国立能楽堂定例公演二月
2017年2月24日(金)18時30分より 狂言 大蔵流 酢薑 シテ(酢売り)山本則孝、アド(薑売り)山本則秀 能 観世流 三井寺 シテ 観世清和、子方 藤波重光、ワキ 森常好、ワキツレ 館田善博、森常太郎、アイ(夢合せ)山本東次郎、(能力)山本則俊 笛 藤田六郎兵衛、小鼓 大倉源次郎、大鼓 佃良勝 後見 木月孚行、上田公威、藤波重彦 地謡 角寛次朗ほか いつもあんまり意識せずに正面席でも中正面寄りのブロックを選んでいたのだけれど、今回反対側を選んでみた。あんまり変わらないけれど、角度によってはワキが見えないかもね。 酢薑を大蔵流で観るのは初めてかもしれません。万作家では棒の先にぶら下げた商品を肩に担いでいましたが、こちらは脇に刺しているように見えて、両手が完全に空いています。 あとはそんなに変わらず、シャレを言い合ってめでたく終わります。山本家の狂言って、スルメのようにじわーっと味が出てくる。 観世清和の三井寺は良いだろうな、と思ったらやっぱり良かった。 最初の登場が老女もののようにゆーっくりだったのには若干閉口しましたが。深緑を基調とした装束が素敵。そして面がとても良い。めったに双眼鏡を使う事は無いのだが、しげしげ眺めてしまった。 わが子を見出す、からわが子は三井寺にいる、というのも何となく安易なシャレのような気もするが、東次郎の勧めに従って三井寺に行くことにする母。東次郎、ちょっと見ない間に色が薄くなったような。たぶんのころ少ない髪の毛が完全に白髪になったせいかと。 鐘の作り物が目付柱のところにちょっと中正面を向いて出されます。オレンジの紐がついてる。 三井寺の僧に連れられて(正確には従えて)子方登場。この子、運動神経が良さそう。 あまりに月が綺麗なので楽しもうと出てきた一行です。 (なぜ季節外れの三井寺上演かと言うと、今月が「近代絵画と能」という特集だから。パンフレットには上記の絵が掲載されています。) ここで面白い物狂いがやってきた、と僧の止めるのも聞かずに能力が女を入れてしまう。道成寺でなくて良かった。 この女、清水寺にいた時と物狂いになっているので印象が違う。やっぱりこういうところが観世清和は上手い。橋掛かりでちょっと笹を突き出すような何気ないしぐさも決まっている。グレーの水衣の裾から除く黒地に金の模様(ススキか?)の縫箔が綺麗。 物狂いをみて遊んでいたら、後夜の鐘を衝くのを忘れた、と鐘を衝く能力。この鐘の音を則俊が「じゃーん、もんもん」と言うところで、隣のオジサンに大受け。どうやら能は初めてらしいのだけれど、是非狂言の「鐘の音」を観てほしい。 狂女も鐘を衝きたいと、止めるのも聞かずに鐘をつく。ここのところの詞章も綺麗だし、地謡も美しい。 …のだけれど、子方がとても辛そう。脚が痛いのかな。 母親だと気づいてワキに向かっていうセリフが涙声(?) 母親も子供がわが子千満と気づくけれど、僧に「おかしなことを言う狂女だ」と止められてしまう。ここの緊迫感がとても良い。 最後に子方が「自分は駿河から人買いに買われてきた」と名乗って二人そろって帰ります。子方が立てるか森も心配だったみたい。 でも、三井寺も人買いから買った子をやすやすと手放したものですね。この辺はどういう慣習になっていたのでしょうか。 最後に後見が作り物を引くのですが、ワキツレが幕に入ったのをきちんと確かめて引いたのは良かったです。 面は友閑作の深井
by soymedica
| 2017-02-26 22:09
| 能楽
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