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茂山狂言会 粟田口 吹取 六地蔵

茂山狂言会 粟田口 吹取 六地蔵_d0226702_15370425.jpg茂山狂言会 狂言で見る京都絵巻
2017年1月14日(土)13時より@セルリアンタワー能楽堂
中正面席6500円

解説 茂山逸平

粟田口
大名 茂山千五郎、太郎冠者 茂山童司、すっぱ 茂山茂

吹取
妻乞いの男 茂山宗彦、笛を吹く男 茂山千作、ご夢想の女 井口竜也

六地蔵
すっぱ甲 茂山あきら、田舎者 茂山逸平、すっぱ乙 島田洋海、すっぱ丙 鈴木実


コートと荷物をクロークに預けようと思ったら、「本日は能楽堂のお客様の荷物はお預かりできません」。そうならそうと、パンフレットに書いておくべきだと思う。やっぱりこういうところがシティーホテルから抜け出せない所以なのよね、とぶつぶつ言いながら席に着く。

正面席が買えなかったのだけれど、ここの中正面は結構ゆったりしていてよく見えてお勧め。

茂山逸平の解説。東京では松がとれたら(7日)もう「あけましておめでとうございます」とは言わないが、京都では15日まではOKなのだ、と言うところから話が始まります。能楽堂に入ったらまだしめ縄がついていて、「あれ?」と思ったのだけれど、なるほど。
今回ははっきりと場所が特定されている演目が揃っているので「狂言で見る京都絵巻」。
粟田口は最近新千五郎が何度もやっている演目であるとか、和泉流の六地蔵ではすっぱがもう一人いるとか、の話の後、物品販売。これが結構笑えました。皆さんも買いましょう。
じーっと見ていたら逸平は着物のあわせの所、なにかで留めていますね。

粟田口は今まで山本家のものと、和泉流の萬斎が大名のものと二度観ています。筋を知っている方が安心して細部を楽しめる。
この三人、本当に声が大きいし良く通る。この曲は普通は五年に一度くらいしかかからない(小一時間かかる大曲)が、新千五郎は昨年3度ほどやったそうで、意識的に何か色々試しているのでしょう。茂山家にしてはちょっと固いかな、と思っていた正邦ですが、芸風がちょっと明るくなった感じ。
そしてこの家の人たちは表情で演技することをあまり厭わないようですね。
すっぱの茂もよかったけれど、童司の演技は私にはあまりしっくりこない感じ。なぜだろう。

ま、それはともかく「粟田口」は焼き物を「瀬戸物」というようなもので、粟田口で作られた刀の事なのですが、まんまと騙された太郎冠者と大名は「粟田口」とは人の事だと信じて…。昔も今も、お道具自慢と言うのは大変です。


吹取は初めて見ました。狂言にいくつかある嫁取の話なのですが、嫁が欲しいと願をかけると「五条の橋で笛を吹くと妻がやってくる」と言われ、笛の上手に代理で笛を吹くように頼む、という出だし。実際に新千作が笛を吹きます。
千作、足がだいぶ辛そうです。この人も出て来るだけでクスっと笑える域に達しているので是非長くやってほしい…。

この笛の上手、あんまり上手じゃないし(実際には笛の素人の千作があれだけ吹ければ上々ということらしい。)、すぐに笛をやめてしまって歌を読んだり、景色を眺めたり…、と言うところでも笑わせてくれます。

ところで嫁を探している宗彦の肩衣がなぜこの季節に萩の模様?と言ったら、月の美しい秋の晩という設定でした。


六地蔵は以前東次郎家の大蔵流で観たことがあります。その時は友人と一緒で友人が「皆年歳取っているのに大変だねー」と感想を漏らしたドタバタ劇。お地蔵さんの意匠としては東次郎家の方が面白いかな。
あきらと逸平、あまりアクの無い綺麗な演義でした。
因幡堂の後堂と脇堂が舞台と言う設定ですが、昔はこんな話が成り立つほど因幡堂が大きかったのだな、と思いました。

写真はその因幡堂に現在掲げられている屋根瓦の寄付のお願い。真中に千五郎の名前が。


by soymedica | 2017-01-16 18:08 | 能楽 | Comments(2)
Commented at 2017-01-16 18:24 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by soymedica at 2017-01-29 10:46
コメントありがとうございます。へー、そういう感じなんですか。でも茂山のお家は親戚で盛り上がっているので一時多少の凸凹があっても皆で前へ進んでいく感じがして好きです。
私の今の望みは贔屓の七五三が長くやってくれることです。
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