カテゴリ:その他の舞台( 39 )

チック

d0226702_08471487.jpgチック
2018年8月25日(金)19時より@シアタートラム

原作 ヴォルフガング・ヘルンドルフ
上演台本 ロベルト・コアル
翻訳・演出 小山ゆうな

チック(アンドレイ・チチャチョフ):柄本時生、マイク・クリンゲンベルク:篠山輝信、イザ・シュミット:土井ケイト、母:あめくみちこ、父:大高明良


ドイツの比較的レベルが高いらしい学校に転校生がやってくる。ロシア名前にアジア系の顔立ち。
もう一人、金は無いけれど金のあるような暮らしをしている破綻した家庭の一人息子。
この二人がする夏休みの冒険の話。ちょっと「スタンド・バイ・ミー」に似てるかな。

シアタートラムだから舞台装置は限られるのだけれど、私には実際に目の前に満点の星が見えたり、一面の麦畑が出現したり、ごみの山が出てきたりしたように見えた。舞台装置、演出、そして俳優たちの実力だな。
ビデオカメラをうるさくない程度に使っており、臨場感たっぷり。

旅の終わりと、その後始末、ちょっと泣けます。
もう終わってしまったけれど、再演があったら是非。

柄本時生、ファンになりました。

原作をもとにしたドイツの映画も公開されるらしい。
http://www.bitters.co.jp/50nengo/


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by soymedica | 2017-09-22 08:09 | その他の舞台 | Comments(0)

MANSAI解体新書 その弐拾七 「古事記」神々のマジカルミステリーツアー

MANSAI解体新書 その弐拾七 「古事記」神々のマジカルミステリーツアー
2017年8月23日(水)19時より@世田谷パブリックシアター

企画・出演:野村萬斎、出演 三浦祐之、こうの史代

今回はなぜか「古事記」。

聞いた中で面白いと思ったことを列挙します。

萬斎が「古事記の時代は色が無いような気がするんですが、それでボールペン古事記なんですか?」と質問したのに対し、三浦先生が、
色の表現は
赤:黄色など明るいものすべて、青:これは幅が広くて緑も灰色も含む、と黒と白、
しかなかったとおっしゃっていました。

現存する最古の古事記は1371,2年の写本だそうで、上巻は神様の話、中・下は天皇の話で、こうの史代さんのボールペン古事記は上巻の漫画化です。8世紀に書かれたものなのに最古の写本が1371年というのは、要するに読む人がいなくて広く写本が作られなかったという事です。
ナルホド。

国産みの話はちょっとエッチですよねー、とここら辺はすごく盛り上がっていました。

アマテラスを天岩戸からひっぱり出すのに鏡を使いますよね。これ、鍛冶職人のアマツマラとイシコリドメが作るのですが、この名前もちょっとエッチで面白い、と盛り上がる。
アマテラスは鏡を知らなかったのか?
鏡を知らずに…というのは能の松山鏡にもありますが、世界的にみられる伝承なのだそうです。

そこから数の話になり、日本で最も聖なる数とされているのは「八」であるけれど、中国は奇数が好きなので、古事記もその影響を受けている、などなど。

国つくりの神話には天から人が下りてくるという垂直下行型(北方型、弥生型ともいう)と、海の向こうからやってくるという水平型(縄文型)があるそうですが、両者が交わるのが日本だ、ということで、
こうの史代さんが、すらすらと素敵な説明図を書いてみせてくれました。(OHPじゃなくて最近はカメラで映すのね)。
これ、写真にとって持って帰れなかったのが残念。

そして古事記には稲作起源の話として、アマテラス、スサノオの両系統があるなどなど、面白いお話でした。

ところどころ萬斎が三番叟と結びつけて質問するのだけれど、これはあんまり効果的ではなくて(そもそも萬斎があんまり古事記しらない上に、三浦先生が舞踊の歴史を知らない)、萬斎無しで三浦先生の話だけ聞きたかったな(萬斎君、ゴメン)。

ということで、ロビーで三浦先生の本を買って帰ったのでした。面白そうです。
あ、こうの史代さんの「ボールペン古事記」もお勧めですよ。



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by soymedica | 2017-08-28 13:02 | その他の舞台 | Comments(0)

子午線の祀り

d0226702_16201914.jpg子午線の祀り
2017年7月21日(金)18時30分より@世田谷パブリックシアター

作 木下順二、演出 野村萬斎、音楽 武満徹

読み手A 野村萬斎、読み手B 若村麻由美
新中納言知盛 野村萬斎、 九郎判官義経 成河、 大臣殿宗盛 河原崎國太郎、 梶原平三景時 今井朋彦、 阿波民部重能 村田雄浩、 影身の内侍 若村麻由美

過去の上演を見た事が無かったし、この機会を逃してはならじと駆けつけました。
数年前に原作を読んだ時には作者の意図がはっきりわからなかったのですが、パンフレットにあるように、「3D化」されてみると、良くわかるし、しみじみ良い話であったのだな、と思えます。4時間近い上演時間で少し長いですが、私は満足でした。

今回上演にあたり、「人が心地よくみられる時間」を意識して少しカットし、また名前や役職などで何通りもの呼び方をされている場合には統一を図ったそうです。
「今、この場で喜ばれることは重要です。同時に、長く使われる茶碗のような、大きく言えば文化財としての演劇も作って行かなきゃいけない」という意識で演出したと、萬斎はパンフレットの対談で語っています。
成功したんじゃないでしょうか。

ただ、知盛を演ずる役者として萬斎が適当だったかというと、もう少し現代劇に近い人を選んだ方が、良かったのではないだろうか。

武満徹の音楽、結構説明的なんだな、というのが新しい発見でした。
美術(松井るみ)が良かった。

長かったけれど、もう一度見ても良いな。

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by soymedica | 2017-07-26 22:54 | その他の舞台 | Comments(0)

ABSOLUTE ZERO 絶対零度2017

d0226702_18051340.jpgABSOLUTE ZERO 絶対零度2017
勅使河原三郎 佐東利穂子
2017年6月1日から6月4日まで@世田谷パブリックシアター
5000円

6月1日の初日に行ってきました。
クラシックでもジャズでもフラメンコでもないダンスって結構好きなんですよね。この勅使川原三郎は一度能舞台で踊るのを見たことがあります。

今回は世田谷パブリックシアターで。20年前の作品の再演だそうですが、そんなことを知らなくても楽しめました。最初はものすごく速いテンポで、次はゆっくり(というより静止している時間がすごく長かった)、また速く。第二部までは二人で。音楽は全くの抽象的な「音」から、クラシック(モーツアルトのクラリネット五重奏曲らしい)まで。舞台装置はほとんどなくて、一部に映像が使われるのみ。照明もシンプルで美しい。(振付から美術・照明まですべて勅使川原)

どうも、作品自体を楽しむかたわら「あの動きのあとで、ハアハアと肩が動かないのはすごい」とかそういうところも気になってしまう私。そこのところの鍛え上げ方も素晴らしい。
勅使川原も良かったけれど、佐東利穂子がすごく良かった。どう良かったかが自分でもはっきりしないのだけれど、ぜひまた何かを見てみたい。
シアタートラムでやる規模なんじゃないの?と思ったけれど、失礼しました。あのパブリックシアターの空間を埋めて余りあるスケールの舞台でした。

ということでもう終わってしまいましたが、また何かの機会があったらこの人たちを見に行こう。


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by soymedica | 2017-06-06 18:07 | その他の舞台 | Comments(0)

足跡姫 時代錯誤冬幽霊



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足跡姫 時代錯誤冬幽霊ときあやまってふゆのゆうれい

2017年1月18日-3月12日@東京芸術劇場プレイハウス

三、四代目出雲阿国 宮沢りえ、淋しがり屋サルワカ 妻夫木聡、死体/売れない幽霊小説家 古田新太、戯けもの 佐藤隆太、踊り子ヤワハダ 鈴木杏、伊達の十役人 中村枝雀、腑分けもの 野田秀樹
美術 堀尾幸男、照明 服部基、衣装 ひびのこづえ


新作です。特にテーマらしいテーマやメッセージの無い本。それをこれだけ作りこむのは大変だろうな、と思いました。
お話は物凄く楽しめましたし、「足跡」が作る模様をはじめ美術や照明、衣装もすばらしい。
まだやっていますからお出かけください。

再演があったら行こうと思う。そのときはもう少し本が整理されるかもしれないけれど、今回の雑多な感じも面白い。
「これは何かのパロディだな」とか「何かからの引用だな」と思うセリフがあったのですが、次回は出典がわかるかもしれないし。

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by soymedica | 2017-02-10 08:11 | その他の舞台 | Comments(0)

エノケソ一代記

d0226702_12380081.jpgエノケソ一代記

2016年12月5日@世田谷パブリックシアター
9800円

【作・演出】 三谷幸喜

【出演】 市川猿之助 吉田羊 浅野和之 山中崇 水上京香 春海四方 三谷幸喜

抱腹絶倒なんだけれど、最後はほろっと。客席からは洟をすする音も。
というお話。

エノケンこと榎本健一の全盛期を知っている人は客席にはほとんどいないでしょう。かくいう私も知らない(1970年に亡くなったらしい)。糖尿病性の壊疽で下肢切断をしたコメディアンということしか知らなかったです。
歌は聞いたことありますが、劇中で誰かのセリフに合ったように「一本調子で面白くないよね」と思っていました。

ともあれ、そのエノケンの偽物の話。
今のようにTVの普及しない時代には地方に人気芸人の偽物がよく出たそうです。その偽物一座。最初のうちは皆本物と間違って、偽物とばれそうになると一座は逃げだすのだけれど、エノケンが叙勲されてからは、雇うほうも偽物だと思って雇ってる。
猿之助、はまり役ですね。パンフによると最初は「エノケンの役です」と言われていたのに、台本受け取ったら「エノケンの『偽物』の役になっていました」(大笑い)。

そして吉田羊の役って、よくある尽くす妻のようだけれど、それだけじゃない。そこをうまく演じて、最後に筋を客に涙させるだけの力量のある女優なんだな、と思いました。

ということで、もしチケット手に入ったらお勧め。

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by soymedica | 2016-12-08 12:42 | その他の舞台 | Comments(0)

中島みゆき 夜会 Vol.19 橋の下のアルカディア


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中島みゆき 夜会 Vol.19 橋の下のアルカディア
2016年11月24日(木)20時より@TBS赤坂ACTシアター

中島みゆき、中村中、石田匠、森尻斗南、小泉将臣、馬場太史


ポップシンガーのコンサートに行ったのは初めてのような気がする。クラシックのコンサートや歌舞伎に比べるとチケットが割高。オペラを考えると安い。日本では行ったことがないが、ミュージカルと比べるとどうなんだろう。
S席ということだったが2階席の前から5列目中央で、2万円。
パンフレットの3200円にもびっくり。行き慣れた人によると、大体人気シンガーのコンサートではこんなものだそうな。
始まりの時間が遅いのが大変に宜しい。

ダンスの無いミュージカル、と言った雰囲気の構成。でも、かなり動きがあるので手持ちマイクが気になる。何かこだわりなのでしょうね。
殆ど歌でつないでいく構成で、中島みゆきはもちろん、中村中、石田匠にも大満足。

2年前の再演だそうで、切符が入手しやすかったのかもしれません。
お客さんに50歳代、60歳代の男性が多かった。


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by soymedica | 2016-11-29 08:42 | その他の舞台 | Comments(0)

遠野物語・奇ッ怪其ノ三

d0226702_22253362.jpg遠野物語・奇ッ怪其ノ三
2016年11月4日(金)@世田谷パブリックシアター

脚本・演出 前川知大

ヤナギタ 仲村トオル、ササキ 瀬戸康史、イノウエ 山内圭哉、イソ 池谷のぶえ、ミズノ 安井順平、テラダ 浜田信也、スズ 安藤輪子、ノゾミ 石山蓮華、ノヨ 銀粉蝶

美術 堀尾幸男、照明 原田保、音響 青木タクヘイ、音楽 ゲイリー芦屋、 衣装 伊藤早苗、 ヘアメイク 宮内宏明、演出助手 谷澤拓巳、舞台監督 田中直明


評判の高い前川知大の奇ッ怪、観てきました。

「遠野物語」有名で、私も昔ちょっと読んでみましたし、水木しげるの漫画も持っています。びっくりしたのは、起承転結の無い話がほとんどだったこと。「…っで?」と言うところで終わっている。作中で登場人物が全く同じこと言ったので笑っちゃったし、パンフでも読んだ俳優たちがそう言っています。

その遠野物語のいくつかをモチーフにし、その断片をうまくつなぎ合わせて、最後に「ああ、それで遠野物語にははっきりした終わりのない話が多いのか」と思わせる流れになっています。
面白くて、ちょっぴり悲しい。

ヤナギタとイノウエの対話も面白いですし、池谷のぶえと銀粉蝶が上手。
どの登場人物も、「いかにも」というビジュアルになっているのが面白い。

まだチケット入手可能でしたらお勧め。

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by soymedica | 2016-11-05 22:28 | その他の舞台 | Comments(0)

フリック

フリック The Flick
2016年10月15日(土)13時より」@新国立劇場小劇場

作 アニー・ベイカー、翻訳 平川大作、演出 マキノノゾミ
美術 奥村康彦、照明 中川隆一、音響 内藤博司、衣装 三大寺志保美、

エイヴリー 木村了、ローズ ソニン、サム 菅原永二、スカイラー 村岡哲至


ネタばれあります。

東海岸の大学町のさびれた映画館。いまだにアナログ。
従業員は掃除、ポップコーン売り、切符売り、映写までやるが、映写が花形。
従業員は基本的に中流の下の白人らしい。
そこに映画マニアの黒人青年が従業員として加わる。

原作はピューリッツァ賞をとったというだけあって考えさせられる良い本ですが、3時間を4人(うちほとんどは3人で)で引っ張るというのがちとつらい。映画館の客席のみで繰り広げられる話なので、場面の転換も暗転だけで行われる。
以上を、日本人の存在感(物理的な意味でも)で小劇場とはいえ新国の大きさの客席を引っ張るのはちょっと。

話をもう少し刈り込んでも良かったかもね。

とはいえ、観てよかった舞台でした。

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by soymedica | 2016-10-18 18:09 | その他の舞台 | Comments(0)

Disgraced 恥辱

Disgraced 恥辱 

2016年9月21日19時より@世田谷パブリックシアター
作:Ayad Akhtar アヤド・アフタル
翻訳:小田島恒志、小田島則子
演出:栗山民也
小日向文世、秋山奈津子、安田顕、小島聖、平埜生成

パキスタン出身のイスラム教徒であることを隠し、インド出身と何となく思わせて、ユダヤ系ロー・ファームのパートナーの座を狙う弁護士のアミール。妻は進歩的で自由な考えを持つアーティストの白人エミリー。
妻のキュレーターのユダヤ人画商。その妻は同じローファームの弁護士で黒人。
イスラム過激派として逮捕されている友人の弁護を頼みに来た甥。

アーティストである妻の、偏見の無い、ある意味進歩的で独善的な考え方がすべての均衡を壊していく。

メトロポリタン美術館にある、ベラスケスの「ファン・デル・パレーハの肖像」がモチーフとして上手く(いや、どぎつく)使われています。

というお話だとは少しも知らず、行ったのですが、大変面白かった。
原作の力もあるし、俳優たちの実力も十分。

でも、ここが日本だから、「色々考えさせられるわよね」などと悠長なことを言ってお芝居を見ていられますが、これ、9.11後に書かれた話でNYで上演されている。相当刺激的なのではと思いますが、アメリカでもっとも製作されている舞台となったそうです。なんだかんだ言ってもアメリカのインテリの懐は深い。

ピュリッツァー賞受賞作。

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by soymedica | 2016-09-23 20:59 | その他の舞台 | Comments(0)