国立能楽堂 働く貴方に贈る 薩摩守 紅葉狩 

d0226702_12171458.jpg国立能楽堂企画公演 働く貴方に贈る
2017年11月30日(木)19時より

薩摩守 大蔵流
シテ(出家)大藏基誠、 アド(茶屋)大藏彌右衛門、(船頭)大藏彌太郎

実演解説 装束付け 山階彌右衛門

紅葉狩り 鬼揃 観世流
シテ 観世芳伸、ツレ 清水義也、角幸二郎、武田宗典、坂口貴信、木月宣行
ワキ 則久英志、ワキツレ 大日方寛、野口琢弘、御厨誠吾、アイ(供女)大蔵教義、(武内の神)大藏吉次郎
笛 竹市学、小鼓 清水晧祐、大鼓 飯嶋六之佐、太鼓 大川典良
後見 上田公威、松木千俊、野村昌司
地謡 山階彌右衛門他


前日、大蔵流の大蔵家はねー、と思ったら今日はそれだった。
でも、本日は普通に忠度を楽しめました。
茶屋に寄った無一文の僧。茶屋の主人との茶碗の受け渡しが突っ立ったままなのが何となく不思議。
タダで渡し船に乗る方策として、薩摩の守忠度の洒落を教えられる僧。このシャレを教えるところで客席が笑うのは初めて経験した。

まとめて何人も乗せたい船頭にたいして「同乗者がいる」と嘘をついて呼び込むのは初めて聞きました。船中のやり取りもちょっと今までに聞いたのと違って面白かった。
最後はシャレ(秀句)のオチが思いだせない僧が「面目ない」というのを「とっととゆかしめ」と追い込んで終わり。


着付け実演は紅葉狩りの装束でした。
普通の鬘は馬の毛でできているけれど、女性の亡霊の役は本鬘(人毛)だというのは初めて聞きました。
「演じているときに人の毛が首筋に当たって、物狂おしい気分になるんですよ…。」
ナルホド。

そしてまた本日の鬼揃えについて。「登場人物が多く、さらにそれに着付けをする人が必要なので、本日国立能楽堂は大きな出費なんです。」
「観世家に伝わる文書には、殿様に『鬼揃えなぞ如何です?』とお勧めして、後日台所を扱う役人に『直接殿様に(費用のかかる演目を)おねだりするとは何事』と怒られた書類が残っているんですよ。」
ナルホドナルホド。


素人向けとか、視覚効果ばかり、とか言われても私は鬼揃の華やかさが好き。小書き無しの紅葉狩も捨てがたいですけれど。
まず、大小前に山を載せる一畳台が運ばれてきますが、運んできた若者二人がとっても不安そう。あとで先輩方に怒られないようにちゃんとした位置に置かないとね。

番組を見た時に、あまり見かけない大小だな、と思ったのですが(実際には小鼓はきいたことがある)、大鼓の掛け声が独特。嫌いじゃないけれど、驚きました。
美女が沢山。橋掛かりから出てきて、見事な動きで三角形の陣をつくります。

そこへ維茂が三人もの従者を連れて登場。さすがえらい人です。でも、維茂が下馬するとみんな帰ってしまう。
宴会に参加してね、と維茂を誘った美女。二人見つめあって座るところが息がぴたりとあって気持ちいい。うーん、この二人良い雰囲気なんだけれど、実際は女は鬼なのよね。

寝入ってしまう維茂。世界で一番疲れる眠り方だと思う。あとで腕がつりそう。
そこに維茂を心配した武内の神がやってきて剣を授ける。この人の大蔵家特有のしゃべり方が面をかけていることもあってとても聞きにくい。
で、どうしても維茂の姿勢が苦しくないかに注意が行ってしまい…。

いよいよ鬼登場。
シテは黒頭に打杖、その他大勢役は赤頭に紅葉の枝を持つ。
舞台上の人数が多い分切組自体は地味ですが、やはり大勢の鬼がいる!というゴージャスな感覚が捨てがたい。
次々鬼を退治していくのでは無くて、頭目を倒すと皆やられたことになるらしい。
めでたしめでたし。

…良く考えると、維茂が宴会に参加してから起こったことは皆夢の中のことで、実は三人の従者は幕の外で寝入ってしまった主人を待って待機しているのではないですかね。美女はあきれて帰ってしまったんですよ。

面は前シテが孫次郎、後シテが般若、前ツレが小面で後ツレが般若。




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by soymedica | 2017-12-10 10:10 | 能楽 | Comments(0)
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