ござる乃座56th 2017年10月19日(木)19時より@国立能楽堂
舟渡聟
船頭 野村万作、聟 野村萬斎、姑 石田幸雄
素囃子 早舞
笛 藤田六郎兵衛、小鼓 田邊恭資、大鼓 亀井広忠、太鼓 桜井均
新作狂言 なごりが原
作 石牟礼美智子、構成 笠井賢一、演出 野村萬斎
祇園の笛万呂/櫛稲田媛 野村萬斎、影身の守・草比古 深田博治、虫比古 高野和憲、 精霊 中村修一、内藤連、飯田豪
人気曲の舟渡聟。この前は万作の船頭で聟が中村修一でした。その時に比べて万作の息切れが酷い。そして演技のモードが「わしゃお前(萬斎)に任せた」という風に感じられるのは体調のせいか、共演者によるのか、それとも私の気のせいか。
でも、しつこく酒をねだるところなどはさすがに上手い。
おひげがちゃーんと灰色になっているところなんて、芸が細かいですね。
この次の新作狂言を見つつ思ったのだが、万作家の代替わりは非常にうまく行っているのではないだろうか。
さて、今回のもう一つの目玉、石牟礼美智子原作のなごりが原。
舞台装置が狸腹鼓に良く似ている。あちらもやはり秋の野の風景でしたっけ。
秋祭りの終わった夜、そのあと行われる動物たち、精霊たちの祭りでも笛麻呂に笛を吹いてもらおうとする影身たち。櫛稲田姫も満月の中海からやってくる、というお話。
笛麻呂と櫛稲田姫、同一人物がやるというのはなぜか。萬斎の舞を見せたいからか?それとも両者が舞台に上がってしまうとあまりに説明的になって神秘性が無くなってしまうから??
海から灯籠を掲げた精霊がやってきて会場の照明が落とされたりと、ほのぼのした短編アニメのような味わいのある一品でした。