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国立能楽堂定例公演十月 御茶の水 養老

d0226702_18053231.jpg国立能楽堂定例公演十月 演出の様々な形 養老改元1300年
2017年10月20日(金)18時半より

御茶の水 大蔵流
シテ(新発意)松本薫、アド(住持)網谷正美、(いちゃ)茂山千三郎

養老 水波之伝 観世流
シテ 武田尚浩、前ツレ 武田文志、後ツレ 武田祥照、ワキ 福王茂十郎、ワキツレ 村瀬慧、矢野昌平
笛 竹市学、小鼓 幸正昭、大鼓 大倉慶之助、太鼓 小寺佐七
後見 武田宗和、津田和忠、清水義也
地謡 武田志房ほか


御茶の水(和泉流では水汲)にせよ、清水にせよ、翌日のお茶会のために日が落ちてから水を汲みに行かされるという狂言、お茶席では「今朝一番の水を汲んで参りました」って言うのが定番のような気がするが、昔は違ったのだろうか。
東京ではあまり見かけることのない松本のシテ、網谷も千三郎もとても良かった。大蔵流は西と東では相当違いますが、西も大好き。


養老は今まで面白いと思って見た事が無いのだけれど、今回は面白く観られました。何しろ福王パパがカッコいい。ご長男もハンサムですが、お父様の渋さにしびれました。ワキもワキツレも白大口。勅使は紺地に金の狩衣、ワキツレはオレンジと威儀を正しています。
彼らは美濃国に不思議な水が出たらしい、調べるようにという天皇の命を受けてやってきたのでした。(ヘルメットに作業服じゃないのね)。

むこうから薪をしょって右手に水桶を持つ若い男がやってきます。桶は小書きによる持ち物だそうです。こちらも勅使に会うのですから(あらかじめわかっていたとはどこにも書いていないけれど)白大口。水衣は緑系統で質素。続いて出てくる老人も白大口。ばあさまは出て来ませんね。
老人と若者は親子で、養老の水のいわれを語り、勅使一行を案内します。ここの問答が非常にきれいで、実際に水の流れが目に見えるようです。

地謡が水の有難さをうたいあげますが、ここで何回か杖を扇に持ち替えるところがあって、シテは緊張するのだと、国立のホームページで武田尚浩が語っていました。悠々とやっているように見えましたがね。
地謡が若いせいか、何となく声が高くそれこそ瑞々しい。
そして若い囃子陣がとてもさわやか。

ここで親子は退場。息子の退場のテンポもゆっくりゆっくりなのが面白い。まず楊柳観音が出てきて舞います。これは小書きによるものだそうです(普通は末社の神が出る)。この舞、袖の扱いが上手いな、と思っていたら次に出てきた山神も上手。親子ですねー。
山神の出で立ちは頭に「ケーキ??」と思うようなお花を載せています。これも小書きによるものだそうで、花は赤いシャクヤク。
2人の舞を堪能して終わりました。

満足して面がなんだかチェックしてくるのを忘れました。

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by soymedica | 2017-11-05 18:07 | 能楽 | Comments(0)

ござる乃座56th 舟渡聟 なごりが原

d0226702_20444705.jpgござる乃座56th
2017年10月19日(木)19時より@国立能楽堂

舟渡聟
船頭 野村万作、聟 野村萬斎、姑 石田幸雄

素囃子 早舞
笛 藤田六郎兵衛、小鼓 田邊恭資、大鼓 亀井広忠、太鼓 桜井均

新作狂言 なごりが原
作 石牟礼美智子、構成 笠井賢一、演出 野村萬斎
祇園の笛万呂/櫛稲田媛 野村萬斎、影身の守・草比古 深田博治、虫比古 高野和憲、 精霊 中村修一、内藤連、飯田豪


人気曲の舟渡聟。この前は万作の船頭で聟が中村修一でした。その時に比べて万作の息切れが酷い。そして演技のモードが「わしゃお前(萬斎)に任せた」という風に感じられるのは体調のせいか、共演者によるのか、それとも私の気のせいか。
でも、しつこく酒をねだるところなどはさすがに上手い。
おひげがちゃーんと灰色になっているところなんて、芸が細かいですね。
この次の新作狂言を見つつ思ったのだが、万作家の代替わりは非常にうまく行っているのではないだろうか。

さて、今回のもう一つの目玉、石牟礼美智子原作のなごりが原
舞台装置が狸腹鼓に良く似ている。あちらもやはり秋の野の風景でしたっけ。
秋祭りの終わった夜、そのあと行われる動物たち、精霊たちの祭りでも笛麻呂に笛を吹いてもらおうとする影身たち。櫛稲田姫も満月の中海からやってくる、というお話。
笛麻呂と櫛稲田姫、同一人物がやるというのはなぜか。萬斎の舞を見せたいからか?それとも両者が舞台に上がってしまうとあまりに説明的になって神秘性が無くなってしまうから??

海から灯籠を掲げた精霊がやってきて会場の照明が落とされたりと、ほのぼのした短編アニメのような味わいのある一品でした。



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by soymedica | 2017-10-23 20:45 | 能楽 | Comments(0)

銕仙会定期公演十月 呂蓮 遊行柳

銕仙会定期公演十月

2017年10月13日(金)18時より@宝生能楽堂


呂蓮

シテ 野村万作、 アド(宿主)中村修一、小アド(妻)飯田豪


遊行柳

シテ 清水寛二、 ワキ 宝生欣哉、 ワキツレ 大日方寛、則久英志、 アイ 深田博治

笛 一噌庸二、 小鼓 幸清次郎、 大鼓 柿原崇志、 太鼓 小寺佐七

後見 浅見真州、谷本健吾

地謡 観世銕之丞ほか



呂蓮は最近観たなぁ、と思って調べたらなんと4年前だった…。記憶にある石田幸雄の呂蓮と万作の呂蓮との与える印象の違うのに驚く。なんか万作は何をやっても突き抜けて透き通った感じ。

そして中村が最近上手になって来たのに驚く。もう一歩階段を上ってほしい気がするけれど。

修行中の僧―とはいっても字が書けるだけ大したもの、といった程度―が、心ならずも宿を借りた家の主を出家させてしまうことになる。そして、名前をつけてくれと言われ考え付いたのが呂蓮。これが題名。

と、それはともかく、これはオチが面白い。どうしようもない亭主を愛する気の強い妻が「のう、いとしいひと」となるあのパターンの話。



渋い渋い演目の遊行柳。世阿弥の西行桜を意識して観世信光が作った曲ということですが、柳、それも切株の柳を主人公にするとは。

遊行上人の一行が上総から北上し、白川の関に至ります。能のこの出だしの道行きがどの曲でも好きなんですが、これも素敵。秋の南東北ってこんなですよねー。

「風のみわたる景色かな」と、大小前の塚のつくりものの両側に僧が立つ構成が美しい。


お約束通り一行に呼びかける老人の登場。清水ってこんなにやせ形だったっけ?着つけのせいかな。それにしてもこの人はやっぱり上手い。舞台に入るまでかなり長いこと橋掛かりで謡うのだけれど、正面席の地謡寄り後方に座っていた私でもはっきりと詞章がわかる。声が大きいとか力強いというのではなく、ちゃんと老木なのだけれど。


この老人は西行法師の歌に呼んでもらったと言う生涯のハイライトを語って消えていきます。


地元の人が出てきて謂れについて語ります。しかし、この地元の人、なんでそんなこと知っているんでしょう。うーん、深田はこの装束に合うな、と思っているうちに寝落ちしてしまいました。失礼。


塚の中からなにやら声がしてきます。引き回しを降ろすのかそれとも後ろから出てくるのか?と一瞬考えてしまいましたが、前者でした。茶と金の狩衣に渋い緑の大口。素敵な色合わせ。


柳の徳が色々語られます。ぼんやり聞いていてなぜここに源氏の柏木が?と思ったら、蹴鞠つながりらしい。ちょっと無理があるような気もするけれど、柳の華やかな思いでというとその辺ぐらいでしょうか。

柳の精の舞はとても上品。素晴らしかった。

最後に柳の精は去っていくのですがその前に作りもののそばに下居する所があって、とても綺麗でした。


やはり清水寛二は上手い。


面は前シテが堀安右衛門の髭阿痩尉、後シテが作者不詳の皺尉。この皺尉がとても良かった。


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by soymedica | 2017-10-20 13:09 | 能楽 | Comments(0)

国立能楽堂特別公演 楊貴妃 宗八 烏帽子折

d0226702_13431378.jpg国立能楽堂特別公演
2017年9月30日(土)13時より

楊貴妃 金剛流
シテ 豊嶋三千春、ワキ 福王和幸、アイ 井上松次郎
笛 赤井啓三、小鼓 住駒匡彦、大鼓 柿原崇志
後見 松野恭憲、廣田幸稔、豊嶋幸洋
地謡 宇高通成ほか

宗八 和泉流
シテ(宗八)松田高義、アド(有徳人)佐藤智彦、(出家)野村又三郎

烏帽子折 観世流
シテ 観世銕之丞、ツレ 西村高夫、子方 片山清愛、立宗(盗賊頭)観世淳夫、(盗賊)谷本健吾、橋本忠樹、小島英明、奥川恒治、安藤貴康、長山桂三、柴田稔、桑田貴志、永島充、北波貴裕、ワキ 殿田謙吉、ワキツレ 則久英志、アイ(盗賊)野村万蔵、川村佑紀、能村晶人、(宿の亭主)野口隆行
笛 一噌隆之、小鼓 大倉源次郎、大鼓 亀井広忠、太鼓 三島元太郎
後見 片山九郎右衛門、清水寛二、梅田嘉宏
地謡 観世喜正ほか


かなり力の入った出演者構成の特別講演。まずは楊貴妃から。金剛流のことはあまり知りませんが、豊嶋三千春と言えば重鎮。道理で地謡陣構成も力が入っている。なぜか前列の方が年取っている感じ。
あまりなじみの無い笛の赤井啓三。袴が派手な緑色で目を引く。
大小前に一畳台が出され、その上に小宮が置かれる。屋根は赤で引き回しは濃紺。宮を載せるときにちらっとシテの足袋が見えた。

亡くなった楊貴妃が忘れられない玄宗皇帝。方士に楊貴妃の魂魄を探しにいかせます。こんな美男に探しに行かせるのはまずいだろう…。残念なことに、私、この人の謡があんまり好きではないのですが。
蓬莱についてたまたまそこにいた松次郎に楊貴妃の行方を尋ねる方士。井上松次郎の語りが良い。この人は名古屋の人でしたっけ、あまり観ないのですが、上手だと思う。

宮の奥から声が。姿が見えないと、どんなに謡が上手くても絶世の美女というよりはダミ声のオバサンが謡っているような感じがするのが不利な曲ですね。景清なら良いけれど…。
方士が声をかけると引き回しが下ろされます。
鬘帯のすだれがかかっていることが多い宮の作りものですが、今回はそういう余計なものは無し。

やっぱり姿を見せると声の違和感は無くなりますね。
楊貴妃は玄宗皇帝との日々を懐かしみ、二人の秘密の言葉を教えます。
そして舞なのですが、このシテかなりご高齢ですね。遠目にも息が上がっているのがわかるところがありました。残念。

舞終わった楊貴妃は釵(かんざし)を方士に渡すと、方士はそれを手に橋掛かりへ。二の松あたりで振り返って下居します。このあたりの情感って小督に似てませんか?

ワキが退場すると楊貴妃は宮に入って下居、柱にすがって扇で顔を隠します。ここ、脚がよろよろして宮の真中に入れないのか、わざとなのか、ちょっと観る者に考えさせるくらい心配…。
そして、宮から一歩出て一畳台の上で留めます。

うーん、十年前にこのシテで観てみたかったな。


宗八は聞いたことがあるけれど初めての演目。
僧侶が嫌でにわか料理人になった男と、料理人が嫌でにわか坊主になった男が雇い主の家で出会い、結局互いの仕事を交換することになると言うお話。
料理人が作るように命ぜられるのが「鯛のうしお汁」は良いとしても、「鮒のなます」…。ちょっと嫌だな。
法華経を読む読み方が「ムリャリャムリャ…」だって、フフフ。

まな板、鯛、鮒、菜箸と包丁の作りものが面白い。万作家の作りものはまな板に磁石がしのばせてあるとか。


さてサラブレッド片山清愛くんの子方卒業記念の烏帽子折。何んと国立能楽堂では初演だそうです。
商人の吉次たちの一行に牛若が連れて行ってくれと声を掛けます。声嗄れしていて、練習の成果なのか声変わりなのか(後者みたい)。それにしても今時の子は顔が小さいなー。
一行が鏡の宿につきます。ワキとワキツレは囃子方の後ろへ、子方は後見座へ。

と、早打がやってきて、「鎌倉殿が牛若を探している」と触れまわります。
これを聞いた牛若。早く元服して姿を変えて追手をかわさないといけないと、一の松から烏帽子屋に声を掛けます。
時間外の客を不審に思う銕之丞の烏帽子屋。考えてみるとこの曲、シテの出番が少ないのですが、銕之丞、なかなか素敵でした。
そして、九皐会と京都観世会の混成の地謡がこれまた宜しい。皆で清愛くんを盛りたてようとしているのかな。

烏帽子は左折にしてくれ、という若い客を不審に思う烏帽子屋。(ただでさえ夕方に烏帽子屋に行くのは変なのに、平家の風とは反対に折れ、というのは不用心!)烏帽子の礼に刀を渡す。それを見た烏帽子屋の妻は「これは源氏関係の人間だ」と。この場面については国立の今月のパンフレットに小林健二が詳しく書いています。

この烏帽子、普通の立烏帽子ではなく、侍烏帽子。「三番の左折」の詞章と合わないような気がするのですが、誰か解説してくれないかな。

一行は赤坂の宿へ。
盗人の襲撃があるという噂におびえる吉次たち。「大丈夫、やっつけてやる」という牛若を頼りにします。大丈夫?!
お約束の狂言方の偵察陣。ハハハ。萬斎がやった時にはもっと華やかだった。万蔵は地味だなー。
普通に考えると先の烏帽子屋が盗賊に情報を売ったと考えるのが普通だけれど、その可能性を女房とのエピソードが消して、かつ祝言性を増しているのですね。

お約束のチャンバラ場面。今回は仏倒が少なくて若干地味でしたが、清愛 vs. 淳夫の御曹司対決もあったし、銕之丞の仏倒もあったし、満足。
清愛くん、早く大きくなって東京にも沢山来てね。






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by soymedica | 2017-10-12 09:09 | 能楽 | Comments(0)

第二回和氣乃會公演 一角仙人

d0226702_09181933.jpg第二回和氣乃會公演 能とお酒の饗宴
2017年9月21日(木)18時45分より@宝生能楽堂

お話 石井かほり

舞囃子 松尾 和久荘太郎

寝音曲 
シテ 山本則俊、アド 山本則秀

一角仙人
シテ 観世喜正、ツレ 鵜澤光、子方 御厨可也子、馬野桃、ワキ 御厨誠吾、ワキツレ 大日方寛、館田善博
笛 松田弘之、小鼓 大倉源次郎、大鼓 國川純、太鼓 林雄一郎
後見 小田切康陽、永島充、松山隆之
地謡 山崎正道ほか計6人


御厨誠吾の和氣乃会。今回はお嬢さんも大活躍できる一角仙人です。私、この演目好きなんですよね。
まずはお話からですが、無くても良いんじゃないかなー。

舞囃は宝生流の若手第一人者と私が勝手に思っている和久荘太郎。松尾ってどうやら脇能みたいですが、宝生流にだけある曲らしいです。

則俊、則秀の寝音曲。ラジオやレコードの無い時代、謡の上手い太郎冠者を召抱えていたらそれはそれは便利だと思われ、太郎冠者の方はそんなお役まで押し付けられてはかなわないと。主人と太郎冠者の攻防。
この二人で見るのは初めてだと思いますが、面白い。見所はどちらかと言うと「寝音曲なんて何回も観た」という見巧者が多い雰囲気だったけれど、思わず笑うお客さん多数。


一角仙人は子方がかわいらしく、好きな演目。
仙人のいる萩屋は引き回しをかけてワキ座近くに。大小前の一畳台に岩がおかれます。
一角仙人が雨を降らせる龍神をみんな岩屋に閉じ込めてしまって雨が降らない。それを憂えた帝が美しい旋陀夫人に仙人をかどわかして神通力を奪うように、と山奥に行かせます。

今回地謡は6人なんですが、何となく湿った感じの謡い方。
それにしても鵜澤光って声がお母さんにそっくり。
二人の輿舁をつれて山奥へ。
仙人発見。

一角仙人というのは修業を積んだ人、というより獣との混血で超常的な力のある人、という設定なのでしょう。角もあるし。なにせ、元のお話には(昔はアイ語りがあったらしい)ある仙人が修行中に鹿の交合を見て思わず精をもらし、それがついた草を食べた鹿が孕んだ子が一角仙人、とあるそうですから。

まんまと仙人を誘い出すのに成功した旋陀夫人。その美しい舞をみて、ちょっと酔っぱらった一角仙人は一緒に舞います。前回観た時にはシテが山本順之でしたが、今回は観世喜正。かなり体格も年齢も違って、舞の表現が違って面白い。
二人が待っている間、ボディーガードの御厨誠吾は定座に安座。

この二人の舞の最後のほうで、岩が相当に揺れます。どうやら岩の中の子方は最初からフルの装束を着けてくるわけでは無く頭は岩の中でつけることも多いらと聞きます。揺れているのはそのせいでしょうか。後見が助けに立ちます。舞台上で後見がなにやらひそひそ打ち合わせするのを見るのは初めて。

輿舁は囃子方の後ろにいたのが橋掛かりへ。仙人が酔っぱらって寝てしまうと、夫人も御伴の御厨も退場。ここからはちびっ子たちの見せ場。

元気よく岩山から飛び出すと、悪い仙人をやっつける可愛い龍神。
これには見所のお客様も大喜び。
映画やTVは「子役と動物」に食われると言いますが、能もかな。


能を堪能した後は、木下酒造の杜氏フィリップ・ハーパーさんと、御厨誠吾、そして最初にお話をした石井かほりさんの鼎談で終わったのでした。
お土産は写真に撮った小さなお酒。
これ、演能前に味見させてくださったのですが、あそこで4合瓶売っていたら嬉しかったのにな。


山本東次郎著の「狂言のことだま」玉川大学出版部に、この一角仙人のアイ語りについて書かれています。どうも仙人に危険が迫っているのを警告するような内容だったらしいです。それも観てみたい。


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by soymedica | 2017-10-02 17:37 | 能楽 | Comments(0)

国立能楽堂定例公演九月 月見座頭 小督

d0226702_22490869.jpg国立能楽堂定例公演九月 
2017年9月15日(金)18時30分より

月見座頭 大蔵流
シテ 山本則俊、 アド 山本東次郎

小督 喜多流
シテ 粟谷明生、ツレ(小督局) 佐々木多門、(侍女)大島輝久、ワキ 宝生欣哉、アイ 山本則孝
笛 松田弘之、小鼓 観世新九郎、大鼓 佃良勝
後見 中村邦生、狩野了一
地謡 粟谷能夫ほか


いかにも秋だなー、という感じの組み合わせ。月見座頭はシテとアドが逆のパターンの配役で二度見ていますが、則俊のシテも良かった。私はこっちの組み合わせのほうが好きです。
最近山本則俊、どんどん素敵に。狂言役者の旬は長い。
月の良い晩、虫の音を聞きに来た座頭と偶然出会った男が酒を酌み交わす。興に乗った座頭は舞を舞う(弱法師なんだが)。終わる直前に照れ笑いするところが上手い。
今月の万作の会の会報によると、この曲の終わり方は二通りあるのだそうですが、山本家ではすべて「くっさめ」で終わりますね。

小督は初めての曲。構成が夢幻能とはちょっと違っていて面白い。まず、ワキの登場。ワキが一気に小督の局の状況を説明して仲国に探させる由説明します。ワキはここにしか登場しないのですが、さすが宝生欣哉、見事に舞台の雰囲気を作り上げます。
臣下の伝える言葉を幕前で畏まって聞く仲国。
そして、地謡が秋の夜に馬を駆る状況を謡っている間にシテもワキも中入りしてしまう。

そして小督の局、侍女、里の女の登場。
曲は小品なのに、舞台装置は大掛かりで、地謡側三分の一くらいのところに柴垣と片折り戸をずらっと―並べてしまい、その向こうに局と侍女がいる形になる。やけに写実的。
橋掛かりに控えていたアイ(里の女)が片折り戸を開けて、琴を所望します。アイはまた橋掛かりへ戻り、琴が始まったことを地謡が謡いだすと、ひっこんでしまいます。このアイの着ている小袖が、結構渋くて素敵でした。ツレと被らない色合いで、しかもあまり所帯じみていない、という効果が見事に出ていました。

小督を探す仲国登場。側次かと思うほど肩上げがきつい。懐には帝のラブレター。琴の音を頼りについに小督の住処を尋ね当てる。
無理やり住まいに上がろうとし、入れてくれないのならいつまでも待つと言われ、ついに小督も折れて仲国をあげる。
「入って良いよ」と言われると、肩をおろすのに何となく納得。
作りものも片付けて、舞台全体がお家の中、ということに。

そして二人は笛と琴の合奏をして秋の夜を過ごすのでした。
地謡の安定している喜多流ならではの後場。
小督は帝に直筆のお返事を書いたらしいのですが、その後二人はどうなったのでしょうかね。
本日私は非常に前の方の席だったので、粟谷明生の素晴らしい足遣いをそばで見られてラッキーでした。

小督の局と仲国は愛人関係あるいはそこまでいかなくても惹かれあっていたという説があって、私もこのシチュエーションではそうだろうな、と思っていたのですが、粟谷明生さんのブログによると、この時点で仲国はすでに60歳くらいだったとかで、それはあまり考えられないそうです。

ともあれ、初めて見る小督、良い曲だなー、と思わせてくれる舞台でした。



追加:万作の会の冊子Yoiya2 40巻のMansaku's Eyeによると
「月見座頭」はもともと和泉流には無い曲です。それを父が上演したのは、よろづの会という独演会の第四回(昭和三十年)―中略ー
私の手元に父の手書きの台本が二種類残っていますが、どちらも鷺流のものを土台にしています―略―
二つの台本の大きな違いは終わり方です。鷺流原本に近いと思われる方では、シテの盲人が犬に吠えられて逃げて行って終わりますが、もう一方では「月見にあらで憂き身ぞと、だた今思い(くっさめ)知られける。」などど歌って終わるようになっています。

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by soymedica | 2017-09-25 22:50 | 能楽 | Comments(0)

能楽BASARA 第二章Ⅳ 神々の在りますところ (三輪ほか)

d0226702_08413194.jpg能楽BASARA 第二章Ⅳ 神々の在りますところ

樋の酒 
太郎冠者 野村萬斎、 次郎冠者 高野和憲、 主 竹山悠樹

解説 神聖と穢れ 三輪をめぐって  林望

仕舞 高砂 観世喜之

三輪 白式神神楽
シテ 駒瀬直也、 ワキ 森常好、 アイ 深田博治
笛 武市学、小鼓 鵜澤洋太郎、大鼓 佃義勝、太鼓 観世元伯
後見 観世義之、奥川恒治、遠藤義久
地謡 関根知孝ほか

都合が付けばなるべく見たいと思っているこの人の公演。ここ数年はなかなか見る機会がなかったので久しぶり。
チケットを買う時に奥様(?)に「そこのお席の見え方はご存知ですか?」とインタビューされてしまった。凄く感じの良い方。おそらく駒瀬自身の舞台と客に対する姿勢が家族にも伝わっているのでしょうね。

まずは万作家の樋の酒から。安心して観ていられるメンバーで、曲の中心となる謡も良かったのだけれど、なんだかテンポが速くないか?そんなことないのかな???

ついで林望の解説。高価そうな袴姿についついじろじろと。解説のほうな何となく起承転結のはっきりしない話だった。三輪の神は男か女か…。女のもとに通ってくる蛇神様なら、男だけれど、能では女だし、と言ったお話。

観世喜之の仕舞のあと、いよいよ三輪
杉小屋の作りものが笛座前に斜めにおかれる。白式以外の時には大小前におかれるらしい。
森常好の玄賓僧都登場。いつも通り素敵な謡、素敵な所作ですが、何となく迫力がなくなったような。毎日来る綺麗な女性に名前を聞こう(今回の詞章では住みかを聞く)と、つぶやく。林望の解説にもありましたが、住みか聞いてどうするんでしょうね。そんなことして良いのだろうか。

と、そこにその女登場。左手に水桶、右手に数珠。紅の入らない地味な装束ですが、なかなか素敵。かなり長いこと橋掛かりで後ろ向きに謡うのですが、詞章ははっきり聞こえます。そしてなんといっても後ろ姿の佇まいが素敵。
僧とかわす問答が教養高く美しい。確かに何者なのだろう。
で、いきなり寒いから衣くださいと、女は僧に頼む。普通だったら逆でしょ?
ここまでの話、僧は女の魔術にかけられて操られているのかな。

と思っているうちに女は作りものへ。深田のアイも良いな、と思っているうちにうとうとしてしまった。残念。

はっと気付くともう森の玄賓僧都はさっき与えた衣のかかっている家に着いている。
女の美しい声が中から聞こえてきて、僧はうっとり。

引き回しがおろされると小屋は青竹で作られていて、半分程度白いぼーずが巻かれているという清々しい作り。素敵です。
白式なので、白一色の姿に榊の枝を持っています。髪型が面白くて、後ろで髷に結っているように見えました。
そして、前場ではあまり意識しませんでしたが、地謡が綺麗。女神にふさわしい謡です。詞章自体は凄く説明的なのですが、それが気にならない美しさ。

何だかシテも地謡もきれいだなー、と思っているうちに神楽が始まります
この神楽もいかにもすがすがしい舞で、舞っている駒瀬本人が楽しんでいたのでは無いでしょうか。
橋掛かりまで大きく使ったダイナミックな演出で楽しめます。
榊を扇に持ち替えて、天照大神との関係を謡った後、女神さまは帰って行くのでした。
そしてそれをみた玄賓僧都は思わず合掌して見送る。

今回も良かった。
また来年、良い日程でやってくれると良いな。

ところで、
宝生流では後シテが男神の場合もあると聞きましたが本当でしょうか。



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by soymedica | 2017-08-24 17:54 | 能楽 | Comments(0)

国立能楽堂夏スペシャル 雁礫 鵺

d0226702_12371445.jpg国立能楽堂夏スペシャル 働く貴方に贈る
2017年8月3日(木)19時より

対談 古川日出男、松原隆一郎

雁礫 和泉流
シテ(大名)佐藤智彦、アド(使いの者)今枝郁雄、(目代)井上松次郎

シテ 大村定、ワキ 江崎欽次朗、アイ 深田博治
笛 藤田朝太郎、小鼓 鳥山直也、大鼓 白坂保行、太鼓 徳田宗久
後見 中村邦生、友枝雄人
地謡 長嶋茂ほか


最初に対談があるって気づいていなかったので何となく儲けたような気分に。そして鵺や平家ゆかりの場所の地図付きのハンドアウトも!
売れている「平家物語」の訳者、古川日出男を見られたし。東大の松原先生よりも10歳くらい若いらしいのだけれど、態度bigで、でもちょっと繊細そうで面白い人。
お二人の話の内容も良かったです。


次いで狂言の雁礫。おバカな大名が雁を射ろうとウロウロしているうちに、使いの者が石を投げて雁を仕留めてしまう、という大筋は同じなのですが、雁が烏帽子では無くて羽箒なのは初めてかな。そして大名が下手な弓矢で射ろうとするところが非常に短い。このバージョンもトントンと進んで楽しかった。


そして。熊野参詣帰りの僧が芦屋にやってくる。ワキは初めて見る人。関西で活躍しているらしいが、謡いに特徴のあるビブラートがかかる。コトバのところも、東京とはちょっと違うような。
日が暮れてきたので宿を借りようと思ったら例の「このところの大法にて」よそ者は泊めないと。
地元の人が「川崎の御堂に泊まっても良い」「それはあんたの御堂か」「いや、違う」「だったらわざわざ許可してくれなくても勝手に泊まるよ」というこのやりとり、僧をちょっと偏屈な人にしたのは何か意図があるのだろうか。いつも不思議に思う。
あげくの果てに「化け物が出るぞ」と忠告されると「法力があるから大丈夫だ」という。

僧の偏屈ぶりにあきれた地元の人が居なくなってしまうと、ほーらやってきた化け物。このシテは出だしから声が非常に良く通って聞きやすい。最初の「悲しきかなや身は籠鳥…」のところはこもった謡になることが多いような気がするけれど、この人は朗々と謳いあげる。
「怪しい奴!」「いや、全然私は怪しくありません」というこの会話も毎回不思議。どう考えたって怪しいのにね。

地謡が鵺退治の様子を謡います。今は頼政、ある時は猪の早太、ちょっぴりだけ鵺、と忙しいけれども面白いところ。シテの大村定はあまりクセの無い演技で好感が持てますが、その分インパクトが少ないかな。

偏屈な旅の僧ではあるけれども、堂内で化け物に出会って腰を抜かしているといけない(?)、と土地の人は結構親切なので見に来ます。僧も人恋しくなったのか、この土地と鵺の関係を尋ねます。
深田の語りが解り易くて格調高い。

そして江崎が上歌を謡って化け物の到来を待ちます。ここの謡がこれまた聞きなれない感じのイントネーションで面白かった。そもそも福王流を聞くことが少ないうえに、関西の初めて聞く人だから、という事もあるでしょうけれど。
シテが立ち上がって念仏を唱え始めると、それにこたえて幕のむこうから化け物がエコーのように声を上げる。頭は白、面が銀色に光っているように見えます。

何回も見ている曲なのに気づかなかったのですが、この鵺におびえる天皇ってまだ10歳そこそこで、13歳で亡くなっているのですね。そう思って見ているとこのあたりの話のおどろおどろしさが減じてファンタジーの要素が強くなってくる。

化け物はここでもまた自分を倒した頼政を演じたり、退治され、空舟に押し込められる様子を見せたりするのですが、橋掛かり、それも三ノ松寄りで演じられる部分が多かったので、席は中正面が良かったかな。
ともあれ、鵺は消えていくのでした。
うーん、素敵だったけれど、何となく印象の薄い舞台だった。解説の古川日出男の印象が強かったからか。

面は前シテが真角(しんかく)、後シテが泥小飛出。

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by soymedica | 2017-08-10 12:50 | 能楽 | Comments(0)

国立能楽堂企画公演 髭櫓 名取ノ老女

d0226702_15151143.jpg国立能楽堂企画公演 復曲再演の会
2017年7月28日(金)18時30分より

髭櫓 和泉流
シテ(男)石田幸雄、アド(妻)野村萬斎、小アド(告げ手)野村又三郎
立衆 高野和憲、竹山悠樹、中村修一、野村太一郎、岡聡
笛 竹市学、小鼓 田邊恭資、大鼓 佃良太郎、太鼓 林雄一郎
地謡 野村万作ほか

復曲能 名取ノ老女

名取ノ老女 梅若玄祥
護法善神 金剛龍謹
孫娘 松山絢美
熊野山伏 殿田謙吉
笛 竹市学、小鼓 鵜澤洋太郎、大鼓 國川純、太鼓 林雄一郎
後見 大槻文蔵、武富康之、豊嶋幸洋
地謡 観世喜正ほか

平成28年国立能楽堂復曲初演
監修・台本作成 小田幸子、小林健二
節付 梅若六郎玄祥
演出 大槻文蔵


髭櫓。大蔵流でも和泉流でも見たことあって華やかな演目。石田幸雄が髭櫓の扉を押し開くとき、確かに客席のほうに「どうだ!」という視線を送ったと思うぞ。
お客さん大喜び。巨大な毛抜きも面白いけれど、女たちがそれぞれ手にするにわか作りの長刀が面白い。
後の名取の老女もそうだけれど、スペクタキュラーな演目で、新しいお客さんを集めるのにぴったりな本日の二曲。
それにしても、石田幸雄、役柄も自身の風格も、長老になりましたな。


お次は昨年、大槻文蔵のシテで観た名取の老女。その他は太鼓を除き子方を含めほぼ同じ顔ぶれ。

梛木の葉を懐に入れた山伏がやってくる。ありがたい夢を見た山伏は名取の老女を尋ねて高館山のふもとにやってきます。
そして子方と老女が登場。曲を通して笛がきれいなんだが、ここの一声、物凄く息が長い。
老女は金、ベージュ、オレンジの色合わせで華やか。
花を摘み、蝶をおいかけ、そして普段からおばあさんの昔話を聞いているらしい孫娘の、のどかな雰囲気。

老女は「名取の老女」と呼ばれ、地元名士なんでしょうね。孫娘に尋ねて老女に会うことのできた山伏。お告げの虫食いが書いてある梛木の葉を渡すと、老女は感激します。勧進した熊野神社三社を山伏に教える名所教えの場面が素敵。

そしてそのあとに、いつも孫娘に聞かせている熊野神社のいわれ(天竺の王の多数いる妃のうち一人だけが妊娠すると、妬んだ他の妃たちが彼女を殺して山中に捨てるが、王子は無事誕生し、死んだ母の乳をのみ、オオカミに育てられ…)を。この話だけでも民俗学的に面白いのですが、謡が良くて話はテンポよく進みます。

そして物着の間に子方は切戸から退場。
老女は右手に梛木を、頭には金の烏帽子を。これがキンキラ金ではなくて、地の黒い色がところどころ見えるようになっていてなかなか渋い。
神楽を一生懸命舞う老女がシテ柱に抱き着くと、そこに護法善神が登場し、老女をほめる。
今ここで気づきましたが、後見はそれぞれの流儀の人が一人ずつついているんですね。

護法善神の金剛龍謹がさわやかな謡で老女と対照的。そして飛安座したり、橋掛かりの手すりに片足をかけて 横につつっっと動いたりと見ていて楽しい。最後には幣を捨て回転。
前回観た時には畏まって拝見、という感じで見ていたので、こんなにも楽しい曲だったということに気づかなかった。
そして実は梅若玄祥のファンの私。二度目で大体話の運びもわかっていたし、じっくり堪能した一日でした。

面は石原良子作「老女」と泥小飛出(でいことびで)
写真は熊野那智神社(高舘山)からの眺め

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by soymedica | 2017-08-04 17:53 | 能楽 | Comments(0)

第三十四回テアトル・ノウ 三笑 舟渡聟 巴

d0226702_15112920.jpg第三十四回テアトル・ノウ 東京公演
2017年7月22日(土)14時より@宝生能楽堂

三笑(さんしょう)
シテ(慧遠禅師)味方玄、子方 谷本悠太朗、ツレ(陶淵明)河村晴道、(陸修静)味方
アイ 野村太一郎
笛 杉信太朗、小鼓 成田達志、大鼓 亀井広忠、太鼓 小寺真佐人
後見 片山九郎右衛門、谷本健吾
地謡 観世喜正

舟渡聟
シテ(舅)野村万作、アド(聟)中村修一、(姑)高野和憲

(替装束)
シテ 味方玄、ワキ 宝生欣哉、ワキツレ 則久英志、梅村昌功、アイ 高野和憲
笛 一噌隆之、小鼓 大倉源次郎、大鼓 亀井忠雄
後見 清水寛二、味方
地謡 片山九郎右衛門


三笑のシテは味方健の予定だったものが体調不良とのことで玄に。心の底で味方健のシテを楽しみにしていたことに気づく。
藁屋が笛座前に出され、狂言口開。いかにも昔の日本人の考えた中国人、と言う感じの帽子の上に赤い羽根がのった装束の野村太一郎、なかなかいいじゃないの。幕に太一郎が帰ると、引き回しが下ろされる。
菊の花に囲まれたシテが座っている。
次の巴でも感じたことだけれど、味方玄の間の取り方って若干長いのだろうか、関東の謡と違うような気が。
次いで子方を先頭に二人のお爺さんが登場。

ここで早くも眠くなってしまう私。
はっと気付くと子方の舞が終わり、お爺さんたちがゆるゆると舞っている。
そして橋を越えてしまった慧遠禅師に気づき、皆でなごやかに顔を見合わせるのでした。

いや、寝てしまって残念なことをした…。


舟渡聟の組み合わせが万作の船頭と中村修一の聟。中村くん緊張するだろうなー。それより張り切っているのが万作。萬斎とやっているときは半分「お前に任せた」モードなんだな、というのが良くわかった。
そして中村修一、上手くなったじゃないの。前はどうなる事やらと思ったけれど。


最初に見たは宝生流の辰巳満次郎のものではなかったか。それ以来それと同じ感動を求めて見続けている私。
うかつなことにこの僧が木曽出身であることを初めて認識。安定の謡の三人組で安心して聞いていられます。
と、向こうから女が。歩みが滑るようで、どうも人らしくない。真っ白な水衣の下から鶯色の地味な着物がのぞく。さっきやっていた役柄と歩き方だけでこんなに印象を変えてしまう玄ってやっぱりすごい。
そしてまた囃子がすばらしい。

謎の女は謎のようなことを言って消えてしまう。
不思議に思った僧の一行は地元の人にいわれをたずね、ここが義仲ゆかりの粟津であるから、巴御前の霊を慰めるようにと勧められる。
高野のアイもなかなか。

そしていよいよ巴登場。
この人、長刀の扱いもとってもうまい。(まるで長刀が主人公かのように思える演技をする人が居るけれど。)
まずは蔓桶にかけて戦いの様子を。だんだん負けて、追い詰められていくんですよね。そして、義仲に自害を進める一方自分は奮戦。力自慢と言うよりはこの人、器用な武者だったのだな、と感じる。
奮戦して戻って見ればもう義仲は自害している。左の扇で形見を受けるところが綺麗。

そして、泣く泣く烏帽子を脱いで、というしんみりした場面で、なんと見所で携帯が。ちゃんと使えないのなら、携帯持つな!!!

甲冑を脱いで白一色の装いになった巴が、橋掛かりで舞台をじっと振り返るところが美しい。
やっぱり好きな曲です。
そして今回、この曲は長刀の扱いを見せるだけの曲では無く、いろんな要素が盛り込まれた見どころ満点の曲なのだな、としみじみ思ったことでした。味方玄、やっぱり好きだな。

来年は何を見せてくれるのでしょうか。



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by soymedica | 2017-07-31 22:20 | 能楽 | Comments(0)