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第39回のうのう能 田村

d0226702_21414755.jpg第39回のうのう能 
4月25日(金)19時より

仕舞 屋島 観世喜之

田村 
シテ 遠藤喜久、ワキ 御厨誠吾、ワキツレ 野口能弘、野口琢弘、アイ 山本則重
笛 栗林祐輔、小鼓 幸正昭、大鼓 柿原光博
後見 観世喜正、小島英明
謡 永島充ほか〈全4名〉


ちょっと遅れて入っていったら、演目の説明中。隣の初老のご夫婦は初観能らしく、いろいろなことに感動。説明のしがいがあるだろうな。

着付けの実演。後シテは別の衣装で出るのだろうと思っていたら、実演衣装と同じだったので意外だった。半切袴はちょっと錦糸が切れているところがあったりして気になるので、新調してはどうでしょう。ところで袴の後ろがどうしてあんなにピンと張っているかというと、中にゴザがはいっているとか。ふーん。
厚板と唐織りでは、触ってみると唐織りの方が立体的に感じられるのでわかるそうです。

この後休憩だったのですが、矢来能楽堂近所に偶然にもアル・タムーラというイタリアンがあり、そこの出店をお願いしたとかで、小さなサンドイッチとコーヒーにありつけました。いつもやってるとよいのにね。


いよいよ田村。今回、正面席でしたがいつもよりも若干後ろに座ったら音響効果がすごくよいような気がしました。みんなが声を張り上げているわけではないと思います。
田村は、旅の僧が清水寺に行くと、花守の少年が出てきて清水寺のいわれを語り、実はそれは坂上田村麻呂の霊であった、というお話。田村麻呂(謡では田村丸)が退治したのは蝦夷ではなく、近場の鈴鹿山の鬼だったということになっています。

ワキ登場。上手なんですが、宝生閑や森常好とどこが違うかというと、「教科書通り」というところ。場数を踏んで、年取ってくださいね。
花守の少年は黄色の着物にオレンジの水衣。本当に生きているような面。シテも上手なのでしょうけれど、声の質と面があっているのも一助かと。

鈴鹿山の鬼退治の話はアイが語って初めてわかります。語るときに扇を出して語るのはともかく、なんだかそれをしまうタイミングが妙でした。
アイがまだ「我らが承りたる云々」の間に囃子が始まって、次を期待させます。

後シテの面は平太だそうですが、何となく死人じみている面ですね。ともあれ、後も大変に満足させるできでした。

のうのう能、はずれないし、楽しいですよ。能をこれから観ようという人、一度観て退屈したけれど、という人は是非。
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by soymedica | 2014-04-30 21:46 | 能楽 | Comments(0)

源氏物語の結婚

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源氏物語の結婚 - 平安朝の婚姻制度と恋愛譚 (中公新書) 工藤 重矩

 

 

源氏物語を当時の婚姻制度から読解いた本です。何故紫式部はしかじかの人物をこういう風に作り上げたか、という解説が「結婚制度」という視点から解説されています。

というわけで、宇治十帳は含まれていませんが、とても面白かった。

 

平安時代は一夫多妻の通い婚と思い込んでいましたが、どうやらそうではないらしい。高群逸枝は実はそうではないことを知っていてあえて「一夫多妻の通い婚」説を全面に押し出した、とちょっと書かれていますが、その辺のイデオロギーの対立なんかの話しも面白そう(でもこの本には書いてないけれど)。

 

能とは関係ありませんが、あまりに面白かったので。


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by soymedica | 2014-04-26 17:21 | 本・CD・その他 | Comments(0)

国立能楽堂四月定例公演 酢薑 海士

d0226702_2159726.jpg国立能楽堂四月定例公演 
2014年4月18日(金)18時30分より
正面席4800円

酢薑 和泉流
シテ(棲売り)三宅右近、アド(薑売り)石田幸雄

海士 懐中之舞 観世流
シテ 浅見真州、子方 谷本悠太郎、ワキ 福王茂十郎、ワキツレ 村瀬提、矢野昌平
アイ高澤祐介
笛 松田弘之、小鼓 観世新九郎、大鼓 河村大、太鼓 観世元伯
後見 清水寛二、谷本健吾
地謡 浅井文義ほか


久しぶりの能楽堂。まずは酢薑。これは期待できる2人。
まず、納豆の藁苞みたいなものを棒の先にぶら下げた薑売りの石田登場。続いて竹筒を棒の先にぶら下げた酢売りの三宅登場。
双方がどちらの方が偉いかを秀句(しゃれ)で言い合う話。薑売りが「から」(辛いから)、酢売りが「す」にかけた言葉を次々と繰り出して互いに大笑いし、じゃあ、一緒に商売をしようと去っていくとても明るい曲です。
石田がなぜか「唐紙」というべきところを「みす」と言い間違えてびっくり。相手のセリフですよ、それ。


海士。簡単に言うと、唐から持ち帰った玉(面向不背)が龍王に奪われた。それをとり返すべく藤原不比等は土地の海士とねんごろになり、子供を産ませた後、「この子を世継ぎにする」ことと引き換えに玉を龍王から奪い返すように、と言う。海士は自らの命と引き換えに見事玉を取り戻す。その子が長じて房前の大臣となり、志度の浦を訪れると海士の霊が現れる。というお話。

ということで子方登場。金色の烏帽子をかぶった大臣です。謡が難しそうなのですが、上手。この「海士」は全体に子方の謡がむずかしそう。子供って後半だんだん早くなるのはピアノの発表会なんかと同じですね。
従者は福王茂十郎、堂々としています。そしてどこからともなくやってきた土地の女に「大臣様が水に映ったお月様を愛でるのに邪魔だからみるめ(海松布)を刈るように」などと命令します。

この海士、じつは大臣のお母さんの幽霊なんです。お互いにそれとはわからないけれど、肉親の情に引かれて出てきたのでしょう。
従者に命ぜられて玉を取り戻す様子を見せる海士。割と写実的に感じられる型でしたが、とても良かった。実は, 浅見真州、有名な人気役者ではありますが、今まであんまり良いと思ったことがありませんでした。本日の演技を見て人気に納得。

海士は房前に手紙を渡して消えてゆきます。そして後シテは龍女。物凄く大きな龍の作り物を頭に載せています。本来成仏できない女性でも、いったん龍女となってから変性男子となって成仏できるという思想によるのだそうです。この舞も素敵でした。
ですが、この時代「いやしき海士」に字が書けたのだろうか。どの程度の階層の女性が想定されている話なのだろうか。実際に海に潜ることができて、かつ字が書けるというのは少し不思議な感じもします。
ともあれ、ここの場面でいつも思うのは、子方が広げると扇って大きいなー、ということ。とても可愛い。

最後に懐に入れていた経巻物をわが子に渡します。巻物を受け取ってしばらく持った後、蔓桶から降りて巻物を広げます。受け取った時に何か不都合があったらしく(私の座っている所からはよくわからなかったのですが)、後見のお父さんが思わず腰を浮かせる場面も。でもさすがは房前大臣。誰の手も借りずにちゃーんと最後まで演じ終えたのでした。

房前は10代前半という設定なので、子供が生まれて間もなく母親は自分の命と引き換えにその出世を託したのでしょう。悲しいお話ですね。
昔はこの役は実際に10代前半のシテ家の後継者が演じていたのではないかとの研究があります。そのほうがもっと切ない演出かもしれない。

本日は西洋人のお客さんが結構多かったのですが(言語から察するに同グループではない)、後ろのフランス人、能が始まってからも結構ひそひそうるさかった。終わって席を立つとき見たらいなかった。いつ出て行ったんだろう?

面は前シテが深井、後シテが泥眼(河内)。

参考は
能苑逍遥(中)能という演劇を歩く 天野文雄 大阪大学出版会
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by soymedica | 2014-04-20 22:01 | 能楽 | Comments(0)

第九回萬歳楽座 恋重荷 千手

d0226702_095165.jpg萬歳楽座
2014年4月10日(木)18時30分より@国立能楽堂
正面席12000円


恋重荷
シテ 梅若玄祥、ツレ 片山九郎衛門、ワキ 宝生欣哉、下人 山本泰太郎
笛 藤田六郎兵衛、小鼓 観世新九郎、大鼓 亀井忠雄、太鼓 観世元伯
後見 片山幽雪、山崎正道、観世喜正
地謡 観世銕之丞ほか

千手 重衣之舞
シテ 観世清河寿、ツレ 大槻文蔵、ワキ 宝生閑
笛 藤田六郎兵衛、小鼓 大倉源次郎、大鼓 亀井広忠
後見 木月孚行、上田公威
地謡 梅若玄祥ほか


今回は藤田六郎兵衛の十分ほどの解説があっただけで曲に突入。まあ、短めとはいえ二曲なので。
でも、切符売るときと当日とで小書きが変わるってルール違反ではないだろうか。出演者病気で交代、というのと訳が違う。数か月前から切符を売って金利を稼ぐ(あるいは運営資金を出す)というのなら、きちんとビジネスルールにのっとってやるべきでは。こんなことやっているから橋下に付け込まれるのですよ(あ、あれは文楽か)。
で、当日突然「今回は村上湛さんの演出によるものです」と知らされる。(大学の日本文学の研究者の方だそうですが、論文や著書はヒットしなかったので詳しくはわからず。能楽堂でもどの人だかはわかるのだが。)


恋重荷。地謡が入ってきて改めて驚いた。前列が若い。そして、後見の観世喜正がしずしずと重荷を運んでくる。どの程度の重さがあるのかわからないが、それなりに重そうに持ってくる。一説によると電話帳を包んだものだそうだ。今や入手困難では?(昔地方出身の友人に「電話帳」が厚い本を意味するのは東京だけ、と言われたことを思い出す。)

さて、ワキの臣下がやってきて物凄く長い状況説明をする。こんなに理屈っぽい説明は現代劇の脚本だったらまず却下されると思うが、まあ、そこは能。でもいつもこんなだったっけ?
アイの山本泰太郎。山本家の装束の色合わせにしてはとてもスマート。

ま、呼び出されてのこのこ出てきた爺さんは荷が持てなくて憤死してしまうのだけれど、この面のかけ方使い方が上手いなー。
荷はちょっとは動いたんだけれど残念でしたね。

女御が死んだ老人を見に出てくると、立てなくなってしまう。
で、爺さんが鬼になってやってくる。橋掛かりから衣をかずいてぞぞぞーっと出てきます。

この鬼は細い杖を持って出てくるのだけれど、サシを謡った後はこれを太い鹿背杖に持ち替える。そして最後にまた持って出た杖に持ち替えたり忙しい。
女御は鬼が出てきたので一の松まで逃げて泣いたり、重荷を実際に載せられたり…。
で、最後に和解成立。
爺さんが橋掛かりにいて舞台の女御と向き合うところがちょっとフォトジェニックで美しかった。

地謡は何となく揃わない感じでしたが、囃子は良かった。

学校公演なんかではこういうタイプの演出ってわかりやすくって良いのではないでしょうか。


次いで千手
重衡登場。無冠、白の衣にブルー系の大口という、いかにも囚われの貴族という感じ。大槻文蔵の端正な顔立ちがこの役に合っています。そして、千手。この面が凄く美人だった。観世秘蔵の面だろうか。
出だしに宝生閑のトチリ???と思うところがあってびっくり。

クドキというのだろうか、三人同吟するところが、物凄く綺麗だった。目にも耳にも。

しかしどこをどう詰めたのかはっきりは分からないけれどいかにも忙しい千手でしたね。謡や舞のテンポを変えずに現代の上演時間に合わせようというのは難しいかもしれない。さすがに観世清河寿、大槻文蔵&宝生閑、綺麗にまとめていましたが、例えば若手がこれをやるのは相当に器用でないと難しいのではないかな、と思いつつ見ていました。

恋重荷に比べてこちらの方が地謡も囃子も、そして曲全体もまとまりがありましたが、もう一度見たいかと言われると…。
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by soymedica | 2014-04-14 00:09 | 能楽 | Comments(0)

いのうえ歌舞伎 蒼の乱

d0226702_935451.jpg蒼の乱
【作】中島かずき【演出】いのうえひでのり
【出演】天海祐希 松山ケンイチ 早乙女太一
梶原善 森奈みはる 粟根まこと 高田聖子 橋本じゅん / 平幹二朗 
2014年4月1日@シアターオーブ 12500円

前作の「鉈切丸」を気まぐれで見に行ったらとても面白かったので、行ってみました。
これも大がかりな派手な舞台で面白かった。
平将門と藤原純友の乱をベースにした話。時代考証なんてあって無いようなもの。どこの国のいつごろの話?と思うような衣装、道具。それが無理なく話にマッチ。

天海祐希人気って凄いのですね。最後に立ちあがって拍手するお客さん多数。普段スタンディングオベーションのあるようなものを見に行かないのでびっくり(前回みたのはホセ・カレーラスの復帰公演くらい)。
早乙女太一(大衆演劇の女形らしい)を見ながら、ああ、宝塚出身の天海がいるから、男役を出演させているのね、と思ってみていたら女形と知ってまたびっくり。殺陣が綺麗。

収容人数2000人くらいかな、それを一ヶ月間連日満席にするには人気俳優を持ってこなくてはならないのはわかるけれど、オーディションでガンガンに行ったら舞台としてはもっと面白くなるのではないだろうか。

それにしてもBunkamuraがあるのにOrbも作った東急、鼻息荒いですね。
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by soymedica | 2014-04-04 09:36 | その他の舞台 | Comments(0)