2017年 07月 20日 ( 1 )

銕仙会定期能七月 高野物狂 鶏聟 殺生石

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銕仙会定期能七月 

2017714日(金)18時より@宝生能楽堂

高野物狂

シテ 観世銕之丞、子方 馬野訓聡、ワキ 森常好、アイ 山本則重

笛 一噌庸二、小鼓 幸清次郎、大鼓 國川純

地謡 清水寛二ほか

後見 浅井文義、泉雅一郎

鶏聟

シテ(聟)山本則孝、アド(舅)山本東次郎、(太郎冠者)山本凛太郎、(教え手)山本泰太郎

殺生石

シテ 長山桂三、ワキ 野口能弘、アイ 山本則秀

笛 槻宅聡、小鼓 森澤勇司、大鼓 安福光雄、太鼓 桜井均

地謡 柴田稔ほか

後見 浅見真州、鵜澤光



主君の遺児を養育してお家再興と思っていたら、遺児が父母のために出家すると言って出奔してしまう。それを追って高野山まではるばる来る家来の話、高野物狂。前回銕仙会は浅井文義のシテで大変面白かったので期待。


登場する高師四郎の袴が面白い。茶の地におそらく濃紺の模様が規則正しく配置されているのだけれど、何となく印伝の財布を想像してしまった。銕之丞さん痩せたかな。彼のもとに、今朝がた失踪したという主君の遺児春満の手紙が従者によって届けられる。この手紙を読むところの謡が渋くて素敵。

四郎は自分に黙って出家した春満を恨みつつ、その後を追ってさまよい出てしまう。

と、入れ替わりに春満が高野山ノ僧の森常好を従えて登場。森さん、一時病気療養とのことで心配しましたが、良かった良かった。美声も損なわれていないし。

春満の馬野くんはこの前舞台で観た時より一層大人になって、声も低め。もう子方の甲高い声ではない。将来上手くなりそうな風格。

ここに春満を探す四郎登場。

思春期に差し掛かろうかと言う馬野くんの謡の安定ぶりに比べ、銕之丞絶不調に。謡の声が制御できていない。どうしちゃったんだろう。

と思っているところでだんだん眠くなり、ハッと気づくと四郎の舞。ああ、舞はきりっとしていて良いな、と思ったら最後のところでバタバタと足遣いが乱れ…。

最後に春満が四郎に声をかけ主従再会を果たし、めでたしめでたしなのですが、この最後のクライマックスの謡、銕之丞、絶句につぐ絶句。後見がつけていましたが。

実は出だしでも後見がつける場面が。あまりに早く(絶句と気づく間もなく)つけたので、「なぜ?」と思ったのですが、おそらく体調が非常に悪くて後見が心配していたのでしょう。節回しなどはダイナミックで良かったので、ここぞ、と言うところの絶句にはびっくり。

いつもの銕之丞ではなかった。早く復調してほしい。



有名な鶏聟ですが、初めて見ました。鶏のまねをする聟に舅は驚きますが、「舅は物を知らないと婿に思われてもしゃく」と、負けずに鶏のまねを。

これが、ダイナミックな所作で回ったり飛び上がったり。東次郎凄い。

東次郎の達者ぶりも凄かったけれど、全体として面白い曲で楽しめました。



殺生石は、岩から出てくるところが面白く、好きな演目です。

諸国を行脚している玄翁。角帽子が紺地に銀の模様で華やか。そして若い。上を飛ぶ鳥が落ちる不思議な石に近づこうとすると、小柄な女が出てきて声をかける。そして殺生石は玉藻前の執心がついた石で、私こそはその石魂、と言って石の中に消えていく。この人、美人なんですが、横顔が小ずるそうな。


「今のは何だ?」と玄翁が言うと、お伴の能力はちょっとお調子者ですが、殺生石伝説を面白く聞かせてくれます。この語りも面白くて好きです。山本東次郎家の人たちはこういう所、凄く上手で安定していますよね。


そして僧が供養していると、石の中から声が。良く通る素晴らしい発声。そして石が割れて中から狐の精が。赤頭で、冠無し。九尾の狐を載せるのは白頭の小書きの時だけでしょうか。

最初は葛桶に座っていますが、そこからぴょんととび下ります。那須野で野干狩りをされて射伏せられる話などをします。シテの長山桂三は私が勝手に「実力派」と思っている人ですが、足遣いが素晴らしい。


最後に「これからは悪いことはしません」と石のように固い約束をして消えていきます。

やっぱりこの人は上手。


囃子も謡も満足でした。


面は前シテが萬眉(近江作)、後シテは小飛出(出目満茂)。

写真は高野山に伝わる飛行三鈷杵。仙台市博物館の「空海と高野山の至宝」展のホームページからお借りしました。


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by soymedica | 2017-07-20 16:51 | 能楽 | Comments(0)