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能苑逍遥 上 世阿弥を歩く

d0226702_2371063.jpg能苑逍遥(上)、世阿弥を歩く 天野文雄 大阪大学出版会
2009年3月24日初版第1刷

銕仙会の例会解説冊子や大槻能楽堂会報などの素人向けの小論文集を集めたものなので、読みやすいかと思えばなかなか充実。でも、がんばって読むと能樂研究の現在わかるし、なんといっても(素人にとっては)楽しいトリビアがいっぱい。

世阿弥の名前の由来、世阿弥はどのくらいの教養人だったのか、在原寺は本当に廃墟だったのか?世阿弥は佐渡から帰ってきたのか?

Q&Aの本ではないし、結論の出ていることを扱っているわけでは無いですが、「今、こう考えられているのか」「こういう論点があるのか」と、楽しい。そして、能楽の研究者と言うのは少ないので、明治からの研究史が若干俯瞰できる感じがするのも嬉しい。

上巻だけ買ってみたのですが、中・下も読んでみよう。
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by soymedica | 2012-09-28 23:07 | 本・CD・その他 | Comments(2)

時の花「秋」 伯母ヶ酒 紅葉狩

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時の花「秋
9月22日(土)16時より@宝生能楽堂
正面席6000円

伯母ヶ酒
シテ 野村萬斎、アド 石田幸雄

紅葉狩
シテ 宝生和英、ツレ 高橋憲正、辰巳大二郎、金森良充
ワキ 野口能弘、ワキヅレ 野口琢弘、吉田祐一、則久英志
アイ (侍女)野村萬斎、(武内の神)高野和憲
笛 杉信太郎、小鼓 森沢勇司、大鼓 亀井広忠、太鼓 観世元伯
地頭 前田晴啓
後見 金森秀祥、小倉健太郎



ロビーに入るなりややスパイシーなお香のにおいがいっぱい。私はこの香り好きでしたが、嫌う人もいるだろうな、とおもうと香りの演出って難しい。
本日はやけに客層が若くて女の人が多い。若い家元の集客力ということでしょうか。野村萬斎効果もあるかも。家元の奥様とおぼしきワンピース姿の綺麗な女性が入り口でご挨拶。


伯母ヶ酒。けちな伯母を鬼の面でおどかして酒を飲む甥。この甥、タダ酒を飲むことに執念を燃やすようなケチな男だけあって、脅かし方も中途半端。で、見破られてしまう。私は狂言のセリフとしてはもう少し緩急ついて間があったほうが好き。って、東次郎と萬斎を比べては酷だとは思いますが。
ところで、石田幸雄って女が上手い。


紅葉狩。本日の囃子方は実力はもちろん、ビジュアルも宜し。でも大小前に一畳台に乗った巨大な山が置かれて、ちと残念。
4人の美女登場。シテの面は泣増とのこと。シテは緋の大口袴、ツレもあでやかな赤い紅葉模様ですが、シテの腰帯の鱗模様があやしい。

そこに維茂の一行登場。野口能弘の丸顔がやんごとなき貴公子という雰囲気でなかなか良い感じ。ワキ方の重い曲とのことですが、礼儀正しい武将という雰囲気満点。この時点でワキヅレは退場。全員舞台に入ったら狭いだろうなと心配だったのでちょっと安心。

橋掛で弓矢を置いて(馬から降りて)宴席を遠慮していこうとしますが、「あら、是非ご一緒に」と女に扇で胸のあたりをちょと押さえられ、「うーーむ、断るのも失礼か」と参加。シテは中央で下居するのですが、残念ながらこの座り方があんまり綺麗に感じられませんでした。皆さんはどう感じていらっしゃるのでしょう。

鬼の酒だからか、貴公子は酒に弱いのか、維茂は寝てしまいます。舞を舞っていた女はじーっと顔を覗き込んで寝たのを確かめます。この辺物凄く動作がリアル。舞が速くなって、作り物の中へ。
この後、アイが退場するまでワキは寝続けなくてはならないのですが、左手がとてもつらそう。

アイの末社の神が登場。実はこの曲には「どこでの話か」ということは一切出てこず、このアイの語りの部分でのみ戸隠でのことであったということがわかります。アイの神は維茂に太刀を授けて退場します。

ふと見ると、般若の面の鬼が一畳台に立っています。(山は右側に寄せられています。鬼が台から降りると自動的にまた真ん中に戻る。)この山の隣に立った鬼の姿がとってもフォトジェニック。

維茂は授けられた太刀のおかげで鬼退治。でも組うちがあったり、危機一髪だったのですよ。切られた鬼は切戸口から退場。もう出てきて人を悩ませることも無いでしょう。


なかなか満足した土曜日でした。
来年の時の花は:
1月26日(葛城 前田晴啓)、4月27日(嵐山 水上優)、7月27日(雷電 辰巳満次郎)、9月28日(小鍛冶 朝倉俊樹)だそうです。対談とかお話がつくみたいです。
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by soymedica | 2012-09-24 18:23 | 能楽 | Comments(0)

国立能楽堂定例公演 口真似 羽衣

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国立能楽堂定例公演 
9月21日(金)18時半から
正面席4800円

口真似(和泉流)
シテ 野村又三郎、アド(主)野口隆行、(何某)奥津健太郎

羽衣(宝生流)盤渉
シテ 金井雄資、ワキ 福王和幸、ワキツレ 村瀬提、村瀬慧
笛 藤田朝太郎、小鼓 亀井俊一、大鼓 安福光雄、太鼓 小寺佐七
後見 朝倉俊輔、渡邉茂人


本日は東京体育館で何かあるのか、女の子を連れたお母さんと言った感じの人たちがたくさん。警官の交通整理も出ていた。何があるのか聞いてみようかと思ったが、返事を聞いても理解できないとカッコ悪いのでパス。(最近AKBの前田敦子の顔がやっとわかるようになったら卒業してしまった…。)

狂言は口真似。前回は野村裕基クンで見ているので、大人同士の演技はどんなものか、と思っていたらこれが絶妙。同じ和泉流ですが、万作家と若干違うところもあるみたいです。これがアドが大人かどうかの違いなのか、それともお家の違いによるのか。
セリフの間の取り方で見せる、と言うのは大人にしか出来ない芸当かも。そして子供はテンポが速いのだな、と思いました(全般に万作家は速いかもしれない)。

この話、文字にしてしまうときっとつまらない笑い話だと思うのですが、本日堪能しました。


いよいよ羽衣。正先には羽衣のかかった松が置かれます。松は結構丈が低い。
まず漁師の白龍一行登場。皆若くてハンサム。村瀬提と村瀬慧って、上手くなったような気がする。(かなり年の離れた兄弟だと教えていただきました*。)ただ、手前に立った方(どっちかな)の竿の担ぎ方が今一つ。
パンフレットによると白龍という名前には天帝の使者という意味があるということで、地元漁師にしては立派すぎる感じの福王和幸ですがそれで良いのかも。

それにしてもですね、囃子がいまひとつだった。特に小鼓が私には気になりました。もっと清々しくやってほしい。

「おや、こんなところに素晴らしい衣が」と手に取ると、幕のなかから「のうのう」と声が。で、返す返さないのやり取りの後、漁師は衣を松に置きます。前に見たときには手渡ししていたのに、と思ったら、松に置くのは宝生流の盤渉の小書きのときのやりかただとか。手渡しの方が優美だと思うのですが。

その後、舞グセがとても素敵でした。でも、何だか地謡が優しいというよりは湿った感じだったのは残念。軽いというより弱い感じの謡でした。

盤渉の序の舞のあと、地謡に乗って天女は空に帰ってゆきます。羽衣をたなびかせ、富士山を見降ろして軽い飛ぶような運びで帰ります。そしてそれを見上げながら漁師一行も帰ってゆきます。

金井雄資も福王和幸もとても良かったのに囃子と謡が残念な感じでした。金井雄資って男性ファンが多いのでしょうか。いつもとちょっと違った客席の感じでした。

面は泣増。


参考は 能の鑑賞講座一 三宅襄 檜書店


*鍵コメいただきました。村瀬'sは兄弟では無く、従兄だそうです。ご教示ありがとうございました。
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by soymedica | 2012-09-22 23:11 | 能楽 | Comments(3)

龍虎 続き

龍虎 続きです。

面白かったので書こうと思ってすっかり忘れていた。
前のを直しても良いのだけれど、ここで。

後場で虎が出てくるところ。
まず、一畳台が大小前に出されます。そしてその上に作り物の竹林(?)がおかれます。そして布を被いだ龍が舞台に入ってくると引き回しが下ろされ、やはりこれも布を被いた虎が出てくるのです。
どうして最初二匹とも隠れているのか、登場の仕方が面白かった。

結果は虎の勝ちでございました。
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by soymedica | 2012-09-19 11:41 | 能楽 | Comments(0)

銕仙会定期講演9月 夕顔 重喜 龍虎

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銕仙会定期講演9月
9月14日(金)18時よりの@宝生能楽堂
正面席 6000円

夕顔 山ノ端之出 法味之伝
シテ 野村四郎、ワキ 宝生閑、ワキツレ 宝生欣哉、野口琢弘
アイ 石田幸雄
笛 一噌 仙幸、小鼓 大倉源次郎、大鼓 亀井忠雄
後見 浅見真州、谷本健吾

重喜
シテ 野村萬斎、アド 野村裕基

龍虎 
シテ 浅見 慈一
ツレ 長山 桂三
ワキ 御厨 誠吾
ワキツレ 大日方寛、野口能弘
アイ 竹山悠樹
笛 槻宅聡
小鼓 鳥山直也
大鼓 佃良勝
太鼓 小寺佐七
後見 清水寛二、片山九郎右衛門


夕顔。野村四郎だと安心して楽しめる、というのが分かるようになってきました。そしてワキが宝生閑!
法味之伝というのは序の舞の代わりにイロエを入れる演出、山ノ端之出は藁谷の作り物が出されるという小書きだそうです。

九州からやってきたお坊さんとその一行。名ノリのときにワキツレ二人が橋掛に座るのが目新しい。新潮社古典集成の謡曲のコピー持っていたのですが、ワキの着きぜりふとシテの「山ノ端の」の順序が逆。こちらの方が意味が通りますよね。サシと下げ歌は省略。大小前に出された作り物の中から「山ノ端の…。」と歌いだされます。引き回しが下され、前シテ登場。渋い橙色系統の装束。野村四郎は痩せ形のせいだろうか、上前が相当余っています。うらやましい。

問答からはここは夕顔ゆかりのかはらの院であるということがわかります。

アイが夕顔の話を教えてくれます(今の観客のはこれがないと分からないかも)。石田幸雄、主張しないアイでよかったです。ここで、個性や芸を主張してはマズイ。

後ジテはごくごく薄い紫系統と鶯色系統の組み合わせで登場。野村四郎と宝生閑という組み合わせはこういうしっとりとして影のある曲にはぴったりです。実は舞台を見てからしばらくして書いているのですが、ワキツレも囃子も一流どころで素晴らしかったと。そして印象に深く残っているのはやはりシテとワキ。
夢のような舞台でした。野村四郎、枯葉の感じのブルゴーニュワインかな。実は宝生閑はもう少し賞味期間の残っているボルドーかという感じも。

こう言う組み合わせのときにはロビーに陣取っているお客に御稽古のお弟子さんと思しき人が少ないですね。


重喜の裕基くんを見るのは二度目。そそっかしい重喜が師の頭を剃ろうとして鼻を削ぎ落す話し。前見た時はは裕基くんと万作でした。あの時の方が裕基くん、しっかりやっていた印象。慣れが出てきたのかもしれない。


龍虎(りょうこ、と読むらしい)。入唐渡天の志ある僧登場。春日龍神でもそうですが、留学して箔をつけるのは今も昔も同じ。前場の二人の樵との問答は何だかよくわからないけれど、年取った方の樵は粗朶を背負っていたりして風情があります。今の私たちの目から見ると「昔の日本人?」なのですが、この装束やセリフが異国情緒たっぷりと感じられた時代があったのでしょうか。

アイの語りは仙人です。きびきびとしてなかなか良かった。

後半は龍と虎との戦い。ともに頭に虎と龍の作り物を載せており、「ライオンキング」はここからの着想か?!という感じ。あまりに作り物が大きくて観客としては心配。後半、龍の尻尾が折れておりました。

ここの龍と虎との威勢のよい戦いが小気味良いです。

後ろは英語をしゃべるカップルを連れた通と思しきおじさまでしたが、こういう曲の組み合わせは楽しんでもらえたかもしれません。しっとりしたいかにも「能」と言う感じの夕顔と、動きのある龍虎、でした。
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by soymedica | 2012-09-17 21:14 | 能楽 | Comments(0)

世阿弥 北川忠彦 中公新書

d0226702_849097.jpg世阿弥 北川忠彦 中公新書1972年7月25日初版発行、1991年3月20日14版

かなり版を重ねた本ですが、今は絶版です。読んでみると若干学問的には古い所があるのかもしれませんが、素人には十分。「新書とはよくできたカタログだ」と喝破したひとがいましたが、まさにそうです。

世阿弥とその時代、世阿弥の作品、世阿弥の芸論、世阿弥の流れにわけて論じています。その作品や作能態度がいかに時代とかけ離れて高踏的になって行ったのかを、いろいろな証拠をあげて論じて行きます。また、後の能役者、能作家が時代を意識しつつ、世阿弥の作品や芸術意識から逃れられなかった様子を説明しています。

手に入るようだったら一読をお勧めします。
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by soymedica | 2012-09-11 08:50 | 本・CD・その他 | Comments(0)

京都に来ています

京都に来て、一生懸命勉強しています。あー、観光したい。

で、昨日は5時ちょっと前に清水寺に駆け込み。今の季節は6時半までらしいです。いろいろ写真も撮ったので、きちんと整理してふさわしい演目のブログにアップできれば、と思います。拝観料300円で見所満載でした。

本日は午前中2時間ほど空いたので、上及び下賀茂神社にタクシーで。乗り物好きの私としては忸怩たるものはありましたが、時間にはかえられません。下賀茂神社では特別拝観の所にも入れました。

夜は三嶋亭のすき焼きを食べました。iPadだと写真のアップができませんが、取り敢えずご報告まで。
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by soymedica | 2012-09-07 22:07 | 本・CD・その他 | Comments(0)

観世会定期能9月 松風、天鼓

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観世会定期能9月
2012年9月2日(日)
正面席 12500円

花月、箕被の後から

松風 見留
シテ 観世清和、ツレ 坂口貴信、ワキ 森常好、アイ 石田幸雄
笛 一噌仙幸、大鼓 柿原弘和、小鼓 曽和正博
後見 木月孚行 観世芳伸

仕舞 (略)

天鼓 弄鼓之舞
シテ 山階彌右衛門、ワキ 高井松男、アイ 深田博治
笛 一噌幸弘、小鼓 幸信吾、大鼓 安福光雄、太鼓 三島元太郎
後見 観世恭秀、木原康之


花月から行くつもりだったが物凄い土砂降りでやめる。ついたらちょうど狂言が終わるころだった。

皆が楽しみにしていると思われる風。短冊をつけた松の作り物が正先に出される。森常好のワキの僧登場。何だか訳ありげな松が生えているよ、と地元の人に聞いてみると、長裃を着ているので田舎の教養人かと思われる石田幸雄が松風村雨の旧跡だと教えてくれる。

じゃあ、この塩屋で今晩は寝ようか、というところで後見が汐汲車を出す。オレンジ系統の車に金色の水桶が乗っている。毎回思うけれど、これじゃ本当の汐汲み娘を田舎妻にしたのじゃなくて、都から連れていった妻が戯れに汐汲みのまねごとをしているみたい。

と、奥から本当に綺麗なお二人登場。一人水桶を手にしたほうが坂口貴信。この二人の組み合わせって、声も綺麗だし体格も似ている、内弟子だったそうで息もぴったり。それにしても田舎娘が白、金の市松の水衣、オレンジの着物って幽霊とはいえゴージャス。これをいかにも田舎じみたやぼったさでやってみたらどうなるのだろう。そして烏帽子長絹をつけるところで豪華にするとか。
本日の舞台ではちゃんと潮汲車には桶が二つ乗りました。実際には車を引かない演出だったので残念。

後場では金の烏帽子、紫の長絹で舞います。松のつくりものを回るところが見せ場と言われますが、見せ場を見せ場と感じさせない上手さ。
私は「見留」の終わり方が好きだな、と思ったのでした。
地謡がとてもきれいだった。


休み時間に貰ったパンフレットを見ていたらもう来年の番組一覧。9月に関根祥六がシテですが、大丈夫なんだろうか。


天鼓。弄鼓之舞の小書きつき。太鼓が入ります(今まで観たのは全てこれだったかも)。前場の老父の嘆きのサシとその前後がそっくり飛ばされるのはこの小書きのためなのでしょうか。

山階彌右衛門の声が前場の老父(長髪!)にはどうかな、と思ったのですが、とても良かったです。若さと熟練がマッチして、観世家元兄弟は今が旬なのかも。どうやって年取っていくのかも期待。

ワキの高井松男。この人、体格バランスがちょっと能向きではないのか、装束の袖が短そうなのと、座っているときやや前かがみになりがちなのが気になった。
手足が長いんじゃないか。

後場の舞にカタルシスがあって良かったです。作り物が装束にひっかかって動いてしまったのですが、さして慌てもせずにそれを直すところは場数でしょうか。(向きは直ったけれど、今度は作り物の上が倒れた。)
後見がなんともしなかったのはああいうものなのか、それとも舞が早かったので出るタイミングが無かったのか…。
という、ハプニングがありましたが、今まで何回か見た天鼓のなかで一番楽しめました。
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by soymedica | 2012-09-05 08:15 | 能楽 | Comments(0)

セルリアンタワー能楽堂 井筒、文山立、二人乱

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セルリアンタワー能楽堂企画公演 能に親しむ 喜多流 静と動
8月31日(金)18時30分より
正面席8500円

井筒 
シテ 友枝雄人、ワキ 宝生欣哉、アイ 山本則孝
笛 一曾隆之、大鼓 亀井弘忠、小鼓 成田達志
後見 塩津哲生、塩津圭介

狂言 文山立
シテ 山本泰太郎、アド 山本則秀

二人乱(ににんみだれ)
シテ 中村邦生、ツレ 狩野了一
ワキ 大日方寛
笛 杉信太郎、大鼓 亀井洋佑、小鼓 観世新九郎、太鼓 観世元伯
後見 粟谷浩之、佐藤寛泰


井筒。能役者って井筒が好きですね。良い曲とは思いますが、素人の客にこれを退屈せずに見せるのは大変かな。私は通じゃないからはっきり言えますが、あまり好きじゃない。
そして今回後場の舞(見せどころですよね)の笛があまりに余裕が無かった。あれじゃ昼寝もできない。

シテのちょっとごつごつした感じの節回しと声もあんまりこの曲とは合わない感じ。見せ場の水鏡の場面はさすがでしたが。

ということで退屈しちゃったので、後見の親子は似ていないな、とか、塩津哲生は居眠りしているな、とか、今回地謡(二人乱れも)は前列若くてハンサムぞろいだな、とかチェックしておりました。


文山立は確か和泉流では文山賊だったかな。お二人は声良し、謡良し、テンポ良し。で楽しかった。


二人乱は猩々が二人(二匹?)出てくる「猩々」の喜多流の呼び名。まず巨大な酒壷(大人の胸近くまである)が正先に出されます。すごいなあ、と思いますが実はこれがすごい上げ底で柄杓が落ちないようになっている。
瀋陽の町で酒を売っている高風登場。大金持ちの商人と言うだけあって衣装が豪華。大日方寛のワキを見るのは初めてじゃないかな。なかなか良かったです。富貴の身と罷りなりて候と、扇を広げて大威張り。背中に挿してきた銀の柄杓を壷において猩々の出てくるのを待ちます。

さて、猩々、どっちがどっちだかわからないのですが、先に出てきて後に帰ったほう(シテかな)が明らかに上手。もう一方は若干メリハリと自信に欠ける感じ。足の動きは結構そろうけれど、手が今一つ。酔っぱらっている猩々と言う感じは出ていましたが。

ともあれ、華やかで楽しい曲でした。
笛の人がやけに今風な髪型(地を刈り上げてうえに長い髪をかぶせる)しているのが妙にマッチしていた。

松虫と何だか似ているな、と思ったらそんなことが書いてある本もありました。
この猩々はかなり早くから半能として演じられるようになったそうで、平成になってから全部を演じる試みがなされたそうです。
そんなことは:
能苑逍遥 (中)能という演劇を歩く 天野文雄 大阪大学出版会
でどうぞ。
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by soymedica | 2012-09-02 08:56 | 能楽 | Comments(0)