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第七回和の会 葵上 梟

d0226702_10143212.jpg第七回 和の会主催 宝生流能楽公演 体感する能 葵上 梓の出
6月29日(土)16時より@宝生能楽堂
正面席 6000円

体感ナビゲーション 出演 平田広明、脚本 石井飛鳥

連吟 須磨源氏 高橋憲正ほか計13人

舞囃子 半蔀 澤田宏司

狂言 梟 
シテ 山本則秀、アド(兄)山本則重、アド(弟)遠藤博義

能 葵上 梓の出
シテ 宝生和英、ツレ 田崎甫、ワキ 森常好、ワキツレ 館田善博、アイ 山本則重
笛 小野寺竜一、小鼓 鵜澤洋太郎、大鼓 柿原弘和、太鼓 観世元伯
後見 和久荘太郎、佐野玄宜、金森隆晋
地謡 辰巳満次郎ほか


ロビーに入るとワキツレが森常太郎から館田善博に変更のお知らせが。どうしたのでしょうか。
満席の上非常に(能にしては)若い見所。
体感ナビゲーションって何だろうと思ったらあらすじを朗読してくれることでした。ずいぶんイケメンで朗読の上手い能役者だな、と思ったら現代劇の俳優や声優をやっている人でした。

個人の会の趣味なのか、宝生はこうなのか(定期公演に行ったことが無い)、見所をとても暗くします。暗くするなら途中からの着席は危ないからさせない方が良いと思う。

まず連吟。物凄く人がたくさん出てきてビックリ。
そして舞囃子。半蔀ってわたしにとっては退屈な曲なんですが、舞囃子になると余計…。そして囃子が大鼓だけが葵上と違っていて柿原孝則さんだっだのですが、この人の掛け声がなんとなく今一つ乗り切れていない感じで…。この人が能でも演奏するなら帰っちゃおうかと思ってパンフレット確認したら違ったので気を取り直す(笑)。

そしてって例の間抜けな山伏が出てくる曲なのですが、これもやっている方があんまり楽しそうじゃ無かったのでこちらも乗り切れず。弟の名前が太郎っていうのは変じゃないか、などと考えつつ見ていました。

葵上。しずしずと照日の巫女と廷臣登場。そして後見が小袖を正先に。題名にもなっている主人公の葵上、ずいぶんとペチャンコでいらっしゃいますな。
巫女が謡いだすと、幕が半分上がりあやしい女の下半身が…。そして六条の御息所の生霊登場。一の松で謡いだすのだけれど、この人の謡いってこんなに聞き取りにくかったかな。ちょっとがっかり。見所をこんなに暗くするのだから、はっきり謡ってくれないと困るじゃないの。

生霊は唐織を来ているのだけれど(これを後見座に行く直前で上半身脱ぐ)私にはこれがどうも割烹着に見えてしょうがない。着付けのせいかな。面はぬめっとした感じ。
そして照日の巫女と生霊とのやりとりがあって、生霊は後見座へ。

葵の上に取りついているのが六条の御息所とわかり、偉い横川の小聖が呼ばれます。確かに偉そうな山伏。
中入りせずに後見座で面を替えると言うところが昔々の人には新鮮だったのかな。かずいた唐織を腰に巻きつけるときに手に持った打ち杖が妙に揺れてあちこちするのが気になります。家元なんだからもっとスマートにやってほしい。
そして祈り伏せられて安座するところ、かなり裾が乱れて私の座っていたところからは脛が丸見えになってしまった。

もともと動きがあって面白い曲だし、楽しめましたが宝生和英会心の舞台では無かったのでは。


なお、パンフレットの半分般若、半分泥眼の不思議な絵。実物は切り絵です。ロビーに飾ってありましたが、実物はとても素敵でした。
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by soymedica | 2013-06-30 10:17 | 能楽 | Comments(0)

おけいこごと考

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留学や海外赴任をする人が多くなるにつれて日本文化に回帰する人が私を含めて多い。中には自分で習い始める人も。

三味線と唄(どちらにも色々種類があるらしいのだが私には覚えきれず)を習っている友人がいる。彼女は子育ての終わった主婦だが専門職を持っており、かなり忙しい日常生活。その彼女の愚痴:

その1.
おけいこの時間を決めたらぺちゃぺちゃお喋りしていないで、ちゃんとその時間に始めて終了時間を守ってほしい。それ以前の問題として、稽古の時間をわすれてすっぽかすなぞ言語道断。こちとら時給の高い仕事をしているんだぞ!
…先生変えたら?
(狭い世界で変えられないらしい)。
…じゃあ、その家元にそのできの悪い先生のこと言いつけちゃえば??
というわけにもいかないらしい。

その2
その世界の「名前」を貰うことをしつこく強要しないでほしい。なんでも「名前」を家元から高いお金を出して買うシステムがあって、その一部が直接の先生にも入るらしい。
そういうことに重きを置かずに純粋に楽しみたいと思っても、名前を貰わないと教えてもらえないことがあるらしい。
…じゃあ、はっきり入門のときにそれを言わないのは詐欺と言うもの…。

その3.
「見て覚えろ」が伝統芸能の基本であることはわかる。でも、ある程度歳のいった弟子に教えるならそれは非常に非効率であることを自覚して方法論を開発するのが、お金を取って教えるものの当然の義務では無いか?
…そりゃそうだ。でも、「先生」と言ったって芸事以外に関してはその辺の婆さんなわけだから、そんな高級な期待をしても。こっちが合わせないとね。


そんな話をしていたら、伝統芸能(お茶とか踊りとか、仕舞とか)習っている人たちは多かれ少なかれ同様の不満を持っているらしい。特に時間にルーズとか、きっちり事務処理ができないとかが共通の不満なのにはびっくり。先生が男か女かもあまり関係ない(女の方が多いが)。ピアノとか歌、スポーツ関係ではあまり聞かない不満なんですが。何故でしょう。
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by soymedica | 2013-06-27 23:17 | 本・CD・その他 | Comments(0)

あやかし考 田中貴子

d0226702_12321098.jpgあやかし考 不思議の中世へ 田中貴子 平凡社
255ページ3150円
第26回(2004年) サントリー学芸賞・芸術・文学部門受賞


今、「ちょっと『今昔物語集』に興味があるんだけど、古文は読めないし……」などと言う人は多いのである。成熟社会に向かうなか、古典への需要はかなりあるはずだ。(中略)研究者が最新の研究をきちんとわかりやすく書いた本を読んでほしいと切望するのである。

と、後書きにあります。本当にそんな本で面白かった。

最初の章では道成寺絵巻の誕生を探り、次の章では皆も大好きな安倍晴明について語り、あやしい密教について考察したり。

「けころす」考では、言葉の使い方の変遷から、神様が人間を殺す時の方法について考察しています。30ページをこれに費やすって、読む前からちょっとわくわくしますよね。

最後の「あやかしの女たち」では伝説となった女たちー安徳天皇女性説というのがあるのですねーについての考察。「女性はたおやかでやさしく、常に控え目、男性の想像力を超える行動をしてはいけない」という伝統的規範から逸脱すると「悪女」となってしまう、と書いています。この辺、フェミニズム派からは「手ぬるい」とおしかりを受けそうなトーンですが、私には筆者が常識的な人なんだなと感じられました。

物語というのは一本通った主義主張があるものではなく、玉ねぎのようなものだ、という筆者です。平田オリザが「ぼくの演劇には主義主張は無い。面白いと思ったシーンを切り取って見せるのがぼくの演劇だ」と言っていたのを思い出しました。

ということでお勧めです。
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by soymedica | 2013-06-19 12:35 | 本・CD・その他 | Comments(0)

国立能楽堂6月普及公演 昆布売 天鼓

d0226702_16262314.jpg国立能楽堂普及公演6月
6月8日(土)13時より
正面席4500円

解説 魂鎮めのうた 村瀬和子

狂言 昆布売 (和泉流)
シテ(昆布売)高沢祐介、アド(何某)前田晃一

能 天鼓(宝生流)
シテ 武田孝史、ワキ 高井松男、アイ 三宅右近
笛 一噌幸弘、小鼓 鵜澤洋太郎、大鼓 佃良勝
後見 高橋章、渡邉茂人
地謡 三川淳雄 ほか


わずか数日前なのにもうだいぶ昔のことのよう。身障者用スペースに車でつけたおばあさまが、車から能楽堂入口までの数メートルで陽にあたるのを嫌って、運転してきた息子と思しき人に日傘をさしかけさせるのに仰天。本日一番の見どころだったかも。

さて、解説。女子高校生の団体のため、とおっしゃって大分詳しい。狂言の説明もありました。「小浜の昆布」は高級昆布ですが、小浜にはここから世阿弥が流された土地として、昭和62年(1987年)に世阿弥の碑が建立されたそうです。
そして天鼓の解説では、理不尽に子供を殺される能として、「藤戸」と対比して説明してくださいました。


昆布売は何某はタツノオトシゴ模様の長袴、昆布売りはエビ模様の肩衣でおしゃれ。瘤を謡節、浄瑠璃節、踊り節で売るところが見せどころ。動きがあって楽しい。


天鼓。正先に鼓が出されます。観世より若干地味。でも、今回登場の勅使のワキの衣装がとっても派手で盛り上がります。橋掛かりが王伯の家ということで、三の松前で子供を失った王伯が嘆きます。今回のこの面、名前をチェックして出てくるのを忘れましたが、あんまり好きな面では無かったのが残念。

ワキが王伯を迎えに一の松まで行きますが、やっぱりこの方、立つとき相当つらそうです。また、向きを変えるときもちょっとぎごち無い印象。

シテの謡はちょっと特徴があって好き嫌いがあるとは思いますが、このシテ、好いなと思って調べたら檀風のときの評判の良かったツレでした。上品ですっきりした感じですね。

後シテの天鼓少年が現れて喜びの舞を舞います。この楽しそうな息子の様子を王伯、王母は見られたのか、とっても気になりました。

本日小鼓の音がとっても良かった。すごく耳に残りました。地謡はもっとパキっとした感じでやってほしかったな。
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by soymedica | 2013-06-15 16:54 | 能楽 | Comments(0)

第35回のうのう能 百萬

d0226702_21172125.jpg第35回 のうのう能 
2013年6月7日(金)19時より@矢来能楽堂

What’s 百萬? 観世喜正

Mask& Costume

仕舞 隅田川 観世喜之

百萬 
シテ 観世喜正、子方 古川穂奈美、ワキ 殿田謙吉、アイ 野村万蔵
笛 寺井宏明、小鼓 曽和正博、大鼓 原岡一之、太鼓 観世元伯
後見 奥川恒治、桑田貴志
地謡 鈴木啓吾ほか(4人)


特に知り合いがいる会でもないし、神楽坂は私のテリトリーではありませんが、なんとなく気分が落ち着く会。残念ながら座席が狭いけれど。本日気付いたのですが、能楽堂の隣のお家が観世喜之という表札なのは当然として、通りに面した部分は、全く違った名字のお家でした。関係者じゃなかったらあんなに人の集まる場所がとなりにあるって落ち着かないだろうな。

百萬の説明を聞きながら思いました。なぜ、いつもいなくなるのは能では男の子なのか?さらっていくのなら女の子、というのもありそうですが。

いつもの装束着付け。今回はモデルは観世喜正。客席から思わず笑い声。説明の方、なかなか良かったです。長絹というのは能装束にだけ見られるものなのだそうですね。

百萬は見るのは二度目。二度目の方がじっくり色々わかるということもあるでしょうし、この舞台が見所と近い、というのも印象が濃くなる一因でしょう。面白かった。いつも眠くなってしまう舞もじっくり見られました。

演ずる方も「掌中の会」という感じで肩に力が入らず、でも楽しくやっています、という雰囲気が感じられます。

それにしても太鼓の観世元伯さんの後見の髪型(笑)。ソフトモヒカンなのかもしれませんが、元伯さんの薄いところを濃くしてるって、陰陽の組み合わせを意識したのか…。お二人とも中々ハンサムなので、余計面白い。
大鼓の声が小鼓に比べてひどく大きいのが気になりました。
そしてこの会はいつも地謡が4人なのですが、8人よりやりやすいのでしょうか。結構いつも満足。

万蔵の呼び込みも面白い。派手に妙な念仏を唱えた後、百萬登場。そのあとの気配の消し方が凄かった。
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by soymedica | 2013-06-10 21:20 | 能楽 | Comments(0)

第七回日経能楽鑑賞会 茶壷 景清

d0226702_11332149.jpg第7回日経能楽鑑賞会 
6月6日(木)18時30分@国立能楽堂
正面席10000円

茶壷(和泉流)
シテ(すっぱ) 野村萬、アド(中国の者) 野村太一郎、小アド(目代) 野村万蔵

景清 松門之出
シテ 友枝昭世、ツレ 狩野了一、ワキ 宝生閑、ワキツレ 大日方寛
笛 一噌仙幸、小鼓 成田達志、大鼓 柿原崇志、
後見 香川靖嗣、中村邦生
地謡 粟谷能夫ほか


GB席までほぼ満席。
まずは野村萬の茶壷から。野村萬が良いのはもちろん、最近万蔵に注目している私です。前回も見たのは野村萬のすっぱと万蔵の目代ですが、アドは扇丞でした。
まず茶壷に見立てた葛桶を担いだ太一郎登場。「あれ、茶壷にしては重そうによろよろしながら担いでいるけれど」と思ったら、酔っぱらっている演技だったのでした。うーーむ。

茶壷がどちらの持ち物か説明が高じて相舞になる楽しいお話でした。


今まで観た景清は皆観世流だったので、ツレの人丸がワキツレの大日方寛と登場するのにビックリ。でも人丸の従者がワキ方の役なら、里人がアイっていうのは無いのかな…。
そして、ツレとワキツレの同吟が妙に慎重な感じがする。

そして「松門独り閉じて…」今まで聞いたどれよりも、ブツブツ切れる感じ。ああ、こういう解釈なんだ、とはっきり主張します。
景清の面は髭の無いものもあるそうですが、髭あり。白の大口。大口袴なのに落ちぶれた感じがします。

娘が従者と「景清を知りませんか?」この時娘は、景清の娘とは名のらないのに、なぜ、景清は娘だとわかるのでしょうか。

全体が悲しい感じでした。錣引きを語る部分も、今まで観たのはしっかり力が入っていましたが、今回のは「もう再現する力も無いが」という悲しい父。
そして、娘の肩に手をかけて、橋掛まで見送ります。
後ろ姿(正面席で見ていたので、見送る景清の後ろ姿を見ます)が悲しすぎて、娘に気を配る余裕がなかったのですが、娘は振り返らなかったように思います。

最近昔の能評を集めた本を読んでいたら、「喜多流期待の若者」として友枝昭世が書かれていました。当時は力いっぱいの演技だったようです。その当時期待されていた同年代の中ではこの人が今、一つ頭抜けたようですが、そうなるには何が必要であったのか、とちょっと考えてしまいました。
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by soymedica | 2013-06-09 11:35 | 能楽 | Comments(0)

暁斎が描く狂言の会 三番叟 伯母ヶ酒 茸

d0226702_214888.jpg暁斎が描く狂言の会 
2013年6月1日(土)13時より@国立能楽堂
中正面5000円

袴による 三番叟
三番叟 野村万作、面箱 内籐連
笛 一噌隆之
小鼓頭取 曽和正博、脇鼓 曽和伊喜夫、森貴史
大鼓 亀井広忠

お話 西野春雄

酔狂人・画鬼暁斎と
伯母ヶ酒

甥 石田幸雄、伯母 高野和憲



山伏 野村萬斎、何某 深田博治
茸 中村修一、内籐連、宇貫貴雄、岡聡史、竹山悠樹、月崎晴夫、高野和憲
鬼茸 石田幸雄


能の会より圧倒的に客層が若いのが狂言の会。そしてカップルがたくさん。
ロビーには三井記念美術館のミュージアムショップが出ていて、この間さんざん迷って買わなかった暁斎の図録を買ってしまう。しまった、帰りに買えばよかったのに、と思ったけれど後の祭り。

プロデュースに三井記念が入っているためか、斬新な(というか今の感覚に合った)構成でした。
まず、口あけが万作の三番叟。袴による、とありますが、素敵ないでたち。そして、息が切れそうになるのを上手く隠せるのがさすが万作。満斎が外に爆発する三番叟なら内なる力強さを表現するのが万作、とどこかで読みましたが正にその通り。亀井広忠は明らかにその場その場で演奏を変えているのだなー。

これから先も日本の国に幸あれかし、としみじみ思いました。

三井記念美術館の館長さんの紹介の後、西野春雄先生のお話。そんなに手の内を明かしちゃって、石田幸雄はやりにくかったかもしれないけれど、暁斎に関するお話は良かった。

伯母ヶ酒は写真の特別な肩衣。万作の若いころの相撲の得意技は「かわずがけ」だったそうです。
石田幸雄扮するところの暁斎が出てきて、さらさらと肩衣にこの絵を描いて見せてくれます。甥の役をやるのは石田幸雄では無く、川鍋暁斎!

酒に意地汚い甥とケチな伯母。鬼に化けた甥が伯母の酒を飲んでしまう話。
伯母の家に行って何とか酒にありつこうという話術の内容が大蔵流とはちょっと違います。そして、鬼に化けて酒を飲むときは大蔵流は葛桶の蓋を使いますが、今回は扇。

しかし、石田幸雄、酔っぱらう演技は地なのではと思うほどの、いかにもの斜めになる姿勢。面白かったけれど、伯母さんとのやり取りが若干せわしなかった。

さて、梅雨時だから(秋のものかもしれませんが)。
…深刻な病気になった時、何故か普通の医者では無くてホメオパシーみたいな民間療法や宗教に駆け込む人っていますよね。当然治らず病気は悪くなるばかり。そのとき聞かされるセリフが「今は身体の悪いものが皆出ている状態です。しばらくすると良くなります」

茸で山伏が「物の滅する時は増すものじゃ」と言い訳するのを聞くたびに「そっくりのことは昔からあったのだな」と(笑)。
観客もノリノリの舞台でした。

前回萬斎が後見の時には傘も笠も一度に引いて拍手喝采だったのですが、本日は笠の形にバリエーションがありすぎたので、後見の飯田豪クンは二回に分けて引いていました。
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by soymedica | 2013-06-03 21:53 | 能楽 | Comments(0)