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国立能楽堂夏スペシャル 邯鄲

d0226702_13113294.jpg国立能楽堂夏スペシャル 働くあなたに贈る
8月22日(木)19時より
正面席5000円

対談 八塩圭子、林望

邯鄲 盤渉シテ 梅若紀彰、子方 小田切春璃、ワキ(勅使)宝生欣哉
ワキツレ(大臣)殿田謙吉、大日方寛、御厨誠吾、(輿舁)館田善博、森常太郎
アイ 山本則重
笛 竹市学、小鼓 鵜澤洋太郎、大鼓 亀井広忠、太鼓 観世元伯
後見 小田切康陽、山中迓晶
地謡 清水寛二ほか


邯鄲の解説を林望で聞くのは3度目ではなかろうか。今回はフリーアナウンサーの八塩圭子との対談形式。八塩さん、能は数回見たことがあるとおっしゃっていたけれど、舞台上で椅子に座ることは想定していなかったのか、スカートがかなり短くて気の毒でした。対談という形式が解説にマッチしていたかというとちょっと疑問でしたが。

もともとは枕中記のお話で、能は直接には太平記からとったものだということです。どちらも主人公は栄華を求めて旅に出るという想定ですが、能は仏道修行をする青年という想定が最大の違い、などなどのお話がありました。


邯鄲の大宮はとても大きいので、組み立て式です。
まず宿の主人が枕について口上を述べます。美男鬘じゃない狂言の女性はなかなか見もの。
続いて出てきた盧生。あれ、掛絡がない、と思ったら宿について入るときに後見がかけた。忘れたんだろうか…。解説で「盧生は仏道修行にでているという想定なので掛絡をかけていますよ」とあったから注目していました。この盧生、黒頭が大きくてなかなか小顔に見えます。

宿の主人に勧められて枕を使う盧生。と、宝生欣也の勅使がやってきて台をトントンと。なんとなくこれが怪しい感じ。
盧生、輿に乗って出世です。この輿かきのワキはこれだけの仕事。

栄華を極めた盧生。子方が舞を舞います。12歳の女の子です。舞って年齢によって随分違って見えるものだなと感心。ポニーテールの髪型でなかなか凛々しい少女です。
盧生も舞います。有名な空降り。降りた後ずいぶん長く足を上げていました。いままで三人の盧生を見ましたが、三人三様。そういえば台に飛び込む所作は観世流には無いと、能楽堂パンフレットにはありましたが、岡久広はやっていたような。

舞のあと、盧生はかなり息が上がっていました。
勅使や大臣が一斉にさーっと切戸口から退場する様子が、いかにも「夢の終わり」
「盧生は夢覚めて」の謡がとてもきれいでした。

ただ、ちょっと最後疲れた様子でしたね。

そして、シテが完全に退場する前に大宮をたたみ始めたのにはびっくりしました。
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by soymedica | 2013-08-30 13:12 | 能楽 | Comments(0)

能・よみがえる情念

d0226702_9155724.jpg能・よみがえる情念 能を読む 馬場あき子 檜書店

キャッチフレーズとして考えるなら、「能の詞章の奥にある歌の伝統に触れてみませんか?」かな。
国立能楽堂の解説として話した物(テープ起こしを文書にしたらしい)と、雑誌「観世」に連載されたものをまとめた一冊。一曲につき10ページ弱の解説です。コンパクトな解説ですが、その曲に関連した伝説や、有名な文句がどこから引かれているかなど、基本的知識を授けてくれる上に、感情移入過剰にならずにその曲の魅力をさりげなく指摘してくれます。

固くなりすぎず、抒情に走りすぎず、良い感じ。演能前の公演を元にしているので、鑑賞前のじゃまになりません。能楽堂に出かける前に目指す一曲のところをちょっと読んでおくと一層たのしめます。
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by soymedica | 2013-08-19 09:16 | 本・CD・その他 | Comments(0)

アンドレアス・グルスキー展

d0226702_16515837.jpgアンドレアス・グルスキー展
@国立新美術館 1500円

ずっと気になっていた展覧会ですが、やっと行くことができました。
結構人気だな、と思ったら一緒にやっているアメリカンポップアートのお客さんでした。
でもこちらもなかなか。

展示の最初の方にある、絨毯を拡大した巨大な写真を見ながら、「この人北朝鮮の軍の行進とかマスゲームとか好きだろうな」と思っていたらマスゲームの写真がちゃんとあったので、にやり。

遠近はあるけれど、遠くも手前も同じようにピントが合うように処理してあるようで、不思議なパターン感覚が楽しめます。カタログだとわからないのですが、大きな作品と小さな作品の差が生み出すリズム感も面白い。

意味のある題の付いている作品は少ないし、題があっても「東京証券取引所」とか「大聖堂」とか、ま、そうでしょうね、くらいのものでしかないのですが、入り口で目録を貰って入ることをお勧めします。

ポスターの良いのがあったら買おうかと思ったら一枚5000円。ふと、こういう作品はコピーされやすいし、版権管理なんぞはしっかりした事務所が目をひからせているのだろうな、と思ってしまった。

チケットの写真はスーパー・カミオカンデ。右下にはボートに乗ったちっちゃな人が二人、合成されています。大きな作品です。
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by soymedica | 2013-08-11 16:54 | 本・CD・その他 | Comments(0)

二兎社公演38 兄帰る

d0226702_17403817.jpg二兎社公演38 兄帰る 
作・演出 永井愛
2013年8月5日(月)@東京芸術劇場 5500円

草刈民代、鶴見辰吾、伊藤由美子、堀部圭亮、小豆畑雅一、枝元萌、藤夏子、二瓶鮫一

まず、草刈民代の歩き方がバレリーナ歩き(肩をすごく後ろに引いているので、手が腰より後ろにある)だった…。Shall we dance? からずいぶん時間がたったけれど、まだまだ素敵。

前回の二兎社の「シングルマザーズ」がちょっとメッセージ性が強すぎて私には今一つだったのですが、今回は楽しめました。

ギャンブル、使い込みなどでついに借金返済のために親に家を売らせ出奔していた兄が、弟夫婦のおしゃれな家にホームレスとして転がり込んでくる。その再就職、再出発をめぐり(既に両親は亡くなっているけれど)、弟夫婦、姉とその再婚した夫、仲の悪い叔父と叔母を巻き込んで…。さらにそこに弟夫婦のホームステイ中の小学生の息子をめぐるママさんたちの葛藤が。

そんな親戚は(把握している限りは)私にはいないけれど、でもこういう場面、こういうことってあるある、そういう感じにあふれたストーリー。

でも、世間の人はそういう兄弟がいたら家にいれて面倒を見るのだろうか。戦前だったらそうしたろうけれど、私だったら家に文字通り一歩も入れないし面倒も見ない。きっと私のような考えの人が多くなったからホームレスが増えるのでしょうね。昔は誰かがやっかいものの親戚の犠牲になっていたはず。

ともあれ、キャスティングも良いし、役者も上手。そして劇場もちょうど良い大きさで楽しめます。
まだご覧で無い方は是非。
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by soymedica | 2013-08-06 17:41 | その他の舞台 | Comments(0)

東日本大震災義援能第二部 鎌腹 善知鳥

d0226702_21492021.jpg東日本大震災義援能第二部
2013年7月30日(火)18時30分より@観世能楽堂
正面席5000円

舞囃子 観世流 菊慈童 盤渉
岡久広

独吟 
喜多流
 竹生島 佐々木多門
金春流 松風 山井綱雄
宝生流 放下僧 小歌 水上優

仕舞 観世流 殺生石 小島英明

狂言 大蔵流 鎌腹
太郎 山本則俊、太郎の妻 山本則秀、済人 山本則孝

仕舞 観世流
網之段 観世芳伸
遊行柳クセ 木月孚行
 今井安助

能 観世流 善知鳥
シテ 観世清和、子方 藤波重光、ツレ 大松洋一
ワキ 福王和幸、アイ 山本則重
笛 八反田智子、小鼓 観世新九郎、大鼓 國川純
後見 木月孚行、寺井栄
地謡 岡久広ほか


観世能楽堂は割と久しぶり。周囲の豪邸の中に、素晴らしい一戸建てなのになぜか門に宅配受け取りボックスがある家あり。家事使用人と言うものを置かないのか?あんな家に住んでいるんだから人を雇えば良いのに、と毎回思う私。

鎌腹。前に見たのは和泉流だったのかな。終わり方がこれとは違っていた記憶が。今回の終わり方の方が納得のいく感じ。ともかく、わわしい妻にあれこれ言われるくらいなら自殺しようと、色々工夫するところが見せどころなのは同じ。それにしても山本さんちはしみじみ素晴らしい。


善知鳥。最近福王和幸が登場しても驚かなくなった。あのプロポーションに慣れたのね。外の浜と立山って方向違いじゃない、と関東中心に考える私。ともかく、立山の陰鬱な風景の中で旅の僧が亡者に呼びかけられる。そして、外の浜にいる亡者の妻子に笠と蓑を手向けるように伝言してくれ、と。会った証拠に着物の方袖を渡される。

前は前場と呼べるほど長くは無い。
アイと一緒に子方と母が登場。母は沈んだ色ではあるけれどずいぶん豪華なお召しもの。子方の衣装は何回も使った感じであります。

僧は在所の人にそれらしき妻子の居場所を教えられてそこに向かう。
ツレが謡っている間しばらくの間ワキは引っ込んでいるのですが、これが後見座でなくて大小前というのがちょっと変わっている。

で、「あら主人の形見の衣とそでがぴったりだわ」となるのですが、では冥界で猟師の着ている衣は?形見の衣はもともと片方袖無しだったのか?なんだかSF小説か最新の量子論かを想像。
そして妻が持ち出す笠。その縁が遠目にもわかるほどに派手に剥げているのは…。
このあと杖を正先から後方へ投げ(囃子に当たらないように練習したんでしょうね)さらに笠を地謡前に投げる所作があるのですが、その練習の時に剥げたのかな。

それにしても後シテの面は薄気味悪いものでした。白くって目が小さくって、頬がこけている。ちゃんと終演後取れたのだろうか。肉付の面の話を思い出してしまった。
後シテの扇は薄茶のベースに白い波、灰色の鳥が書いてあって、これもおどろおどろしい。

というわけで、ビジュアル的には大変楽しめるものだったのですが、後半せっかくの謡の印象が(私の中では)薄くなってしまって、ざんねん。一人で舞、所作、謡全部楽しむには何回も見ないといけませんね。それにしても「士農工商の家にも生まれず、または琴碁書画をたしなむ身ともならず」のところが全く記憶に無いのですが…。


帰路ちょっと雨。無念の猟師の涙だったのか。

なお、写真は観世能楽堂を裏から見たところ。昭和の建物ですね。
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by soymedica | 2013-08-03 21:52 | 能楽 | Comments(0)