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ビッグ・フェラー

d0226702_2153784.jpg THE BIG FELLEH ビッグ・フェラー

5月29日(木)19時より@世田谷パブリックシアター
S席7000円

[作] リチャード・ビーン
[翻訳] 小田島恒志
[演出] 森新太郎

[出演]
内野聖陽/浦井健治/成河
明星真由美/町田マリー/黒田大輔/小林勝也




ネタバレになるのであんまり書けませんが:

主張の強いお芝居ってあまり好きになれません。これは後から振り返ると本当に強い主張のあるお芝居なのですが、そう感じさせず、じっくり浸れる話です。
IRAの資金供給源となったアイルランド系のニューヨーカーたちの数十年を追った話です。アメリカで成功した実業家(内野、渋い!)、アイルランドの刑務所から脱獄したチンピラ(この役の成河が良い)、アイルランド系消防士、それに絡む女性陣など。場面はNYのアパート、美術館、そしてセントパトリックデイの宴会場。たったそれだけで3時間集中させます。

森新太郎の演出が素晴らしい。
もう一度見ても良いくらい。


写真は会場で買った世田谷PTの雑誌。残念なことにここで休刊らしいですが、この号はお勧め。劇場の技術屋さんのインタビューがぎっしり。
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by soymedica | 2014-05-30 21:56 | その他の舞台 | Comments(0)

ヤン・リーピン 孔雀

d0226702_16313169.jpgヤン・リーピン 孔雀
2014年5月23日(金)@Bunkamuaオーチャードホール
S席12000円

前回の「クラナゾ」を観に行った人が良かったと言っていたので、行ってみました。
Bunmamuraが力を入れている人らしく、ここで何回か大掛かりな公演をやっています。
中国と言っても漢人では無いらしいですが、そもそも伝統舞踊ではないのであまりそこは関係無い。

孔雀の生と死、四季をダンスで表したものですが、私の好みよりはかなり説明的、写実的なダンスでした。最初に神様が出てきて、「時」に動き出すように命じます。「時」は舞台の左側の木の下でずーっと回転しつづける髪の長い女の子なのですが、なんと2時間半の公演の間休憩時間の20分も回っている。

メス孔雀を演じるヤン・リーピンはさすが。あとの群舞とか男性舞踊は上手ですけれど、クラシックダンサーでもあのくらいは…。うーむ、もう一度行くかと聞かれると、この作品だったら行かないけれど、ヤン・リーピン率いるこの劇団に関しては何回か見てみないと結論は出ないな。

中国でも有名なのかどうか、ホールは携帯電話片手の中国人、オシャレな中国人で一杯。そして私の前の列は全員30代と思しき中国人ご一行さまなのですが、遅れて来るわ、途中で席変わるわ、ひそひそ話すわ、携帯で舞台の写真撮るわの、やりたい放題。
「中国のわがままボンボン」といった感じ。自国のものの公演だとリラックスしてしまうのか?わりと育ちの良さそうな人たちでしたが。

これから切符をお買いになる方へ。舞台の端に説明の電光掲示板も出ることですし、極端に前の席でない方が良いと思います。
あと、休み時間にも引っ込まない「時」と「神様」の写真を撮ることはできませんが、最後のアンコールで写真とることができます(そのせいでアンコールがやたらに長いのに閉口しましたが)。
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by soymedica | 2014-05-25 16:35 | その他の舞台 | Comments(0)

本:能・狂言を学ぶ人のために

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能・狂言を学ぶ人のために 林和利編 世界思想社
2012年3月30日 第一刷 306ページ 2484円

題からとっさに想像するのは謡や仕舞などの練習を始めた人向けの本ですが、そうではなく、能の歴史、作者と作品、伝書と芸論、演技・扮装・舞台、についてそれぞれの研究者が現時点での学問がどこまで進んでいるのか、方法論、などについて書いています。要するに、これから大学で論文でも書こうか、という人のための本です。
たぶん筆者(20人プラス編者)はそれぞれの現在の第一人者や大御所なのでしょう。そのチェックのためだけでも買う価値はあります。各章の後ろのほうに面白そうな参考文献もついています。

(付録の用語解説は要らないのでは、と思ったのですが、この本が入門学術書として現在の用語の「定義」の一つを示しているのなら必要ですね。)
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by soymedica | 2014-05-22 12:30 | 本・CD・その他 | Comments(0)

国立能楽堂五月定例公演 俊寛

d0226702_1628548.jpg国立能楽堂5月 定例公演
5月16日(金)18時30分より
正面席 4900円

俊寛 金春流
シテ 本田光洋、ツレ(丹波少将成経)山井綱雄、(平判官康頼)山中一馬、ワキ 福王茂十郎、アイ 野村又三郎
笛 藤田朝太郎、小鼓 幸清次郎、大鼓 亀井実
後見 櫻間金記、横井紳一
地謡 高橋汎ほか


佐藤融、井上松次郎、佐藤友彦の茶壺、観たかったのだけれどどうしても間に合わず。 


俊寛は最初から観られました。お調べが始まるといつもと違う笛と違うテンポで戸惑う。囃子って流儀よりも個人が結構前面に出るものなのかな。最初に言ってしまうと、大鼓が今一つでしたが、私の記録を見るとこの人は金春流の時によく出てくる人ですね。
などと考えていると、赦免使登場。従者は野村又三郎だし、なかなかそれらしい二人。ただし絶海の孤島にお使いに行く2人ってこんなに位の高そうな人たちで良いのだろうか?ま、迎えに行く相手も凄く立派だから良いのかな。

何しろ成経は烏帽子、大口袴、康頼も法衣とはいえシャキッとした出で立ち。後で出てくる俊寛も腰蓑無し。黒頭でした。

ツレの二人の謡がとてもきれい。そして、なんとなく前向きの感じが、後で帰れるという話に通じるようで面白い。
ともあれ、熊野巡りに見立てたお参りに行ってきた二人を道迎えに出てきた俊寛。お顔はあまり日焼けしていない感じ。この顔面蒼白の弱々しい感じが後の演技とマッチして良かったです。

どうもこの俊寛、反骨精神にあふれてツレの二人とお参りに行かなかったというより、なんだかもう諦めちゃって行かなかった感じ。お酒に見立てた水をもって出てきたは良いけれど、離島での春夏秋冬を思うにつけ、だんだん悲しくなって、桶を捨てて泣いちゃう。

とそこに赦免使が。この赦免使一行が強そうなところがまた俊寛の運命を予感させます。
そして、自分の名前が書状に無いことを知った後の嘆きが深い。
力なく赦免状を捨て、それを拾った康頼・成経はしずしずと船へ。あまり喜ぶわけにもいきません。

「艫綱を押し切って」、のところが見せ場かと思ったら、なんと実際の綱は無く、謡と身振りだけで見せるもの。金春流はいつもそうなのか、本田光洋の演出なのか、無くてもちゃんとわかるものだし、それはそれで良いものだな、と思わせる力量はさすが。

橋掛かりを向いて泣く瞬間のシルエットが綺麗でした。

以前に観た観世清河寿の俊寛は半狂乱の俊寛でしたが、今回の俊寛は諦め、深く悲しむ俊寛でした。ミニマルな変更だけでこんなに印象が変わるものだとは。
大満足。本田光洋がなぜ人気役者なのか、今回はっきりわかりました。


写真は厳島隠者の卒塔婆石。康頼が千本の卒塔婆を作って流したところ、その一本が厳島神社に流れ着いて、大赦のきっかけとなったという話が平家物語にあるそうですが、その卒塔婆が流れ着いた場所だそうです。
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by soymedica | 2014-05-18 16:33 | 能楽 | Comments(0)

銕仙会定期公演 5月 舟渡聟 当麻

d0226702_1784915.jpg銕仙会定期公演5月
2014年5月9日(金)18時より@宝生能楽堂
正面席 6000円

狂言 舟渡聟
シテ 野村萬、アド 野村太一郎、小アド 野村万蔵

能 当麻 二段返
シテ 浅見真州、ツレ 谷本健吾、ワキ 宝生欣哉、ワキツレ 則久英志、大日方寛
アイ 野村万禄
笛 一噌仙幸、小鼓 大倉源次郎、大鼓、柿原崇志、太鼓 観世元伯
地謡 観世銕之丞ほか


舟渡聟、前に見たのとだいぶ違う話、と思ったら前に見たのは大蔵流。
シテの、船頭で舅の萬。頭巾(ほくそ頭巾というらしい)に髭、といういでたちで顔がほとんど見えない。ふっと一瞬万作かと思うことあり。息が切れる感じもそっくり。

ところで来月平日の昼間なのですが、国立劇場の講堂で萬が講演をするらしい。行きたいなー。


当麻は二段返の小書き付。先日観世の家元がやったもの。
まず、大口袴をはいた立派な三人連れのお坊さんがやってくる。何だか本日宝生欣哉が光って見えるのは、久しぶりだからかな。ワキツレの二人も清々しい。
そこに老若の尼が2人。若い方はオレンジ系の着物、年寄りは渋いグリーンに錦糸が。私としては年寄りの衣装はもう少し沈んだ色のほうが舞台映えがすると思う。
花帽子のかぶり方、若い方は面がたくさん出るようにしてあるのを見て、回教徒のベールは若くて美人だと布が薄い、というのを思わず思い出してほくそ笑む。

この二人、谷本健吾のほうが背が高く、浅見真州が小柄なので、お婆さんと若い女性という組み合わせには視覚的にはぴったり。ただし、なんとなく謡の質が合わないのか、特に最初の同吟のところは凄く聞きにくくて退屈だった。どちらが悪いというわけでもなさそうなんですが、シテとツレ、どういう組み合わせでやるかって重要だなー、と思ったのでした。

当麻寺の曼荼羅のいわれを語るところ、シテは蔓桶に腰掛けるのですが、シテ、ツレ、そして三人の僧の配置と姿勢がとてもきれいで絵の様でした。
ここで気づく、本日地謡が凄く良い。詞章もはっきり聞き取れるし、音楽的にもきれい。。

昔、音響の悪い屋外で演能していたときに、観客にシテのセリフがよく聞き取れるように大勢で謡ったのが地謡のorigin、と聞いたことがある。それを思うとこういう地謡がキホンのキ、じゃなかろうか。

ともあれ、老尼は杖を捨てて天上へ。
狐につままれた面持ちでワキ僧たちがいると、門前の人がやってきて、それは中将姫の化身、と教えてくれます。

そして中将姫(それとも菩薩)が登場。半幕にすると巻物を持った中将姫が。幕をあげるのは後見の仕事なんですね。知らなかった。野村四郎様にあんなに腕を目いっぱい伸ばしてお仕事してもらうなんて、恐れ多いことです。

そして中将姫は有難い経巻を宝生欣哉にさずけます。受け取るときに、僧の手が姫の手よりも上の方にあって、頂くというよりは受け渡しする、という感じですが、前に観たときはどうだったかな。
ともあれ、それを開いて押し戴く僧のしぐさがきれい。

最後の舞は美しく、確かに天上からお姫様が降りてきた、というイメージが浮かび上がりました。終わりの方では一の松でくるっと回るのですがその時の美人だったこと。
そして一の松で止めて終わります。

何だか綺麗なものを見たな、という一日の終わりでした。
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by soymedica | 2014-05-11 17:13 | 能楽 | Comments(0)

本:能役者の素顔 

d0226702_17225095.jpg能楽師の素顔 武田志房 三月書房
2012年4月15日発行

たぶん後の世に資料的価値が高くなる本だと思います。巻末にある演能年譜などは、ある時点からは研究者垂涎となるのではないでしょうか。

残りは武田志房の今までの思い出が半分、息子二人との対談が半分。
これを読んだだけではこの人の能楽の現在、歴史における立ち位置とか意思とかは伝わってきません。ま、そんなことは一般的にご本人には語れないかもしれない。編集者の腕が今一つだったのか、一流編集者の食指をそそる存在ではなかったのか…。
私家版とすべきだったかもしれません。

本よりはご本人の舞台のほうが数倍すばらしいです。
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by soymedica | 2014-05-05 17:24 | 本・CD・その他 | Comments(0)