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宝生流 時の花 夏 雷 雷電

d0226702_17245332.jpg宝生流 時の花 夏 
2013年7月27日(土)16時より@宝生能楽堂
正面席 6000円

 
野村萬斎 石田幸雄

雷電 
シテ 辰巳満次郎、ワキ 宝生欣哉、アイ 竹山裕樹
笛 松田弘之、小鼓 大蔵源次郎、大鼓 柿原弘和、太鼓 小寺真佐人
後見 宝生和英、金森秀祥
地謡 大坪喜美雄ほか


雷尽くしの本日の演目。狂言の、こんな曲があるなんて知らなかった。囃子付きの能仕立て。藪医者が競争者の多い都を避けて金稼ぎに東へ。武蔵野に着いたところで、雲間から足を踏み外して落ちた雷に針治療をする羽目に。ところが雷様は薬代を持ち合わせていない。紆余曲折の後、かんそん(旱損)も水損も無いように守ってやるぞ、ということで目出度く終わります。

雷が針治療を派手に痛がるところで、頭をふると白いボウボウ頭の下がどうなっているか見えちゃうんですよね。あれ、どうにかした方が良い。


偉いお坊さんの法性坊が二人の弟子を連れて登場。雷電というと夏ではと思いますが、セリフからは秋の曲。本日は何かの祈願の最終日らしい。「深更に軒白し。月はさせども柴の戸を、叩くべき人も覚えぬに、いかなる松の風やらん。」ワキのセリフですが、綺麗だな。きっと出典は漢詩ですね。
そこに懐かしい(このお坊様は道真の師であった)菅原道真(の霊)登場。黒頭で、面はなんだろう。怪士系のように見えますが。「これから宮中に行って連中を『け殺す』から、邪魔はしないでください」。「いやいや、宮中からお召しがあったら二度までは断っても三度目には行くから」というと、怒ってそこにあったザクロを取り上げ、種を吐き出すと火に変わります。
ザクロって夏休みの学校の校庭に生っていた記憶があるのですが、今調べると実がなるのは秋。

この「けころす」という言葉に関して田中貴子が何か書いていたが、良く思い出せない。あとで見てみよう。要するに雷様は人を「けころす」らしい。

ここで、道真もお坊様達も退場。アイ語りのあいだに携帯電話が鳴ったのにはびっくり。

地謡前とワキ正面に一畳台が出される。今度は宮中という設定なんだが、坊様は弟子無しで一人でやってくる。菅公を祈り退けなくてはいけないのに、一人で大丈夫?でも、力が入っていてワキ座の一畳台での謡いだしがとってもカッコイイ。沙門帽子の後ろに星印が付いていますが、あれはきっと意味があるのでしょうね。比叡山の僧という設定ですが、何か密教と関係がある印かな。

と、幕の向こうで足拍子が雷のように鳴ります。走り出た菅公はかずいていた衣を二の松で落とす。頭は真っ赤。法性坊がこちらの台(宮中ナントカ殿)なら菅公はあちらの台(別のカントカ殿)と、一畳台を乗り換え戦います。

最後は宝生欣哉が勝ちます。辰巳満次郎はおっきくて宝生欣哉は小柄なのにね。心なしか表情も嬉しそう。そして皆退場するのでした。

やっぱり宝生流のなかでは辰巳満次郎、家元の宝生和英が私の一押し。
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by soymedica | 2013-07-29 17:27 | 能楽 | Comments(0)

第11回興福寺勧進能第Ⅰ部 萩大名 梅枝

d0226702_8291035.jpg第11回興福寺勧進能第一部
7月20日(土)@国立能楽堂12時より
正面席9000円


お話 西野春雄

狂言 萩大名
シテ 野村万蔵、アド 野村太一郎、野村万禄

能 梅枝 越天楽
シテ 浅見真州、ワキ 宝生欣哉、ワキツレ 大日方寛、則久英志、アイ 小笠原匡
笛 松田弘之、小鼓 大倉源次郎、大鼓 亀井忠雄、太鼓 小寺佐七
後見 武田友志、浅見慈一
地謡 浅井文義ほか


何故か鵜飼(第Ⅱ部でした)を見に行くつもりでいたので、着いてびっくり。でも、新しく買ったスマホで銕仙会のホームページにアクセス、ちょっとですが初めての演目で予習ができました。

管長挨拶のあとは西野先生のおはなし。この曲では富士の妻の霊が雨を降らせて身延山の僧を呼び寄せた後、雨が晴れ、月の運行とともに話が進むことに注意してみると良いですよ、とのアドバイス。なるほど。
越天楽についての解説は(ここは黒田節に残っているそうですが):梅が枝にこそ…のところがそれなのですが、桃山時代の謡い本を復元すると、ここが越天楽今様の節であったことがわかったという横道萬里雄先生の研究に基づくものだそうです。

そして、梅枝は作者不詳ではあるが、中に出てくる詞章「忘れて年を経しものを」と同じ文句が、江口、関寺小町、重平、松虫に出てきて、これは世阿弥、元雅、禅竹系の曲に多くみられる。
「面影ばかりは残るらん」で終わるのは芭蕉、定家、楊貴妃、小塩、松虫。
というところから禅竹さくでは?
とのお話も。

そして、「萩大名」の原型となるものは室町時代からあったのだそうですよ。


萩大名は、もうちょっと軽ーい感じにやってほしかったけれど、なかなか面白かったです。


梅枝はこのような事件が実際に世阿弥の時代にあったそうです。
今回は旅の僧と言っても偉い人のようです。雨が降ってきたので一夜の宿を借りようとします。シテの里の女の着ているのが物凄く大きな茶系の市松模様。凄くモダンでしゃれています。面は深井かな。口の横に皺が。でも美人。
宿を借りる話がつくと、雨があがり、月が出ます。「松吹く風も心して旅人の夢を覚ますなよ」。

太鼓の作り物が出されて、台の横には装束が掛けられています。そして女は浅間と富士、そして富士の妻の話をすると消えてしまいます。

後見が太鼓の横の衣装を引くのですが、衣装のかけてある横棒ごと引いていました。粟谷明生のブログによると、喜多では近年は衣装だけ引いていたようです。確かにもし棒が残っていたらちょっと気になったでしょう。

里人に詳しい話を聞いた僧は女人成仏の功徳のある法華経を唱えていると、妻の霊が現れて舞を舞う。ここの詞章が綺麗。装束はブルーと金を主体としていておしゃれ。

「梅が枝にこそ、鶯は巣をくへ、風吹かばいかにせむ、花に宿る鶯」
ここが小書ともなっている越天楽今様の節となります。たしかに他の部分とは違っています。謡をやっている方の耳にどう響くかはわかりませんが、ハッとさせられてでも唐突ではなく、とても良かった。

ということでとても満足。稀曲とのことですが、また観たいな。

と言うことで参考は銕仙会ホームページhttp://www.tessen.org/dictionary/explain/umegae-etenraku
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by soymedica | 2013-07-23 08:33 | 能楽 | Comments(0)

国立能楽堂7月定例公演 呂蓮 通小町

d0226702_1723988.jpg国立能楽堂7月定例公演 呂蓮 通小町
7月17日(水)18時30分より
脇正面席3100円

狂言 呂蓮 和泉流
シテ(出家)石田幸雄、アド(宿主)野村萬斎、小アド(妻)高野和憲

能 喜多流 通小町
シテ 粟谷能夫、ツレ 大島輝久、ワキ 森常好
笛 藤田朝太郎、小鼓 観世新九郎、大鼓 亀井広忠
後見 友枝昭世、中村邦生
地謡 出雲康雅ほか


今回切符を買うのにちょっと出遅れたら正面席が売り切れ、中正面も売り切れ、で、脇でした。今回演目に限って言えば、そんなに悪く無い席でした。

呂蓮は初めて見る演目。うちに出家を泊めて、おっちょこちょいの主人が勢いで出家しちゃう、という話。出家と言っても大したことの無い人で、「伊呂波」の手習い本を一生懸命見て名前を考えるといった程度。かるーいノリのおバカさんな亭主と不条理な状況に目をぱちくりする出家、そして高野和憲のヒステリー妻。面白かった。むかしから頭をそるときには「じょりじょり」と剃るのですね。


「夕暮れはひとかたならぬ思いかな」。通小町です。「暁は数々多きおもいかな」。
改めて前場で重要な役をする小町が「ツレ」だとなんだ、と思う。大島輝久ってちょっと注目していますが、今日も満足。

友枝昭世が後見だったのですが、髪を染めていないところが大変好もしい。

さて、一夏を送る僧に毎日木の実や小枝を持って来る女性がいる。「木の実の数を聞いてみよう」。女性にすぐに名前を聞くものでは無かった時代の習慣が投影されていると聞きました。喜多、金剛にこのセリフが残っているそうです。(ほかの流儀では「名前を聞いてみようと言います。」

この木の実の名前を挙げて行くところといい、詞章の綺麗なお話ですね。
女性は自分の名前をほのめかして消えて行きます(本当は後見座に座っている)。セリフにもあるようにもともとは姥で演じられていたそうですが、若い女性に変えたくなるのが十分わかる可憐な木の実問答。

そして「あの女性はもしや」というワキのセリフ。森常好がニュートラルな感じに語ってサラサラと舞台は進行します。

そして僧が市原野辺に行って御経をあげていると、小町の霊が出てきて感謝した、と、幕の中から「その女を成仏させるな」と薄気味の悪い声が。「包めどわれも穂にい出て」のところまで幕を下ろしたままで薄気味悪く謡っている。この演出、好きですけれど、脇正面で見ていた私には良く謡が聞こえましたが、囃子方には聞こえるのだろうか?

そしてワキ僧の求めに応じて百夜通いの様子を見せます。これ、何でそんな見せ物のようなことをさせるのか、残酷だな、と思っていたのですが、小学館の謡曲集の解説によると「過去の行いを再現することで罪が救われると考えられていたから…それゆえツレも救われるために『待ちしところ』をさせる必要があった」のだそうです。解説と言うのは良く読んでみる物ですね。

百夜通の様子は(たぶんシテの個性によって)あまりくどく無く演じられて私にはこれがとても好ましく思えました。笠を落とし、探すしぐさも良かったし。
地謡が若干御経みたいでしたが。

と言うことで、大感動、と言うわけではないけれどなんとなく「今日は来て良かったな」とほかほかした気持ちで帰途についたのでした。
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by soymedica | 2013-07-20 17:26 | 能楽 | Comments(0)

第26回テアトル・ノウ 東京公演 楊貴妃

d0226702_20534485.jpg第26回テアトル・ノウ 東京公演 楊貴妃
2013年7月13日14時より@宝生能楽堂
正面席8000円

仕舞
絹巻キリ 河村晴道
土車 味方健、
鵜飼 味方團

舞囃子 山姥 片山幽雪

仕舞
江野島 観世喜正、井筒 片山九郎右衛門、善知鳥 梅田邦久

楊貴妃 台留
シテ 味方玄、ワキ 宝生欣哉 アイ 奥津健太郎
笛 藤田六郎兵衛、小鼓 成田達志、大鼓 亀井広忠
後見 清水寛二、味方團
地謡 片山九郎衛門ほか


連日の猛暑で疲労困憊。申し訳ないけれど前半は意図的に寝ていました。隣のお兄さんは最初から寝ている私を不審に思ったでしょうが…。
最前列通路わきの特等席にプロと思しきカメラマンが座っています。隣の人は一般客なのかな、びっくりしたろうな。

楊貴妃からはちゃんと起きてました。成田達志がやけに涼しそうな頭になっています。
まず作り物が大小前に。引き回しの折り目の角度のせいで、やや右に傾いているように見えるのが気になる。

皇帝の御下命で楊貴妃の魂を探しにきた方士。所の人に聞いて楊貴妃の居所を発見。

作り物の引き回しが延々とおろされない。ワキが「立ち出でたるお姿を見れば」と言っているのに、後見は微動だにしない。「顔色のなきも理や」でやっと楊貴妃登場。小書きと関係があるのかと思ったが、どうも違うらしい。

衣装がすてき。沈んだ水色の袴に上は金。オレンジの花が飛んでいるよう。方士にかんざしを渡し、皇帝と二人で交わした言葉を教えるまで作り物の宮に座ったままなのですが、シテ、ワキ、地、いずれも謡がとっても良いのでいつまでもこうやって問答していても退屈しないのでは、と思いました。

まあでも見せどころは序の舞ということになっているので、簪を再び挿して舞います。簪になにか問題があったようで、途中で傾いてしまい、後見が挿し直し。シテが立っている場面だったので、後見の清水寛二がシテより大きな人で良かった。
そして今度はあまりにキッチリ挿したためか、最後に方士に簪を与えるところでは、冠ごととっていました。

退屈な舞とそんなでも無い舞のどこが違うのか、こちらの体調や気分のせいか、いずれにせよ、本日は退屈でない方の序の舞だったので有難かった。

この曲、最後にワキが「さるにてもさるにても」と、楊貴妃に向かって言うところが良いですね。方士はきっと楊貴妃にかなわぬ恋をしていたんだな、と思いませんか?
最後に楊貴妃は宮にもどり、扇を顔に押し当てるしぐさをするのですが、これも美しかった。

「台留」という小書きは味方健の手になるパンフレットによると、「常のように『キリ』の謡いいっぱいに作り物から出ることをせず、謡いいっぱいは中に伏ししずみ、一クサリのこる囃子の手ででるもの」だそうです。パンフレットそのまま写しているんですが、これだけ読んでわかりましたか?要するに最後に宮の中にちょっと長めに居るということらしです。


次回の東京公演は「砧」。やはり宝生能楽堂で7月12日だそうです。行こうっと。
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by soymedica | 2013-07-15 20:58 | 能楽 | Comments(0)

のうのう能plus Vol.6 自然居士

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のうのう能plus Vol.6
2013年7月6日(土)14時より@矢来能楽堂
S席7000円

解説 観阿弥の能 自然居士 小田幸子
仕舞 
菊慈童 観世喜之
東岸居士 観世喜正

自然居士 古式
シテ 梅若玄祥、子方 古川穂奈美、ワキ 宝生閑、ワキツレ 大日方寛、アイ 山本則重
笛 一噌隆之、小鼓 飯田清一、大鼓 亀井広忠
後見 山崎正道、川口晃平
地謡 観世喜正ほか


本日梅雨明けとかで、物凄く暑い。能楽堂が屋内になってクーラーが効いているのは大変結構と、たどりついて思う。

小田幸子先生の解説。観阿弥作とされるこの自然居士がもとはどうであったか(と学者は考えているか)をプリントを使って簡単に説明。
私は人気者であった自然居士のお話がだんだん広がって正義の味方スーパーマンのように広がっていったのね、と勝手に変形解釈。

「古式」という小書きがついているのは、世阿弥あるいはその後の時代に削られてしまった部分を再現する試み。
囃子方の前に半畳ほどの説法台が出てきます。ちなみに本日亀井広忠の袴は薄いあずき色でした。
間狂言が幕内に呼びかけて説法を促します。自然居士、なかなか栄養が宜しい。説法台に乗り、葛桶に腰かけて説法を始めます。

ここで、地謡後列の中所が隣の古川に何事か囁き、古川は切戸口から出て行く???シテの装束になにかまずいところでも?
ともあれ、ここで小田先生が「現行では省略された」とおっしゃったシテのセリフと地謡の一部が挿入されます。

そして少女が小袖を持って登場。子方が実際に女の子のせいか、アイが自然居士の方に子供を連れて行く場面が能にあるまじきリアルさを感じさせます。
そしてその子を追って人買い登場。その人買いのセリフの間になんと舟が出されます。
子供を連れた人買い二人は舟へ。本日大日方寛の謡が物凄く強くて悪者っぽい。

アイが大変だ、大変だ、と居士に告げると、居士は「自分が助けに行く!」と、小袖をくびに掛け、台からおりて橋掛へ(ここで台は引かれます)。そして橋掛三の松から舟に呼びかけます。「おーい、人買い」。

そして舟に手をかけて引きとめます。居士が小袖を舟の方に投げると、人買いが子方を叩くのですが、そこは能。棹を扇でたたきます。
この緊迫したやりとりが面白いのですが、囃子とセリフが重なり合って聞き取りにくい。こういう時、もっと予習をしてくれば良かったと思うのですよね。
(ここでは囃子も強く無くてはならないし。セリフを知っていれば聞き取れる程度の重なりなので。)

子供をあきらめた人買いたちは舟を漕ぐとき方袖脱いだのをやめて、じゃあ、自然居士に芸をさせてやろうと。ここで地謡後列から人買いに烏帽子が渡されます(さっき取りに行ったのはこれか)。自然居士は烏帽子をつけて舞います。数珠をもったまま舞うのも面白い。舟の始まりを教えてくれます。
で、今度は簓。ささらが無くても数珠と扇でちゃーんとできるぞ、とやって見せます。
最後は鞨鼓。これも叩いて音を出します。縁を叩いて音を変えたり楽しい。ついでに一の松のところで欄干たたいたり。

そしてめでたしめでたし、子方を取り戻して都に帰ります。

あー楽しかった。
雑誌「観世」の七月号にはこの自然居士について詳しく書かれていました。
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by soymedica | 2013-07-09 23:15 | 能楽 | Comments(0)

能への扉Vol.1 班女

d0226702_2249836.jpg能への扉 Vol.1. ひろがる幽玄の世界in 表参道 班女
2013年7月5日19時より @銕仙会能学研修所
自由席5000円

仕舞 高砂 観世銕之丞
能 班女
シテ 谷本健吾、ワキ 宝生欣哉、ワキツレ 大日方寛、御厨誠吾、アイ 山本則重
笛 八反田智子、小鼓 大蔵源次郎、大鼓 亀井広忠
後見 清水寛二、鵜澤光
地謡 観世銕之丞ほか計6人


実は青山の銕仙会に行くのは初めて。座席が良くないと聞いていて敬遠していたのですが、背もたれ無いのはそんなに気になりませんでした。ま、どちらかというと胡坐をかいて一杯やりながら観たい感じではありますが(笑)。見所のサイズも良い感じ。そして老松がきれい。

パンフレットにもあるように、あまたある講座と公演のセットを見て、シテ(谷本健吾1975年生まれ)、笛(八反田智子1973年生まれ)、研究者(中司由紀子1972年生まれ)の三人が自分たちも何かできないかと立ち上げた会のようです。事前講座には行かれなかったのですが、なんとなく期待させる舞台。
谷本健吾はTwitterをフォローしていて、自然体でいて能が好きそうな感じに好感が持てた人。八反田智子は養成所出身とは知りませんでした。

さて、囃子が入ってくる。亀井広忠がスカイブルーの珍しい色の袴で登場。これはこういう曲でしか着られないな。後見の鵜澤光はなぜか凄く厳しい顔をして入ってくるけれど、お腹でも痛いのか?

野上の宿の長が、花子に目をかけてやっているのに働かないからもう追い出そう、と。アイのセリフは現代語に近いので、もう少し緩急つけた方が自然に聞こえはしまいか。
呼び出されてもまだ吉田の少将を思ってぼんやりしている花子登場。この登場の仕方が物凄く硬くて、この先どうなる事かとちょっとはらはらしたのですが、どんどん調子が上がってきて楽しめました。

色男の吉田の少将登場。野上の宿に花子を訪ねに部下をやる。そんなに色男かな。ワキツレ二人もなかなかカッコ良いのですが。でも、既に花子は追い出されたあと。
少将は狂女となった花子と糺ノ森で出会うのです。初めは誰だかわからなかった少将ですが、花子の持つ扇をみてそれと気づき、めでたしめでたし。でも、グリム童話のように魔法をかけられていたわけでは無いのに、いくら零落しているからといって1年もたたない間に恋人の見分けがつかなくなるものだろうか。宿を追い出された狂女にしては御装束が立派ですが、来ない恋人を思い内へ内へと向かう気持ちが上手く出ていました。顔の角度つけ方が上手い。笛も艶があって素敵。

一般に家元やその嗣子が上手なのは何と言っても演ずる機会が多いからでしょう(才能を持って生まれてこなくても家元は家元)。やはり場数は大事ですね。瑠璃も針も磨けば光る…。
40歳前の谷本と八反田。この世界ではまだ若いと言われる年代なのかもしれませんが、今の年齢にはそれこそ今の花があります。どうやって歳とっていくのか楽しみ、というと変ですが、貪欲に出演の機会を作っていくとさらに良くなりそう。人気出てほしいな。

楽しかったから次回も行こう、と思ったのですが、何とこのパンフレット、次回の予約・申し込み開始は4月1日と書いてあっても、何日に講義があって何日に公演があるのか書いていない。そして良く見たら大日方 寛が大日 方寛になっていた。…が、頑張れー。
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by soymedica | 2013-07-06 22:54 | 能楽 | Comments(0)

日本語の古典

d0226702_12191056.jpg日本語の古典 山口仲美 岩波新書

奈良時代から江戸時代までの代表的な文学書を、」その文体や言葉の使い方を中心に紹介した本。あとがきに筆者が「自分で、初心にかえって作品そのものに向きあったときに感じたことを大切にし、それを研究で培ってきた分析力を使って説得性をもたせる。」という本を目指したと書いていますが、まさにそういう案内書に仕上がっています。30冊の代表的古典が新書一冊に取り上げられているのでもちろんダイジェストですが、お勧め。

能と関係ありそうなところとしては、風土記では松浦佐用姫の話が、大和物語ではあの「風吹けば沖つ白波龍田山夜半にや君が一人越ゆらむ」の話が伊勢物語との対比で紹介されています。
そしてもっと新しいところ、江戸時代の解説が面白い。「簡単に読めそうで楽しいですよ」という筆者の声が聞こえてきます。
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by soymedica | 2013-07-04 12:20 | 本・CD・その他 | Comments(0)