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銕仙会青山能十一月 膏薬練煉 班女

銕仙会青山能十一月 膏薬練煉 班女_d0226702_23254951.jpg銕仙会青山能
2017年11月29日(水)18時半より@銕仙会能楽研修所

仕舞 
龍田クセ 浅見慈一
松虫キリ 西村高夫

膏薬煉
シテ(都の膏薬煉)三宅近成、アド(鎌倉の膏薬煉)高澤祐介

班女
シテ 鵜澤光、ワキ 御厨誠吾、ワキツレ 則久英志、野口琢弘、 アイ 三宅右矩
笛 八反田智子、小鼓 森澤勇司、大鼓 亀井洋佑
地謡 北浪貴裕ほか計6人
後見 清水寛二、馬野正基


膏薬煉は2人の膏薬煉がそれぞれの練薬の強さを自慢しあう話。大蔵流のとも、名古屋の野村家のともちょっと細部が違うような。三宅家のは都の膏薬煉は鎌倉の膏薬煉に会うつもりで出てくる。で、膏薬比べの雰囲気も割と和気藹々と始まる感じ。
楽しい舞台でした。


本日鵜澤光さんが見せてくれるのは班女。まずいかにも小うるさそうな野上ノ宿の長登場。手持ちの詞章でも今までの記憶でもここのアイのせりふは非常に長いのだが、今回割と短め。こういうのもありなんだ。
長は立っているときつま先が開いてV字型になっているのが気になる。
呼ばれてしおしおと出てくる花子。
花子は扇ばかり見ているのでその扇を長にたたきつけられてしまう。そして追い出される。
この前場で今までで一番印象に残っているのは観世銕之丞。あの辺を目指してね。

色男の吉田の少将登場。あら、御厨さんなかなかいい男。宝生閑亡き後、ワキ方の順位は私の中で激しく入れ替わる。
花子を訪ねてはみたけれど、もう追い出された後だと知り、京都の糺の森へ向かいます。
糺の森では評判の狂女、班女が舞っている。班女と呼ばれて答えるシテのせりふ回しが物凄く上手い。
後場でノリノリのシテに対して、地謡が若干宜しくない。
なぜかと思うに囃子が宜しくないからではないだろうか。小鼓のリズム感が良くないな、などとクセのあたりでぼんやり思う(だってクセの詞章、漢文が多くて難しいんだもん)。

いよいよ中の舞。良く考えてみると、今回の班女は笹を持っていない。あれは小書きの時に持つものか。
舞と言うのは、シテと囃子がお互いの良さを引き出すから楽しくみられるものだとしみじみ思う。
なぜか?本日笛がいっぱいいっぱいの感じがしたので。いつ崩れるかと心配になってしまった。

さて、ついに吉田の少将が「あれは花子では?」と気づく。
そして少将の従者を介して扇を交換してハッピーエンド。ここのところ、話の作りに無理があるといつも思うのだけれど、まあそれはそれ。
めでたしめでたしなのでした。銕之丞のはドラマチックでしたが、鵜沢光のは可愛らしい。扇を開いて見つめるところの演技がとてもういういしい。同じ詞章、面をかけていてこうも違うものかと不思議。

班女、意外によくかかる曲だと思う。色々な人で色々な班女を観たけれど、「青山能」といういわば若手錬成の意味のある舞台だからか、この人のてらいの無い受けを狙わない性格のせいか、物凄くすっと入ってくる舞台でした。

面は作者不詳の江戸時代の小面。



by soymedica | 2017-12-04 12:43 | 能楽 | Comments(0)
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