正の蜘蛛の巣がとてもフォトジェニックで素敵でした。こういう小さな会では「写真OK」にしても良いのでは?若いファンには受けるのでは(狂言で写真OKの会あったと記憶しています)。
前場が無いと今一つノリ切れない感じで、やっぱり全部観たかった。でも、お囃子の皆さんはノリノリでちょっと微笑ましかった。

年明けの谷行が楽しみです。
[PR]
by soymedica | 2014-10-20 12:08 | 能楽 | Comments(0)

銕仙会定期公演10月 泣尼 実盛

d0226702_8121050.jpg銕仙会定期公演10月 
2014年10月10日(金)18時より

泣尼 
シテ(僧)野村万作、アド(施主)高野和憲、小アド(尼)石田幸雄

実盛
シテ 観世銕之丞、ワキ 森常好、ワキツレ 館田善博、森常太郎、アイ 深田博治
笛 一噌仙幸、小鼓 曾和正博、大鼓 安福建雄、太鼓 観世元伯
地謡 浅見真州ほか


色々あって大変に疲れた週末。ゆっくり能でも見てストレスをほぐすかー、と宝生能楽堂へ。

最初は万作&石田の泣尼。説教が下手な坊さんがお布施に引かれてお堂の供養に。もったいをつけるところが可笑しい。自分でも説法が下手だと知っているので、泣くのが上手な尼を頼む。ところが説法があまりに下手なものだからこの尼が寝てしまう…。前に見た大蔵流は僧が尼を追い込んだような記憶があるのだが、今回は尼が「金払え無いなら袈裟でもよこせ」と僧を追い込む。


前回もやはり銕之丞で見ていた実盛。アイが「有難い他阿弥上人の説法が始まるぞよ」と口開け。前は「上人様が独り言を言っていて変だ」というセリフが入っていたと思うのだが、今回はそこは無し。アイ語りのところに「上人が見えない人と問答する」話が入ってくるバージョン。
上人様も従僧もとても素晴らしいお声で、お経のありがたみも一段と。

そこに一人の老人が。私、銕之丞ってもっと大きな人だという印象だったのですが、意外に小柄。色々問答の結果、この人は斎藤別当実盛の幽霊だということがわかる。
この前シテが柔らかくて良い感じ。

そしてお爺さんはふっと消えてしまう。
ここで深田博治が、髪を染めて錦を着て戦った実盛の話を。長い長い語り。こんなに長かったかな。それはともかく、深田は近年とみに演技もうまく、何となく格も上がったような気がする。

後半は有名な首を洗う話と、合戦の模様が再現されますが、よく考えるとこの話、実にいろんな武士が舞台上に登場する(はず)なのに、実際に舞台にいるのは遊行上人の一行と実盛だけ。観客に筋をわからせるには謡が説明的にならざる得ないわけだけれど、これをこの話を全くしらないお客にわからせるのは至難の業。ということで、あらすじを知っていても、なんだかよくわからなくなってしまう私なのでした。

ただ、その場その場で謡とそれに合わせた銕之丞の動きを追っている分には良いのですが、本日ちょっと疲れていたのでこの演目はつらかった。
笛が若干不安定な感じしましたが、皆さんどう思われましたか。

なお、パンフレットによると、遊行上人は時宗の開祖の一遍上人とその弟子真教、また時宗総本山の遊行寺の歴代承認をも指すようです。
[PR]
by soymedica | 2014-10-14 08:16 | 能楽 | Comments(0)

足利義満 公武に君臨した室町将軍

d0226702_12242663.jpg足利義満 公武に君臨した室町将軍 小川剛生 中公新書
2012年8月15日発行 298頁 900円+税

足利義満って、室町幕府の中で一番成功した人で、金閣寺作った人で、くらいの認識でありました。最近では世阿弥を御贔屓にした人と言う知識もインプットされましたが。

この足利義満に焦点を当てることによって当時の日本文化も説明できてしまうという凄い人だったのですね。時代背景ももちろん書かれていますが、なぜ「皇位を狙った」と言われるまでの地位と権力を手に入れることができたのかが詳しく書かれています。平たく言えばお金があり、そのお金を使って地位に見合った教養を授けてくれる公家を味方につけたということなのですね。

細かい活字でびっしり300頁近く、索引と文献も充実なのでお買い得。私としてはもう少し一般向けでも良かったけれど。新しい史料の紹介なども、その意義はわからないけれど、日本史の研究ってこうやって進んでいくんだ、と面白く読みました。
[PR]
by soymedica | 2014-10-07 12:25 | 本・CD・その他 | Comments(0)