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第11回ユネスコ記念能 寝音曲 船弁慶

d0226702_22374826.jpg第11回ユネスコ記念能 
2013年5月30日19時から@国立能楽堂
正面席6000円

解説 清水義也
仕舞「舟弁慶 キリ」

金春流 本田芳樹
宝生流 野月聡
金剛流 宇髙竜成
喜多流 友枝雄人

狂言和泉流「寝音曲」
シテ野村万蔵 アド野村扇丞
後見野村太一郎

能 観世流 船辨慶 前後之替
シテ 片山九郎右衛門、子方 片山清愛
ワキ 福王和幸、ワキツレ 村瀨提、村瀨慧
アイ 髙澤祐介
笛 左鴻泰弘、小鼓 後藤嘉津幸、大鼓 谷口正壽、太鼓 小寺真佐人
後見 観世銕之丞他
地謡 観世喜正ほか


もう梅雨入りした今年。雨が降ったりやんだりの天気。よくプログラムを見ていなかったら解説、仕舞、狂言、能まで休憩なしの二時間プログラム。

解説の清水義也は観世流の中堅。きびきびした口調で良かったです。
本日は40代の「わざのキレ」を見てください、とおっしゃいましたが確かにそういうラインナップ。

まず、(能が観世流なので)観世流以外の四流の船弁慶キリの仕舞。こうやっていっぺんに並べると違いが大きいのがわかります。舞う人も同じような年代にそろえてあるので流儀の違いがくっきりと前面にでます。そもそも謡いだしの部分が違う。長刀を捨てるところ、場所も違う。確かに金剛は派手。ポーカーフェイスの人と、顔にも力が入る人とがいて面白い。
能楽協会ならではの催し。間に合うように行けて良かった。


何回見ても楽しい寝音曲。調べたら野村万作の太郎冠者、石田幸雄の主で3回も見ていた。世間じゃ中堅の年齢の万蔵もあの二人と比べたらかわいそうなくらい若造だが、とっても良かった。同じ和泉流なので物凄く良く似ているけれど、主のしぐさなどの細かいところの違いが面白い。
たまに違う謡でやったら(曲は海士)、と思うのですがタイミングが難しいのですかね。


船弁慶、前シテの静がなぜ後シテの知盛幽霊になるのか今一つ必然性がわからないけれど(昔は違う人がやっていたらしい)、自分の御贔屓の演者が「たおやかな女も、力強い武士も」演ずるところが見られる、といったところが人気でしょう。

強そうと言うよりは高貴な義経登場。(女の子ですから、と思って調べたら「きよちか」と読む坊やらしい。ジャニーズ系。)子方は歩くとき凄く腕をはるので、疲れそう。ひとまず京都をでて西国に行こう、まあ静は置いていこう、と義経は静のもとへ伝令に。弁慶はとても強そうです。

置いて行かれるにせよ直接義経の口から聞きたい、と静。いつも長々と酒を勧めるところがあるのですが、ここが大幅にカットされている。小書きのためか?
ちなみに「前後之替」というのは、普通後シテの知盛幽霊が途中長刀を刀に持ち替えるのですが、ずーっと長刀のまま舞う演出のことだそうです。

ともかく、静は金の烏帽子をつけて「イロエ掛破ノ舞」を舞います。一の松でシオルところが可哀そう。
最後は烏帽子のひもを引いてぽとんと落とし、とぼとぼ去っていきます。

船頭さん。何せ船弁慶を最初に見たときのアイが東次郎の名所教えでしたから、その印象が強いのですが、この人もなかなか。でも、和泉流には「義経さんがまた隆盛になったら家を宜しく」みたいなセリフが無いのが残念。

風が出てきて海上に平家の亡霊が湧いてくる。橋掛かりの向こう、幕から出たり引っ込んだりしているのが一番強そう。(ほかの亡霊はもちろん想像です。)長刀を持って知盛幽霊と名のる(幽霊が名のると言うのもちょっと可笑しいけれど)。
義経は刀を抜いてまるで相手が本当の敵であるかのように迎撃しますがが、そこは弁慶、さすがは山伏。数珠を揉んで撃退。福王流だとあんまり動きが無い。宝生閑、森常好ともにかなり大きく動きましたが、今回は本当に「祈る」という感じ。楷書で書いたような福王和幸にはぴったりのやり方。

知盛も存在感たっぷり。本日は前に仕舞をたくさん見ていたので、それと合わせ装束をつけたときの動きを堪能しました。重量感というよりはキレがある悪役のダンス。
義経は刀さばきもりりしく頑張りました。最後はちゃんと鞘に納めて退場。(ちょっと葛桶が高くて、座っているとき足が可哀想でした。)

囃子も40代中堅であまり普段見掛けない人たちです。中々素敵でしたが、若干メトロノーム風でしたかね。
何事においても肩の力の抜き方がそろそろわかりかけてくるのがこの年代なんだなー、と自分を振り返ってそう思います。
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by soymedica | 2013-05-31 22:42 | 能楽 | Comments(0)

川鍋暁斎の能・狂言画 三井記念美術館

d0226702_10455244.jpg川鍋暁斎の能・狂言画 
@三井記念美術館

茂山千五郎(七五三)さん、お亡くなりになりましたね。
一度観たかったな。

全然意識していなかった展覧会ですが、チラシを見かけたので心惹かれて行ってきました。大神社展に行こうかと思っていたのですが、こちらの方が気軽だし。尚、暁斎は猩々の絵もたくさん書いていますが、それはほぼ同時期の国立能楽堂展示のほうにより多くあるようです。

それにしても川鍋暁斎って幽霊の人だと思っていたら、こんなに能・狂言(特に狂言)の絵があったとは。自身も大蔵流の狂言を習っていたそうです。
こうやって人物画を何枚も見ていくと、マンガって日本画の伝統を引いているんだとしみじみ思います。それにしても絵を見ただけで何の演目のどの場面とだいたいわかるのがとっても楽しい。

一枚道成寺の鐘の中を書いたものがあるのですが、あれは本当なのでしょうか。面や装束を入れた袋が内側につるしてあるのはともかく、蝋燭ともしているのですが。危ないでしょ?いまだったらLEDでしょうか。

ま、ともかくお近くにいらしたら是非。カタログ買えばよかった…。
次回の三井記念美術館の特別展示は「大妖怪展」。鬼太郎も登場するらしい。
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by soymedica | 2013-05-26 10:46 | 本・CD・その他 | Comments(0)

能苑逍遥(中) 能という演劇を歩く 天野文雄 大阪大学出版会

d0226702_22183978.jpg能苑逍遥(中) 能という演劇を歩く 天野文雄 大阪大学出版会

「本書は主として筆者がこの十年ほどのあいだに、諸所に執筆した「能という演劇」についての論四十編の集成である。」とあるように、長さもテーマもまちまちです。作品について述べたものや能の構造自体について述べたものなど。

歴史的形はどうあれ、今の演出方法や台本は、比較的観客に馴染むものだと思うのですが、それが本来どういう形であったのか、どうして変化したのか、について資料を引きながら考察するところは、謎解きのようでエキサイティングです。誰かこれを題材にして「謎の十字架」(ご存知ですか?NYのメトロポリタン美術館の館長が骨董美術品を手に入れる話ですが、購入の駆け引きもさることながらその十字架の来歴を探るところなども面白い)のようなノンフィクションを書かないかな。
ま、能には大金が絡む、ということがないから、書いたとしても無理やり何かこじつけてフィクションか。

知らなかった常識もつきます。

ツイッターで話題となっていた「後場」に「のちば」と振り仮名あり。

いろんな知識を頭の隅に入れて舞台を見ると、面白さもひとしお。逆に、これを読んでいると、能楽堂にまた行きたくなります。
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by soymedica | 2013-05-20 22:20 | 本・CD・その他 | Comments(0)

国立能楽堂5月普及公演 左近三郎 田村

d0226702_895080.jpg国立能楽堂5月 普及公演
5月11日13時より
正面席4800円

能楽あんない「あれを見よ不思議やな」馬場あき子

左近三郎(さこのさむろう) 大蔵流
シテ 茂山七五三、アド 茂山あきら

田村 替装束、長胡床(ながあぐら) 観世流
シテ 武田志房、ワキ 高井松男、ワキツレ 館田善博、野口能弘
アイ 茂山童司
笛 藤田次郎、小鼓 幸正昭、大鼓 國川純
後見 観世恭秀、武田文志
地謡 角寛次朗ほか


まず、馬場あき子さんの解説から。副題は「あれをみよ不思議やな」。今回はわりと筋に沿った解説でした。また 小書きつきなので、前シテは通常の童子の面から喝食に、後シテは平太から天神になる、など説明してくださいました。後シテは長剣を背負って出てくる(時代的に日本刀は無い)のですが、敵は観音の威光で蹴散らされるので、剣を抜く必要は無いのです、と。
なるほど。しかし、何十回となく同じ演目の解説を頼まれているでしょうに、毎回違うお話をなさるみたい。凄い。


狂言の演目左近三郎、聞きなれないものですが、この「左近三郎」はシテの漁師の名前。猟師が坊さんをからかう話。酒も飲むだろう、獣も食うだろう、妻もいるだろう、と坊さんに問いかけ、否定すると「本当のことを言わないとこの矢で射るぞ」。でも、なんとなく最後には二人で仲良く退場。
江戸時代の演目だそうです。


田村の長胡床というのは早い話が後シテがほとんど座っている型らしい。ある程度高齢のシテにはよろしいのでは。
まず、ワキ登場。私この高井松男さん、どこかお悪いのではといつも思うのですよね。足袋をはいた足にかなりの左右差があって、右足の甲には厚い当てものがシテある様子。
清水寺見物をしていると、グレーの水衣に箒を持った若い男登場。武田志房は小柄なので良く似合う(後シテの装束で大きく立派に見せていたのはさすが)。謡も綺麗で、前に見たときにはあまり関心しなかったのに(ちょっとお気楽な自伝を読んだ直後だったし)、今回良い感じでした。

若い男、「あなたは誰?」と問いかけられ、どこへ行くかよく見てろよ、と、橋掛で引き戸を開けるしぐさをします。揚幕を頭上すれすれまでくるくると巻きあげて、退場。

アイが出てきてお話。ワキが「田村堂に消えた」と言っているのだからその後に「あれなるは田村堂と申して…」というのはちとおかしい。ちゃんと打ち合わせしないと。

後シテが出てきてからは地謡の聞かせどころだそうですが、確かに力強かった。
そして最後、いよいよシテ退場と留を踏むとき、ワキがほとんど直立するまで立ちあがって向きを変えるのはいかがなものか。足がしびれたんだろうけれど。


会場に何か御稽古か同窓会かのグループあり(受付に桜陰会とあるから御茶ノ水女子大関係か)。休み時間色々お話したりしているのだが、何と「ほら、こちらを」とエアメールの封筒を渡している人あり。10年ぶりくらいで見たな、あの赤と青の縞の縁。今、外国とのやり取りはメールですものねー。
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by soymedica | 2013-05-15 08:11 | 能楽 | Comments(0)

銕仙会定期公演5月 橋弁慶 塗師平六、海士

d0226702_88231.jpgb>銕仙会定期公演5月
5月10日(金)18時より@宝生能楽堂
正面席6000円

橋弁慶
シテ 観世銕之丞、子方 馬野訓聡、トモ 安藤貴康、アイ 中村修一
笛 藤田朝太郎、小鼓 亀井俊一、大鼓 亀井広忠
地謡 柴田稔ほか

塗師平六(ぬしへいろく)
シテ(塗師平六)野村萬斎、アド(師匠)野村万作、小アド 高野和憲

海士 懐中之舞
シテ 清水寛二、子方 長山凛三、
ワキ 野口敦弘、ワキツレ 野口能弘、野口琢弘
アイ 深田博治
笛 藤田貴寛、小鼓 鳥山直也、大鼓 佃良勝、太鼓 徳田宗久
地謡 浅井文義ほか



橋弁慶って、チャンバラが見せどころの楽しい曲ですよね。まず、弁慶がお供を連れて登場。重々しく「五条天神に願掛けをして丑の刻詣でをし、本日結願であるぞよ」という弁慶に「怪しい子供が五条の橋に出るから今日はやめた方が」という従者。安藤貴康、なかなか凛々しい人です。そして、この両者のセリフ、軽重があって面白いのですが、トモのセリフの方が適度な軽さを出す必要があるために難しいかもしれない。
弁慶はいつもの山伏姿では無くて白大口に縞の着物。

今晩はあやしい奴が五条の橋に出るから行きたくないなーと、アイの中村クン。来なくていいと言われると途端に強気になって「行きたかった」。若干セリフに緩急が無いのが残念でした。

そしていよいよ牛若登場。「ははのおおせのおもければー」と、甲高い子方の声で謡われるところが好き。弁慶はしきりと長刀で女装した牛若を確かめるしぐさをしますが、あれは失礼では。観世の者を見るのは初めてですが、喜多ではあのしぐさは無かったような気がする。長刀を牛若がちょいと払ったり、してチャンバラ始まりー。うーん、今一つの迫力でした。

それにしても本日の小鼓は宜しくありませんでした。残念。


塗師平六。京で喰いつめた塗りのお師匠が弟子平六を頼って都落ち。ところが留守をまもる女房が「うちの人は腕は今一つだけれど、ライバルがいないので繁盛している。お師匠に居座られて仕事を取られては大変。」と、「うちの人は死にました。」
ちらっと顔を出した平六(この「おなつかしや―」のところがセリフだけで笑わせる)、でもお師匠様にもっと会いたいし、まだ習っていないこともあるし、と、幽霊になって登場。能の構成を踏まえています。

若干アンチクライマックス(オチがなくて、最後は皆しずしずと能のように退場)ですが、面白かった。銕仙会では初めての上演とのことで稀曲なのでしょうか。
喰いつめた人の良い常識人のお師匠と、間抜けな平六(野村萬斎はおバカの役が上手)はもちろんのこと、高野和憲も良かったです。最近高野・深田がとても良く感じられます。

かなり前から満席となっていた公演だったのですが、狂言が終わったあと、かなりの人が退席。なぜ??海士、良かったですよ。


海士も子方が活躍する曲です。子方の衣装は大臣の役だけあってとてもキラキラ。そして凛三クンはなかなか美声。音感も良いのでは。
ワキの大臣の従者、奥からワキ、ワキツレと並ぶのはいつもと逆。

海士登場。唐織右肩脱ぎで、この唐織が斜め格子でしゃれています。右手に鎌、左手に海松布(杉の葉だということですが)。
有名な玉の段。鎌を持ってやります。海底の部分は橋掛で。さすがにクライマックスは舞台にもどります(大悲の利剣を額に当ててのところで戻ります)。

ビックリした一行、聞けば海士は大臣の母の幽霊。地元の人にいわれを聞くと、相手が誰かも知らないで、宝珠奪還の話を始めます。深田博治、良かったです。

ここで大臣は先ほど母にもらった扇を開いて謡いだすのですが、顔がちっちゃいから扇が凄く大きく見えて可愛い。

すると、お経の巻物を手にした龍女登場。この巻物をいつどうするかについて色々演出があり、龍女が舞う時にそれをそのまま懐に入れるのが「懐中之舞」だそうです。懐に入れてシオってから舞います。

最後はそのお経を子方が捧げて退場するのですが、これも素敵でした。

面は前シテが曲見、後シテが泥眼。古くは後シテはもっと人間離れした面で舞われていたとか(by堂本正樹)


参考は小学館新編日本古典文学全集。
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by soymedica | 2013-05-12 09:19 | 能楽 | Comments(0)

贈与の歴史学 儀礼と経済のあいだ 桜井英治 中公新書

d0226702_12421183.jpg贈与の歴史学 儀礼と経済のあいだ 桜井英治 中公新書

能ともその他の芸能とも全く関係ありませんが面白かったので。

主として日本中世の贈与の習慣と、それが社会と経済に与えた影響について語った真面目な本なのですが、抱腹絶倒。難しいことを考えないでトリビアの宝庫と思って読んでも物凄く楽しい。

贈与と言うのは神様に対しても行われるのですが、昔はここが大切だった。でも、日本は神様がたくさんいるので神様同士の競争もあり、そんなに高い供物をささげる習慣は生まれなかった。
給与が発達していなかったので今の時代なら賄賂とでも取られそうな贈り物も(後任者が困窮しないように)受け取る義務があった。
そして、先例主義の時代なので、たとえば「将軍家の○○のお祝い」に贈り物をすると、次回もそれが先例となって贈り物をしなくてはならない。そこで贈り物を確実に毎回貰おうとする将軍家とそうはさせじとする部下とのあいだに微妙な駆け引きがあった。
贈り物の使い回しはあたりまえ。
贈り物をしないのはまずいから手元不如意のときには目録だけ送って、あとから贈り物をする。
などなど。

高度に発達した儀礼と駆け引きの中で、銭を送り合うようになる(これもまた目録だけだったり)。そのなかで工芸品を贈ったときに、使い回しされずに高貴の人の手元に置いてもらったものには「銘」がつけられる。質屋の目利きと同じで、工芸品を手元に置くべきか、買い取り屋に出すべきか、などなど。

何を、いつ、どのように贈るべきか、そしてお返しはどうするべきか、それらの作法の陰にある意味を正確にとらえて公家、武士の社会を渡っていくことができる人が「できる人」だったのですね。
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by soymedica | 2013-05-08 12:43 | 本・CD・その他 | Comments(0)

観世流謡曲百番集CD発売記念 観世流二十六世宗家観世清和による観世流謡曲講座

d0226702_2238224.jpg2011年5月1日(水)@観世能楽堂。
観世流謡曲百番集のCD新録音を記念して、観世清和が教える謡、がありました。
最初に檜書店の檜さん(能楽堂で本を売っている眼鏡のお兄さん)のご挨拶と、東英の社長さんのご挨拶。曰く「カセットテープも根強い人気なのですが(繰り返して練習するのはこの方がやりやすい)、『上手く再生できない』のクレームをチェックしてみれば、何と再生機器の不具合なんです。」「私どもは機械は作れませんので」と、CDにすることに決定した模様。そして、観世清和シテで新録音ということです。
だったら、iTune storeで売ってよ、という声は出ないらしい…。

その御挨拶のあと、観世清和登場。まず「檜さんはなぜ『謡本を買ってください』と言わないのか、歯がゆい」と、笑いをとります。

会場に配られたのは普通のごま点の付いた鶴亀のコピーと、横書きにして音の高低がわかりやすくなったもの。浅見眞高が昔出版したものを、再度自費出版したものだそうです。最初に出版された時には長老から大変に非難されたそうですが、わかりやすい。

そのあと鶴亀の御稽古に入りましたが、観世清和、きっと内弟子には厳しいのだろうなー、と思わせる感じ。気が短い。でも、頭の良い人なんだろうな、と思わせる教え方。わかりやすかったです。

そのあと、義損能と芸大邦楽科入学志望者のための会の宣伝をしたのですが、細部が固まっていないらしく、後で事務の人が応対に大わらわ。家元暴走で大変だよ、という感じ。
最後に仕舞をサービス。1000円は安かったです。
CD3ケース買って帰りました。


http://www.toeisound.co.jp/
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by soymedica | 2013-05-04 22:45 | 能楽 | Comments(0)

観世九皐会別会 卒都婆小町 寝音曲 烏帽子折

d0226702_011959.jpg観世九皐会別会 
2013年4月27日(土)13時より@国立能楽堂
正面席10000円

卒都婆小町 一度之次第
シテ 駒瀬直也、ワキ 宝生閑、ワキツレ 則久英志
笛 一噌庸二、小鼓 大蔵源次郎、大鼓 國川純
後見 、長山禮三郎、遠藤和久
地謡 五木田三郎ほか

寝音曲 
シテ 野村万作、アド 石田幸雄

烏帽子折
シテ 奥川恒治、子方 奥川恒成、前ツレ 鈴木啓吾
若者頭 中所宣夫、立衆 坂新太郎、長山耕三、小島英明、古川充、中所信吾、池上彰悟、中森健之介、桑田貴志
ワキ 殿田謙吉、ワキツレ 大日方寛
アイ 野村萬斎、深田博治、高野和憲、中村修一、内藤連
笛 一噌隆之、小鼓 幸正昭、大鼓 亀井広忠、太鼓 観世元伯、
後見 永島忠侈
地謡 観世喜正ほか


卒都婆小町。長袴の後見がやってきて桶(卒都婆)を置く。

宝生閑登場。やっと復調の感じではありましたが、やはり昨年と比べると一段体力の階段を下りてしまったな、という感じ。

ゆっくりゆっくりやってきた小町。三の松でお休み。ふと気付いたのですが、100歳の小町も隅田川の母親も基本的に装束が同じ。昔の女性には「結婚前」「結婚後」の二種類しか無かったのでしょうね。
ちょっと笠のかぶり方が良くなかったので舞台に入ったところで後見が直したのですが、それが「あまりに苦しゅう…」のところで落ちてしまう。

年寄りの小町と偉い坊さんとの問答。駒瀬直也って地味な人だけれど上手。このくらいの年齢が却って年寄りらしさを演ずるのに適しているのかもしれない。

ここで隣の席の西洋人の兄ちゃん、なにやらPCとりだす。おお、そこにはこの能の英語の解説が…。誰が入れてあげたのだろう。

最後の小町の舞は金の烏帽子で行われました。
(私にとっては)退屈な曲なのですが、結構今回は楽しめました。でもなぜ最後に突然「悟りの道に入ろうよ」になるのかな。

そうそう、囃子が素敵でした。特に笛が。「晴れの舞台」を皆が感じているようでした。

なお、一度之次第とは観世流の小書きで、最初のワキの次第による登場部分を省いて。囃子方はシテの次第から打ち始め、シテが登場。そして、次第、挿し、下歌、上歌を謡い「あまりに苦しう候ほどに」で休むとワキが次第なしで登場というもの。ワキの登場の時の次第の囃子がないのでこの名前だということです。


寝音曲は何回見ても楽しい曲ですが、やはりこの万作・石田幸雄コンビが最高。見せ場の謡に入るまでのやり取りも楽しい。万作は菖蒲の模様の肩衣、石田は派手な茶色の長裃で装束も華やかでした。


キャストを全て書くのがとても大変な烏帽子折
一人で鞍馬寺を抜け出した牛若、身を守るために商人吉次の一向に加わる。子方の奥川恒成くんはとても上手で、危なげなく見ていられます。子方卒業の曲ですから、気分はもう大人ですね。

夜中に烏帽子屋へ。盗賊が跋扈するような土地の烏帽子屋が、よく夜中の怪しい客に戸を開けたもんだ、と感心。
そこで三番の左折れを注文。三番ってサイズかな…。立烏帽子を想像していたら折烏帽子でしたが、それじゃどっちに折れているかわからないじゃないの…。

ここで、実は烏帽子屋の女房がむかし牛若につかえていた家来の妹だったとわかるとか、エピソードがやけに盛りだくさんの話。この女房がなかなか宜しかった。

そして吉次が泊まっている宿屋に大泥棒が入るという情報が…。

先遣隊の三人の小泥棒登場。アイの面目躍如。萬斎だけでなくあとの二人(おひげで見えなかったけれどおそらく深田博治、高野和憲)も間抜けな泥棒ぶりを発揮。

さて、彼らの失敗にもかかわらず、大泥棒の熊坂長範がたくさんの部下をつれて登場。
ふっと、気づくと、あら、太鼓いつ来たの。

橋掛かりにずらーーーーっと。長範が豪華ないでたちなのはもちろん、あとも白い袴に金ラメのお召し物で素晴らしい。でも、一人だけ布頭巾に縞の着物という地味な人が。あれにも何か意味があるのでしょう。
でも、いくらずらーーーーーっと並んでも能では橋掛かりの人たちは打たれてしまうのがお約束。小さな牛若に皆さんやっつけられてしまう。この前観たの正尊のほうが空中前転あったり、派手でしたが、今回もお客さんは堪能。仏倒れ、もう少しためのある倒れ方が面白いかな。中所宣夫、頭打ったように見えました(もう、ああいう役をやるにはおじさん過ぎるのでは…)。

謡前列3人までが女性だったのですが、とてもよかったです。今度国立の女性の日に行ってみようかな。


ということで、堪能した一日でした。九皐会、さわやかさが売り。



参考は
能の鑑賞講座三 三宅襄 檜書店
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by soymedica | 2013-05-03 00:16 | 能楽 | Comments(0)

神秘域 その弐 野村萬斎×杉本博司

d0226702_12252354.jpg神秘域(かみひそみいき)その弐
野村萬斎×杉本博司 三番叟公演

2013年4月26日(金) 19時より
@渋谷文化総合センター大和田 さくらホール
A席8000円

能楽囃子
笛 藤田六郎兵衛、小鼓 吉阪一郎、大鼓 亀井広忠、太鼓 大川天良

附子 
シテ(太郎冠者)高野和憲、アド(次郎冠者)深田博治(主)月崎晴夫

三番叟
三番叟 野村萬斎、千載、中村修一
笛 藤田六郎兵衛、小鼓頭取 吉阪一郎、脇鼓 上田敦史、荒木建作、大鼓 亀井広忠


まあ、普通に働いている人に見せようかと思ったら開始はこの時間でしょう。でも、お客さんは「ギョーカイの人」といった感じのファッショナブルな男女が多かったから「普通」ではないかも。
そしてそんな中で私の隣の二人連れのおばさん(おばあさんに近いかな)は、演歌と踊りを愛するお二人らしい。踊りの先生に勧められてきたようなお話をなさっている。狂言を見るのは初めてらしく、楽しんでくれたかな。

舞台の真後ろ真ん中に橋掛かりがついていて、そこからすぐに向かって左に折れ、舞台裏へ続く構造。
能楽囃子は良かったです。藤田六郎兵衛と亀井広忠はいつものことながら上手。小鼓、太鼓の人も初めてでしたが良かったです。

そして、前座と思っていた(失礼)附子がとても良かった。いつもの能楽堂の雰囲気と違うと若い演技が余計引き立つということもあるかもしれませんが、面白かった。


さて、三番叟。雷のような、植物の根のようなデザインの幕が頭上に降ろされます。そして、これが場面に応じて光るしかけ。雷が鳴ると作物が良く育つと言うな―、と思いました。
萬斎の衣装も稲妻模様。
考えてみると三番叟って普通は能舞台の煌々たる平板な照明の下でやられますが、昔はかなり陰影のある場所で踊られたものでしょう。ですからホールで色々な仕掛けの照明のもとで演じられても不自然ではないし、却って面白い。

そして萬斎の派手な踊りと、亀井広忠の派手な大鼓がピタッとはまって面白かった。大嵐のために殆どみられる人のいなかった横浜公演では万作、忠雄の組み合わせもみられたらしく、それもまた良かったろうな。
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by soymedica | 2013-05-01 12:27 | 能楽 | Comments(0)