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ござる乃座47th 花子 茸

d0226702_9323893.jpgござる乃座47th
2012年10月24日(水)@国立能楽堂19時から

舞囃子 班女
宝生和英
笛 松田弘之、小鼓 鵜澤洋太郎、大鼓 亀井広忠
地謡 辰巳満次郎他

花子 行ノ形
シテ 野村萬斎、アド(妻)野村万作、(太郎冠者)三宅右近


シテ 野村遼太、アド 石田幸雄
茸たち9人


ちょこっと遅れていったのでもう舞囃子が始まっていました。宝生のお家元を人気中堅の謡が応援と言う感じ。この人の仕舞ってずいぶんタメのある型ですね。花子は班女の後編、ってなるほど。隅田川が班女の後日談というよりよほど明るい。


さて、花子。これには常の形のほかに真・行/・草があるそうで(草が常と言うことではないようですが)、装束のランクが上がります。後見が長袴。万作は年をとってから女はやらないと、どこかで言っていたような気がしますが、なかなか「濡れたこけざる」のような女房感いっぱいで面白い。
全体に台詞がゆっくりでした。最初のやり取りの面白さが味わえます。

自分に会いにきている愛人の花子に会いたい主人。ちょっと一泊してくる、という口実に
「13年ほど諸国を回ってこようと思う」、妻「え、13年!」「いやそれで長いと思うなら3年」そして最後に「一日一夜一人で座禅をする」というところまでディスカウント。

…昔36色の色鉛筆セットが皆の憧れだった小学生のころ、それをどうやって親に買ってもらうかに知恵を絞ったのと似ている。あるクラスメートが「最初に『1万円くらいだと思うけど、お誕生日に買って』っていうのよ。そうすると、デパートに見に行って『安かったよ、たった三千六百円』って言って買ってくれるの」と言っていたのと同じ。

座禅をするところを妻は必ず覗き見するだろうから、と嫌がる太郎冠者を言いくるめて身代りにおいて行く。この太郎冠者役の三宅右近、中々渋くて宜しかったです。
で、身代わりを妻に見破られ、今度は妻が太郎冠者のふりをして座禅をして夫を待つ。ここで太郎冠者引っ込んでも良いような気がするのですが、可哀想にずーっと最後まで座っているのは何故でしょう。

一夜明けて花子のところから戻った亭主(笹を持つのが行の形)、のろけ話を聞かせるのに顔を見ながらでは恥ずかしいと太郎冠者(実は妻)に衣をかづかせたまま、のろけの小唄を謡って聞かせます。
この出のところの謡が見せ場の一つだと思うのですが、まだぼけーっと余韻に浸っていて、お客に「こいつバカだな」と思わせる感じで、面白かった。あまり若いとここのところが上手にできないと言われているそうです。

最後の最後まで聞かせちゃったら相手が太郎冠者では無くて奥さんで…。このあとこの亭主どうなっちゃうんでしょう。

とても宜しかったんですが、こういう曲を親子でやるってちょと微妙かも。
でも、何度でも見てみたい曲ですね。


有名な。山伏が祈れば祈るほど屋敷中に気味の悪い茸が増えていく。田中貴子先生はこれを見ると茸が食べたくなるそうですが、確かに。

後見で出てきた萬斎が途中からとても渋い顔。いや、遼太&幸雄コンビは素晴らしいのになぜ?と思ったら、ついに我慢しきれずに後見座から真ん中まで登場し、姫茸(大きさからすると息子の裕基クンで)の着物の裾を直す。そりゃ、姫茸だけ着物だもの、あんな動きをしたら裾が乱れるよ、と思うのは素人なんでしょう。

でも、お客さんに分かるほど渋い顔しちゃだめですよ。後で叱るにしてもね。

最後になぜか茸は皆傘を置いて行く。何個もあって形の違う傘を後見一人でどうやって持って帰るのかと思ったら、萬斎全部見事腕に抱え、笑いを取っていました。お客さん思わずここでも拍手。後見があんなに拍手されるの初めて見た。
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by soymedica | 2012-10-28 09:33 | 能楽 | Comments(0)

橘香会 鉢木

d0226702_21554921.jpg橘香会
2012年10月20日(土)13時より@国立能楽堂
S席12000円

鉢木
シテ 梅若万三郎、ワキ 森常好、ワキツレ 舘田善博
アイ(太刀持) 石田幸雄、(早打)中村修一
笛 栗林祐輔、小鼓 幸清次郎、大鼓 亀井忠雄
後見 梅若万佐晴、青木一郎、中村裕
地頭 伊藤嘉章



おうちの会というのは、客層が国立定例とは全く違って面白い。正面席のド真ん中にはヨーロッパ系と思しき西洋人の一団。外交官ナンバーで乗り付けていました。

鉢木、の話って有名で子供のころから何となく知っているのですが、何か本にでもあったのですかね。親から聞いたのか。そういう忠義の話はバカにしそうな両親ですが。

(子供のころ「忠臣蔵ってどんな話?」って聞いたら「偉い人にわいろをやるのを忘れた殿様が意地悪されてヒステリーを起して切腹する羽目になって、その部下が偉い人に復讐してやっぱり切腹する話」と説明してもらったことがある…。)



でも、能の鉢木、面白かったですよ。一度この梅若万三郎のシテを見てみたいと思っていたのですが、曲とシテの雰囲気が合ってとても良かった。上品そうでそんなに力強そうには見えないし。

前に大蔵長十郎の追善会で江口の一調を安福建雄とやったときにはあまりに会場がざわざわしていて(休み時間の直後だった)よくわからなかったのですが、しみじみ味わいのある謡でした。

かなり長く座っていたあと、後見がさりげなく手を貸したようにも見えたのですが、動作も上品で綺麗でした。

こういう、現在物というのでしょうか、曲では後半でシテが舞ったり、勇ましく長刀を振り回したりする見せ場があるのが普通ですが、それのない地味な曲。でも全く飽きさせなかったのはシテの実力のなせる技かと。曲に力があるためでもあるでしょう。


実は本日はこの後の道成寺の開きがメインだったのですが、何せ歩けない父と右手の使えない母を何とかしないといけないので、失礼したのでした。
二人とも回復は順調です。
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by soymedica | 2012-10-23 21:50 | 能楽 | Comments(0)

神遊 徹底解剖!〜秘伝〜道成寺

神遊 徹底解剖!〜秘伝〜道成寺
10月19日19時より@矢来能楽堂

二部構成で、第一部が観世喜正、森常好の解説、観世喜正と観世新九郎の乱拍子実演と解説、次いで
一噌隆之、観世新九郎、柿原弘和、観世元伯の道成寺の簡単な解説と、道成寺組曲の演奏。
ちょっと遅れて行ったら、すでに観世喜正オン・ステージで時間を越えてノリノリ。矢来は初めてだったのですが、地下鉄二本使えるし、なかなか便利。喜正さんが、人気があるのが良くわかるお話でした。「何が言いたいかと言うと、ご寄付は随時受付中!!」お客さん大爆笑。

道成寺の衣装は五流すべてで決まりが違うそうで、観世は糸巻が特徴とのこと。面は般若か真蛇。違いは真蛇には耳が無い!宗家では泥蛇という面があるそうです。

森常好待ち兼ねて登場。下宝生の謡本は昭和のものと、初めて知りました。ふつう「おっかくる」の所が「ぼっかくる」になっているのだそうです。
森さん、宝生新の娘の家系かと思っていたら、ふーん、と思うようなおはなしも。

乱拍子は能成立以前のものの流れをくんでいるとか、囃方の掛け声も五流でちょっと変えるとか(シテ方は知らなかったみたい)、面白かった。

ちょっと乱拍子を見せてくれたとき、喜正の半眼になった表情が興味深かったです。
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by soymedica | 2012-10-21 22:22 | 能楽 | Comments(0)

第6回萬歳楽座 神楽式三番叟 猩々(乱)

d0226702_23415068.jpg第6回萬歳楽座
2012年10月16日(火)18時半より@国立能楽堂
正面席12000円

一管 平調音取(ひょうじょうのねとり)
藤田六郎兵衛

神楽式三番叟 双之舞
三番叟 野村万作、野村萬斎
千歳 野村裕基
笛、藤田六郎兵衛、小鼓頭取 大蔵源次郎、脇鼓 田辺恭資、飯冨孔明、大鼓 亀井広忠

乱 置壺 双之舞
シテ 観世清和 ツレ 片山九郎右衛門
ワキ 宝生閑
笛 藤田六郎兵衛、小鼓 大蔵源次郎、大鼓 亀井忠雄、太鼓 観世元伯
後見 片山幽雪、武田宗和、上田公威
地頭 梅若玄祥

本日はいつも閉っている正面席の後ろ通路反対側の扉が開いて、屏風が見える。菊の花をつけた人がたくさんいて何だろうと思ったら最初に「高円宮妃久子さまご臨席」。…と聞いても、どのくらいの歳のどんな人だかピンとこなかったので、お姿を確認することはできませんでした。
そのほかにもスーツ姿の人、若い人もたくさんいて、妃殿下効果なのか萬斎効果なのかは不明ですが、この会の「裾野を広げよう」運動は成功しつつあるのかもしれないと思いました。


一管。平調というのは低い音だと聞きましたが、なるほど。解説によると雅楽の音程とはまた違うのだそうです。自分でやってみようとは思いませんが、機会があったらもっと詳しく知りたいな。

さて、三番叟。実は見るのは初めて。裕基君、ずいぶん細長くなりましたね。きっちり真面目、という感じ。二人でやる三番叟というのは文楽にはあるらしく、一人が疲れてサボるともう一人が扇であおいでやるといったコミカルなものらしい。こちら狂言はきわめて真面目。藤田家につたわる型付から再現だそうです。
このしぐさ、なるほど民俗学的な解釈を書きたくなるのは納得。それにしても綺麗でした。
万作は肺気腫でも患っているのか、息が荒いのですが、なぜか肩は動かないし声も途切れない。すごい鍛錬ですね。


休み時間にコーヒーをちょと飲んで(眠くなるような曲では無いですが)、猩々(乱)。前回は喜多流でしたが今回は観世。正先に出される壷は前回に比べて随分小さく、腰の高さより低いくらい。大多数の人は観世清和&片山九郎右衛門を楽しみにしていらしたと思うのですが、私の第一は宝生閑。前回の喜多流の大日方寛がとても印象に残ったので、ワキ方第一人者の宝生閑の高風はどんなだろうかと思って。

やはりだいぶ違いました。大日方寛が「金持ちになった」と大見えをきり、では猩々を待つとしよう、と高らかに謡い上げるのに対し、宝生閑は「生活に困らなくなったし、よかったな。恩人らしい猩々に酒をささげるかな」というほっこりした感じ。持っている扇は紺の地に銀で波と月を描いてある綺麗なもの。背中の柄杓も銀色。

前回見たときとずいぶん舞が違うな、と思ったのですが小学館の謡曲集によれば、「和合ノ舞」の場合は最初から最後まで相舞で、「双之舞」の場合はツレが舞い始め途中で相舞になり、ツレが酔い伏してシテが留めるとあります。前回見たのは和合ノ舞(そういう小書きではありませんでしたが)だったかと思われます。

この出演者の組み合わせは凄いなと思うのですが、なんとなくシテに生彩が無かった感じ。そして、地謡、囃子とのバランスも今一つだった感じなのはなぜかな。このメンバーだったらもっと凄くて当たり前、と思ってしまうのがいけないのかもしれませんね。


ここまで読んでくださった方、今回ずいぶん間が空いたな、と思ってらっしゃるかもしれませんね。実は私の高齢の父が脚を骨折、母が右手を骨折ということで、ここのところてんやわんやでございました。舞台を見て野村万作、宝生閑、若いなー、鍛え方が違うなーなどとそちら方面にばかり気が…。やはり健康は大切ですね。
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by soymedica | 2012-10-17 23:50 | 能楽 | Comments(0)

野田地図 第17回公演 エッグ

d0226702_20424214.jpg野田地図 第17回公演 エッグ
10月2日19時 @東京芸術劇場
S席9500円

作・演出 野田秀樹
阿倍比羅夫 妻夫木聡
苺イチエ 深津絵里
粒来幸吉 仲村トオル
オーナー 秋山菜津子
平川 大倉孝二
お床山 藤井隆
劇場案内係/芸術監督 野田秀樹
消田監督 橋爪功


ちょっと前ですが野田秀樹の新作を見てきました。

「東北の田舎から夢を持って出てきて都会で成功した農家の三男坊」と聞いた時、それが今この21世紀なのか、高度成長期なのか、第二次世界大戦の前から戦時中なのか、で相当受ける印象が違いませんか?そして、その成功が完成するというあと一歩のところで失敗したとしたら:今なら「ま、そんなもの、そんな悪いことにはならないよ」。高度成長期なら「もう一度チャンスはあるよ、若いんだもの」、そしてその前だったら?

何だか謎かけみたいになってしまいましたが、あんまり書くとネタばれなので。

「エッグ」という謎のスポーツに熱中する若者たち。彼らはオリンピックに出られるのか?オリンピックは開催されるのか。スター選手たちと美人歌手、チームのオーナーである大富豪の娘。それだけの話と思いきやあんな物語が織り込まれているとは。そして2時間ちょっとのあいだなのにすっきりと筋立てに納得できて引き込まれて行きます。

配役の妙が楽しめますよ。是非。(と、友人に勧めたら、もう完全に売り切れだったそうです。)
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by soymedica | 2012-10-09 20:44 | その他の舞台 | Comments(0)

西塔の武蔵坊弁慶

d0226702_0145918.jpg佐賀、唐津の旅から帰ってきました。もちろん佐用姫伝説の鏡山と虹の松原、行ってきましたよ。


ところで、「西塔の武蔵坊弁慶」って、何だろうと思っていたら、司馬遼太郎さんの「街道を行く」にちょっとヒントが。ま、結局のところ正確にはわからないらしいのですが、以下引用です:


むかしから叡山では、
「三塔十六谷」といわれる。中世の叡山の在り方は西洋風にみれば総合大学というべきものであったろう。三塔(東塔、西塔、横川)が、三学部もしくは三大学閥とみていい。その下に、谷という学科もしくは小学閥が、それぞれ附属していたし、いまもそうである。

東塔 - 北谷、南谷、西谷、東谷、無動寺谷
西塔 - 東谷、北谷、南谷、北尾谷、南尾谷
横川 - 般若谷、香芳谷、戒心谷、解脱谷、兜卒谷、飯室谷

これらの谷々に、かつては「三千坊」と誇称された多くの相貌があったが、いまはそのほとんどが廃れている。
「尾根に住むと風がつよいが、谷に住むと風がふせげます」
と、東塔の無動寺谷でかつては小僧だった福田徳郎氏 - 今は朝日新聞社出版局のカメラマン - が教えてくれたことがある。
なるほどそういえば、十六谷のほとんどが、南北に走る叡山の稜線(尾根)の東側(琵琶湖側)で、西側の京都側では無い
 日本は冬季北西風(あなじ)と呼ばれる悪風が吹く。その風が京都方角から吹いてくるとき、琵琶湖側の谷々に住んでいれば屏風のかげで見をちぢめているようなもので、その風害や寒気からわずかながらものがれることができるのである。
「西塔の武蔵坊弁慶」
などという。この名乗りによって、堂衆という下級の雑役僧だったといわれるかれは、西塔学部に属し、武蔵坊という宿舎に住んでいた、ということになる。一説に、地方の武士出身の僧の通称には、国名がついたという。武蔵坊というのは宿坊の名ではなく、弁慶が紀州熊野の武士の出であるということからの通称だったのだろうか。


司馬遼太郎 街道をゆく16 叡山の諸道 朝日文芸文庫の「横川へ」の章から。
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by soymedica | 2012-10-07 00:18 | 本・CD・その他 | Comments(0)

国立能楽堂特別講演 方丈記八百年記念 養老 柑子 船弁慶

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国立能楽堂特別公演 方丈記八百年記念
9月29日(土)13時より
正面席7500円

養老(金剛流)
シテ 金剛永謹、ツレ 金剛龍謹
ワキ 高安勝久、ワキツレ 小林勉、久馬治彦
アイ 大蔵教義
笛 藤田六郎兵衛、小鼓 鵜澤洋太郎、大鼓 山本哲也、太鼓 前川光長
後見 廣田幸稔、豊嶋幸洋、田村修
地頭 宇高通成

柑子(大蔵流)
シテ 大蔵彌太郎、アド 大蔵吉次郎

船弁慶(観世流)重前後之替
シテ 浅井文義、ワキ 森常好、ワキツレ 森常太郎、則久英志
アイ 大蔵千太郎、子方 大井風矢
笛 一噌幸弘、小鼓 幸正昭、大鼓 國川純、太鼓 小寺佐七
後見 野村四郎、清水寛二
地頭 観世銕之丞


暑くなったり寒くなったりの日が続くので、お客さんにはしっかり上着を着込んだ人から、ショートパンツのおっさんまで色々。

さて、養老は京都からみなさんお出ましであるので、なじみのない方多し。大鼓の人、喫煙者かしらとおもうような声の嗄れ方。
ワキが真ノ次第で登場。「重々しく」と本にありますが、この出方は結構動きがあるので好き。なぜか真ノ次第で登場する曲はこの高安勝久で見ていることが多い(この流儀のやり方なのかと思っていた…)。

粗朶をしょった男と水桶を持ったお爺さん登場。金剛龍謹って彫が深く外人のよう。親子とも上品でやはり養老の瀧を見つけるような幸運に恵まれる人は外見からして違うと思わせますね。前半では説明的に養老の水のありがたさが謡われるのですが、そこに鴨長明の方丈記からの言葉がちりばめられているので、今日のテーマ曲というわけです。

金剛永謹、水衣の袖口が汗で色が変わるほどの熱演。今まで観たなかで今日が一番良かった。

さて、親子が引っ込むと(本来は親子がここで舞台に残る演出だったのでは、と色々な本に書いてあります)、里人登場。ひげを生やした人。養老の滝のめでたさを祝って舞を舞い、水を飲みます。するとアーラ不思議、ひげが無くなり若い男に変身。この間狂言のかろやかさもあって、全体が明るい曲になっています。

後半、神様登場。そして治世のありがたさを讃えます。この神様は位としては低いので軽やかに神舞を舞うのだそうですが、このくらいのテンポの方が私には楽しいです。あんまり重々しいと眠くなってしまう。神様、肩で息をしていましたが、謡は乱れずさすが神様。

そして君は船、臣は水……万歳の道に帰りなん。とめでたく終わります。


狂言の柑子を大蔵流でみるのは初めてではないだろうか。ただ、大蔵彌太郎の感じがあまり好きではないので、ちょっと。古風なのかあまり記憶に残らない。同じ大蔵流でも山本家や茂山家は「ああ、あのときのあれ」と、思い出せるものが多いのだけれど。


船弁慶は重前後之替という観世流にだけある小書きで。でも、船弁慶と鴨長明の関係が今一つピンとこない私。どこかに記載してあっただろうか。

本日おそらく皆がびっくりしたであろうのは、子方。1999年生まれとあるので13歳ですが、一緒に登場したワキ方と比べても背が高い。演目と配役が決まった時にはもっと子供子供していたのでしょうね。

ともかく西国にいったん逃げようという義経一行。静はここにとどまれという義経の言葉を伝えた弁慶に「義経に確かめます」と、静がやってくる。やはり直接弁慶の口から「静は帰れ」と言われます。
ここで静は舞を舞う。金の烏帽子と直垂、刀をつける物着は大小前で行われます。後見の野村四郎、こう言うの上手なのでしょう。これは、という舞台では後見はたいてい野村四郎のような気がします。
最後これを脱ぎ捨てるのですが、後見が烏帽子を引き忘れてどうなる事かと思った。(戻ってきて良いタイミングで片付けました。)

そして船頭が船を持ってきて皆乗船。それにしても子方が大きくて、後ろの方の弁慶も船頭も私の席からは全く見えず。うーーーむ。席の選択に気を使ったつもりが、こんなところに落とし穴があろうとは。

ここのところ、知盛の幽霊が出てくるまでなんとなく物足りないな、と思ったら、前回観た時は東次郎が「名所教え」をしたのでした。あれは本当に良かった。なんて思い出してごめんなさい。大蔵千太郎、なかなか良かったです。でも、姿がほとんど見えなかったので…。

知盛の幽霊登場。黒髪を振り乱し長刀で義経に迫りますが、弁慶に祈り伏せられます。この時の足遣いも小書きによるものらしい。いかにも幽霊と言う感じで、おどろおどろしかったものの、物理的には子方の方が強そうでした。

この曲のように前と後で全く性格の違う役を一人が演ずるものは、シテ個人のファンだったら「あら、何を演じてもやはりお上手で素敵♡」となるのかもしれませんが、そうでない私としては別々の人がやってみたらどういう風に見えるのかが気になりました。

総じて満足な一日でした。
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by soymedica | 2012-10-01 22:57 | 能楽 | Comments(0)