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喜多流職分会 平成23年6月自主公演能

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喜多流職分会 平成23年6月自主公演能 

粟谷明生ブログでの割引で5000円。自由席だったので、中正面の前から2番目で見ました。なかなか良い席でした。



放下僧 (見ていません)

狂言 蟹山伏
シテ 三宅近成、アド 高澤祐介、小アド 金田弘明

杜若
シテ 佐藤章雄、ワキ 館田善博
大鼓 亀井実、小鼓 田邊恭資、太鼓 桜井均、笛 寺井久八郎

仕舞:柏崎 道行 大島政充

昭君 附祝言
シテ 粟谷明生、シテツレ 内田成信、子方 金子天晟、ワキ 大日方寛
大鼓 柿原弘和、小鼓 曽和正博、太鼓 小寺真佐人、笛 小野寺竜一


狂言蟹山伏。なり立てほやほやらしい怪しい山伏が強力と山へ。そうすると恐ろしい蟹の精登場。(どろどろという効果音と共に舞台に走り込む。笑いました。)「目が天に向いていて、鋏が2本、足が8本だぞよ」ってなことを難しい言葉で言ったあとは、ひたすら鋏を動かす、かに道楽の看板みたいなお化け。
こういうのって、子供向け普及会でやったら受けるんじゃないかな。子供じゃないけれど、面白かった。


杜若。シテの登場の時から非常に気になったのですが、シテの上体が歩くたびにひどく揺れるのです。あれは許容範囲内なのでしょうか。気のせいか、地謡の友枝昭世がシテをにらみつけていたような…。この能は華やかさが売りなのだと思うのですが、何となく地味な印象をうけたのはなぜでしょう。前回みたのが華やかさを売り物にしている(と思われる)観世流の家元の杜若だったせいか??それと、近くで見ていたせいもあるのかもしれませんが、物着が何となくバタバタした感じ。
シテはどこかお悪いのではないでしょうか。あるいは喫煙者なのか、近くで見ていると息が上がっているのが如実にわかる。
もしかしたらシテの持ち味と、「杜若」(これって、綺麗で、綺麗でっていう能ですよね)が合っていないのかもしれない。
ということで、何となく不完全燃焼の杜若でした。


昭君。シテの粟屋明生のブログで予習はばっちり。
アイが出てこない形なので、どうやって時間を稼ぐのかとおもっていましたが、謎が判明。
子方が王昭君をするのだが、飾り物をうるさそうにしているのが可愛い。ちゃんと謡の出だしがわかるのだろうか、とドキドキ。地謡一同も心なしかドキドキしているように見えます。ぜーんぶ子方がセリフを言い終わったところで、見所および地謡一同ほっとしてコロスへ(笑)。

シテは余裕の演技だったのでは。「もっと見ていたい」感が残り、大満足でした。お話の筋からは本当は可哀そうなのは王昭君とその両親なのでしょうが、なんだか韓耶将って可哀そう、って思わせる舞台でした。現代では「異国の地に一人娘が嫁に行ってしまった」という寂寥感が共有できないからかもしれません。
橋掛かりで両親が嘆くときには、「おかわいそうに」と、思えるのですが、後場で韓耶将が「来るな」とか言われちゃうと、「野蛮人なのに妻の両親にあいさつにわざわざ来た礼儀正しい奴。そんなに邪険にしなくても。」と、思いません?

両親が着ているベスト、あれは側次と呼ぶらしい。王母のはデイジーのような花が咲いているモダンな模様でした。面もモダンな感じがしました。でも、面に書いてある白髪と鬘の白髪の度合いがあっていないのが気になるのですが、ああいうものでしょうか。


今回はあんまり参考になる本が無かったので、参考文献は粟谷明生のブログ、ということで。面や装束の選択についても書かれています。
シリーズになっているので初回と最終回とを貼り付けておきます。

http://blog.goo.ne.jp/tbinterface/aecc559fbc2815730c231dfa3784d030/1d
http://blog.goo.ne.jp/tbinterface/658bf5de7c420df9687602d3d72ff0f5/1d
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by soymedica | 2011-06-28 08:18 | 能楽 | Comments(2)

第4回のうのう能プラス 井筒

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第4回のうのう能プラス 
6月25日14時から @宝生能楽堂
正面席7000円

解説 山中玲子

仕舞 雲林院 観世喜正

能 井筒 
シテ 武田志房、ワキ 福王和幸 アイ 高澤祐介
大鼓 亀井広忠、小鼓 幸清次郎、笛 一噌隆之


宝生能楽堂へ。隣には「都立工芸高校、宝生能楽堂、金毘羅宮東京分社(能楽堂のとなり)一帯は高松松平家下屋敷のあったところで云々」という看板あり。
ここの橋掛りは舞台とほぼ直角についている。席は前から4列目の真ん中右寄り。実はこの席が若干問題だったのだが、それはあとで。

まず、山中玲子先生の解説
井筒は伊勢物語をベースにしたもので世阿弥作といわれているが、多くの伊勢物語をベースにした能は、世阿弥以前にその劇作が既にあって世阿弥が手を入れたものと考えられている。たいして源氏物語をベースにしたもの(源氏能と言われる)は、世阿弥よりあとの作品が多いということ。

伊勢物語に題材をとっているといっても、伊勢物語そのものではなく、中世に多く書かれた伊勢物語の注釈書に拠って書かれた能である。(ここで、「サザエさん」をもとに、「サザエさんの秘密」とかいろいろな本がありますよね、そういう本です、という面白いたとえ有り。)ですから、井筒の女が紀の有常の娘である、と思っているのは現在では能を見ている人だけが知っていることかもしれないと。謡を読んでいて「へー、井筒の話と、よその女に通う夫の身を心配する話と、3年来無かった男を追いかけて死んじゃう話って同じ人だったんだ。」と感心していたのですが、それは能の中だけでの話だったらしい。

伊勢物語を題材にした一連の能の特徴として(井筒は違いますが)ワキが僧ではなく、伊勢物語の愛読者として設定されているものが多いということも挙げられるそうです。井筒のワキも僧侶ではありますが、伊勢物語に詳しいという前提があります。
源氏能のシテは僧侶に救いを求めてあらわれるものが多いのに対し、伊勢物語の能では、伊勢物語の謎解きとか裏話を打ち明ける、といったタイプのものが多いそうです。

そして、世阿弥が井筒を「自信作」と思っていたのは、今までそのように秘伝の解き明かしにすぎなかった伊勢物語の能に、「シテの回想」というしみじみした情感を付与したことにあるのではないだろうか、とのことです。舞台は廃寺ですし、季節はしみじみし秋に設定されています。

以上、大変ためになるお話でした。聞いて良かった。


仕舞は 喜正の雲林院。この人、声が良いですね。仕舞も端正で、人気があるというのがわかります。


さて、いよいよ井筒
ワキの登場です。最初にこの福王和幸を見た時にはあまりに大きいのでびっくりしましたが、今回は喜正も大きな人らしいので、あまりびっくりはしませんでした。
ただこの人、とってもきちんとお稽古してそつのない目立たない所作をするという印象。シテが誰でも、どんなときでもロボットのように同じことをするのではないだろうか、と思わせるところあり。(単なる印象です。)

シテ。地味目の衣装です。以前この人で「鷺」を見たときにはどこが良いのかよくわからなかったのですが、今回はとても素敵だと思えました。力の抜けた美しい、押しつけがましくない所作。謡も緩急があって聞かせどころはとても聞きやすい。もしかしてこの人には観世能楽堂はちょっと大きすぎるのかもしれないと思いました。
お囃子も今回は良かったし。

この能は松岡心平によると、「男性が女性を演じ、さらにその女性が男装する」という倒錯的なところに美しさがあるそうですが、それについてはあまりわかりませんでしたね。直面でやっていた時代の話でしょうか。


で、で、問題の席。私の左手は通路。右に80歳は超えているだろうと思われるお婆さん。さらにその向こうの女性と開演前に声高に話していたので連れかと思ったら、その女性ころ合いを見計らって逃げだしたのであきらかに他人。
お婆さん、(こういうことは言いたくはありませんが)加齢臭が凄い。普段老人と接することが多いのでわかりますが、毎日入浴して頭も洗っていればああはなりません。狭い能楽堂に行くのですから、一寸は考えてほしい。自分の臭いはわからないものですから。

そしてこのお婆さん、どうやら謡をやる人らしいのですが、興味のあるところに来ると手提げから謡本を出してごそごそ。途中で仕舞って今度はパンフレットをがさがさ。これをずーーっとエンドレスに繰り返す。果ては間狂言のところでは持っていた折り畳み日傘を折りたたみ始める。これはさすがに前の席の人が振り返ってにらんでいましたが、どこ吹く風。仕舞には興味がないと見えて、序の舞のところではまたパンフレットをがさがさ出して点検。

ほとほとあきれました。きっと高齢になって、周囲に気が回らなくなっているのだと思います。自分が迷惑をかけていることに全く気付かない(おそらく気づいたらものすごく恐縮するだろうとは思われる、品の良い感じの人ではありました)。
感動人様のブログでも同じような迷惑な爺さんについて書かれていましたが…。



そのうち本全体の感想をアップしますが、「幻視の座・宝生閑聞き書き 土屋恵一郎 岩波書店」に、この井筒についてとても面白いことが書かれていました。
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by soymedica | 2011-06-26 10:01 | 能楽 | Comments(0)

宴の身体

d0226702_23152618.jpg宴の身体 バサラから世阿弥へ 松岡心平 岩波現代文庫

一言で言うと、こういう系統の本があったらまた読みたいので、誰か紹介してくさだい、という読後感でありました。気に入りました。
色々な雑誌に執筆されたものを一冊にまとめた本ですが、その際かなり編集に気を使ったとみえて統一感があります。

能を生んだ中世という時代、連歌やさらに高級とされた詩歌との関係、踊念仏そのほか宗教との関係などなど、一般向けにさらっと読めるように書かれています。
研究書ではなく、ハウツーものでもなく、満足感たっぷり。

ところで、「幽玄」とは、もともと少年美を言ったらしい。それも17,8までの。発育の良い今で考えると15,6歳くらいまででしょうか。何となくピンとこない。子方ってもう少し小さな子を考えていたせいかもしれません。
でも、確かにヴィスコンティの映画「ヴェニスに死す」のあの男の子は「幽玄」かもしれないな、とふと思いました。

後書きや奥付からは1991年に単行本として発行され、2004年に文庫化されたものだと思うのだが、きっと評判が良かったのでしょうね。
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by soymedica | 2011-06-23 23:16 | 本・CD・その他 | Comments(2)

国立能楽堂 音曲聟 通盛

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国立能楽堂 定例公演 6月17日(金)18時30分
正面席 4800円

音曲聟 和泉流
シテ(聟)三宅近成、アド(舅)三宅右近、小アド(太郎冠者)三宅右矩、小アド(教えて)前田晃一

通盛 観世流
シテ 梅若玄祥、ツレ 梅若紀彰、ワキ 宝生欣哉、ワキツレ 御厨誠吾、アイ 高澤祐介
笛 松田弘之、小鼓 曽和正博、大鼓 白坂保行、太鼓 金春國和


本日は職場を早く出て何か食べてから、と思っていたら帰り際に呼び止められたり電車が少し遅れたりで、結局ぎりぎり。
能楽堂前の路上に、こんなんで東京の道を曲がれるのだろうか、と思うような長―――いストレッチリムジンが止めてあったが、関係者やお客さんのでは無いでしょうね。でも、あの辺あんな車が止まりそうな建物はありませんが。もしや能楽界の大パトロンとか。


まず、狂言。音曲聟とは、うーーーむ、聟に恥をかかせまいとする優しい舅。招待客の野蛮人の王様に恥をかかせないようにフィンガーボールの水を飲んだイギリス女王(ヴィクトリアですよね、今のエリザベスじゃないよね)のような話。
この狂言のおうちの人たちは皆なかなかのルックス。あとで玄祥さんや地謡の銕之丞さんを見ていてふと思ったのですが、狂言の人って太った人いませんね。


通盛。昔は人気曲だったそうですが、そして私はとっても良い話だと思うのですが、意外なほど解説本が少ない。手持ちの本では下の本(すでに絶版)だけ。能楽堂のプログラムの解説も良かった。

平家の多くの人が海に沈んだ鳴門で一門を弔っている僧。その前に現れた漁師と女。それは通盛とそのあとを追って死んだ小宰相の二人の霊でした。後場では合戦前の最後の別れを惜しむ二人と、討ち死にする通盛の様子が演じられますが、最後の晩愛人(通盛には本妻、とはいってもまだ子供、が別にあった)と別れを惜しんでいると、弟に「何やってるんだ!」と言われてしまうのが、恥ずかしい、と。昔からどこでも長男は優しくて、次男はきかん気だったのですね。

地謡には受勲した銕之丞さんも。でも、だれか一人だけ妙なビブラートの美声を発していたような、あれが銕之丞さんに思えたのですが、まさかね。

今回は結構予習していったので舞台もじっくり見られたのですが、席の選択を間違った。正面席前のほうの右端だったら
のですが、ワキ柱がじゃまになってワキツレがほとんど見えない!!これは残念。多少前の頭が邪魔になっても、真ん中寄りを買うのだった。(国立能楽堂はこの席を一番良いランクで売っているけれど、もっと細かい席割をしている公演ではこの席はランクが落ちるのも、尤もな話。)


さてさて、今回も本を買っちゃった。でも、文庫本で800円だから、と、自分に言い訳。
今日は品揃えがいつもと違うな、と思ったら檜書店ではなくて、能楽書林でした。

参考は
能の平家物語  秦恒平 朝日ソノラマ
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by soymedica | 2011-06-18 13:02 | 能楽 | Comments(0)

太郎冠者を生きる

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太郎冠者を生きる 野村万作 白水社

1984年に単行本として出された本の文庫化。
万作は1931年生まれだそうだから、まだ53歳の時です。ちなみにあのネスカフェの広告が1977年。あのとき「猿に始まり狐に終わる」というコマーシャルを見て、子供ながら「これ、見てみたいな」と思った記憶があります。

出版されたのが古いので、その間襲名があった人もあり、誰が誰やら最初はちょとややこしいですが、面白い本です。東京に出てきてやっと一家をかまえたおじいさん(万斉)が一家の基礎を作り、それをしのいで芸の基礎を作った父、万蔵。息子たちはさらに父を越えようか、という時点での話です。

気の向くままに口述したものをあとから字にした、ということです。編集者の手が入ってもいるようですが、本人が語る面白さや臨場感はあってもいささか統一性に欠ける仕上がりの本になってしまっています。すぐれたジャーナリストに聞き書きをして書いてもらった方が良かったのでは、とも思いますがこれはこれでまた別の面白さがあるかもしれない。

万作が他のジャンルに色々踏み込んだり、海外公演をやったり、というのは初めてしりました。今の二世萬斎が、留学したり、現代劇をしたりするのは、やはり万作を意識してのことなのですね。

「釣狐」のあとにくるのは、「普通の太郎冠者を普通に演じる」という課題だそうです。万作59歳の時点を評した人は「まだまだ」と、文庫のための後書きに書いていますが。

これは絶版になってしまっているのでアマゾンの古書で買いました。
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by soymedica | 2011-06-15 21:01 | 本・CD・その他 | Comments(0)

国立能楽堂 子盗人 熊坂

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国立能楽堂 普及公演 6月11日(土)
午後1時より
正面席 4800円

解説 義経伝説と盗賊 佐谷真木人

狂言 子盗人
シテ 石田幸雄、アド 高野和憲、小アド 野村万作

熊坂(金剛流) 長床几 青のヶ原道行
シテ 金剛永謹、ワキ 高安勝久、アイ 深田博治
笛 寺井久八郎、小鼓 曽和正博、大鼓 佃良勝、太鼓 桜井均
後見 廣田泰三、豊嶋幸洋



解説は真面目そうな先生。私の聞きたいことを話してくれました。義経伝説のあれこれなど。考えてみると私の常識は日本史の伝説部分が完全に欠落している。だって、日本史で義経ってあまり教えないでしょ?お話としては面白いけれど、本筋に絡む人ではない。そういえば忠臣蔵も教えませんよね。忠臣蔵がどんな話だかごく最近理解しました。でも、世の中の人はどこでそういう常識を身につけるのでしょう。


まず、狂言子盗人。盗みに入った家に寝ていた赤ん坊があまりに可愛いのであやしているうちに家の者に見つかってしまう間抜けな泥棒の話。解説で、サザエさんに出てくるような泥棒だと言っていましたが、うまい説明ですね。
石田幸雄、なかなかはまり役。孫をあんなふうにあやしそうな…。野村万作はもっと厳しい爺さんのような気がする。


熊坂
先に書いたように私は義経の話ってあまり得意じゃないのだけれど、熊坂長範ってどこかで聞いたような気がします。歌舞伎にも登場する有名な大泥棒だそうで、義経に退治されてしまった人。これは、熊坂が法体の幽霊になって出てきて旅の僧に「私を弔っておくれ」と頼むのが前場。後場は熊坂が義経の一行に夜襲をかけて逆に打ち取られてしまう様子を長刀を持って舞う、というもの。同じ話をリアルタイムとして語る「烏帽子折」を「現在熊坂」、こちらを「幽霊熊坂」と呼ぶのだそうです。

シテは前場は直面、後場は長霊べしみという特別の面をかけます。

…それでですね、金剛永謹さんと言う方、結構えらの張った立派なお顔なのですよ。ですから、大変失礼ながら後場の長霊べしみ面とあまりギャップが無いというか…。前場も幽霊らしくとっても怪しげな感じを出していました。今後私がチェックすべき能楽師リストに入れておこう。

金剛流というのは京都が本拠地だそうです。何となく謡がやさしい感じ、と思うのは先入観に縛られているでしょうか。舞が定評があるとききました。
小書きの長床几というのは後場の比較的長い間腰をかけたまま舞う、という演出だそうです。


本日は満席。脇正面に20人ほどの女子高生のグループがいたせいもあるのでしょうが、ちょっとびっくりしました。だって、この演目、あまり解説書にも無いし、人気演目では無いだろうと思っていたので。金剛永謹人気なのでしょうか。正面席は若者(私から見て)と、中年男性が目立ちました。
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by soymedica | 2011-06-11 17:51 | 能楽 | Comments(0)

ベッジ・パードン

ベッジ・パードン

作・演出 三谷幸喜、企画・制作 シス・カンパニー
出演 野村萬斉、深津絵里、大泉洋、浦井健治、浅野和之
@世田谷パブリックシアター
S席 9000円



三谷幸喜の新作、ベッジ・パードンを見に世田谷パブリックシアターへ。
満席。

三谷幸喜は救急車騒ぎや離婚騒動の中、2作目御苦労さま(ま、余計なお世話か)。留学した漱石が恋をする、というお話。漱石さん、森鴎外になっちゃうの?と思わせる笑いあり、涙ありの3時間。
若干削って2時間くらいにした方が気軽に見られるのに。

漱石役は野村萬斉。萬斉、普通に立っている姿勢が「カマエ」。あれはわざと何だろうか??そして発声なども現代劇の役者とは異なるということがはっきりわかる。なので萬斉を現代劇の中に放り込むと、何だか一寸ズレがありまさに異邦人。初めに萬斉ありきの脚本だったらしいが、彼の異質性を上手く生かしたものだな、と感心。

一人11役などのアクロバットをする浅井和之、上手いな。
この劇は漱石を取り囲む他の役者が上手くないと漱石の異邦人性が浮き彫りにされないのだが、そして漱石役が別のしっかりした文脈を持っていないと成り立たないのだが、そこが上手く言っているので、とても楽しい。

これ、今後再演されることがあったら配役で印象がずいぶん変わるに違いない。

ということで大満足でした。
    
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by soymedica | 2011-06-08 08:11 | その他の舞台 | Comments(0)

観世会定期能 6月

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観世会定期能 2011年6月5日(日)@観世能楽堂
正面席12500円


写真は観世能楽堂前の梅の木になっていた梅。(桃じゃないよね??)


賀茂
シテ 浅見重好、前ツレ 武田文志、天女 下平克宏、ワキ 大日方寛、アイ 三宅近成
大鼓 大倉正之助、小鼓 幸信吾、太鼓 小寺真佐人、笛 一噌康二

狂言 名取川
三宅右近、三宅右矩

千手 郢曲之舞
シテ 角寛次朗、ツレ 観世芳伸、ワキ 宝生欣哉
大鼓 守家由訓、小鼓 大倉源次郎、笛 松田弘之

仕舞 
芦刈 観世恭秀
自然居士 関根祥六
芭蕉 観世清和
猩々 武田宗和

能 鵺 白頭 附祝言
シテ 山階彌右衛門、ワキ 高井松男
大鼓 亀井実、小鼓 観世新九郎、太鼓 桜井均、笛 杉信太郎



賀茂

美しい女性が川で水を汲んでいると、上流から矢が流れてきたので持ち帰り軒にさすと、女性は妊娠し、子をうみました。子に「父は」と尋ねると、子は軒の矢を指差し、たちまち雷神が降りて来て、母も子も、神になりましたというお話。
これには「矢がホトに刺さり」、というちょっと直截なバージョンの神話もあるとか。
ネットで賀茂神社のホームページをみると、どうやら下賀茂神社にこの伝説があるらしい。上賀茂神社は雷神らしいので、こっちがお父さんかともおもうのだが、特に何も書いていなかった。忘れなければそのうち調べてみよーっと。誰か知っていたら教えてください。
(しかし、下賀茂神社のホームページに皇紀2671年ってでかでかとあった。何のことかわかる人、いないんじゃないだろうか。

それはさておき、楽しめました。脇能って退屈そうだと思っていたけれど(誰かが「竹生島」って退屈だと教えてくれたので)、前に見た「絵馬」もこれも華やかですばらしい。
シテの水汲み女が来ていた小袖が灰緑というのか、ちょっと抑えた色が使ってあってシック。

アイは末社の神様ということで、神様にもいろいろランクがあるのです。かるーいノリで、ワキに「ようこそ。偉い神様たちが出てくる前の退屈しのぎに、舞をおみせしましょう。」なんて、言っちゃいます。

後場の舞は天女と雷神と2種類見られて対比が面白いし、お得。



狂言の名取川は、忘れっぽい男が、川に名前を流しちゃう話。
こういう上品な笑いが能の間に入ると肩の力が抜ける、というのがよくわかる。


千手

一の谷の合戦で捕らえられた平重衡のもとに源の頼朝から遣わされた千手前が訪れる。出家を許されなかった重衡と千手は舞を舞い、酒を酌み交わして、一夜を惜しむという話。
林望さんの本によると、重衡は才気煥発、モテモテの色男だったようで、捕らえられた後もあちこちで惚れられていたらしい。
お能では、品よく酒酌み交わし舞を舞うだけだけれど、原作となった平家物語では前夜は入浴する重衡のお背中を流したり...。そこに座っているワキの狩野介宗茂さん、気を利かせてひっこまないと。

とてもきれいなのですが、あんまり印象に残らない曲でした。





これを見に来たのでした。(でも間で寝てしまった。まあ、大勢に影響ないが)。
どうも私は小鼓の観世新九郎がいつも気になる。「あれで、良いの?ああいうものなの?」というふうに。今まで何回か聞いた大倉源次郎のときには思わないから、相性でしょうか。
頼政に退治され、うつぼ舟に入れて流された怪物の「鵺」が化けて出るのを、旅の僧が祈って成仏させる話。
もともとが化けものなんだから、化けて出るって言うのも不思議な…。

切能というのだそうですが、鬼が出てきて盛んに舞う後半は、私にはどの曲も同じに見えます。前半、「いや、やられちゃったよ」と、鵺になったり頼政になったりのところのほうが、面白い。いや、後半の舞も見事でしたが。




参考
賀茂:能へのいざない 味方玄 淡交社
千手:能よ古典よ! 林望 檜書房
鵺:同上、
  粟屋能の会のホームページ、演能レポートに詳しいです。
  http://awaya-noh.com/modules/pico2/content0059.html
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by soymedica | 2011-06-06 20:27 | 能楽 | Comments(0)

第27回 二人の会

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第27回 二人の会

2011年6月4日(土)14時
@十四世喜多六平太記念能楽堂
A席(正面後方) 7000円






狂言 二人袴
シテ(親)山本東次郎、アド(舅)山本則俊、アド(太郎冠者)遠藤博義、アド(聟)山本凛太郎

能 松風 見留
シテ 塩津哲生、ツレ 香川靖嗣、ワキ 宝生閑 アイ 山本泰太郎
大鼓 柿原崇志、小鼓 大倉源次郎、笛 一噌仙幸



そういえば「二人の会」があるんだ、と仕事の後で電話したら券ありと。1時少し前に能楽堂に到着し、扉の前で待つこと15分。かなり良い席が残っていました。2階自由席3000円というのも魅力的だったけれど、オペラグラスが無かったので。

時間が余ったので駅まで戻って何か食べよう、と歩いていたら、前から見覚えのある男の人が。思わず挨拶しそうになって踏みとどまった。粟谷明生でした。きちんとしたふつーのビジネスマン、という感じで地味に歩いていました。

有名な二人が演じる会ですが、どうやら塩津哲生と香川靖嗣の二人が交互にシテをやる、というコンセプトらしい、と当日パンフレットを見てわかった次第。
会場はお弟子さんらしいオバサマ(かなりおばあ様に近い)たちと、なぜか大学の先生と女子学生たち、という組み合わせ多し。


二人袴、有名ですね。舅どのに挨拶に行ってこい、と言えば「人形買ってくれなきゃいかない、子犬ほしい」などという幼い息子。「ああ、買ってやる、買ってやる」なんて甘やかすから聟入り(嫁のうちに挨拶に行くこと)にまで付いて来て欲しい、なんて言い出して、結局袴が足りない、ってことになっちゃうのですよ。
たぶん凛太郎クンの実年齢が聟に想定されている年齢に近いのでしょうね。息子を呼ぶのに「凛太郎」なんて呼んでましたから。
この聟の役をもっと年のいった人がやることはあるのでしょうか。


能 松風
とても有名な曲なのだそうですね。シテの塩津哲生はかなりでっぷりとした体形らしく最初のうちはそれが気になったのですが、途中からは全く気にならなくなったのは素晴らしい演技のためでしょう。でも、この方股関節が悪いのでは?(失礼)。

田舎に隠遁した業平が愛人とした現地の純真な姉妹が、業平が都に帰ってしまった後も業平を慕い、幽霊になって出てくるという話です。姉のほうが業平の残した狩衣と烏帽子を身につけて狂乱の舞を舞うところが見せ所。

謡では「月はひとつ、影は二つ」となっていて、私が見た写真でも水桶は二つの演出でしたが、喜多流は水桶は一つが普通なのでしょうか。

解説では
  ― 「破ノ舞」の中、松と舞台端の挟間を廻り込む難技を示す。橋掛りに舞い流れ、扇をかざして作り物を見込、み「破ノ舞」を舞い納める演出が小書「見留」である -
とのことです。

だったら、舞手の体格を見込んで、作り物をもっと奥に置いたらいいのに(笑)。だって、かなり引きずってびっくりしたんですもの。

今回、あまり主張しない笛が曲と合って良い感じではなかったかと思ったのでした。


色々な本で言及されている曲ですが、
これならわかる、能の面白さ 林望 淡交社
能 中世からの響き 松岡心平
能の表現 清田弘 草思社
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by soymedica | 2011-06-04 23:15 | 能楽 | Comments(0)

第5回 日経能楽鑑賞会

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第5回日経能楽鑑賞会 6月2日 6時半より
@国立能楽堂
正面席10000円

狂言 蝸牛 野村万作、石田幸雄、深田博治

天鼓 
シテ 浅見真州、ワキ 宝生欣哉、アイ 石田幸雄
大鼓 亀井忠雄、小鼓 大蔵源次郎、太鼓 観世元伯、笛 一噌康二










狂言と能1番で正面席1万円とは高い!
そのせいかいつもの国立能楽堂のお客さんより(服装から推測する限りでは)平均年収は数百万ほど高め。素敵なおばさまの数人づれとか、休み時間や終わった後に名刺交換をする紳士とか。そして「浅見先生」を連発する女性多し。習っているから「先生」なのか?
そういえば切符を買うとき電話した日経の人も国立能楽堂の人も「先生」とつけていた。習っているなら先生と呼ぶのは当然としても、切符売る側が敬称つけてどうするのよ。

いつもは閑散としている売店の前に人だかりが。でも、売っているのはいつものものだった。

しかしですよ、中入りの瞬間にどこかで「メールです」と甲高い携帯着信音が響き渡ったのには驚いた。今日は携帯妨害装置が働いていないようなのには気づいていたが…。

それと、観世でもいるのだがバッグか財布に鈴をつけている人。演能中に音がするんですが…。


気を取り直して、まずは狂言から。
野村万作が素晴らしいのはさておき、深田博治が良かった。
狂言の後から入ってくる人が多かったのですが、是非ご覧になられては。


天鼓

鼓の夢を見て授かった息子(故に天鼓と名付けられる)に本当に天から鼓が降りてくる。それを帝(中国の後漢時代)が召し上げて、抵抗した息子は呂水に沈められてしまう。ところが召し上げた鼓は鳴らない。
というシチュエーションのなか、帝のお使いが天鼓の父のところにやってくる。父親なら音を出せるだろう、と。

自分も殺されること覚悟で出かけた老父は見事鼓を鳴らす。帝は喜び、褒美をとらせ、さらには呂水のほとりで天鼓の管絃講をする。
それに喜んだ天鼓の霊が現れて鼓を打ち鳴らして舞い踊る、という筋。

何となく(気のせいかもしれないけれど)、地謡の部分が少なくって物足りなかった。あの男性合唱が好きなのですよね。
それと短期間の間に、日本を舞台にした普通のパターンー名所を織り込んだセリフを言って「着きにけり」と、旅の僧が満足するあれーに馴染んじゃったので、出だしから不思議な感じ。

肝心のシテはどうだったのかというと、「慣れてますなー」という感じ。ドミンゴ東京公演、といえば近いかな。上手だし、花もあるし、ソツも無いし。でもなんであれだけ多田富雄が好んだのかは良く分からなかった。

…間狂言の間にいきなり文庫本を取り出して読んでいる女の人がいたのには驚いた。


あらすじは
味方玄 能へのいざない 淡交社
その他
能ー中世からの響きー 松岡心平 角川叢書
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by soymedica | 2011-06-03 00:21 | 能楽 | Comments(0)