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銕仙会青山能三月 蟹山伏 屋島

d0226702_11223045.jpg銕仙会青山能3月 蟹山伏 屋島
2014年3月26日(水)18時30分より@銕仙会能楽研修所

仕舞
遊行柳クセ 清水寛二
山姥キリ 鵜澤光

狂言 蟹山伏
シテ 善竹富太郎、アド 善竹十郎、蟹の精 善竹大二郎

屋島
シテ 谷本健吾、ツレ 安藤貴康、ワキ 野口能弘、ワキツレ 野口琢弘、御厨誠吾、アイ 善竹富太郎
笛 栗林祐輔、小鼓 森澤勇司、大鼓 佃良太郎、
地謡 柴田実ほか計6人


ぎりぎりに駆けこんだら、あんまり良い席が無くて残念。ちょっとお金を足して一番後ろのベンチシートを確保しておくのも手かも。

蟹山伏は、駆け出しの山伏が暗い山中に現れた蟹のお化けと対決して負ける話。前に見た和泉流とはわずかに違いますが、やっぱり動きが有ってわかりやすいお話。強力をセイタカ、コンガラに譬えるので、本当はアドが二人いたのかとも思うけれど、どうなのでしょう。
最初の謡が今一つでしたが、あとは楽しかった。いかにも恐ろしそうに「ああ、山鳴りがする」と富太郎が言うと、外の車の轟音がタイミングよく響いて可笑しかった。

この後の屋島でも思ったのですが、囃子が今一つ。とくに大鼓が。今までこの人で何回か聞いているのですが、こんなに違和感を感じたことは無かったのにな。


屋島は全体に元気いっぱいの一曲でした。曲想が明るいだけでなく、演者が若いというのも明るく見せる要因でしょう。西国行脚の僧も謡が艶々。屋島で泊まろうと、塩屋を見つけ、主を待ちます。三人とも何となく似た感じで面白い。
そこに翁と漁夫が帰ってきます。シテの謡って誰かベテランを思い出させるのだけれど誰に似ているのか…。ツレの漁夫はシテに比べてかなり自分の音域が高いのではないか。同吟しているときとガラッと変わります。コトバのところのDとRの発音がやっぱり外人のように聞こえる。

二人して帰ってきて翁のほうは偉そうに座る。泊めてくれ、と言われて「都人なら懐かしいから泊めようか」。…こんな田舎で塩屋に住んでいる二人が都が懐かしいとは怪しい…。
客に屋島の合戦の模様を聞かせてくれといわれ、見事に描写してみせます。ここのシテの描写、ずいぶん聞きやすく、今回初めて全景が理解できた。

この間に橋掛かりにじっと座っていたアイ。アイの座りなおすところを初めて見た。足がしびれたのだろうか。

身分を怪しまれたからか、本当の塩屋の主人が帰ってくるのを察知したからか、二人はかき消えてしまいます。小書き無しなので、アイは景清と三保谷四郎の話をなぞりますが、結構ここも楽しめました。

いよいよ幽霊義経登場。こういうとき横から見ていつも気になるのが、面と烏帽子の間にできる段差。面のおでこのところに烏帽子がちょっと載るくらいにかぶったら変だろうか。

それはともかく、シテが床几に掛けているというのが妙だな、と思ったら、「大事(弓流&素働)」の小書き無しの屋島を見ることがめったにないということに気づきました。弓流が語られ、そして立ち上がって戦いの様子を見せてくれます。ここは力強く、あまりに力強すぎて足拍子の振動で足のしびれた地謡がびっくりするのではないかと。義経は戦いにあけくれて戦いが好きだったのだ、と思わせる明るい勇壮な感じでした。

そして夜明け。義経の亡霊は消えて行くのでした。

今一つの座り心地の能楽堂でしたが、満足して帰途につきました。青山能、チケット4000円だし、見所は若い人が多くて妙にサロンぶったところが無いし、楽しいですね。

面は朝倉尉(出目栄満)、平太(洞水)とありました。
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by soymedica | 2014-03-30 11:24 | 能楽 | Comments(0)

国立能楽堂三月定例公演 鈍太郎 昭君

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国立能楽堂定例公演三月
2014年3月19日(水)18時30分より

狂言 鈍太郎 和泉流
シテ(鈍太郎)三宅右近、アド(下京の女)三宅右矩、(上京の女)三宅近成

能 昭君 観世流
シテ 観世恭秀、ツレ 坂井音晴、子方 武田章志、ワキ 福王和幸、アイ 高澤祐介
笛 森田保美、小鼓 幸正昭、大鼓 國川純、太鼓 観世元伯
後見 武田志房、武田友志
地謡 坂井音重ほか


写真のデザートワゴンと内容はなーんの関係もありません。ただ、綺麗だったので。写真が大きいのは後で何とかせねば。

あまりにこの連休前後、慌ただしく、今や記憶が定かではない…。手短に。

鈍太郎。三年間留守にしている間に本妻も愛人も別の男を作ったか??と思ったのもつかの間、手車に乗ってはやされてホクホク顔の鈍太郎の都合の良いはなし。帰京を告げるのは本妻からでも、長く滞在したいのは愛人の方なのかー。
三宅家はいつも一定以上の舞台を見せてくれます。でも、万作家、萬家のように「それだけを目当てに」という気になかなかならないのはどうしてでしょうね。


昭君。王昭君の話って子供の頃に何処かで聞いた記憶があるし、有名な話かと思っていたら周辺の同年輩は誰も知らなかった。

福王和幸、里人なのに派手な衣装と思ったら、「中国」だからなのかしらん。そしてもみあげの刈り方がやけにテクノカット風なのも気になる。衣装といえば白桃の衣装も素敵。特に背中が。

柳の木の下を掃除に出てきた老夫婦。シテの演技がやけにリアルで、「あまりに苦しゅう候うほどの休まばやと」との所で「心筋梗塞か?狭心症?」と思ってしまった。シテはお年なので、阿古父尉の面と首の感じが見事にマッチ。

後場では美しい昭君の子方登場。危なげのない謡でお稽古がしっかり出来ているのね、と感心。ただ、葛おけが高すぎて、座る時にどうしても脚が開いちゃって女の子っぽく見えないのは、残念でした。

華やかで、(観世恭秀が年寄りなので)心配した後場の單于の舞も生き生きしていて楽しい舞台でした。
それにしても、本日は後見から地謡まで、坂井家と武田家の大活躍でした。


昭君、「能を読む」の二巻にあります。
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by soymedica | 2014-03-23 17:57 | 能楽 | Comments(0)

現代能楽講義

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現代能楽講義 能と狂言の魅力と歴史についての十講 天野文雄 大阪大学出版会
2006年11月10日初版第三刷

この人の本は読みやすい。
現代の能楽の状況から歴史まで、素人には目からうろこの講義です。阪大の学生向け講義をもとに書かれた本らしく、明快な語り口で全体の構成もしっかり。曲の解説ではなく「能楽の解説」を探している方にはお勧めです(もちろん一部は曲についての歴史的考察も)。

いくつかトピックを拾うと、某書店の社長が宝生英照を金で釣って翁を披かせたとか話題になっていましたが、素人弟子のお金持ち私的催しをするのは歴史的には何ら珍しいことではなく、近代になってから行われなくなったので話題になったということらしい。昭和10年には野村財閥の野村得庵が由緒ある能楽堂で贅沢なお弁当とお土産付きで翁他を演じたとのことです。

ところで、大鼓観世流というのがあって、これは昭和61年にやっとこさっとこ流儀として認められたらしいです。守家由訓が宗家代理でこの人、阪大工学部出身ですって。
ちなみに「社団法人能楽協会」に属しているプロは囃子方、狂言方などすべて入れると1500人以上、全国では毎月100公演程度が行われているそうです。

徳川綱吉が異常な能楽愛好家だったとか、謡のことを「綴錦のちゃんちゃんこ」と言ったのは坪内逍遥だとか、トリビアもたくさん。
かつてはシテのセリフはシテ、ワキおよび「地謡専門の役者」、ワキのセリフはワキと「地謡専門の役者」が歌っていて、どれが誰のセリフであったかは非常に明瞭であったとか。
上演時間短縮とか種々の理由でセリフがカットされたり、登場人物が少なくなったりして、非常に筋がわかりにくくなったとか。

現代、「これぞ能楽」としてとらえられている特徴の大部分が室町時代あるいは世阿弥のものではなく、歴史的変化の賜物である。今の人たち、何をそんなに大上段に構えているの?という姿勢が全編を貫き、そしてこの人の能にたいする興味と愛着を感じさせます。

また、狂言の項では、狂言研究の歴史もまた時代とともにあって、戦後間もなくの論文では「民衆劇として生まれた」などの解釈があった、など「ふーむ」と思わせられます。
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by soymedica | 2014-03-16 22:57 | 本・CD・その他 | Comments(0)

観世会企画公演 小原御幸

d0226702_17472984.jpg観世会企画公演 大原御幸
2014年3月9日(日)15時より@観世能楽堂
A席8000円。


大原御幸
シテ 観世清和、ツレ(内侍)浅見重好、(局)坂口貴信、(法皇)金剛永謹
ワキ 宝生閑、アイ 三宅近成
笛 藤田六郎兵衛、小鼓 大倉源次郎、大鼓 亀井忠雄
後見 武田宗和、宇高通成、観世芳伸
地謡 関根祥六ほか


仕舞と狂言はパスしました。
小原御幸は観世流と金剛流宗家の共演ということですが、見所の大部分は観世流のお客さんみたい。そしてせっかくの舞台なのに脇正面の後ろ3列くらいは完全に人無し。

まず、大藁屋が出されて、ワキツレの殿田が登場。後白河院が寂光院を尋ねるぞ、とお触れ。するとアイがお触れを皆に出します。この二人、ここしか出番がないのですが、やりようによっては煩くなるのに、重くなりすぎず、軽くもなく、よかったです。

大藁屋の引き回しが下ろされ、場面は寂光院へ。全員白の花帽子。向かって左の内侍は明るい茶、右の局は紺の無地の着物ですが、女院は渋い金地に遠目には扇が飛んでいるように見える模様の着物。では、樒をとりに行きましょう、と局から女院が籠を受け取る。このしぐさと、ちょっと見栄を切るような一瞬静止するしぐさが素敵。

法皇がやってきます。金剛永謹、体格が良いし、ぴったり。輿舁の一人はわからないけれど、もう一人は大日方。中納言の宝生閑、「ああ、のどかな緑の素晴らしいところではあるけれど、こんな寂しいところに」と晩春から初夏にかけての光景を歌い上げます。(ここのところ、謡なのに囃子が入らない。)そして法皇様もわざわざここまでやってくるなんてちょっとデリカシーにかけているな、と思いつつ、内侍と応対。あんまりワキが活躍するという筋ではないですが、これはやはり宝生閑クラスでないと。この人が下手くそだったら最後までぶち壊し。最後に法皇に帰還を促すところも凄く良かった。

遠くに紫の水衣を羽織った女院と局の帰ってくるのが見え、法皇一行はどっちがどちら?などと話している。女院たちの方も「人が来たみたい」と。ここで女院はいったん橋掛かりで床几にかける。どうもこの曲は最後までたったり座ったりが多い。
そして法皇がいらした、と聞くと立ち上がって、感謝し(放っておいてよ、とは言わない)一の松から「御影や今に残るらん」と、少し下をのぞき込むしぐさをします。ここが見せ所らしいのですが、私にとっては中入り前の、藁屋から出るところのほうが印象が強かった

法皇は「あなたは六道を巡られたと聞くが」などと言いますが、要するに平家最後の様子を語れ、ということで、苦しい時の話をさせます。ひどーい。でも、ここの謡はやはりとても聞きやすく、そして感情移入しすぎず、さすが家元。女院は床几で話をします。
「かぶと」というところで左手で頭をさすのは観世流独特のしぐさだそうですが、そんなに素敵ですかね。
最後の「しずみしは」と言いながら、床几から降りて座ります。こっちの方が納得できる型でした。
ともあれ、ここの聞かせどころ、素晴らしかったです。

聞きたいことだけ聞いてしまうと、法皇は中納言に促され帰ると言いだします。そんな法皇でも、あまりに寂しい寂光院ですから、女院は名残惜しげに藁屋の柱に手をかけて見送るのです。
法皇はいったんは輿に乗ったものの降りて振り返る。ここはしみじみしましたねー。筋の上ではデリカシーの無いオヤジですが。金剛永謹が実際に演じると良かったです。

ということで大満足でした。
何回でも観たい演目です。
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by soymedica | 2014-03-11 17:49 | 能楽 | Comments(0)

神なき国の騎士 あるいは何がドン・キホーテにそうさせたのか?

d0226702_2329834.png神なき国の騎士 あるいは何がドン・キホーテにそうさせたのか?
2014年3月8日@世田谷パブリックシアター 
6500円

作 川村毅
演出 野村萬斎
出演 野村萬斎、馬淵英俚可、木村了、深谷美歩、谷川昭一朗、村木仁、中村まこと
大駱駝艦


ネタバレありますから、ご注意。ただし、かなり難しい筋なのでざっと読まれていくと良いかも。

一言でいうと、後半は福島原発の話です。
前半はドン・キホーテが歌舞伎町に降り立って、日本の指導者にまで上り詰める。
後半は福島原発20キロ圏に取り残された動物達とドン・キホーテの話。

というのは劇の後半、あるいは見終わってからわかります。

観たのは世田谷PT友の会限定の日だったので、終わってから萬斎の解説があったのですが、萬斎自身が「書下ろしをお願いして、台本を受け取って難解さにとまどった」と語っていました。

かなり観念的、抽象的な筋書なので、演出も難しかったのかもしれませんが。この上演を下書きに、もう一度台本を書き直すことを考えても良いかもしれません。途中セリフがこなれていないなー、とか後から考えても盛り込みすぎだよ、と思うところがあったので、素人観客に観せる、あるいは(萬斎が言うように)外国に持っていくことを考えているなら細部の手直しが必要なのではないかしらん。

ともあれ、大駱駝艦との共演は成功だったと思います。
ドン・キホーテの役は萬斎ではなく、普通の俳優のほうが面白いかもしれない。特に日本では「萬斎」のキャラで観ようというお客さんが多いですからね。

そういえば「友の会限定公演」ということで最後にお楽しみ抽選会があったのですが、司会・アシスタントともに区(の外郭団体)職員とみえ、ものすごーく緊張していたのが気の毒でした。「友の会」会長さんは何かのお偉いさんらしく堂々としていましたが、あれなら会長さんと萬斎の二人でやった方がスムースでしょうね。
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by soymedica | 2014-03-08 23:29 | その他の舞台 | Comments(0)

観世会定期能 三月 当麻 伊文字 雲雀山

d0226702_1239947.jpg観世会定期能 三月
2014年3月2日(日)11時より

当麻 二段返
シテ 観世清和、ツレ 坂井音雅、ワキ 宝生閑、アイ 山本東次郎
笛 一噌庸二、小鼓 鵜澤洋太郎、大鼓 亀井忠雄、太鼓 観世元伯
後見 武田宗和、
地謡 野村四郎ほか

伊文字
シテ 山本泰太郎、アド(主)山本凛太郎、(太郎冠者)山本則重

雲雀山
シテ 上田公威、子方 馬野訓聡、ワキ 御厨誠吾、アイ(鷹匠) 山本則俊
、(勢子)若松隆、(犬引)山本則秀
後見 観世恭秀
地謡 角寛次朗ほか


肌寒い一日。能楽堂前の梅は3分咲きくらいかな。上手く写真とれなかったけれど。
昨年は当麻寺展で曼荼羅も見たし、当麻はもちろん、雲雀山にも期待。


宝生閑が二人のワキツレと共に登場。ここがあの当麻寺か、と話していると、小顔の若い女と、よぼよぼの尼登場。若い女はオレンジの着物、婆さんは紺系の着物に白い花帽子、白い房のついた白い数珠、杖をついています。
この杖の扱いが素敵だった。

ワキとワキツレが三人座っているのを眺めると、宝生閑が若干前かがみ。姿勢が悪いというのではなく、品の良いお年寄りという風情(実際にそうだけれど)。

当麻は「とうま」とも「たえま」とも呼ぶのですよ、などと色々寺の由来を教えた老婆は正中で杖を捨てて、二上山に登っていきます。
不思議なこともあるものよ、と聞いてみると、「それは中将姫の霊に違いない」とアイの東次郎が格調高く教えてくれます。でもね、前シテはお釈迦様かなにかじゃなかったっけ。

そして長い長い半幕のあと、中将姫の霊魂が登場。二段返と言う小書はここのことらしいです。これは後シテの登場の出端が長くなり、揚げ幕を半分上げ、シテが床几に座り、経文を持つ姿を見せる、という演出らしい。しかし残念なことに私の席からはそれが見えなかった。金の経文を左手に持ち、右手に中啓で登場します。経は浄土経らしい。ワキ僧は押し頂いて広げてよむのだけれど、その後ごそごそとどこかに置いちゃう。

長い舞を私に退屈させずに見せるのはさすが家元。
最後に橋掛かりで少し謡って二の松でおしまい。

観終って改めて折口信夫の「死者の書」って印象の強い話だな、と。謡を聞きながら、「ああ、これはあそこのところ」とか「あの人のこと」とか(完全に一致する話ではありませんが)思い出していました。


伊文字。「緋文字」???と思いませんか。ホーソンだっけ。全く違うコミカルでかつ優雅なお話し。清水寺で嫁がほしいと願をかける凛太郎。お告げの嫁を見つけたら、彼女は住所を歌で言うのだけれど、それが思い出せない太郎冠者。
凛太郎くん、まだ動作にメリハリが無いので、物凄く速く演じているように見える。一つ一つは同じセリフや動作の速さでも、メリハリをつけて間をつくるのが上手に見えるコツとみました。

通りがかりのものが伊の字のついた国を思い出すところは、能仕立てになっているのですが、東次郎はあまりそれを感じさせない演じ方でした。泰太郎ははっきり気付かせる。どちらが良いのかわかりませんが、笠の投げ方は東次郎に軍配。


次いで中将姫つながりということで、雲雀山。幕のかかった作り物の小屋がワキ座前に出されて、どうするのかなと思っていると、幕がそのまま降ろされて中には子方の姫が。
なかなか心憎い演出で、隣の小母さま(お稽古の人たちのグループの一人)なぞは感動して、「あら、可愛いわね。馬野くんって、お名前何て読むのかしら」としゃべりっ放し。

シテの上田公威はいつも後見というか働きで見ています。そういうのが得意で信頼されているのだろうな。ごつい感じの人ですが、面をかけるとアーラ不思議、たおやかな美人にちゃんとなる。

中将姫(子方)の父親に仕えていた家来と侍従が、義母の讒言で「殺せ」と言われた姫をかくまって山中にいる。
侍従が生活のために花を売りに里に下りると、偶然鷹狩りに来ていた父親の一行に会い、前非を悔いた父親と姫は再会し、めでたしめでたし、と言う話なんですが、これをたった60分(正確には65分)でやってしまうのだから忙しい演目です。

シテが綺麗な花(竹を割った先に葉蘭のようなものと花がついている)を持って色々なしぐさをして花を売るのが綺麗。そして間に入るアイの鷹狩り(タカは侍烏帽子で代用?)がはつらつとして一つの見せ場になっています。これはものすごく贅沢な人の使い方ですね。
舞台に出てくる順番が臣下のワキツレが先なので、高井を殿田と思いこんでいるんだが、隣のオバサン…。

シテは若干地味ですが良い出来だったし、楽しめましたが、囃子が今一つでしたね。まあ、最高のラインアップは当麻に持って行かれちゃいましたし。
最後は地謡が晴れ晴れとうたいあげて終わりました。子方くん、よく頑張って綺麗なお姫様を演じていました。


この後は失礼させていただきました。


物語の舞台を歩く 能 大和の世界 松岡心平 山川出版
雲雀山は最近でたあの分厚い4巻もの、「能を読む」にあります。
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by soymedica | 2014-03-06 12:44 | 能楽 | Comments(0)

国立能楽堂 冬スペシャル 働く貴方に贈る 膏薬練 葵上

d0226702_2336886.jpg国立能楽堂 冬スペシャル 働く貴方に贈る
2014年2月28日(金)19時より
正面席5000円

狂言(和泉流) 膏薬煉 
シテ(都の膏薬煉)野村又三郎、アド(鎌倉の膏薬煉)奥津健太郎

能の装束付け
山井綱雄、井上貴覚、本田芳樹、中村昌弘

能(金春流) 葵上 
シテ 高橋忍、ツレ 中村昌弘、ワキ 福王和幸、ワキツレ 村瀬提、アイ 野口隆行
笛 一噌幸弘、小鼓 幸正昭、大鼓 河村大、太鼓 徳山宗久
後見 高橋汎、井上貴覚
地謡 本田光洋ほか


「働く貴方」は気がたっていてですね、終了後正面席の男性2人が大声でケンカ。能楽堂って建物内部には制服警備員はいないらしく、ワイシャツのおじさんが連行していました。
もっと驚いたのはそれについて「あなた、せっかくの余韻が台無しじゃないですか、お出入り禁止にしてくださいましね」、と会場係のお姉さんに怒っているおばさんがいたこと。


…狂言の膏薬練。これ、なかなか面白かった。鎌倉の膏薬練と京都の膏薬練がそれぞれ、都に、あるいは鎌倉に行って勝負しようと出かけて出会って勝負するんですが、どこらあたりで出会ったのでしょうね。
膏薬というのは何かを「吸い出す」薬として使われていたのでしょうか、鼻に短冊をはって吸い比べをするのが見せ所ですが、双方のほらの吹き方、相撲のような吸い比べの動き、ダイナミックな演目でした。


装束の着付けの実演。何回も矢来で見ているので退屈するかと思ったけれど、山井綱雄の解説も面白く、新鮮な気持ちで見られました。下前の織り込んだところは糸で止める、と言っていましたが、観世でもそうするんだろうか。初めて聞くような。能では衣文を抜かない、と言われれば確かにそうですね。そして唐織と上に着る水衣は一緒に首の後ろで縫い合わせてあるのだそうで、確かにそうすれば着崩れは絶対に防げる。


装束モデルはツレの照日の巫。休憩の後、葵上が始まるとまず明るいオレンジの小袖が出される。次いで先ほどの照日の巫が座ります。臣下のワキツレが濃いオレンジの装束。いきなり臣下のセリフで始まって「急いで梓におんかけそうらえ」で、梓じゃなくて囃子が始まる。この後の巫の「天地清浄…」が好きです。特に理由はないけれど。
ここでシテ登場。

シテの装束の裾の後ろが長くて気になる。そして唐織の背中が非対称になっているのも着付けの実演の後だったので妙に気になる。
ワキツレの村瀬、だんだん上手になるのが見えるけれど、本日はどうも動きがぎごちない。

葵上は後世の改変が多いと言われ、散々に解説を読んだりしたので、謡が妙に気になるけれど、でもこの謡、よくできているし好きな謡です。
六条の御息所はおどろおどろしく振舞ったあと、後見座へ。
これは大変と、横川の小聖を呼ぼうとする臣下の村瀬。ちょっと力みすぎ。

そして有難い横川の小聖が登場。加持祈祷が始まると、後見座から衣をかずいた怪しい影がぬーっとシテ柱のところに。
現代の明るい能舞台だから良いけれど、もう少し薄暗かったり、外の風が生暖かく入ってきたりしたら怖いだろうなー。
まあ、結局最後には舞台中央で泣いて終わるのだけれど。

しっとりして良い舞台だったけれど、前半御息所にはもっとダイナミックな方が好き。もっと泥臭くても良いのじゃないだろうか。

ケンカとおばさんのクレームにあまりに驚き、この日の感想はここでおしまい。
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by soymedica | 2014-03-02 23:38 | 能楽 | Comments(4)